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静かすぎる朝のはなし-受験生のあなたへ-

昨日は朝からなかなか楽しいコメントをいただきました。慎太郎1475さん、はじめまして。この下四桁の数字が気になるのですが…

僕の時給?

背筋が冷えるような問いを残しつつ(これより多いと言い切れる自信はありませんし、労働訴訟では絶対に少ない自信があります)先に進みましょう。そういえば今年は僕が司法書士の試験に受かって10年経つんです。ちょうど10年前の今頃おこった、ある朝のはなしをしてみましょうか。


※以下の記載は、性的な表現がお嫌いな方の閲覧に適さない箇所がある…かもしれません。そうした表現が嫌いな方の閲覧はおすすめしませんが、期待して読むなら間違いなくムダです(笑)


 平成10年3月21日。僕は今は亡き三菱自動車大江工場の部品工作部アクスル1係の期間工を、満期で退職しました。三ヶ月の契約なので、満期慰労金は10万円。

 この会社、社員食堂で大盛りのご飯がいくらでも食べさせてもらえるうえに夜勤の日にはビン入りコーヒー牛乳がタダで飲める、というまことに素晴らしい会社でして、今の僕の少々余り気味な下腹部はこのときにかたちづくられました…特に根拠のない、この会社への忠誠心とともに。こうした会社で三ヶ月まじめに働くと、同年7月に控えた司法書士試験までの三ヶ月ちょっとを全く働かずに試験勉強だけに打ち込むことができる、とフリーターだった僕は考えたのです。

 4月以降、そのたくらみは早くも絶頂に達します。平成8年3月の大学卒業以来、久しぶりに訪れる『勉強だけを楽しめるとき』を最大限エンジョイするために、以下のようなキソクタダシイ生活を送っていました。

第一 昼の部

  1. 午前6時 起床
  2. 午前7~8時 家事・朝食・たまに散歩を済ませて勉強開始
  3. 正午の十数分 昼食
  4. 午後3時 二日に一回程度、お風呂屋さんに行く。一番風呂に入るため。
  5. 午後4時過ぎ 就寝

第二 夜の部

  1. 午後6時 起床。勉強開始
  2. 午後11~0時 夜食
  3. 午前3~4時 勉強終了。就寝

こんな感じ。言ってみれば一日を12時間ごとの二部制にして、だいたい4時間弱の就寝時間(最低で連続1時間半の睡眠時間×2回)、勉強時間を16時間ほど取って日々楽しく過ごし、勉強だけでは煮詰まるのでお風呂屋さんに行き、帰りに食料を買って帰ってくるわけです。フリーターの一人暮らしですから、最低限の家事はしないといけません。

 さてそんな生活で、ずいぶん付け焼き刃的学習法も取りました。辰巳法律研究所(当時は司法書士試験の教材なんて出してませんでした!)の司法試験用肢別本民法をいきなり買ってきて、21時間で二千問解いてみる、とか、これに味をしめて熊倉照男の不動産登記法・商業登記法の同様の問題集を仕入れてきて過剰反復する、とか…よき受験生の皆様はくれぐれもマネしないように。

 この生活が、二ヶ月ほど続いたでしょうか。第一部の起床時刻は、世間一般の『朝』です。目覚ましの音とともに、半ばやけ気味に寝床から起き出したところ

 股間に違和感を感じます!

 寂寥感、と言ってもいい、かもしれません…よ?

 当時の年齢24歳。当然ながら尿失禁を気にするほど老化してません。至って健康な独身男性、です。なのに。

 立ってない。立ってないのです!

-情景面でのこれ以上の説明は省略します-

 いよいよ解脱したんかオレ

 と、一人思った受験生。そのときの朝の光のまぶしさを、いまだに忘れることができません。やはり何の根拠もないのですが、

 これは今年の試験、受かるかもしれんな

 と本気で思ったのもこの時から、です。なにしろ5月初旬の時点で、LECの模試では合格可能性E判定、東京法経学院の模試ではC判定を取っており、その後の追い上げにすべてを賭けていた時期ですから。

 その後、司法書士試験三大分野たる民法・不登法・商登法で○×肢別の問題集の過剰反復を派手にやった結果、立たない股間はそのままに6月の模試ではLECがC判定、東京法経はA判定にジャンプアップ、7月の試験では1次試験で鼻血を出しつつ(何かが溜まってたんでしょうよ、よほど。そこへ持ってきて刑法で176条だったか177条だったか関連の問題が出たから、かもしれません!)、何やらうまい具合に合格してしまいました。

とはいえ学習期間2年3ヶ月受験歴1回で受かったしまったツケはきっちり回ってくるもので、その後入った土地家屋調査士行政書士の事務所で2回クビにされ、借金を背負って工場労働者に逆戻り、合格から登録開業まで5年半の月日を空費して現在は呑気な旅行書士の座におさまっています。この間社労士を取ったし事務所が目指す方向はきっちり定まったのでムダとは言い切れない面もありますけどね。

最後に、わかる人にしかわからない例えを使われた慎太郎1475さんに一言を。古人曰く、

 十年、兵を養う。ただ一日、これを用いんがためなり。

と。

 兵力の涵養を怠らず、そして使用すべき局面を間違えませんように。受験間際にいきなり問題集を追加するのは決しておすすめできませんが、股間が機能を失うまで程度ならば自分を追い込んでみるのも、よろしいかと思いますよ。年齢にもよりますが、世界がちょっと変わって見えることは請け合います(苦笑)

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コメント

>この下四桁の数字が気になるのですが…

うかつな話ですが、「すずきしんたろう」さんが「鈴木慎太郎」さんだということを、送信するまで気がつかなかったんです。送信した後に気づいて、”あれっ、うちの息子と同じ字じゃん!!”
てなわけです。
ちなみに「1475」は生年月日です。

私は50年来の飛行機マニアでして(年がバレますね(笑)、鈴木さんの文の随所にちりばめられたさりげない一節に胸が締め付けられるような歓びを感じてしまいます。
おおぉ、ここにも隠れたる同好の士がいたか・・・

「飛行機気狂い」を長い間やっていると、航空力学、構造力学などにとどまらず、軍事学、地政学、近・現代史にまで興味がひろがるもののようです。

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