あなたが言いたいこと わたしが聞きたいこと
何らかお困りらしい方からコメントをいただいています。労働審判の申立を検討しているようです。
ですが、現在のところ回答しておりません。今後そのつもりもありません。
身勝手な読者さんからは『お前は困ってる人を見捨てるのか?』とかクレームが入りそうな気もします。一方ですでにご依頼のお客さま方は、いかにもこいつがやりそうなことだと納得されるのではないかと思います。
さて僕は、業として労働相談にあたっており、よその事務所とちがって無料相談の制度をもっていません。
一方で有料の相談が、相場と比べて安めの設定(2時間税別4000円・労働相談は初回のみ1時間1000円)になっています。
知識を無駄にばらまいたり、無料相談を標榜して実はオイシイ依頼だけを誘致する、なんてのは大嫌い。だけど知識にお金を払える人には便利に使ってほしい、というのがその理由です。大抵の場合、この回答内容に比して4000円は安い、と言われますので値上げも値下げも考えません。そしてなにより、この4000円または1000円と無料のあいだには、おそろしい断絶があります。まさに無限の距離が開いている。
それは何なのか?
お客さまの気合いが違うのです。
もちろん有料のほうが、比べものにならないほど真剣です。
相談にお金を出せる客層と無料相談を求めて漂流している層とは、少なくとも本人訴訟支援の世界では決して重なりません。無料相談で見込み客を集めて適当に景気のいいことを言って刈り取り、代理人として適当に振る舞うことでお客さまは何もしないでいいですよ、なんて微笑できるならよいのでしょうが、幸か不幸か僕は傭兵ではなく軍事顧問です。お客さまが戦う気になってくれないと、なんにもできないのです。
だからこそこちらも、ある程度お客さまを選ばなければなりません。
もちろんそうした意志と時間と必要最低限の慎重さ(笑 最低限で結構です)を持った人には2時間4000円が安いと思えるサービスを提供せねばならず、それを可能にするために必要な『事前に聞きたいことの最低限』を労働相談用の送信フォームにしています。これだけのことを対面で聞いていくと10~20分はかかってしまい、30分5000円などという相談が実は非現実的であることがわかりますし、これだけのことを聞いてもなお有効なアドバイスができないからさらに相談時間内に事情を聞いていくのです。
それと比べて。上記コメント投稿者のいう『相談』は…なるほどこれで回答が出せるならなるほど30分5000円でもいいんだろうな、と思います。少なくとも僕は、この相談でなにか答えられるような能力あるいは無能力を持ち合わせてはいません。よりよい相談のために僕から聞きたいことと、相談希望者が言いたいことにはこんな断絶があるわけです。質的にも量的にも。
所定のフォームを使え、と言っているわけではありません。困ってるなら困ってるなりに丁寧に今の自分のありさまを説明してみせてほしいのです。数行の書き込みからそれができない人かどうかを判断するのは冒険ですが、この投稿者は自力で法律事務所を探し対面での相談ができる以上、相談にも相応の手順を要し時にはいくばくかのお金がかかることは知っているはずです。それなのに、ブログへのわずか数行のコメントをもって相談だというのはどうしたことでしょう?
この人の争いは、こんな情報量で総括できるものではないはずなのに。
この人が労組→労基署→法律事務所をたらいまわしにされているには、このあたりにも理由があるのかもしれない、と考えてしまいます。
上記各相談機関の担当者も人の子です。目の前の人を助けるか助けないかをぎりぎりのところで迷った場合、どっちに転ぶかはわりと気分で決まってくるもの。
それを助ける方に転ばすことができない人、というのは確かに存在するのです。もちろん僕も人の子なんでそうした面があります。
ま、その辺について気をつけて…さらにご自分に合った相談機関をお探しください、と申し上げます。少なくともここは、言いたいことをそっちの都合でならべたら何か投稿者に都合のいい答えが返ってきて勝たせてくれる、などというところではありませんし、いまの調子でこの先裁判所に行ったらさらに強烈にストレスフルな環境におかれることは断言します。特に労働審判では、ね。
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私は週二日勤務ですべてをみているわけではありませんが、その間の送信フォームやメール等で寄せられる(相談前の準備段階の)方に対しても、先生は本当にいろんな配慮をしています。
そして無料相談をしないかわりに、お客さまの深い思いにどう対処していくか真摯に考えています。
そして一緒に歩んでいくために…一緒に考えてすすんでいくからこそ、正直に、時には苦言を呈するかたちになったりしていますが(汗)
この事務所は『普通』ではありません。
そして儲からない設定になっています(先生、ごめんなさい)
だけど、お客さまが少しずつよい方向へかわられていく姿や、一緒にすすんでいくうえで増えてゆく知識や能力を楽しみとしているように私は感じていますが…ちがいますか?
投稿: 補助者さまとよばれています | 2008年12月 8日 (月) 01時52分