恐るべし、NCカード某会社
ひょんなことから南国某市のお客さまからご依頼を受けて、債務整理をはじめることになりました。過払い金が発生しそうなもの・残債務が残りそうなものとの振り分けのために、まずは各社から取引履歴(いつ・いくらお金を借りて・いくら返済したか、の履歴)を取り寄せたら…
お客さまが丁寧に整理してくださった紙束のなかに、奴は紛れ込んでいたのです。その南国某県ローカルの…おそらくは商店会に基礎をおくらしい信販会社が。
その取引履歴、まず手に持ってみます。
重いです。
試しにはかりに載せてみると、ホチキスの針一本込みで全備重量213g。まずここで閲覧意欲が萎えます。あるいは
僕が作った割増賃金支払い請求訴訟の訴状を送達される会社側担当者ってこんな気分、なんでしょうか(爆)
思い直して最初の一ページ目を見ると、最初の一行目が
残高●●●,●●●円
↑おぇ?
しばし硬直。一刹那。
こりゃ取引内容を全部開示してねーじゃんか(怒)
しかし、この某会社、さらに激しく仕掛けてくれたのです。よくよく見たらさぁ大変。
ショッピングとキャッシングの利用が同一の表に混淆して記載されています。
しかも、ショッピングとキャッシングの支払が区別されずに合計で表示されています!たとえば某月某日に
- ショッピング1回払い1万円
- ショッピング10回払い手数料込み5万6千円のうちの一回分5600円
- キャッシング1回払い元本10万円および金利1620円
の返済があったとしたらこの会社、入金欄には上記1~3をまとめて
某月某日 117220円 修正金額 2430円
としか書いてありません!どっひぇぇ!
思わず卒倒しそうになった出張中の名門大洋フェリー二便船展望プロムナードでの夜。神戸の夜景がゆっくりと流れていきます…が、そんなもん見てる場合じゃありません。敵はショッピングとキャッシングの入金を一緒くたにして来ており、こっちはそれをなんとか分離してキャッシングの入金額を抽出しなければなりません。
検討の結果、たまたま残高が0円になるところが一ヶ所だけあったためにそこから入金のサイクルを追尾できたのですが…しかし。
一回払いと多数回払い(2回だの3回だの10回だのボーナス2回だの!しかもそれらの繰り上げ返済もあるって!)の入金も混在しているため、そこにある入金記録が一体いつの入金なのか、を明らかにするためにいちいち多元一次の連立方程式を解かざるを得ない状況に追い込まれます。通常だったら見えている数字を表計算ソフトに突っ込めばお茶漬けサラサラとばかりに可能な引き直し計算ですが、まずこの会社の場合には入力すべきデータを作るために表計算ソフトを駆使しないといけません。
入力、というよりは解読に近い延べ十数時間を空費した後、思い切って市外局番09●-のその会社に電話してみました。
僕:「(取引履歴を)見たところショッピングの入金とキャッシングの入金が合計で表示されていて分離されてませんよねぇ…皆さん方ってこれより詳しいデータを持ってないんですか?」
担当女史「いえ私どもも、必要があれば手作業で計算し直してます」
僕:「おお…僕も結構苦労したんですが、じゃぁ特定調停の申立をしてしまえば皆さん方も同じ苦労をなさるんですね(笑)」
担当女史「はい、それはもう(嘆息)」
僕:「ところでこの履歴なんですが、平成8年以前のデータってあるんですか?」
担当女史:「申し訳ありませんが破棄しておりまして、保存しておりません…」
僕:「(ちょっといたずらっぽく)へえぇ、じゃぁこれ、計算こっちでやらずにいきなり債務不存在確認請求訴訟とか起こせば(債務の存在の立証責任は会社側に発生するから)やっぱり皆さん方に頑張ってもらうしかないですねー(他人事♪)」
担当女史:「はぁぁ…やっぱりそうなるでしょうねぇ…(虚脱)」
僕:「ま、僕は代理権持ってないんで僕の判断で妥協できませんからねー(←楽しげに)いずれ裁判手続でご迷惑をおかけすることになりますがなにぶんよろしく」
とか何とか言って電話をきりました。さて本当にこの会社、そんな恐ろしい手計算をやるのでしょうか。いずれにせよ僕に無用の苦労を強いたこの某会社、わかっている履歴からだけでもしっかりと計算して訴状を作らせてもらうとしましょう。
…ところで。この会社の取引履歴の再計算で苦労している人って、実際にはどうやってるんでしょうね?データ入力会社にぶん投げる、というのもよいかとは思います。
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NC開示解読ご苦労様でした。が、しかし鈴木さん貴方はこれでホッとしていてはいけない!なぜなら先日私が債務整理で紹介した彼女もNCの開示希望だからです!!
投稿: 南国某県ローカルカード所持者のお客様 | 2008年5月31日 (土) 13時45分