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空前絶後の大敗北 そして

提訴より9ヶ月。未払い割増賃金63万円余の支払いをもとめた通常訴訟の判決が、今月出ました。


主文

1 被告は、原告に対し、2万5268円及びこれに対する平成18年2月26日から支払済みまで年14.6パーセントの割合による金員を支払え。

2 原告のその余の請求を棄却する。


当事務所創立以来の大敗です!

~が。しかし。これ自体は予想していたので別にどうということはありません。お客さまにはひきつづきお付き合い願って、さっさと控訴するだけです。

これがもし開業して最初に受けた事案で食らったら廃業すら考えたかもしれませんが、この訴訟の審理の過程で裁判官がいかに間抜けで司法委員が馬鹿かをよーく拝見できましたので、まぁこれもブログのネタとしては楽しいよね、という感じです。被告とその代理人弁護士には、つかの間の勝利を楽しんでもらうとしましょう。

さてこの訴訟、裁判官は口頭弁論期日において何もせず、司法委員はひたすら和解させたがり、争点を明確にすることもなく証人尋問を経て判決になだれ込んだ、というトンデモナイ事案。訴訟をやってる途中で、この馬鹿二人(法廷の正面の高いところに座ってる連中)につきあっても無駄だからさっさと控訴しましょう、とお客さまとも話してはいたのですが、実際に判決をもらってしまうと改めて新鮮な気持ちがします。

仮にも花の都の簡裁で、素人以下の知識しかない裁判官に出会えるなんて、と。

あまりにも間違ったことを書いてあるのでかえって控訴しやすいのですが、この裁判官のステキな仕事ぶりを示す痕跡を一つお示ししますと

主文第3項

訴訟費用は被告の負担とする。

さすが馬鹿はやることが違うよ、と一人笑い転げたのですが、なぜ原告の63万円の請求が2万円ちょっとしか認められていないのに、訴訟費用だけが100%被告側の負担になるんでしょう…?普通ならここは、『原告の負担とする』が正しいのですけど(失笑)

かくて第一審は、請求額ベースでは大敗北、訴訟費用負担を巡っては完全勝利(字面だけね)という、まさに空前にして絶後の珍判決で幕を閉じることとなりました。友人の司法書士さんとはいずれ、この判決正本を肴においしいお酒を呑めることでしょう。

来週末が控訴状の提出期限です。念のため、ちょっと口頭弁論調書をチェックしたいので東京まで自腹出張を設定しよう…と思っていたら。

神様は司法書士の世界にもいるものです。

今日いただいた相続登記のご依頼は、東京都と静岡県で戸籍謄本の収集が必要な事案♪この作業で請求している料金で、高速バスを使えばぎりぎり東京まで往復できます!

と、いうわけで。あさって16日は、東京まで臨時出張を行います。出かける前からやる気満々なのですが、やっぱり出張はこうでなくてはいけません。

ただ、ね。

上記の訴訟費用負担部分はあきらかにおかしいし、告と告の一字の違いと言われれば確かにそうなので、今後の控訴状の書き方によっては、判決の更正決定がでるんじゃないか、とも思えます。あの薄らでかい裁判所の中で、一体何人の目がふし穴だったらこんな判決文が原告の手元に送り届けられるのか、はそれ自体法社会学的研究対象たりうるのでしょうが。

それにしても、いいもの見させてもらいました。ごちそうさまでした、と申し上げたい気分です。もっとも、司法書士も弁護士もつけない純粋な本人訴訟でこの判決をくらったら、その原告には我が国司法制度に絶望されても文句は言えず、その意味では肌に粟を生じる内容をはらんでいる問題なのです。

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