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個人の債権回収支援の必要性

 一年ほど前に終わった訴訟で、分割払いの和解金の支払いを怠った債務者がいる事案が二つあります。差押えはかけたものの、よい成果は上がっていません。

 こうした事案については、頼まれてはいないのですがときどき債務者の名前でtsr-van2の検索をかけてみるようにしています。もちろん一般の検索エンジンも使います。

 で、今日は当たりを引きました。上記の債務者の一人が、新しく会社を設立していたことがわかったのです。資本金額500万円で。

 だったら未払いの給料払ってやれよっ(怒)

~といいたい気分です。ともあれ、これは悪くない傾向です。法人になり、登記を終えた以上は誰かがその会社の株式を有しているわけで、順当に行けばその大部分は、会社を設立して社長におさまった債務者が有している=資産を持っていることが予想できるから。

 それにまぁ、万一その会社が流行ってくれたら会社から債務者に支給される役員給与を差し押さえる可能性も見えてくる(もちろん会社の社長はその債務者であり、実質的に差押命令が無視される可能性が高いため、取立訴訟を起こすことは覚悟せねばなりませんが)し、この先儲かって家の一軒も買う気になってくれれば抵当権設定登記から取引銀行がバレるかもしれません。会社側の取引銀行は調査会社を入れればわかるので、個人もつきあいで口座を開いていると推定して差押えをかけてみる、そんなこともできます。

 さてこれらの問題事案、債務名義が取れたのは昨年で最後の入金があったのが今年なのだから、時効消滅まではあと10年弱あるのです。破産さえされなければ、こちらがいきなり殴りかかれるような隙をいつか見せてくれるかもしれません。

 というより、数年後に破産されたとしても破産債権として僕のお客さまが持っている債務名義記載の債権を記載しなければ、破産しても免責されない可能性だって残っています。

 さて、今回のことからあらためて気づくのは、相手がいま強制執行可能な財産をもっていなくても、それだけで債権回収を諦めるにはあたらない、ということです。これは個人事業主から取りたい未払い給料だけでなく、家賃・貸したお金・養育費もそうです。

 だからとにかく債務名義だけ取って(つまり、訴訟をやって判決なり和解の結果を残して)おいてもらえれば、あとはあきらめず過剰に期待せずのんびり経過観察してればいつか回収できるかもしれませんよ、という回答を相談者にすることが、年に数回あります。しかしながら、このアドバイスにしたがってくれるお客さまはそう多くありません。

 破産は債務者の権利だ、というようなありふれたウェブサイトを作るよりは…僕には『取り立てる』仕事のほうが性に合っているようです。取り立てる、というよりは契約と法律に基づいて、あるべき義務の履行を実現させる仕事ですね。

 ですので債務整理でも、特定調停や過払い金返還請求訴訟はやっていてストレスがあまりありません。一方でちょっとおかしな個人再生申立をしてきた債務者にお金を貸していた年金生活者から依頼を受けて、再生債権評価の申立をやって債権額を増やしたこともあります。失敗に終わりましたが、免責許可決定に対して債権者側から即時抗告したこともあります。個人再生や破産申立書類そのものは作ったことないのですが…債権者側で書類の閲覧をやって、なぜか他の先生方が作った書類はいくつか手元にあったりします。

 極端な話しですが、破産・個人再生を企てた人にお金を貸していた個人債権者の権利を守る専門事務所、というのは商売にならんかな、と思っています。世の多くの人は、破産と免責の区別もつかなければ免責に対して意見を述べたり即時抗告できたり、破産した人に債権を持っている人は破産申立書が閲覧できることも知りません。どうやって依頼を集めるかが難しいし難易度が高い(特に、免責許可決定への即時抗告はまず通らない!)でしょうが、依頼があれば喜んで受けたいものです。

 ただ、給料でも養育費でも、そして清算型の債務整理手続きに対する異議申立でも、『やってみないと結果がわからない』ということに耐えられない、というのが大問題です。いま考えているのですが、こうした手続きのための書類作成では結果が出るまで料金を取らない形にできれば少しはハードルも下がるのかもしれません。

 いま、そうした料金体系を選択肢として導入できないか少しずつ考えているところです。給料未払い事案のようにひたすら煩雑になりかねないものについては取り扱える上限額を設けるつもりですが、事案ごとにいろんな提案をしてみてお客さまの反応を見ながら考えていくとしましょう。

 さて、明日は大阪にでかけます。帰りに伊勢市に寄ってきます。伊勢には気になる事業主が二人(男性一名・女性一名)いるので、お顔を拝見してこようかと。

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