お金もらってよかったのー?
当事務所の、裁判書類作成報酬の体系は二つに分かれます。
一つは、請求額と実際に回収できた金額に対する割合で決める方式。これは労働事案で用いています。いまのところ、適用料率を最大に取っても20%が上限ですが、労働基準法第114条の附加金とか、何らか理由があって本来請求したいお金より多く取ってしまった場合には加算を行います。
もう一つは、書いた書面の枚数を目安にして定める方法。これは、労働事案以外の裁判事務で用いています。『目安にして』というのは厳密に枚数比例でお金をもらうという意味でなく、受託の際にだいたいの枚数を予想して請求し、予想通りの枚数でおさまったことなんか一度もないため常に過少な請求が上がる(泣)、という報酬体系です。
ごくまれに、ですが不請求、という事案もあります。年に3回までしかやらないつもりと決めていたのですが、今月は2件ありました。これらについて、延べで結構な枚数を書いていますが報酬なし、としています。要は手持ちの正義感が激しく刺激される事案で、別に依頼をもらっているお客さま(上記のお二人からは、他の案件でお金をもらっています)については、そういうこともある、と。たぶん今年は、もうやりません。
そんな感じで決めている当事務所の報酬、中にはご自分が『もっとたくさん払わないといけない』と思いこんでる方も現れます。こうした場合にはまず受け取らないのですが、昨日もそんなことがありました。
昨29日は、昼から・夜からと二件のお客さまに、名古屋駅と亀島駅で会う予定がありました。夜からのお客さまは、先ごろ出た判決で原告からの金銭的請求の97%以上を吹き飛ばして今後の紛争の根を事実上断った元被告さんです。いろんな挑発を繰り返してわざわざ請求を拡張させ、その部分まで含めて揉み潰したので勝ち方としてはまず理想的なもの。請求額は、もちろん7桁です。
判決の内容は聞いていたので、当然ながら意気揚々とお客さまのところに訪問し判決文と証人尋問の調書を後学のために受領し、そのまま焼鳥屋さんになだれこんだのですが…席に掛けようとする瞬間、お客さまがおっしゃる。
「で、鈴木さん 報酬のことなんですが」
~はぇ?
こっちはすでに呑むことしか頭にありません。呆けた顔して見つめられたお客さま。しばし妙な間を満喫してみます。ややあって
「ですから今回のお金を払わないと」
~あぁ、それ要りませんから(断言)
ここで呑ませてもらって、それでおしまい!と、準備書面作成時の打ち合わせでも見せなかった力強さで言い切って、その後久しぶりにリミッター解除で食べまくったのですが、ハテ素直にお金もらったほうがよかったんでしょうかね?
労働事案とは関係ない本件事案では、枚数を目途とする報酬をその都度もらってたので(と言っても実質的には1~3千円/枚)、結果にかかわらず終了時の報酬はない、と説明していたはずです。ただ、確かに吹き飛ばした金額が当事務所の一年分の売上げに匹敵するだけあったので、気分良くもらってもよかった気はします。
ところでこの酒席でちらっと聞いたのですが、東京では過払い金返還請求をめぐるバブルは終息の兆しがあるとか。東名阪三大都市圏における破産申立報酬の下落をウォッチしていると、さもありなんとも思えます。せいぜい今のうちに高い適用料率で稼げばいいさ、と、ちょっと斜に構えて見ています。なまじお金になりやすいシゴトばかり受けまくっても…その後どうするんでしょうかね。せいぜい今のうちに、資本の原初的蓄積ってやつをやっておける才覚があるといいのですが。
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