並べて・束ねて・付番して(代書やさんのDocuWorks その6)
昨日の記事にさっそく友紀さんからコメントが入りました。曰く『そんなにかたく考えるな』と。
あっはっは(笑)
どうもありがとうございます。あまりにも当を得た言葉って笑って受け入れるしかないもんですね。参りました…
さてさて女子高生さんに軽~く一本とられてしまう微妙な司法書士が愛知県名古屋市からお送りしております『旅行書士雑記帳』。今日は久しぶりに『代書やさんのDocuWorks その5』のつづきです。例によってアフィリエイトへのリンクを貼っておきますが、ヤフオクであれば一つまえのバージョンがこれより安く手に入ります。
前々から考えておりました今回以降の記事では、DocuWorksを使って訴状を作っていこうと思っています。事件袋を一掃する計画は徐々に進んでスキャン枚数は8000枚を超えた!んですがDocuWorksの持ってる芸は文書の保管に限られませんから。
たとえば(当事務所ではここ3ヶ月ほどやってない)過払い金返還請求訴訟を考えてみましょう。裁判所に提出する訴状一式をどうやって作っておいででしょうか。一般的には
- 取引履歴を取り寄せて入力して過払い金を計算・または業者に外注して作表。表計算ソフトを使用し、3部印刷
- 確定した過払い金額を請求の趣旨をはじめとする何カ所かに入れ込んで訴状作成。ワープロソフトを使用し、3部印刷
- 取引履歴はコピー機で三枚ずつコピーして赤いゴム印で『甲第 号証』と押して番号は手書きし、ページを正しく並べてホチキスで綴じる
- 1.と2.を手作業で組み合わせてホチキスで綴じて、できあがり
専用の業務支援ソフトを使わなければ、ざっとこんな感じでしょうか。ただこれですと、ある訴状ができあがった時点でワープロソフトのファイルと表計算のソフトとコンピュータに収容されてさえいない証拠書類の固まりが存在することになります。
そこで、DocuWorksについている『DocuWorks Printer』を使ってみます。これはDocuWorksをインストールすると一緒にインストールされるプリンタドライバで、上記の表計算ソフトやワープロソフトでの印刷時に出力先のプリンタをいつもお使いのプリンタではなくこちらにすると、DocuWorksが立ち上がってそのなかにDocuWorks文書の形で収容されることになります。出力時にDocuWorksの特定のフォルダを開いている場合にはそのフォルダに入りますので、進行中の事件については一事件に一フォルダを用意しておいて、
- スキャナで取り込んでDocuWorks文書にした取引履歴等証拠書類
- DocuWorks PrinterでDocuWorks文書にした訴状(ワープロソフトで作った文書)や計算書(表計算ソフトで作った文書)
これらを同居させると、事件に関する書類はすべて一つのソフトで閲覧できることになって過去の事件を探索するようなときにも便利です。また、違うソフトで作った文書をいったんDocuWorks文書にすることで、文書に対する並べ替え・文書の分割や結合・連番や文字の記入ができるようになります。
まずワープロソフトからDocuWorks文書にした訴状と表計算ソフトからDocuWorks文書にした計算書を束ねて、訴状→計算書の一続きの文書にしてしまいます。この束ねたDocuWorks文書をいつもお使いのプリンタで3部印刷すれば、ワープロと表計算からそれぞれ出力した文書を人力で並べ替える作業が省けます。
なんだそれだけかよ、と思われるかもしれませんが…
複数の業者に対する請求を主観的併合させて、複数の計算表を添付した訴状をたくさん出力したい場合に、これで結構楽になります。
つぎに証拠書類。これにつける甲号証の番号にゴム印+手書き、というのはもう全業界的お約束になっているかのようです。しかし、当事務所にはこのゴム印がありません!
つまりお金がないの、という冷静な考察を避けて話しを進めます。
一社のみに対する過払い金返還請求で、添付する証拠は甲第1号証のみ、というものであればゴム印に手書きでも十分ですね。しかし1か月ごとの利用明細を70ヶ月ぶん送ってくる信販会社とか、僕のいつもの仕事なら時効消滅前2年分24枚のタイムカードとか、連番を膨大につけることになったらコピーゴム印手書き、だと結構な時間と労力がかかるはずです。こうしたときにDocuWorksを使います。
スキャナで取り込んだ10枚の文書に、甲第1号証から甲第10号証まで連番をつけたいとします。スキャンした文書を開いた状態で、『文書』→『見出し・ページ番号の設定』を選択し、『ページ番号』のタブをクリックします。
書式の欄に
- 甲第#号証と入力し(#は半角で)
- 位置は上
- 位置揃えは右揃え
『フォント』のボタンでは
- フォント名をMSゴシック
- サイズを14~16ポイント
- 色は赤
- 背景と重なる可能性があれば必要により背景色を白(こうすると、甲号証と書いてある部分だけ元の画像が見えなくなります)
これで、#とした部分に連番が入ります。つまり書式の欄に甲第1号証の#と入力すれば、甲第1号証の1以降の連番が入るわけです。これで、甲第70号証だろうが100号証だろうが別表1-1だろうが連番なら平然とつけられます。
こうして連番をつけたDocuWorks文書をプリンタで印刷することは当然できますが、このDocuWorks文書をプリンタではなくさらにDocuWorks Printerに出力することもできます。見かけ上はまったく同じ文書ができあがりますが、連番をつけた部分はもう編集できなくなります。記録として保存するため安易に改変できないようにするにはこうしておくのがよいでしょうし、連番を多重につけるために使うこともあります。
具体的には労働者A、B二名についてそれぞれ10ヶ月分の割増賃金を請求する際に、各月の勤怠実績を表にまとめて労働者Aについて別表1-1~10、労働者Bについて別表2-1~10とする場合。
上記二つの別表の連番をつけたあとでDocuWorks Printerに出力して、二つの文書を束ねます。さらにこれを訴状と一緒に束ねて、訴状から別表2-10(つまり、訴状の綴りの最終ページ)まで通しでページ番号をつけることができます。この文書には、別表につけた連番とページ番号としての連番が混在するわけです。複数業者への過払い金返還請求を主観的併合でおこなうときにも、各取引履歴の計算書と訴状の綴り全体としてのページ数という連番が必要になることもあるかもしれませんね。こうしてDocuWorks文書をさらにDocuWorks Printerに出力できるのはなんだか変な感じもしますが、馴染むといろいろな使い方が考えつきます。プリンタへの出力をおこなってからページの配列を整えるのになんらか人手を要しているタイプの事務所なら、DocuWorks導入でだいぶ幸せになれると思いますよ。
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