高裁事案をもう一つ
ただいま1月30日午前4時46分。今晩の最後の仕事が、関東方面に出荷されていきます。
作業がここまで遅れたのは、ここ数週間かなりな精力を投入していた九州方面からの依頼。こちらは控訴事件です。高裁に傍聴にも行ってます。
…が。僕は控訴状も準備書面も作ってません。
いろいろあって受託には至らず、今回はやむを得ずスポット的に『ある証人の陳述書の作成』だけをお受けしたのです。この最終打ち合わせのために、お客さまははるばる長崎県からやってきました。これで当事務所の最遠距離来訪者記録は長崎県になり、当分のあいだ更新されることはないでしょう。
…が。はっきり言って大紛糾しました。
まぁ第一審の敗訴後に初めて相談を受けたのですが、この依頼人側とはその後の訴訟遂行を巡って戦略方針の一致に至らず、だったらどうぞご随意に、と付かず離れずの関係でいたところ、今回の証人を採用させることができるかどうかで第一審に続いて全面敗訴するか一矢報いることができるかが決まりかねない、という局面なのです。紛糾するのも当たり前。
~なにしろこの呑気なお客さま、第一審で全面敗訴していながらさしたる手だてもせずに全面勝訴『だけ』を目指しています。
→昭和20年7月の大本営みたいな方針ですねぇ?本土決戦やって講和できるって本気で言ってるのとだいたい同じですよ?
と文字通り言い放った僕も僕なのですが、延べ4時間半で何をどれだけ言ったかは、まぁ普通のお客さまにはお聞かせできません。
お客さまから見れば受け入れがたい文章でも、今はとにかく『裁判所からみて、その証人を採用したくなりそうな』展開を作ってしまわねばなりません。そもそもこの依頼を持ってきたのはこの証人候補者たる土地家屋調査士さんなので、彼に対しても
せいぜいアナタの値段を(裁判所に対して)つり上げて一気に売り抜けますよ!仕手株ですよ仕手株!!
などと身も蓋もない説明をしていたりします。とりあえずその証人の価値をどれだけ高く見せられるかが大事、なわけで。しかも依頼人が第一審からちゃらんぽらんな本人訴訟をやっており、今も高裁の法廷に意味不明で統制不能な書類達を積み上げ続けている以上、そのレベルに合わせて軽々に協調できない、というところで難易度がさらにあがっています。つまり今回は、僕が参謀として関与できるのは依頼人の全戦力ではなく、一部の部隊についてのみ、ここをうまく動かしてどれだけ全般作戦の勝利(というより、惨敗の回避)に貢献できるのか…がミソですが
-戦術的成功は戦略的失敗を補わない-
と言われればそれまでのもの。思い切って、依頼人より証人の正当性をアピールする味付けにしましたが、これが予想通り依頼人の反発を買いました。
そんなこんなで文章表現が妥結したのが29日18時20分。その後技術的な修正指示が証人側から入ったのが23時過ぎ(泣)それへの対応が終わって、本当なら29日締め切りの準備書面案の最終修正にかかり、出荷にこぎ着けたのが30日4時46分、というわけです。
とりあえずこれで、今年第一四半期最大のヤマは越えた…はずです。この控訴審、次の期日は春の青春18きっぷ適用期間なのでまた福岡高裁まで行ってきましょう。
で、首尾よく証人採用決定が出たら…
祝杯、でしょうね。証人と。
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