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訴状 それは小包で送るもの。

 11年もののインクジェットプリンタが、背後で淡々と文案をプリントアウトしています。

 今回の訴状は、ぜんぶで61ページ(苦笑)出力速度は1ページあたり30秒弱といったペースでしょうか。執務室に宵闇が迫ってきます。

 訴状の校正の最終段階ではどうしても紙にプリントアウトしないと手落ちを発見できないことがあり、そうした印刷に新しい紙とレーザプリンタを使うよりはダイレクトメールや業界団体からの連絡文書や研修教材の裏紙に詰替インクでプリントしてしまいたいのです。

 なんでそんな作業になってしまうんだ?というお尋ねはいろんなところでいろんなときにいろんな人から言われます。

 なんでそんな商売をやってるんだ?という問いであることも多いのですが…それはさておいて。単純に物量については、ほとんど必然的にそうなります。

 たとえば労働者1名が、24ヶ月分の時間外労働割増賃金を請求するとします。

  •  まず訴状本文。かんたんに書けるなら3~4ページで済みますが、だいたい残業手当をまともに払っていない会社はほかにもどこかおかしい労務管理をやっており、そのなかには労基法に違反して無効になる扱いもあり、そうした部分に修正をかけるだけであっさりともう数ページ増加します。
  •  これに計算書が24ヶ月分で24枚、僕の場合は、さらに毎月の賃金支払い状況と請求する賃金額をまとめたものをつけるのでもう2枚の計算書が別表として必要です。
  •  さらに証拠書類。タイムカード裏表1ヶ月分をA4判一枚の紙にコピーし、さらに給与明細書もコピーして、それぞれ甲第●号証と連番を付します。連番自体はDocuWorksで自動付与し印刷されますので作業としては大したことがありません…が、給与明細書のサイズが大きい場合には24ヶ月で48枚(わーい)
  • これに必要に応じて、労働契約書や就業規則や解雇通知書やその他諸々の文書たちを添付します。さらに十数枚。

合計で、まぁだいたい70~80枚になりますか。縮小コピーするという手はないのか、と言われることもありますが、法壇に座る誰かが老眼ではない、という保証はどこにもないことに注意する必要があります。

 しょうがないので提訴のたびにコピー用紙がひと束使用される、ということに。なぜなら上記の訴状一式は、原告用+裁判所提出用+被告送達用の最低三部は必要なのです。

 もちろん原告が常に一人だ、などということはなく、原告が増えれば上記の作成部数はさらに1部増え、当然ながら計算表・証拠も一人分増えてきます。

 かくて順当に、お客さまのところに送る書類はエクスパック500の収容能力を超過して…小包で送るしかなくなります。嗚呼。

 今月はあと一つ、原告が複数の訴状を作らなければいけません。補助者さまも頑張ってくださっているのですが、もう少しだけ誰かに助けを求めてみたい、今日この頃です。

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