五人のお客三つの期日
先月来、当事務所でパートタイマーとして就労されている補助者さまは、どうやら幸運を運んでくるタイプのお方のようです。
勤務開始と同時に彼女に渡したのは15年ほど続いた取引履歴。今でも地下鉄車内に、女の子がカエルさんのぬいぐるみを抱いている広告を出してるあの会社です。つまり過払い金は『返ってくるよ』ということで。
しばし端末に向かって作業が続きます。ちなみに彼女のオペレーションデスクは12畳のLDKにおいてあり、僕の机は隣の6畳の部屋にあって、見比べると本職のほうが見劣りがするようなしないような…ややあって彼女が叩き出した過払い金
1●●万円(おお!)
- 無邪気に喜ぶ、司法書士。
- 結構冷静な、補助者さま。
「先生は過払い金が発生すると嬉しそうにしますね」とは彼女のいたって客観的なコメントです。そりゃそうです。これが労働訴訟なら弁護士と一年叩き合って8割取れれば結構さまさまなものを、過払い金返還請求訴訟なら訴状出したと同時にこっちが勝ってるわけだから。やっぱりそういうご依頼も…欲しいです!たまには!
もちろん過払いでないご依頼も粛々と進んでいまして、僕は6畳の部屋で初代Pentium200MHzのPCを使って勤怠時間の校正を、補助者さまは12畳のLDKでPentiumⅣ1.8GHz搭載機を使って取引履歴の入力と訴状の作成をしているあいだに、各地の裁判所で延べ三件の期日が入りました。特定調停二件と、相談で関与している賃金請求訴訟です。
これらのうち、ちょっと個性的な展開をとったものがあります。
ひとつは賃金請求訴訟。労働訴訟ではあんまり見ない、というより僕の事務所では初めての、
請求の認諾
がありました。よって後日裁判所からくるのは、請求の認諾調書ということになります。事案の性質上、お客様が和解に応じるのかどうかは結構気になっていたのですが…どうやら裁判官&司法委員の苛烈な抵抗を乗り切って和解より判決を志向し、でもどうあっても判決を書きたくないということなのか(訴状の出来に問題はなく、被告会社も争う姿勢はない)、根負けしたらしい裁判官が被告の社長に請求の認諾の意思を確認して陳述させて口頭弁論終結、となったようです。
傍聴行きゃよかったかも!
とはいえ後悔先に立たず。お客さまには送られてくる認諾調書の写しをもらうとしましょう。このお客さまが相談にこられたときに、僕はお客さまに『裁判所側はいかに執拗に和解を勧めてくるか』を念を入れて説明しておきました。
それが和解に応じさせるための説明か拒否させるための説明かは、ヒミツです(笑)
もうひとつは特定調停。お客さまから来たメールに思わずひっくり返りました。ある意味で当事務所初というべきそのメール、内容をみるとそのお客さまは
なんだかとってもいい調停委員&裁判官に恵まれたようです。これはすごいぞ、大阪簡裁、というべきでしょうか?
実は今まで、特定調停を申し立てられた人の感想として
- 申立書を持っていったら窓口で説教された(愛知県)
- 調停委員にいきなり自己破産をすすめられた(京都府)
- 引きなおし計算前の金額を基準に申し立て書類を検査され、調停不成立の可能性ありと脅された(三重県)
- 某東海地方ローカル都市銀行系列のカード会社のみ異常に対応が遅く、そいつのせいだけで期日が一回無駄になった(愛知県)
- 引きなおし計算後申し立てをしたら、途中で完済しており取引が分断していた期間の扱いをめぐって交渉が決裂した(広島県)
- 申立書の書式をくださいと窓口に行ったら、僕自身を申立人だと間違えて奥の相談ブースに連れ込んだ(名古屋簡易裁判所!)
などなどなどなど、どこかで何かが発生し、何事もなく終わってくれれば万々歳、という印象があったのに?
なんだか今日大阪簡裁に行った僕のお客さまは、とても親身な対応を受けたようなのです。おかげで申し立てを計画した僕まで感謝されているのですがさて身に覚えがありません(苦笑)
まぁ、とりあえずはこのお客さまの幸せと経済的更正を祈っておきますか。守秘義務に制約される諸々の事情を考えると、このひとなら大丈夫だと思います。
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