フォト
無料ブログはココログ

« 2007年6月 | トップページ | 2007年8月 »

2007年7月

急転直下大団円

1. 即時待機 -7月30日4時25分-

 夜を徹しての執筆の甲斐あって、訴状完成。折しも雷雨が降り出したところです。稲光が西から近づいてくるのを気にしながら、まずはPCの電源を切って昨晩入りそびれた風呂に入ります。完全徹夜を覚悟していたので、予定よりは若干早い作業状況です。

本件事案は本文15ページ別表25ページ、附加金込み請求額198万円で割増賃金・有給休暇中の賃金請求を骨子としています。証拠書類は甲第28号証までと比較的少ないこともあって、書類をスキャンし番号を付与して印刷する作業を行わずに、7時までいったん仮眠に入ります。これらの作業にはそう時間がかからないと踏んだことと、この書類を『使わない』可能性を捨てきれなかったのも理由の一つです。


 今日の記事は、

 職業代理人を向こうに回して提訴予定日当日に、未払賃金をめぐる交渉を妥結できた幸運なお客さまと、それを喜びながらも少々フクザツな心境の代書人のはなしです。成功例というよりは、むしろ失敗例というべきでしょう。


2.『ニイタカヤマノボレ0730』 -7月29日 21時35分-

 お客さまとの最終打ち合わせで、次の方針が決まりました。

  1. 現時点より、直ちに通常訴訟での提訴のため作業を開始する
  2. 7月30日13時30分を以て、裁判所窓口に訴状提出。ただし同時刻までに交渉妥結できた場合には、電話連絡を受けて提出中止。

 これを受けて、僕の眠れない夜がはじまります。100万円を超える未払割増賃金の計算過程を明らかにすべく先週、満を持して相手側に放たれたこちらからの通告書に対して、相手側弁護士からは『支払いを行う方向での、話し合い希望』が出てきてはいたのですが…なぜか連絡がつきません。あちらさんが腹黒い人物なら、ここで引き延ばしを図るのはそれなりに魅力的です。それはこの事案の交渉、というより衝突経過が大いに関係しており、僕が作戦発動日の前日夜まで準備を渋ったのもこのためなのです。話は半年前にさかのぼります。

3.労働相談 -1月下旬某日 夜-

 事案としては、よくあるサービス残業の相談でした。ただ問題は、そのお客さまの就労期間が長いためすでに一部の賃金支払請求権が、時効消滅していること。あとは、労働条件が明示されていないため、賃金形態の解釈の仕方によって、最低賃金法違反を構成する可能性がでてくること。ただ、これはうまく叩けばこっちの立場を有利に持っていけるかもしれません。お客さまの当初の計算では、別に紛争になっている有給休暇取得にともなう賃金部分をふくめて70万円程度の支払を得ると考えられていたようですが、僕のみたところ割増賃金部分だけで70万円~80万円程度ありそうです。ですが毎月の給料支払日が末日ということなので、まずは二年前=平成17年1月末日分の未払割増賃金の時効消滅を阻止するため、厳密な計算は行わずに、単に『未払の時間外・深夜・休日労働割増賃金の支払いを求める』旨の内容証明郵便を作成発送するよう指導、これが1月30日に相手方に到着します。なお、ここでは労働相談以外に料金不発生。まずあちらの出方を見たいというのが我々の思惑です。

4.示威行動 -2月初旬某日-

 文面だけみると、やる気満々の回答書が返ってきました。総請求額100万円程度のこの事案に、相手側ははやくも弁護士を選任し、この人が代理人として内容証明を送ってきています。こちらの割増賃金の支払い請求に対し『計算根拠を明らかにせよ』というのはお約束だとして、結果的に退職時のまとめ取りを狙った労働者側からの有給休暇時季指定の効力を否認するために、あることないこと言いつのってきています…というか、僕のお客さまが会社のお金を盗んだとでも言いたいのかこの弁護士!

 ~ですがまぁ、向こうがこっちに難癖つけたいことはこれ以上なく明白にわかってしまったため、こちらの打つ手は事実上訴訟、少なくとも『訴訟準備が完成した段階での交渉』しかなくなってしまっています。この会社側からの回答書の時点で、支払意思があることを明示してもらえればもっと速く平和に向かって進めたのに。

5.攻撃再興 -7月中旬某日-

 その後いったん沙汰やみとなったこの案件、春を過ぎて夏になろうとするこの時期にいきなりお客さまからコンタクトがありました。べつに「あったかくなったから」ではありません。民法第153条の規定を、お客さまが覚えていてくれたおかげです。

民法 第153条 
 催告は、6箇月以内に、裁判上の請求、支払い督促の申し立て、和解の申し立て、民事調停法若しくは家事審判法による調停の申し立て、破産手続参加、再生手続参加、更正手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。

 ここで『催告』は、1月末にこっちが放った内容証明。この到着から6箇月以内=本件事案では7月30日まで、に提訴または民事調停申立に踏み切らないと、せっかく守っているはずの『2年前の、1月以降の割増賃金』が時効で吹っ飛ぶことになります。すでにそのデッドラインまで、約10日。ただ、いきなり提訴するのはちょっと勿体ない気がします。すでに5箇月空費したとはいえ、相手側代理人から『割増賃金の計算根拠を言ってみろ』と言われている以上、試しにやってみてダメでもともとだと割り切ればいいし、これを無下に放って裁判所に駆け込んだらそれはそれで、あとでどんな言いがかりを付けられるかわかったものではありません。とにかく大急ぎで、訴訟の維持に堪えうる精度で割増賃金計算を完成せねば後の手が打てず、ここで発生する『単純労働としての、勤怠記録の入力』を省略するためにお客さま手持ちのデータの提供を受ける、それと引き替えに提訴の際にはささやかながら値引きする、という取引が成立。これが7月19日付け『探して!見つけて!値引きして!?』の記事になります。これを受けて訴状に付けられるだけの計算表が完成し、まず相手側弁護士のところに送付したのが22日。回答期限を7月27日、つまり本当のデッドライン前の週末に設定してご機嫌を伺います。上記期限までに回答がなければ提訴というのが、この時点での基本方針です。ただ、この時点で当初80万円程度だと考えていた請求額が、100万円を超えると判明。当事務所に割増賃金支払い請求の依頼をされたお客さまがほとんど経験する、嬉しい誤算の一種なんですがここに至って「夢の七桁(笑)」という言葉が打ち合わせ時に飛び出してきます。証拠書類の状況からして、提訴すれば順当に勝たせてもらえる事案だということ。

 ~なお、この連絡書は内容証明でなくただの『配達記録』で発送。肝心なのは見かけより中味です。払う気があれば普通郵便で送ったって何か言ってきます、とお客さまには説明します。

6.休戦交渉 -7月25日~27日-

 相手側弁護士の対応は、妙に迅速でした。書類が火曜日についたはずなのですが、これを受けて水曜日、お客さまのところに電話がかかってきます。ただ会話の内容が問題で、

    •  支払うつもりはある
  •  とにかく話し会いがしたい

 というもの。ただ、これまで向こうに回した諸先生方の論理だと、100万円の請求のうち、1万円でも支払うなら「支払うつもりはある」ってことになりかねないのでこちらも頭を抱えます。あちら側の主張額がわからないのが何ともイヤらしい。これが30万だの50万程度なら鼻も引っかけずに訴状作成に邁進するのですが…

 とにかくお客さまには、相手側代理人とコンタクトをとるよう指示。ここでは言えないいろんな知恵を授けますが、7月27日金曜日の時点で連絡に失敗したことが明らかになります。普通の弁護士は、土・日はお休み。デッドラインの30日は、月曜日。これは困った!

7.最後通告 -7月28日-

 土日でもできることないかしら、と考えて考えて考えたら…ありました!

 問題の勤務先企業は、土曜日・日曜日とも営業しているのです(失笑)

 まさに灯台下暗し。こちらが職業代理人を付けてしまった場合、司法書士・弁護士問わず、倫理規定上『相手の代理人を無視して本人に直接アプローチをかけてはいけません』という決まり事があるのですが、

    •  僕は代理人ではありません。ただの狂言回しですよただの(遠~い目)
  •  お客さまも代理人ではありません。本人ですから

 ということでいま、お客さまが相手側雇い主本人になにか仕掛けても、一応問題は生じないと判断します。起案したのは、紙一枚。これを28日のうちに、相手側本人にファクス送付するよう手配します。記載事項はごく簡単なもので

 お宅の代理人と連絡取れないけど、29日までにお返事もらえないと訴えるよ

 というもの。これまた、ただの『ファクス』です。内容証明どころか、郵便で送ることすら勿体ない。

8.出師準備 -7月29日 深夜-

 結局このファクスに対しても、7月29日の時点で本人からも代理人からも無回答。一方で30日に提訴しなければならないことは当然なので、訴状作成にかかります。もっと早い時期にかかっていればいいのではないかとも思われるのですが、交渉で妥結できれば作った物が無駄になる、と迷っているうちに結局徹夜になってしまいました。

 この幻の訴状、論点はいくつかあって、実は毎月1万円『所定時間外賃金』という名目で支給されている賃金があったのですが、これを

 時間外賃金たる実質を有せず、実質的には基本給の一種

 として論理構成していたのです。もちろんここで相手の主張が通れば、支払い済みの時間外労働割増賃金が各月1万円分存在することになるうえに、割増賃金を算定するための通常の労働時間の賃金が各月1万円分減少する、ということで、110万円弱の請求のうち30万円以上が吹っ飛ぶ危険があるのです。

 とはいえ実はこの企業、基本給が強烈に安い(←労働相談やってて思わずやる気が出てくるほど安い)ため、もしこの賃金が本当に時間外労働に対する賃金だと仮定すると、

 最低賃金を下回る

 ということになる、そんな労働条件だったのです。ですので僕は、作成した訴状案で会社側に『最低賃金法違反の発生を認めるか・時間外労働時間に対する賃金でないことを認めるか』の究極の選択を迫ろうかと思っていたのですが…この部分が、最後の交渉でこっち有利に作用してきます。

9.戦果拡張 -7月30日 8時15分-

 お客さまから入った電話は、文字通り目の覚めるようなものでした。曰く、

 弁護士から先ほど電話があり、80万円なら支払う、と。

 こちらが今日出す訴状に記載した請求額元本は約110万円台。10万円分の有給休暇分の賃金と、100万円強の割増賃金の支払いを求める形になり、それに附加金の請求がくっついています。つまり、現時点では請求額元本に対して7割弱。

 ちと、少ない気がします。お客さまも割り切れない口調。ただ、裁判外で和解したければお客さまが仕事に出かけてしまう前の、この時間になんとかしなければいけません。焦りを隠して相手側主張の額の根拠を問うと

 毎月1万円は、時間外手当として払っているから、その部分24万円を引いた(で、10万円未満の端数を切った)と言ってます

 とのこと。ならば!

 ではいいですか?あちらの弁護士に、『それについてはこちらの主張と異なりますが、こちらとしては今後裁判手続で適切に主張していく予定だということと、
ただ、今ならその部分24万円の半分12万円を上乗せして92万円で和解に応じます』って言って…92万で妥結を狙ってみるのはどうです?

 お客さま、少々笑いを含んでいたかもしれません。ただ、これだと請求額元本の8割弱を裁判やらずに取れることになります。さらに、当初考えていた額より10万円以上多い。ともかく金額については納得頂いたうえで、いったん電話を切りました。長い長い、数分間がはじまります。

10.柳暗花明 -7月30日 8時24分-

 ※原典は陸遊の漢詩「遊山西村」。行き止まりになったかと思ったのに、新しい展開が開けることの意。

 お客さまからの電話は、簡潔でした。

 92万なら支払うって言われました

 と。あとは相手側代理人が作成する和解契約書案をチェックするだけ、つまり実務上の問題がいくつか残っているだけです。これに従えばお客さまは、来月中旬には一括で、このお金を手にすることができます。と同時にいままで作っていた訴状については、永久に日の目を見ないことが確定しました。どこかでもう少しうまくやっていればやらないでもいい作業をやった、それは確かなのですが、こうなった原因は僕にもお客さまにも相手側にもあるような気がします。そうしたわけで、当事務所では珍しい、というよりほぼ一年ぶりの、労働事案における『提訴前の、裁判外和解に基づく任意弁済』がようやく実現できたのですが、いろんな意味で貴重な経験をさせてもらいました。

 ともあれ裁判突入前に、請求として必ずしも通るとは限らない部分を含んでこれだけの金額が通るのだからお客さまにとってこんな結構な展開はなく、その限りでは底抜けに喜んでいいものである、これは確かです。7月31日は久しぶりに、伊勢市で友人の司法書士さんと、おいしいお酒をいただいてくるとしましょう。

2020.12.01修正

続 訴訟費用額確定処分の申立書を作ってみましょう

 これは7月28日付『訴訟費用額確定処分の申立書を作ってみましょう』の続きです。訴訟費用を巡るこの記事は今日で完結し、いずれウェブサイト上に転載します。段落毎の通し番号は昨日の記事から連続し、記載例も昨日のものを使っています。

 

記載の金額はいずれも執筆時点でのものです。特に郵送料は消費税率の変更等で変わりますので、適宜読み替えてください。

 

3-2-5.原告本人の出頭日当 金3950円

 

 口頭弁論・弁論準備など、裁判所が定めた期日に一回出頭するつど、3950円の日当が請求できます。一回の期日が5分で終わっても3時間かかってもこの金額です。当然ながら出頭しなければ請求できず、単に書類提出等で期日でない日に裁判所の窓口まで行っただけでも請求できません。

 

いつ出頭したかの記録は裁判所に残っていることになりますから、わからなくなった場合には訴訟記録を閲覧して把握します。複数回出頭している場合には、

 

原告本人の出頭日当(第1回口頭弁論、第1回弁論準備、第2回弁論準備、第2回口頭弁論) 金15800円

 

と表示して3950円×回数分を計上すればよいです。

 

ここでは訴訟代理人がついた場合は考えませんが、たとえば簡易裁判所における許可代理人をつけた場合で、本人と代理人が同じ日に出頭したときは、本人分のみの日当を計上します。ただ、当事者尋問・和解などで裁判所の呼び出しがあって本人が出頭した場合のみ、本人+代理人の日当を同時に計上できます。

 

代理人が出廷しているのを本人が単に傍聴しているだけなら、本人分の日当・交通費とも計上できません。許可代理人の日当を計上する場合には、『原告代理人の出頭日当』という項目を設けて上記とおなじように書きます。

 

3-2-6.原告本人の出頭旅費

 

 直線距離によって計算する方法が原則です。これと実費償還による方法とありますが、いずれにせよ、まず直線距離で把握することが必要です。計算過程はつぎのとおりです。被告の場合も、読み替えてもらえれば同じです。

 

    •  訴状記載の原告の住所地を管轄する簡易裁判所【1】を調べます。

 

    •  その訴訟で原告が『実際に出頭した裁判所の所在地【2】』を管轄する簡易裁判所【3】を調べます。

 

    •  【1】と【3】の双方が同じ簡易裁判所ならば、原告の住所地と実際に出頭した裁判所の所在地【2】の直線距離を測ります。その後3-2-6-1.の方法で旅費を計算します。

 

  •  【1】と【3】が違う簡易裁判所なら、原告の住所地を管轄する簡易裁判所【1】と実際に出頭した裁判所の所在地を管轄する簡易裁判所【3】との直線距離を確認します。その後3-2-6-2.の方法で旅費を計算します。

 

 簡単にいうと、簡裁の土地管轄を超えて別の裁判所に行った場合には『簡裁庁舎間の直線距離』、簡裁の土地管轄内で動いた場合には『自分の家と出頭先の庁舎との直線距離』をまず算出する、ということになります。

 

3-2-6-1.原告の住所と実際に出頭した裁判所所在地を管轄する簡裁が同じ場合

 

 名古屋市緑区に住所があるひとが名古屋市中区丸の内1-7-1にある名古屋簡易裁判所に出頭したような場合です。東京都23区の人が東京簡裁に、大阪市内の人が大阪簡裁に出頭した場合もおなじです。

 

 さてこの例では名古屋市緑区は名古屋簡易裁判所の管轄に属するため『名古屋市緑区の、自分の住所』から『名古屋市中区丸の内1-7-1の名古屋簡易裁判所庁舎』までの直線距離をとります。名古屋地方裁判所に出頭した場合には、名古屋では地裁と簡裁は道路を挟んで別のところにありますから、名古屋地方裁判所の庁舎までの直線距離をとります。メートル単位で500メートル以内の場合は旅費の請求は認められません。それを超える場合(501メートル以上)の場合には、出頭1回あたり300円が計上できます。自動車で行っても徒歩で行っても公共交通機関を使っても、この金額です。逆に言えば自転車で行っても、距離さえ規定を満たせば旅費の請求はできることになります。

 

 ・・・ですがいまどき名古屋市営地下鉄でも初乗り200円、東京メトロでも160円ですので往復300円で収まることなんかほとんどありません。こうした場合のために『実費で請求できる』可能性について3-2-7.で解説します。使った証拠が必要なので、無ければ諦めざるをえませんが。

 

3-2-6-2.原告の住所と実際に出頭した裁判所所在地を管轄する簡裁が違う場合

 

 この場合ですが、あくまで『二つの簡易裁判所の庁舎』の間の距離で算定するところに特色があります。ですので、場合によって損するひと・得する人が出てきますが、これは諦めてもらうか実費償還の可能性を探るしかありません。

 

 さて、何とかして『原告の住所地を管轄する簡易裁判所』と『出頭先の裁判所所在地を管轄する簡易裁判所』との直線距離を確認したら、その距離が10㎞未満の場合には出頭1回あたり300円が計上できます。不平があるなら3-2-7.で言及の実費償還を考えるのは前項とおなじです。

 

 10㎞以上の場合には、次の単価を掛けます。

 

 10㎞以上100㎞未満 1㎞あたり 30円

 

 100㎞以上301㎞未満 1㎞あたり 50円

 

 301㎞以上 301㎞未満の部分について、1㎞あたり 50円 301㎞以上の部分について 1㎞あたり 40円

 

 これは往復分です。よって、計算した距離が16㎞なら16×30=480円、200㎞なら200×50=10000円、500㎞だと、300㎞まで1㎞あたり50円、以後1㎞あたり40円なので、300×50+200×40=23000円になります。

 

 さて、いま名古屋-静岡間の直線距離を適当に測ると(あくまで設例ですので、この数値を使ってはいけません)136㎞と出ました。よって出頭旅費は、期日一回当たり往復分で6800円となります。

 

 一方で同区間片道のJR普通運賃は3260円、新幹線通常期指定席特急料金は2920円なので、原則に拠った場合には普通列車で出頭することになりかねません。名古屋-静岡間の東名高速バス都市間往復割引きっぷ4800円を使って差額をポッケに入れましょう、などというのはどこかの旅行書士でないとそうそうできない発想です(笑)。

 

 ではいま名古屋-静岡間の移動に新幹線を用いることが通常ありうることなのか、は断言できないのですが、ここでも3-2-7.で言及の実費償還について考えておく必要がありそうです。

 

平成22年8月5日追記

 

  • ここで問題になる簡易裁判所庁舎間の距離ですが、各裁判所にこの距離を算出するコンピュータソフトが運用されている旨の記載がある書籍があることに気づきました。実際に確認していませんが、出版社が司法協会で裁判所向けの執務資料に掲載してあることから、この扱いで間違いないと思われます。ですので庁舎間の距離は、裁判所(具体的には、訴訟費用額確定処分の申立を受け付ける部署)に確認することをお勧めします。

 

3-2-7.旅費の実費額の償還

 

 上記で述べたとおり、単純に二点間の直線距離によって旅費を決定すると時には不利な結果が出かねません。こうした場合に、下記の要件に当てはまれば使った交通費の実費が計上できます。なお、条文には、実際に支出した額が原則通り直線距離で計算した額を超えること、という要件もありますがこれは当たり前のことを言ってるだけなので解説しません。

 

    •  旅行が通常の経路および方法であること

 

  •  上記を明らかにする領収書・乗車券・航空機の搭乗券の控え等の文書が提出されたこと

 

 この二つに当てはまっていれば実費で計上できる可能性があります。まず、実際に移動した経路と値段を文書で証明できなければ不可なので領収書や搭乗券の半券などを保存してないような場合は、諦めて直線距離で請求せざるをえません。

 

 つぎに、『通常の経路および方法』の旅行とはなんぞや、というところで少々疑問が残ります。お値段がいくつかある交通機関の一番安いもの、とは言っていません。普通の人ならその区間を移動するのに使うんだろうな、と裁判所書記官が納得できる経路と方法、ということなので、これは試しに申し立ててみるしかないと思います。簡単に認められると考えられるのは、同一の簡裁管内で出頭した場合などで旅費が一回300円となっている際の、自宅最寄り駅から裁判所最寄り駅まで一番安い交通機関の実費です。それでも、利用したことを文書で明らかにできないと申立が通りませんが。

 

 最後に、代理人を出頭させた場合の旅費についてですが、これは『本人が出頭した場合の旅費』を超えることができない、と決まっています。本人より遠くに住んでいる親類を許可代理人にしたような場合には、代理人の出頭旅費はあくまで本人の額を基準として計算されます。

 

 3-2-8.判決正本送達費用 金1050円

 

 これは判決正本を被告側に送るための郵便切手代です。相当重たい判決でもなければこの金額です。

 

 3-2-9.その他

 

 本人でできる訴訟において、他に訴訟費用として計上できそうなのは証人の日当・旅費、鑑定費用がありますが、これらは費用を予納し請求がなされる過程で内訳が明らかにされているはずですので、それに従って記載すればよいと考えます。

 

3-2-10.催告書送付費用 金1040円

 

 これは、訴訟費用額の確定の申立書に添付の計算書を相手方に送って異議があるかどうかの催告を行う場合に発生する費用です。ただ、常にこの金額であるかどうかが不明です。資料によって『500円』(書留郵便での送付に要する額)とするものもありますし、僕が申し立てた某簡裁のように特別送達で1040円必要というところもあるようです。

 

 場合によっては相手方への催告を要しない(事件記録からただちに算定できる費用しか請求しておらず、かつ訴訟費用の負担が完全に相手側のみの判決が出ている場合)こともありますから、常に発生するかどうかすらわからない費用と言えます。

 

ただし、直線距離によるにしろ実費償還を求めるにしろ、交通費を計上した場合には相手方への催告をする方向に書記官が動くように思えます。

 

3-2-11.訴訟費用額確定処分正本送達費用 金1040円

 

 こちらは必ず発生する費用です。ただ、金額が1050円になることがあるかもしれません。僕が申し立てたときは1040円でしたが、これが必ず正しいかどうかわかりません。


4.作成および提出にあたって

 

 提出先部署が把握できていれば、この申立書を郵送で提出してしまうことは一応可能です。提出部数は1部のみです。申立書本紙・別紙計算書(旅費を実費償還してほしい場合には、疎明資料)の順に重ねてホチキスでとめてください。

 

 さて、提出時に、おそらく予納郵券を納めるよう指示がくると思います。この金額がかならずしも一定しないので前もって提出予定の裁判所に電話で聞くか、あるいは計算書のうち催告書送付・訴訟額確定処分正本送達費用・合計額を空欄にして裁判所にもっていき、予納指示を受けた金額をさらっとその場で記入して仕上げるとか、そうでなければいっそ請求しない(あまりおすすめはしませんが)と言った策を講じる必要がありそうです。

 

 首尾よく受理してもらえれば、早ければ3週間程度で訴訟費用額確定処分が発布され、それが相手方に送達されるのですが…

 

 僕の経験では、特別送達された催告書一式を裁判所の窓口まで突っ返してきた社長、というのに出くわしまして、それを裁判所側が思わず受け取ってしまったために再度の送達を強いられた、という事案がありました。こうなると、もう一月あっという間に遅延します。

 

 それでも送達が済めば、訴訟費用額確定処分の主文記載の金額について強制執行可能になります。ただし、差押申立書提出までに

 

 訴訟費用額確定処分の送達証明申請(費用150円)

 

 訴訟費用額確定処分への執行文の付与申請(300円)

 

 をおこなっておく必要があります。これらは通常訴訟の判決正本によって強制執行を始めるときとおなじです。ですので同時に申請することになるでしょう。これらの費用は、執行費用として差押申立書のほうに計上します。

 

 さて、来月あたり気が向いたら、『判決正本と訴訟費用額確定処分の二つの債務名義を同時に使って、債権差押を始めるさいの申立書』の記載について説明しようと思います。いろんな記載例をみてもこの組み合わせでの請求債権目録の例がない(笑 そんなにマイナーなのか?訴訟費用額確定処分)ので、なにかの役にたつかもしれません。


 明日は掛川まで日帰り出張して、掛川での仕事を完結させてきます。明後日は伊勢市に行って当地泊、8月1日は創業4周年なんですが、どこか温泉地か静かな街のビジネスホテルにでも潜伏してゆっくりしようと思います。

 

 おかげさまで創業4年経ってようやく、『月末が近づいて預金残高が足りないと発生する偏頭痛』とか、『夕方になって窓から外を眺めていると不意に身投げしたくなる衝動』とかから解放されたので、今年はちょっと安楽な夏にしてやろうかと。かような呑気なことを考えていられるのも、ひとえにお客さまの皆様のおかげです…、が、少しゆっくりさせてください(遠い目)

 

 そんなわけで8月はブログの更新頻度が落ちるかもしれませんが、この続き=債権差押え申立編は、気長に待ってやってください。また、8月は大阪へ1~2回、東京へ1~2回の出張を実施するほか、どこかに放浪することがあるかもしれません。

 

・・・もし出張相談をご希望の方で、僕がまだ仕事で行っていない道県からのご依頼がありましたら・・・考えます。東北とか山陰とか四国とかから、お座敷がかからないもんですかねぇ?

 


 

2015.04.18 追記

 

訴訟費用と訴訟訴訟額確定処分の申立書作成については本人訴訟を完遂された方を中心に関心を持つ方があり、当ブログのいくつかの記事がお役に立っているようです。

 

東京~大阪間の裁判所を対象に、訴訟費用額確定処分申立書作成だけを受託するサービスをはじめました。

訴訟費用額確定処分申立書作成のページ


訴訟費用額確定処分 申立書作成・書式・計算に関する記事

原告・被告が複数、事件の併合や反訴がある場合の訴訟費用額確定処分

訴訟費用額確定処分申立:当事者複数、事件が併合された場合の計算書

訴訟費用額確定処分申立書作成:旅費日当のあれやこれや

訴訟費用額確定処分:請求額は増えるが納得できない補正のはなし

訴訟費用額確定処分の申立書を作ってみましょう

続 訴訟費用額確定処分の申立書を作ってみましょう

 

訴訟費用額確定処分の申立書を作ってみましょう

 この記事は7月26日付『訴訟費用額確定処分を御存じですか?』の続きです。ここでは、本人訴訟で確定判決を得た人が訴訟費用額確定処分を得るための、申立書を作ることを目指します。

 なお、何度でも強調しますが訴訟費用額確定処分の申立に当たっては、かならずしも要した訴訟費用を全部算入する必要はありません

訴え提起の手数料なり出頭回数分の日当なり、わかりやすい部分だけに限って計算してもいい、と考えてください。ご自分の意向としてそれ以外の費用(適切に申立すれば認められる、残りの訴訟費用)を捨てていいと思えたならばOKなのです。
それでも請求しないよりよほどましだと思います。気楽に行きましょう。

なお、このことの裏返しになるのですが、何かの費用を計算書に(うっかりミスで)記載せずに申立をした場合、単に過少な計算をしただけだと了解されてそのまま訴訟費用額確定処分が出てしまい、結果として誰も助けてくれない、ということはあり得ます。


2015.3.17.追記

とらじろうさんからコメントをいただきました。どうもありがとうございました。

お尋ねのように被告側で訴訟活動をおこなって原告の請求棄却、訴訟費用は原告の負担とするという判決を得た場合もこの記事にそって訴訟費用額確定処分の申立ができます。その後原告から自発的に支払が得られないようなら、訴訟費用額確定処分を債務名義として預金差し押さえなどの強制執行をすることは可能です。

あとは、訴訟の勝敗によって原告の請求が認められた金銭上の請求にかかる部分と被告が得られる訴訟費用を相殺することもできます。

…というと、また誰かが何年後かに「請求額100万円の訴訟に被告側で応訴し、原告の請求が5万円だけ認められ訴訟費用は20分の19が原告負担、残りが被告負担となりましたがどうしましょう?」といったコメントをくださるのかもしれませんね。

当事務所では、あまり急がない方のために大阪-名古屋-東京一帯の裁判所であれば訴訟費用額確定処分申立書作成の代行のご依頼をお受けしています。2019年に入って、この申立書作成のために四国まで出張することになりました…我ながらそこまで豪快なご依頼があるとは思ってもみませんでした。

では、記事に戻りましょう。計上している費用は本稿執筆当時のものなので、消費税率変更による郵券や交通費の額、登記事項証明書発行手数料には変化が生じています。注意して読んでください。


1.申立から訴訟費用額確定処分確定までの流れ

まず、訴訟費用額確定処分が発付され、それをもとに強制執行できるまでの流れをざっとみてみましょう。

      1. 判決確定
      2. ★第一審裁判所書記官への、訴訟費用額確定処分の申立書提出・予納郵券納付
      3. ※裁判所書記官から相手方への、催告書送付および相手方からの認否書提出
      4. 訴訟費用額確定処分発付および相手方への送達
      5. ★送達証明・執行文付与等申立
      6. ★執行文付訴訟費用額確定処分正本を債務名義として、各種差押申立実施

ここで★をつけたのは、申立をする人がなにかアクションを起こす必要がある行程です。※印の部分は、場合によっては省略できることになっています。では、判決確定後の各行程をたどっていきましょう。

2.訴訟費用額確定処分申立書の提出先

 第一審の裁判所です。簡易裁判所に訴訟を起こしたらたまたま欠席判決が出てしまい、相手が控訴してきて地方裁判所でまた判決をとった、という場合には、申立書はあくまでも『簡易裁判所』に出すことになります。

 なお、ある程度大きな裁判所だと通常の民事受付ではなく、『事件記録』を扱う係に申立書を提出することがあります。申立そのものは郵送でもできるのですが、申立書の送付先は裁判所に確認しておいてください。

3.申立書の作成

 訴訟費用額確定処分申立書本紙と計算書で構成されます。たいていの場合は、A4判の紙二枚で済むと思います。下に見本を作ってみます。下線部が、申立の内容によって変わるところです。書かなくてよい場合もあります。

なお、実際にはセンタリング・右寄せ等をそれらしく行っていますがここでは大雑把にしています。中身だけ見てやってください。


訴訟費用額確定処分申立書

 

〒458-0801
名古屋市緑区鳴海町字長田32番地

原告  鈴木慎太郎
電話 052-895-7896

 

491-0899
愛知県一宮市荘園通一丁目2番3号
被告  有限会社おはようのない事務所
代表者代表取締役 砂上 清

 

 上記当事者間の御庁平成19年(ハ)第2345号賃金支払請求事件について、平成19年6月26日御庁において原告勝訴、訴訟費用は全部被告負担の判決があり、上記判決は平成19年7月25日確定したので、被告が負担すべき訴訟費用額を別紙計算書のとおり金13570円と確定されるよう、別紙計算書を添えて申し立てます。

 

添付書類
計算書 1通

 

     平成19年7月27日

 

     原告 鈴木慎太郎 (認印)

一宮簡易裁判所裁判所書記官殿

 

(別紙)

計算書

  1. 訴え提起手数料       金2000円
  2. 書類の作成及び提出費用      金1500円
  3. 商業登記事項証明書交付手数料及び同送付費用   金1160円
  4. 訴状副本及び第一回口頭弁論期日被告呼出状送達費用  金1050円
  5. 原告本人の出頭日当(第一回口頭弁論期日)    金3950円
  6. 原告本人の出頭旅費(26km)     金780円
  7. 判決正本送達費用      金1050円

以上の小計        金11490円

  1. 催告書送付費用 金1040円
  2. 訴訟費用額確定処分正本送達費用 金1040円

以上の小計 金2080円

合計 金13570円

 


 欠席判決をもらって勝訴、または少額訴訟で第一回口頭弁論期日のみに出席して判決、判決の内容は原告側全面勝訴で訴訟費用は被告の負担とする、という場合には、書類の作成及び提出費用を除いて大体このようになります。順番に解説します。

3-1.申立書本紙(1ページ目)

すでに受け取っている判決正本から、原告・被告・事件番号および事件名を転記すればあらかたできあがります。

注意するべきなのは『判決が確定した日』です。確定証明書を取っていなければ知らないことになるので、裁判所に電話して聞くことにしましょう。教えてもらえます。

あとは、別紙で計算した金額の合計を書けばできあがります。体裁は適当に整えましょう。
たとえば松江地方裁判所その他ウェブサイトに出ているひな形も参考にして(笑)

訴訟費用額確定処分申立ての時点で、判決に記載された原告被告の住所や商号が変わっている場合があるかもしれません。この場合には

(判決正本記載の本店所在地)●●県●●市荘園通り●丁目…
(移転後の本店所在地)●●県●●市墾田町●番地…

と併記すればよいです。氏名も同様です。

 添付書類の表記で『計算書 1通』となっています。この部分は常に正しいのですが、その後に『疎明資料 各1通』と続くことがあるかもしれません。これは、交通費の実費償還を受けるための疎明資料として領収書等を添付する場合以外には必要ありません。

3-2.申立書別紙(計算書)

 ここが最大のミソなのですが、本人訴訟でなんとなく(必死で、だったらごめんなさい)進めることができた訴訟の場合には、わかりにくいのは交通費だけだと思います。あとの訴訟費用は、裁判所備え付けの事件記録から確認できるか、落としてもさしたる実害がない額のはずです。各項目ごとに見ていきます。

3-2-1. 訴え提起手数料

 原告側ならかならず請求できる、そしてわかりやすい費目です。具体的には訴状を出すときに買って提出した収入印紙代のことです。被告が一名だけならば、間違って多くつけたとか訴訟の途中で請求を減縮(または一部取り下げ・放棄など)した場合をのぞいて、訴状記載の金額をそのまま書いてかまいません。

設例では10万円台の賃金支払請求訴訟を起こして、2000円の収入印紙を貼っていた、という想定です。ここはわかりやすいので、かならず書くとよいでしょう。当然ながら被告側は、訴訟費用原告負担の判決を得ていても請求できません。

3-2-2.商業登記事項証明書交付手数料及び同送付費用   金1160円

 原告または被告に『法人』が関係してくるときに発生する費用です。具体的には労働者が会社を訴えた場合には、被告会社の商業登記事項証明書(昔の言い方なら、登記簿謄本)を1通取って訴状に添付しましたね。

 この実費として1通1000円と、その交付申請書の提出および受領に要する費用として1通160円、合計1160円が認められます。あくまで1通当たり1160円なので、2通取ったら2320円ですが、実際に裁判手続のなかで使っていることが必要です。未提出のものは一切カウントしません。

(2019.10.14追記)

本項で一通160円は、当時の普通郵便80円×2回分です。現在では取得日により、82円か84円(10月1日以降に取得した証明書)と考えてください。登記事項証明書交付手数料も、現在は1通600円が標準です。

3-2-3.書類の作成及び提出費用      金1500円

 ここでは、『通常訴訟の、訴状の』作成及び提出費用という意味にとってください。訴状1通のページ数がどんなに膨大でも、1500円の定額です。そして相手方が5人まではこの金額です。

 ただし、少額訴訟による場合には常に『1000円』です。以下の加算は、一切ないことに注意が必要です。

 

3-2-3-1.通数加算(訴状・準備書面・答弁書)

 訴状に続いて準備書面をたくさん提出した場合、それが実際に期日において陳述されたならば、訴状と合計して6通以上20通までで1000円、21通以上35通までで2000円…と加算はされます。

 訴状+第一~第四準備書面までで『5通』と数えて下さい。あくまでも期日において陳述したものに限ります。ですので、第四準備書面までしか出していない場合はつねに『1500円』になります。

3-2-3-2.通数加算(書証)

 給料明細など、書証をたくさん出した、というのは比較的よくあることですね。書証の場合は、『16通以上』で加算が発生します。16通から65通までで1000円加算、66通から115通までで2000円加算、116通から165通までで3000円加算…という形で50通増えるごとに1000円を加えていきます。

甲第●号証の1,2,…という枝番は独立した通数とみるかどうか、参考文献には肯定意見がついています。そうすると、たとえば一冊20ページの就業規則を単に『甲第1号証』として出すのと、各ページ毎に枝番を付して『甲第1号証の1~20』として出すのではお値段がちがってくることになりますが、複写作業の費用をおぎなうもの、という趣旨だと了解すればたしかにそれでいいのかもしれません。

3-2-3-3.例

 ・訴状と第一準備書面、第二準備書面を提出し、書証は甲第11号証までの場合。

 加算はまったくありませんので、書類の作成及び提出費用は1500円です。

 ・訴状と第一~第7準備書面を提出し、書証は甲第70号証までの場合。

 準備書面の合計通数が8通となり、5通を超えていますので1000円の加算があります。

 書証は70号証まで、これは66通から115通までに該当しますので、2000円の加算があります。このため

 基本1500円+準備書面等の通数加算1000円+書証の通数加算2000円=4500円、になります。

3-2-4.訴状副本及び第一回口頭弁論期日被告呼出状送達費用  金1050円

 これも原告側で勝訴した場合にはかならず計上できる金額です。被告への期日呼出状の特別送達は最低1050円かかりますので、とりあえずこの金額を計上しておけば間違いにはなりません。よほど重たい訴状を作ってしまったような場合にのみ、裁判所の送達記録を確認して使った郵券額を確認すればよいと思います…が、そうしたことのために交通費と時間をつかって裁判所まで出かけることを、僕はおすすめしません。
残りは明日の記事に続けます。では、今日はこれまで。

(2019.10.14追記)この郵便料金は平成19年当時の金額ですので、現在では必ず違う金額になります。訴訟記録により確認するか、そうでなければ訴訟費用として計上しない、といった対応が必要です。

他のウェブサイトでは『書記官に聞いたら調べて教えてくれた』という情報もありますが…プロがやったら嫌われそうな気がしますので(苦笑)僕は裁判所に訴訟記録を見に行ってます。


2015.04.18 追記

訴訟費用と訴訟訴訟額確定処分の申立書作成については本人訴訟を完遂された方を中心に関心を持つ方があり、当ブログのいくつかの記事がお役に立っているようです。

東京~大阪間の裁判所を対象に、このたび訴訟費用額確定処分申立書作成だけを受託するサービスをはじめました。
別件の出張を使って、たとえば東京地裁で僕が訴訟記録を閲覧し申立書を作っても2万円、といった依頼費用にしています。

訴訟費用額確定処分申立書作成のページ


訴訟費用額確定処分 申立書作成・書式・計算に関する記事

原告・被告が複数、事件の併合や反訴がある場合の訴訟費用額確定処分

訴訟費用額確定処分申立:当事者複数、事件が併合された場合の計算書

訴訟費用額確定処分申立書作成:旅費日当のあれやこれや

訴訟費用額確定処分:請求額は増えるが納得できない補正のはなし

訴訟費用額確定処分の申立書を作ってみましょう(この記事)

続 訴訟費用額確定処分の申立書を作ってみましょう

 

受託、不可!

今週は様子が変です。週明けから延べで6件放たれた問い合わせが、全部こちらでは受けられないのです。理由はさまざまありまして

  • 面談せずに裁判書類作成希望(とにかく帰ってもらいます!)
  • 費用面で三倍ほどの差をもって、折り合えない(フル装備の裁判書類一式作って実費こみで『回収額の7%』で済ませろ、ですと!)
  • 常識的にみて賛同できないご主張(なんでもかんでも慰謝料だの損害賠償請求すりゃいいってもんじゃない!)

まぁこんな感じ。おかげでこっちも時にはやむを得ずというポーズをとって、時には決然と認識の誤りを指摘して、受託をご辞退申し上げることができるのですが…

このお方たち、このあとどうやっていくんだろう?

そう考えると非常に複雑な心境にはなります。どこかで現実を思い知るのか、あるいは自分の不幸をなげきながら泣き寝入りするのか。だまされてぼったくられる、というのも展開としてはありなんだろうな、と思います。

ところでこの、フォームからの問い合わせですが、7月20日の依頼受付休止解除までは20日間で2件のみでした。統制解除したとたんにどーんとなだれ込んで来ているようにみえるのですが、ごくたまに、フォームから送信動作を取ったがこっちにメールが来ない、あるいは手ひどく文字化けする、ということもあって、実はこれよりも発信件数が多かったり、するのかもしれません。

一方で今後どうなるのか、自分の行く末も心配です。どうやら事業活動そのものが誰かから制約される、ということはなさそうなのですが、これらの問い合わせは関東地方からの発信が大部分を占めていて、なんだか『東京と大阪の間にあって大規模な図書館があり暮らしやすい街』という以外には名古屋に事務所を置く意味が無くなりかけている(失笑)

とりあえず今年の夏は、『夏休みをとる』ことを優先して、既存の仕事をじっくりこなしながらゆっくり過ごします。なにかいい考えがでてくるかもしれません。

僕の部屋は窓に向かって作業用テーブルを置いてあるのですが、ちょうど真っ正面にいいお月様が出ています。8月はどうやら準備書面も訴状も出さずに済みそうですし、いっそ夏期休暇のため依頼受付停止を宣言してみようかな、などとあらぬ妄想にふけってみます。

古人曰く。

小人閑居 為不善(失笑)。

訴訟費用額確定処分をご存じですか?

昨日は結局、日付が変わったあとに名鉄鳴海まで帰って来れました。一応無事に(失笑)。

今日は久しぶりに、情報提供系の記事を書いてみようと思います。これは平成18年11月13日付『訴訟費用の話をしましょう』および同月14日付『続 訴訟費用の話をしましょう』の続きになるものです。

 さて、先行する二つの記事で、本人訴訟を行う人が負担した『実費』=(弁護士や司法書士への報酬を含まない)狭い意味での訴訟費用を回収するための申立てである『訴訟費用額確定処分』を求める申立てを実際やったという話をあまり聞かないこと、よって当然ながらこれに関する情報も、(インターネット・書籍問わず)あまり多くはないこと・この申立を受託すると公言する事務所が見受けられないことへの問題意識を持っていると書いたのですが、当事務所では先月ようやく訴訟費用額確定の申立てを完結することができました。

この事例をふまえて、今日から二回にわけて訴訟費用額確定の申立書の作り方を本人訴訟ができる普通のひと向けに説明してみたいと思います。


1.本稿の閲覧に適する人

 この記事は以下の条件を全部満たす人向けに書かれています。たぶんこれ以外の人が読んでも無駄です。

  1.  確定判決を得ていること(通常訴訟か少額訴訟かは不問)
  2.  判決主文中で、訴訟費用は敵対当事者側の負担とすることが示されていること(あなたが原告なら、『訴訟費用は被告の負担とする』と判決主文に書いてあること)
  3.  訴訟費用の負担を命じられた敵対側が破産・民事再生等の法的整理に入っておらず、差し押さえるべき財産が把握できること

とまぁ結構虫のいいことが書いてありますが、これから実行を目指す訴訟費用額確定の申立も、郵便切手を予納する実費や書類作成の手間がかかります。人によっては裁判所で書類を閲覧する必要があるでしょう。ですので『仕掛けたら成功する=強制執行によってお金を回収できる』ビジョンがないならば手続そのものが無意味だ、ということです。ただし、実際に訴訟費用を回収するのが目的でなく、別になんらかの思惑をもって手続を行うことが大事だ、というならばそれも確かに発想としてはあり、でしょう。

 なお、訴訟が和解で終わった場合なら大抵は『訴訟費用は各自の負担とする』という条項が入っており、費用を相手に請求できません。また、判決でも『訴訟費用はこれを三分し、その一を原告の、その二を被告の負担とする』というような主文が出てくることがあります。この場合には、原被告それぞれの訴訟費用を計算したあと裁判所が示した負担率を掛けて相手に請求できる金額を算出し、相殺して残りがあれば請求できるのですが、それだけやる手間を投入してペイするかどうか慎重に計算する必要があります。


2.手続を行うことが推奨できる人

 上記の要件を満たしていることが必要ですが、では『訴訟費用額確定の申立をしたほうがいい人』はいるのでしょうか?考え方にもよるのですが、いると考えています。たとえば

 ・裁判所への出頭回数が多かった人

 簡易裁判所の訴訟では書類さえ出せば期日に出頭することを必ずしも要しないので、場合によっては被告側はどうでもいいような書面だけ出して欠席しまくり、原告側は遅々として進まない訴訟にいらつきながらもとにかく出席している、ということはあるかもしれません。こうした不均衡が顕著な場合は、訴訟費用が完全に相手側負担でなくても請求を掛けてみたほうがいいかもしれません。また、現行法上当事者の出頭は、期日がたとえ5分で終わっても一回あたり3950円の日当として計算できるため、訴訟費用が相手側の負担ならとにかくこの分も請求したい、という発想は悪くないと思います。

 ・遠方から裁判所への出頭を強いられた人

 当然ながら訴訟の期日が進んでいるあいだに裁判所に行く交通費はすべて自腹なのですが、勝ってしまえば『所定の額を』請求できます。この金額に満足できるかどうかは難しいですが、たとえば大阪から東京の裁判所に何度も出頭してようやく勝った、というような場合には日当が請求できることより自腹を切って出した交通費を補償して欲しい、という要求がまさるかもしれません。

 ・請求金額そのものが少ない人

 先ほど示したように、当事者が期日一回のために裁判所に出頭することによる日当は3950円です。これは請求額にかかわらずおなじなのだから、10万円の請求で完全勝訴しても1000万円の請求で完全勝訴しても、そのために10回裁判所に出頭したら日当は39500円になるのは同じ、です。そうすると、この両者にとって『例示の日当分39500円』の価値は心理的に同じなのかどうか、はかなり難しいものがあります。少額な請求でも、あえて訴訟を起こして回収に努力する人にとっては、一回4000円に満たない日当でもいたずらに捨てるのは惜しい…はずだ、と僕は思います。

 ・細かい請求を捨てられる人

 上で言ってることと逆じゃないか、と思われるかもしれませんが、これも一つの見識です。つまり、請求としてひどくわかりやすい部分のみを抽出して簡単に申立書を作り、あとの部分は捨ててしまう(放棄する)という考え方です。これは単純にひな形を見るだけではわからないのですが、別に『自分の権利を行使しない・過少に行使する』ことは全然かまいません。よって訴訟費用のうち、たとえば収入印紙代だけ請求しておしまいにする、という申立をしてもかまいません。ただ、二度と請求ができなくなることさえ承知して、文句を言わなければ

 そうすると申立書作成は当然ながらひどく楽ちんになってしまい、手間を嫌って申立を全くしないよりは好ましいコストパフォーマンスを得ることができる、それも考え方としてはあり得ます。実務的にもいいことはあって、相手方が訴訟費用を全部負担する場合で、記録上明らかなもののみに基づいて訴訟費用を請求する場合には、相手方に異議があるかどうか催告する必要が無くいきなり訴訟費用額確定処分が出ますので、送達のための切手代を一回分減らすことができますし時間も速くなります。

 ~じつは僕の場合、下記のとおり『地図で測った』距離によって交通費を計算し計上したために、書記官氏が相手方への催告を要する事案と判断し、一手間増えたことを申し添えます。そうまでして守りたかった交通費は500円に満たないもので、掛けた切手代は1040円(失笑)。事例収集のための申立でもあったので今回は構いませんが、切るべきところは切って、わかりやすい部分だけ請求することは確かに大事なのです。

・そのほか鑑定人を呼んだ場合・証人をたくさん呼び日当や交通費を予納した場合・相手側が多人数で特別送達の費用がかさんだ場合、などでは、訴訟費用まできっちり請求するのも悪くないでしょう。これを読んでいる人にはいないと思いますが、ひどく請求額の多い訴訟を起こしてしまい訴え提起の際に多額の収入印紙を貼った人、というのも一応は回収に動くべきかと。ただ、あくまでも『相手側の財産を把握しており、強制執行すれば確保できる』ことが必要条件ですが。


3.じゃ、『訴訟費用額確定処分』って何よ?

 ・・・訴訟費用額確定をする処分です、と言ってもお話にならないのですが、たとえばAさんがB会社に100万円の賃金支払い請求訴訟(いま流行の過払い金請求訴訟でもいいですが)を起こし、100万円の給付判決をもらって『訴訟費用は被告の負担とする』と主文に書かれてあったとします。ならその訴訟費用というぶんのお金を、被告側が自発的に原告側に払ってくれる、などということはまずありません

 ですが、所要の申立をして手続を終えれば『強制執行によって』その訴訟費用を回収することができます。この点では、訴訟費用額確定処分は判決と同じように、『強制執行をスタートさせることが可能な書類』=債務名義になります。よって当然ながら、判決で支払が命じられた金額の支払がない場合には、『判決によって強制執行するのと同時に』訴訟費用額確定処分記載の金額についても、債権差押(給料やら銀行預金・売掛金など)や動産・不動産差押の申立によって請求する(請求債権目録に記載する)ことが可能です。もちろん、なにか金銭の支払いを請求する訴訟を起こされて『原告の請求棄却・訴訟費用は原告負担』の判決が確定した=原告完全敗訴になった場合の被告側、は、訴訟費用額のみを強制執行によって原告側から回収することができます。

さてそうすると、訴訟費用は強制執行によって相手から回収できる、のですが、ならばそれなりの慎重さで決定されないとまずい、ということで裁判所書記官に対して申立を行い、判決によって訴訟費用の『負担割合』が決められているのを受けて『負担金額』を決めるのが訴訟費用額確定処分、という感じに理解すればよいでしょう。基本的には

  • 訴訟費用のうち、相手におっつけることができる『金額』を決めるもので
  • それをネタに強制執行できるが
  • 申し立てないと始まらず、若干カネがかかる
  • 当然ながら、弁護士や司法書士に払った報酬は、ここでは最初っから訴訟費用とは言ってない。

ことを頭にいれておけばよいでしょう。


4.訴訟費用額確定処分申立準備

さて、今日は実際の手続前の説明を済ませて、次回は申立書を作る説明をします。その前に準備が必要です。もしこの記事を読んでいる人がすでに確定判決を得た人なら次のことをはっきりさせておいてください。

  • こちらが裁判所に出した書類一式引っ張り出してください。件数をカウントします。当然ながら、訴状には貼用印紙額・取得した商業登記事項証明書の通数も書いてあるはずです。
  • 口頭弁論・弁論準備期日などで裁判所に出頭した日をすべて書き出してください。わからなければ裁判所で調書を閲覧します。
  • 特に重量が重たい書類を出した心当たりがある人は、その送達に予納郵券をいくら使ったのか、念のため裁判所で確認してもかまいません。ただ、少なめに請求するぶんには別にだれも文句を言わないので、裁判所に行く用事がある人は併せて送達に使った郵券額をチェックしておくとよいでしょう。

  • 交通費を請求したい人だけでよいのですが、以下の検討をしておいてください。

ご自分の住所地を管轄する『簡易裁判所』と、実際に訴訟で出頭した『裁判所の所在地を管轄する、簡易裁判所』が同じかどうか調べてください。出頭した裁判所が簡裁か地裁(はたまた高裁・ありえないけど最高裁)かは、ここでは関係ありません。


4-1.もし両者が同じなら、訴状記載の住所地から実際に出頭した裁判所庁舎までの直線距離を測ります。市街の道路地図など、なるべく大縮尺のものが測定にはよいでしょう。ここでもし、距離が500メートル以内ならば交通費は請求できません。500メートルを超える場合は問題があります。ここでは原則で『一回(往復で)300円』の定額制になっています。

・・・と、すると。極論ですが、

東京都小笠原村を管轄する簡易裁判所は、霞ヶ関の東京簡易裁判所です。東京都特別区を管轄するのも、同じく東京簡易裁判所。

ですので小笠原村にお住まいの原告さんが千代田区の会社を相手取って東京簡裁に出訴し、たとえば三回の口頭弁論期日に出頭して訴訟費用被告負担の判決を得た場合、交通費としては『300×3=900円』が請求できる、ということになります。

あくまでも、原則では

ただし

  1. 出頭のための旅行が通常の経路・方法によるものであって
  2. それと、費用額を明らかにする文書が提出できた場合には

実費を請求できることになっています。つまり上記の設例では、父島-竹島桟橋間の小笠原海運二等船室片道22570円×2、つまり往復45140円の請求は、『実際つかった領収書があれば』することができる、でしょう。なければ300円です(笑)原則通り。

なお、『通常の方法』とは何か、は場合によって、かなり難しい判断を要すると思います。たとえば司法書士代理人が同区間を出張する場合、平成14年廃止前の司法書士報酬額基準では『船は特等を使う』と決まっていましたので、父島-竹芝桟橋間特等運賃片道56490円を請求できそうな気がします。

そこまで行かなくても、複数の交通機関を使える場合、たとえば東京-名古屋間ではどうなのか、高速バスに甘んじるのか新幹線グリーン車が使えるのか、これは正直言って『わかりません』。ただ後日のため、とにかく証拠だけは残しておく必要があります。領収書が一番確実ですが、最近ではICカード式の乗車券カードの利用履歴・磁気カードの券面印字も文書にあたります。とにかく証拠は保存しておきましょう。


4-2.自分の住所地を管轄する簡裁と、実際に出頭した裁判所所在地を管轄する簡裁が『ちがう』場合を考えます。刈谷の人が名古屋に行った場合もそうですし、熊本の人が仙台に行った場合もそうです。

 この場合は、まず両方の『簡易裁判所庁舎』の直線距離を測ります。

 どうやってだっ!

と叫んだ人が複数いるはずです(お友達になりましょう!)。

この辺についてはなにも詳しい規定はありません。石垣簡易裁判所(沖縄県)から稚内簡易裁判所(北海道)に出頭する時の直線距離、ともなると地球の丸さを考慮するかどうかで少しは違ってきそうですがとにかく決まってません(笑)標高600メートル弱あるはずの松本簡易裁判所から数メートル程度のはずの東京簡易裁判所までの標高差はどうするの、などというのもたぶん、誰も考えてはいないはずです。・・・おそらくは、地図上に物差しを当てて、適当にそれらしく測定すればよいのではないでしょうか。僕は片道16kmの距離を5万分の1の地図を使って物差しで測り、それを提出して申立を通しました。

ただし、国土地理院のウェブサイトに二点間の緯度経度から距離を出すページがありますから、まず2万5千分の1の地図を使って庁舎の場所を特定し、両者の緯度経度を出して距離を算出する、というのは悪くない発想だと思います。東京-大阪とか、石垣-稚内のような長距離ならむしろこちらを使った方が正確な値がでそうです。なお、ここでは単位がキロメートルごとになっていますので、999m以下の端数をどうするか、も難しいと言えば難しいのですが、切り捨ててしまうならば常に、間違いはありません。


最後に、本稿執筆の参考文献は司法協会発行・最高裁判所事務総局民事局監修『民事訴訟費用等に関する執務資料』です。国会図書館でOPACの検索をかけたのですが、ヒットしませんでした。何となく立ち読みできる本ではないのですが、東京地裁の地下にも最近おいてないようです。

 この本の14ページに、設例として東京簡裁と松本簡裁の直線距離を『172キロメートル』とする記述があるのですが、これをどうやって測ったか、が正解になりますね。

 続きの記事は28日付『訴訟費用額の確定の申立書を作ってみましょう』です。では、今日はこれまで。


2015.04.18 追記

訴訟費用と訴訟訴訟額確定処分の申立書作成については本人訴訟を完遂された方を中心に関心を持つ方があり、当ブログのいくつかの記事がお役に立っているようです。

東京~大阪間の裁判所を対象に、このたび訴訟費用額確定処分申立書作成だけを受託するサービスをはじめました。

訴訟費用額確定処分申立書作成のページ

自腹新幹線、もう一丁!(泣)

自腹新幹線、もう一丁!(泣)
今日はただでは終われない日のようです。三島で一息ついたと思ったら、我がホームライナーは静岡駅の場内信号で30分の立ち往生。その後も増延して浜松着は所定38分遅れの22時55分になりました。接続する普通列車豊橋行きはすぐにでますが、豊橋より先の接続がありません。この列車の豊橋着が23時31分、名鉄の豊橋発最終の鳴海行きも23時31分なので、これは接続不成立です。

で、困った時の新幹線(いやだ)

ひかり433号名古屋行きは浜松発23時12分、豊橋着23時25分で名鉄に乗り換えることができ、いま乗車したところ。
ぎりぎりのところで救われているとみるべきか、単に運が悪いだけなのか、判断が別れる一日です。

もう今日は何も起きないと…思いますよ?

20時32分三島駅6番線

20時32分三島駅6番線
隣のホームに、熱海を20時18分に出た普通列車浜松行きが入ってきます。
見つめるこっちはホームライナー浜松行き。ここで接続を取って発車されたら、先程使った熱海−三島間乗車券+新幹線特急券1160円を無駄にしたところですが、接続せずに発車しました。

この列車の素晴らしいところは、ロングシート車ばかりの東海道本線静岡県内を特急用車両で一気に浜松まで横断でき、しかも豊橋で名鉄名古屋行き最終に接続できること。ですので青春18きっぷで関東出張を行うときの、お約束の列車です。さて今回使った交通費は
名鉄
鳴海−本宿 600円
豊橋−鳴海 820円

東名ハイウェイバス
東名本宿−富士 2170円

普通列車グリーン券
沼津−東京 大宮−熱海 1900円

東京メトロ
東京−霞ヶ関 霞ヶ関−上野 320円

新幹線
小山−大宮 1900円
熱海−三島 1160円

青春18きっぷ 2300円乗車整理券 310円
合計11380円。今回お客さまから頂いたのは8000円なので、自腹新幹線で足が出た感じです。

史上最短新幹線乗車

史上最短新幹線乗車
これは熱海駅3番線の出発時刻表です。時刻は20時09分。
次に入ってくる列車は「88分遅れ」と、アナウンスが告げています。
まずいです。

予定では熱海20時10分発普通列車で三島へ、同駅8分待ちで浜松行きホームライナーに乗るはずだったのですが接続不成立になります。
と、いうわけで!

困ったときの新幹線(笑)

熱海20時18分のこだま号が20時28分に三島に着くので…いま、強引に間に合わせたところです。三島の灯が、眩しいです。

一杯呑みましょ、日のあるうちに

一杯呑みましょ、日のあるうちに
書記官氏が、ニタリと笑っていいました。

「第一号です。勉強になりました」

ここは北関東某独立簡裁事務室。僕の書類は、無事に受理してもらえました。

雰囲気が和んだところで、試しに聞いてみます。

−僕より遠くの弁護士さんか司法書士さん、いらっしゃいます?−

「島根の人がいます」
−うっ!−

思わず後ずさりしたタイミングを見計らって、なおも続けます。

「ただし、まだいらっしゃってません」

僕はいま、ある申し立てでその独立簡裁第一号の申請者兼最遠距離出頭者になりました。仕事も終わったことですし、一杯あけることにします。

一駅だけの新幹線で、ゆっくりはできませんが。

17時10分 東名本宿

17時10分 東名本宿
なんだか妙に新鮮な気分で、出張です。

よくよく考えたら、今月は県外への出張を延べ3日(さいたま・掛川)しか実施しておらず、今日が4日めだということに気付きました。おそらく、出張日数が一ヶ月のうち四分の一ぐらいが一番調子よく、二分の一を超えると疲れが隠せなくなるようです。

すでに青春18きっぷ発売期間中ですが、静岡県富士市の実家への移動で終わる第一日目は、名鉄鳴海まで自転車、ここ本宿で東名ハイウェイバスに乗り換えて東名富士を目指します。東海道本線浜松−熱海間の普通列車が軒並みロングシート化されたためで、おかげで東京方面の出張交通費は青春18きっぷシーズン中も高止まりしていますが…

そうは言っても、東京『往復で』八千円という請求です。

もう●年早くやってれば…

物持ちがよいのも、良し悪しです。今日はそんな話です。

さて僕が乗っている車ですが、平成8年初度登録の黄色い軽自動車です。これを平成11年初頭に中古で購入し、先月車検を通した(つまり、まだ乗り続ける予定)のですが、購入当時からキーレスエントリーの調子がおかしく、買ったころは車から50㎝離れたところからようやく動作可能、その後数年で5㎝程度に距離が縮まり(って鍵穴に差せよ!)、最近では

  1. 動作する距離は車から5㎝程度で
  2. 車体に何箇所か『受信感度の高い場所があり』そこを探して
  3. そこに向けて2~3回ボタンを押すと

確率30%ほどで施錠・解錠ができる、という状態にまで悪化したのですが、今年に入って意に染まない仕事をいくつかやったかわりに懐具合が少々良くなりました。ということで車やさんに聞いてみたら、1万6千円ほどで鍵を取り替えて…

直りました(失笑) まるで新車(ウソだ)

というわけで、教訓。『もう8年早くやってればよかった!』

実は普段の移動は公共交通機関と自転車を使っています。この自転車は平成12年に購入した電動アシスト自転車なんですが、これ

カタログスペックは高いが、ヘタレな作業者が作ったおかげでマヌケな製品に仕上がってる

という…第二次大戦末期の日本軍戦闘機のような工業製品です。『Light Weight Electric Bike』とロゴを入れたいらしいモーターユニットのカバーの、よりによって『Light』と言う表記が抜けてる製品を引き渡された(購入数日で発覚)時点で前途に暗雲がたれ込めるのを感じはしたのですがさてこの会社、幸之助氏が死んでから、徐々になんかおかしくなってるのかしらん?と思ってしまいます。『Weight Electric Bike』と書いてあるのはそれ自体、なかなかシュールな仕上がりでして、有名な『姦淫聖書』もかくやと言わんばかりのものがありますが。

~本当なら外観検査でハネてなければならないはずのこの個体、仕上がりもやっぱりいい加減でして、

チューブをぐしゃぐしゃにしてタイヤとリムの間に適当に突っ込んであるため、路面に異常が無くてもパンクする(使用後数ヶ月で発生)、とか、

後輪ブレーキの調整がいい加減なため、全般的に走りが重い・特に電源を切ったときに顕著(真相に気づいたのは購入して3年ほどたった後)、とか。

まぁドラムブレーキをいぢることに気づいたときに、だいぶ世界がかわった(フツーの自転車に近づいた…が、まだアシストを切った際に若干劣る)のですが、まだ真打ちが控えていたのです。購入7年後の今日気づきました(失笑)。

購入当初から、チェーンリンクのいくつかがスムーズに動かない(つまり、油ぎれではなく物理的に異常がある)ことには気づいていたんですがそのまま乗っておりまして、ついにベダリングに支障を来すようになりました。何かを噛み込んだ感触でペダルが止まることがあるため、スムーズに加速できません。しかもボトムブラケットあたりから異音がします。

いよいよしょうがなくなって自転車やさんへ。最悪の場合ボトムブラケットの交換を覚悟して行ったのですが、お兄さんの見立ては『チェーン交換』。3000円ほどを支出しました。で、効果のほどはと言いますと。

  • (先代の総理大臣風に投げやりな調子で)感動したー!
  • アシストを切っても完全に普通の自転車として加速できるんです!
  • アシスト作動時も、アシストモード『Low』がこれまでの『High』に相当する軽さ!

ただ、この境地に購入7年後にようやく到達できた、ってのが問題なだけで。

というわけで、教訓。『もう7年早くやってればよかった!』

強いてオチをつけるとすれば、『専門家の活用は、どうぞお早めに(失笑)』と言ったところでしょうか。この自転車、購入当初から作りの甘さを痛感させられたために愛情が離れかけていた、というより愛憎半ばするものがあったのですが、これでまた何年か使えることになりそうです。

~とか言いつつも、エナクルの回生ブレーキ(という言葉は使ってませんが)に、鉄道ファンとして『萌え』を感じる今日この頃です。

岡崎への長い道

 この記事は7月19日付け『探して!見つけて!値引きして!?』の続きです。

 さてあれからサクッと勤怠入力データを発見されたお客さま。これを受けて、今日は日がな一日このデータの取り込み・作表・校正に明け暮れておりましたが、なんとか日曜日中には全作業が終わりそうです。この事案、こっちから内容証明を放ったらあっさりと弁護士が会社側代理人につき、おなじく内容証明で反撃が飛んできた、ということで、

 まぁドンパチになりますけどいいですよねぇ?

 というような説明をしてあります。一度は裁判所で激しく戦うことになるだろう、と。

 さてここで問題なのはこのお客さまの請求額。労働基準法所定の割増賃金の請求なのですが、当初の見立てより25%ほど増えてしまいました。で、微妙なのは

  •  附加金を付けると合計140万円を超え
  •  付けなければ140万円を下回る
  •  被告の普通裁判籍を管轄するのは、『独立簡裁』と『名古屋地裁岡崎支部』
  •  当事務所からは、独立簡裁のほうが近い

ということ。ところで、労働基準法第114条の附加金は簡単に言うと、未払割増賃金等の請求を訴訟でするときに、支払を受けていない割増賃金額と同額のお金を支払うよう裁判上で請求でき、裁判所はこれを受けて支払を命じる判決を出すことがある、というもの。もちろん附加金を請求するかどうかは原告次第だし、附加金の給付判決を出すかどうかは裁判所次第です。

さてでは、この附加金部分は訴訟物の価額に入るのか?が裁判所ごとにまちまちなのです。ちなみに訴訟物の価額、というのは、その訴えで原告が裁判手続き上主張したい権利のお値段(金銭的価値)、とでも考えておいてください。

ではこの附加金の扱いについて、僕が経験したところでは

  1. 宇都宮地裁栃木支部では、附加金は訴訟物の価額に『入ります』
  2. 東京簡裁・東京地裁本庁では『入りません』
  3. さいたま地裁本庁では『入りません』
  4. 名古屋地裁本庁では『入ります』
  5. 津島簡易裁判所では『入ります』
  6. 一宮簡易裁判所・名古屋地裁一宮支部では『入ります』
  7. 奈良簡易裁判所では『入りません』
  8. 大阪簡易裁判所・大阪地裁本庁では『入ります』(平成18年8月時点)
  9. 大阪地裁堺支部では『入りません』(平成19年5月時点)

こんな感じ。同一の高裁管内で統一されているわけではない、ということは例1と例2でわかります。ただ名古屋地裁管内は附加金を訴訟物の価額に含む傾向がありました。例4~6がそうです。隣の県で何をやってるかは知ってるがとにかく我が道を行く、と宣言したのは例7の奈良簡裁です。お客さまの報告では、ここは大阪地裁が附加金を訴訟物の価額に入れるのを知っているが奈良では入れない、と言い渡されたとのこと。同様に我が道を行くのが例9の大阪地裁堺支部です。例8の大阪地裁本庁とは違う扱いになっています。ちなみにこの堺支部、なぜか自販機の飲み物が120円です。本庁は90円なのに…ナゾです。

では順当に行くと、今回提訴したい独立簡裁と名古屋地裁岡崎支部でも附加金が訴訟物の価額に『入る』ことになるのですが…つまり

    • 附加金付けなきゃ独立簡裁
  • 附加金付ければ地裁支部

ということになります。名古屋地裁本庁には労働専門部があるので、こちらに来るなら喜んで附加金の請求をくっつけるところですが、今回は岡崎に行ってしまいます。おそらくは請求くっつけて岡崎支部初体験、となるのでしょうが、別の意味もありまして。

 今回は少々法律構成が込み入ってくる可能性があります。よって独立簡裁に持ち込んで移送されるよりは最初から地裁支部に持っていった方が時間のロスがない、ことと、今回会社側の代理人が名古屋市の人間だ、ということで、期日ごとに岡崎まで出廷するならそれもよし(明らかに儲からない案件を押しつけることになるため)、電話会議になるならなおよい(お客さまが弁護士の顔を見なくてすむため)、というような思惑も。これが簡易裁判所だと、期日ごとに書類だけ出せば欠席し放題なので制度上あちらさんが楽な仕事をできてしまいます。

 ただ、そうやって岡崎支部で訴訟をはじめると、9月以降

  •  名古屋地裁本庁では担当する事件がなくて
  •  半田支部・岡崎支部・豊橋支部ではひとつずつ事件がある

 ~ということになるかも。まぁ月に一度の支部巡りも悪くないとは思います。

2020.12.01修正

たけきものも ついにはほろびぬ

 その会社名を検索したら、まだこれが残っていました。大阪府中小企業支援センターのウェブサイトです。

 さてこの会社、先頃破産手続廃止決定が出たとお客さまから連絡が入りました。最初の依頼から1年5ヶ月、よくここまで持ってきたもんだとは思います。ところでこの会社、創業初期のごくはやい段階でちょっとした助成金の支給対象になったためこのウェブサイトにページが残存しているのですが、改めてみてみると

2008年上場を目指し、組織力強化のための「人財」配置を構想しています。

 …法人格すら消え失せた今となっては思わず笑ってしまうような大風呂敷ですが、一時はそんな夢もあったのかもしれません。株式上場ってそんなに魅力的なものなのか、実は今月はもう一件、賃金未払い事案で向こうに回した会社が破産するのに接したのですが、こちらはこちらでやっぱり株式上場だの店頭公開だのを目指しているとアナウンスをしていたものです。そんなことを言っているわりに、従業員に賃金を払えない・払わないというのも共通でいらっしゃる。

 会社がまともに機能していれば、社長業というのも気楽な独裁者でいられるのでしょう。小は片田舎の土地家屋調査士から大は年商●十億の介護事業者に至るまで、経営者がおかしなことをやるのは一種の病気のようなものなのかもしれません。僕も確かに経営者の一人なのですが、社長と俳優は三日やったらやめられない、という言葉には確かに頷けるものがあります。ただ僕の場合は、その『まともでない』方向がたまたま労働者の権利を守る方向に向いているだけ、ということで。今回はそうしたおかしな社長が、おかしな旅行書士(というより、旅行書士という存在そのものがアプリオリにおかしいと考えるべき)を敵に回してしまった結果、彼の会社がひっくり返ったわけです。お客さまが未払い賃金の立て替え払いの適用を受けるために、望んでこの会社を追い込んだことも認めます。それを後悔しません。こいつと、こいつの司法書士にはちょっと腹に据えかねる対応を受けているので。ただ、彼の会社を潰したのは僕であって僕の依頼人を恨むなよ、とは申し上げたいものだと思います。必要があれば、またやるでしょう。

 さて、起業をお考えの方?

 それでもやっぱり作ってみたいですか?じぶんの会社。

探して!見つけて!値引きして!?

そのお客さまは5ヶ月ぶりにやってきました。

24ヶ月分の未払い割増賃金請求の依頼をたずさえて。

なぜ『5ヶ月』なのか。理由はあります。民法第153条の規定です。条文は適当なところで参照してほしいのですが、このお客さま、僕の指導により今年1月末に内容証明を放っています。

そう、平成17年1月支払ぶんの割増賃金支払請求権●万円の時効消滅を、阻止するために。

これに対して敵は早くも弁護士を代理人に立てて反撃してきており、さて方針をどうしましょうか、とか言っているうちに夏になってしまったわけ。同条の規定によれば、今月中に裁判手続き=本件事案では訴訟・調停のいずれかを起こさないといけません。当事務所ではちょうど7月20日から、通常料金での依頼受付を再開するタイミングなのは別にここでは関係ない、と思います。おそらくは請求額元本6桁台後半になるこの依頼、弁護士が敵に回ることは確定ですが証拠が整備されているので、裁判手続として着手の際の料率を請求額の4%とすることをお伝えしました。

さてここで問題なのは、入力し計算し分析し作表しなければならない勤怠記録が24ヶ月分あること。相談しながら苦笑いしてデータを見つめます…が。そういえば、プリンタから印字されたのがありますよ?

~これってエクセルか何かで作ってらっしゃいます?

うなずくお客さま。

~これのデータファイルって、とっておいてあります?

「あ・る・と…思います。探せば」

うーん。ここは意地でも見つけて頂きたい!ならば!

~んじゃぁこうしましょう。そのデータファイル、今夜中に見つけられたら料率3%でお受けします!

・・・と、いうことで。このお客さまのPCのどこかに埋もれているかも知れない勤怠時刻データを、首尾よく発見できたなら、いまの彼女のお給料数時間分のお金を値引きできるということになりました。考えてみると、割増賃金請求事案でお客さまが入力したデータを使う、というのはこれが初めてです。

たとえば割増賃金支払い請求訴訟の訴状作成で、単純に時間がかかるわりに誰でも出来る工程は二つあって、

  1. 勤怠時刻の入力
  2. 証拠書類の複写・編綴・号証番号付与

がそれにあたります。いま、当事務所では労働事案の裁判書類作成において、着手の際に請求額の3~6%、お金を回収した際に回収額の7~14%の料率でお金をいただいているのですが、この辺を手伝ってもらえるなら着手の際の料金をさらに引いてみるのは、確かに悪くない考えです。

最近、お商売をしている方の裁判書類作成をいくつかやってまして、そうした人の中にはしたり顔で

あんたもうちょっと儲けなきゃだめよ(以下略 お説教あり自慢あり怪しい仕事の勧誘など色々)

などとこきやがる連中もこれまた複数おり、正直辟易していたのですがやっぱりそいつらとは目指す方向が違います(そうした人たちに対しては、ワタシ夏休みに入ってますと通告してますが何か問題でも?)。

今回もお客さまにヒントをもらった形になるのですが、この『書類作成工程のどこかで協力してもらえれば、なにがしか値引きできる』という可能性は悪くないと思います。やり方を考えてみましょう。

さて、で、今日のお客さまは今晩中に、そのファイルを見つけられるでしょうか?

…楽しみです。

そこの方、目が疲れませんか?

 公表すると気を悪くする、という考え方もあるのですが、このブログでもアクセス解析をおこなっています。毎日ご覧になるような閲覧頻度の高い方は福岡から北海道までいらっしゃって、ある意味でこっちが監視下に置かれている気もするのですが…

 最近、当ブログの延べ470件の記事を最初から順次閲覧しつつある方を発見しました。

大丈夫ですか?アナタの目(苦笑)

全国系のプロバイダを使っておいでですのでどちらの方かわからず、すくなくともお客さまではないのですが、楽しんでお読み頂いているのでしょうか。

あるいは逆に、言論統制にひっかかって懲戒処分の一つも食らってみる、という可能性もあるかもね、という話も取引先から聞こえてきます。なんだか首筋の涼しい夏を迎えることになりそうな。以前一度、ウェブサイトで『代書やさん』という表現を使ったということ(だけ!)で雲の上から呼び出しがかかりかけた、なんてこともありました。

いろんな人がいろんな思惑で放ってくるいろんな依頼を尻尾を振って受けている内に、いろんな意味で複雑な状況に逢着しつつある感じがします。

諸般の情勢から見て、この夏を無事乗り切れれば以後十年単位でこの事務所は安泰なんでしょうが、やはり言いたいことを言いたいように言って生きていく、というのは難しいもんですね。

今日は7月18日。2週間後は8月1日。あと二週間で、社会保険労務士としての登録4周年です。社労士会のほうはこうした統制の存在を感じさせないのですが、もう一つの上部団体のほうがちょっと気になる、そんな…多難な夏がはじまりそうです。考えすぎだと笑えればいいのですが。

掛川プロジェクト、終結へ

やることなすことすべてが片っ端からうまく行く日、ってありませんか?

今日が、年に数回あるかないかのその一日だったようです。気づいたのは16時55分、静岡地方法務局掛川支局で今日最後の用事を終えてでてきた数分後のこと。

本日午後からの三遠方面プチ出張の日程ですが、やらなければならないことは

  1. 愛知県豊橋市でお客さまから書類収受
  2. その書類を合綴して同市の裁判所に提出
  3. 静岡県磐田市で住民票取得
  4. 同県掛川市で住民票・評価証明書取得
  5. 適当な金融機関でお金をおろし、収入印紙●万円余を購入
  6. 同市内の法務局に、所有権移転登記申請書提出

~というお献立になっております。豊橋でのお客さまとの待ち合わせを13時着と指定する一方、事務所で全書類の校正を完了したのが11時25分。豊橋に13時に着くには、在来線なら東海道本線大高駅を12時14分の列車に乗ることが必要です。事務所から大高駅までは自転車で25分。どこかでアクシデントが発生すると、17時15分の執務終了までに法務局になだれ込むことができなくなる可能性があります。

・・・ここで普段なら、全作業の終了が11時53分頃までもつれ込んで自転車で爆走、とか、そうでなければ雨が降る、あるいは自腹で新幹線に名古屋から乗車、とかするのですが、朝適当に目を覚まして淡々と作業したにもかかわらず、なぜかほどよい余裕を残して出発可能になりました。雨は降りそうで降らず、駅まで軽く自転車で流したうえ、食べ忘れていた朝ご飯兼昼ご飯を仕入れる余裕すらあります。予定通り、12時14分大高出発。

列車に乗ったところで気づいたのですが、認め印を豊橋で調達しなければなりません。お客さまは少し珍しい名字。さらに豊橋駅から裁判所は、ウェブサイトの案内によれば徒歩15分。3分遅れで豊橋に着き、書類をもらって認め印を買いに近くの文房具屋さんに行ったら…

ぁあった!

お客さまが不可解な声をあげます。聞けば、彼の名字の認め印を売ってるところを探して一度で見つかったことが、今までなかったとのこと。僕より年上のお客さまにそう言われて、さすがに焦ります。さらにお客さま、裁判所まで車で連れてってくれるとのこと。おかげでつつがなく書類を提出し、豊橋駅に13時47分に戻ってきます。次の浜松方面の列車は

  • 14時07分 普通列車浜松行き
  • 14時06分 新幹線こだま538号東京行き

の、どちらかです。しばし長考します。みどりの窓口の時刻表で両者の接続をたどると、普通列車は14時40分浜松着、54分発興津行き普通列車に接続して磐田着15時05分。

一方でこだま号の浜松駅の時刻は『1426』と書いてあります。つまり14時26分。同駅発普通列車は、14時24分掛川行きに乗れないならば34分発興津行きになって、磐田着14時45分。

すると、いま豊橋-浜松を新幹線にするかどうかで時間は20分短縮、費用は特急料金840円。さてこれをやるかどうかは、かなり難しいところです…が?何かがヘンな気がします。もう一度新幹線上りの時刻表を眺めます。

-ここで気づけた人がいるとすれば、その人はかなり『鉄分の高いひと』なんでしょうね。-

時刻表には新幹線の浜松『着』の時刻は書いてないので話が見えにくくなっていたのですが、まず上りの最初のページをみてみます。豊橋にも浜松にも停車し、かつ先行列車を浜松で待避しない列車=ひかり430号は、豊橋6時42分発、浜松6時57分発です。よって両駅間の所要時間は本来、約15分。であれば14時06分のこだま538号は、順当に行けば14時21分には浜松に着き、5分程度停車して先行列車を待避するから、14時24分浜松発掛川行きには乗れる、というのが正解です。今日の新幹線の運行に乱れが無く、僕に浜松で少々走る覚悟があるならば。

ということで(笑 マニアな発想だ)、ここで自腹840円を切って30分を短縮することを決定!結果的にこれが、さらに次の成功につながります。

浜松での乗り継ぎはつつがなく成立し、同駅発14時24分掛川行きは14時35分、磐田に到着します。磐田市役所は駅から徒歩10分とのこと。改札口を出ると…レンタサイクル発見!しかも電動アシスト自転車(笑 さすが自転車施策先進都市)!

自転車のメーカーがYAMAHAで統一されてるのはさすが磐田というべきでしょうか。ともあれつつがなく手続を終えて、駅を出たのが14時42分。このレンタサイクル、4時間以内なら100円です。駅から市役所は、自転車でなら3分、と言ったところですが、市役所で手間をとったこともあって駅に戻ったのが15時7分。そろそろ残り時間が気になってきます。というのも、次の掛川市役所はJR掛川駅の徒歩圏内に無く、コミュニティバスの運行頻度は45分に1本程度で、天竜浜名湖鉄道を一駅だけ使う手はあるのですが今までに同市役所を訪れた片手の指に余る経験において、一度も接続として実用できたことはありません(泣)

時間切れの恐怖におののきながら時刻表をめくります。次の掛川方面は15時22分発静岡行き。これは、掛川に『1539』、つまり15時39分。天竜浜名湖線の掛川発は15時36分。よって接続不成立、になりそうですが…?何かがヘンな気がします例によって(失笑)

同列車は掛川の一つ手前の愛野発が15時31分。いっぽうで、他の列車の駅間所要時間をいくつかひろってみると、4分・5分のものがあります…よって。

愛野発15時31分の列車は掛川に15時36分、または35分につくとみるべき。天竜浜名湖線の次の列車は16時14分なので、ここは接続をとって発車しない方がおかしい、と勝手に了解します

その勝手な了解通りに接続は成立して、掛川着15時35分、天竜浜名湖線に乗り換えて一駅の『掛川市役所前』に到着したのが15時41分。どうやらこっちの勝ちが見えてきた感じですが、運行頻度1時間弱のバスやら列車しか手札がないということで、時刻表を見ると、この市役所から掛川駅に引き揚げるには

  • 16時5分発天竜浜名湖線掛川行き
  • 16時31分発市街地循環バス南回り14便

後者はなるべく使いたくありません。お金をおろして印紙を買って貼って法務局(掛川駅から徒歩10分)に、時間内にタッチダウンを狙うのがしんどくなってきます。実は預金残高をソニー銀行に残して当地に来てしまい、提携しているUFJ銀行も三井住友銀行もない…というより都銀が存在せず、市役所庁舎内には○○信用金庫のATMしかない状況下にあっては、駅から徒歩5分の中央郵便局である掛川郵便局まで行くしかありません。

そんな思惑はおくびにもださず(見栄ですな)住民票一通と評価証明書の請求をかけます。出てきたのは…

16時2分(おお!)

番号を呼ばれて悠揚迫らざる動作で書類を点検しお金を払い、やや早足でロビーを出、玄関の自動ドアを開けた途端にダッシュで駅への坂を駆け下ります…が?

静寂。

ついさっき降りたばかりの片面一線の掛川市役所前駅には、列車の来る気配もありません。高校生が一人、虚空を眺めて微動だにしません。あるいはこいつ、前世が猫なのか?

 時計を見ると、16時5分。列車が出たのは見えなかったので、間に合ったはずなのですが…?

列車は2分遅れでしっかりやってきました。これまでバスを使って移動していたときには、行って帰ってくるだけで常に1時間超を要した掛川市役所に、わずか34分で往復完了です。なんだか妙な達成感。時に16時10分。

余裕綽々で掛川郵便局に向かったのですが…ATMに5人並んでいます。しかも先頭でなにやらもめています。

~まさかここでストップが入るのか?ポーカーフェイスを保ちつつ全力で盗聴、もといもめている内容を傍聴します。要は貨幣での振り込みができないとのこと。だったら?

隣のATMが空いてんじゃん(失笑)

なるほど確かにそのとおり。順番待ちの列をすっ飛ばして手続に入っても、誰も何ともいいません。それどころか粛然と列を維持しています。つまり皆さん『振り込みがしたい』人、ってこと。僕はちゃっちゃとお金をおろし、テーブルを借りて最後の書類編綴を行い、印紙を買って貼付し、職印台紙に割り印します。

これで、登記申請書はできあがり。あとは提出するだけです。ここで16時31分。郵便局から法務局へは、線路を挟んで南側と北側にあるような位置関係なのでそのまま歩いて、16時43分、最後の目的地たる静岡地方法務局掛川支局に到着しました。別に狙ったわけではないのですが、本日より同法務局はオンライン指定庁になり、資格者代理人の印影届けも静岡地方法務局仕様(名古屋とは違う)で出すことになりました。こうして庁舎を出たのが16時47分。ということは?

豊橋で新幹線に乗ってなかったら、タイムアップだったってこと。今日は本当についています。

あとは東名掛川17時30分発東名ハイウェイバス特急59便で東名本宿へ、そこから名鉄に乗り換えて刈谷へ、JRで大高まで戻って自転車で帰る、というだけです。法務局から東名掛川バスストップまでは徒歩20分ほどで着きますのでゆっくり歩いていたら…メールが入りました。東京のお客さまから。タイトルが

『作戦終了』

と。ミッションコンプリートって言ってくる、ってことは…と早速内容を見ると、明日支払予定の解決金について、本日全額が支払われた、と!

メールを開いたPDA片手に一人で

よぉーし!

と声を上げたのはお客さまのためなのか、今月も損益分岐点を超えることが決まった当事務所のためなのか、はこの際聞かずにいてもらいましょう。今日は大変いい一日でした。

この仕事の登記済書類を回収したら、8ヶ月がかりで登記と訴訟がセットになったこの掛川の案件もおしまいです。訴訟のほうはすでに勝利の和解が成立しており、今週中に登記が通ればあとは来週の東京出張時に掛川に寄って書類をお客さまに渡し、掛川での仕事もおしまいです。これが終われば、向こうしばらく掛川で降りる機会はないのですが、しばらく通っているあいだに行きつけのラーメン屋さんができてしまいました。ときどき立ち寄るかもしれません。

それはどこかで見たような光景(または、-とよのくにからほのくにへ-)

 さきほどアクセス解析を見たら、34分ほど前に…そのお客さまが閲覧されておられました。

 ~ご機嫌いかがですか?

 などと言われてもさてわからないかもしれませんが実はまた

移送申立書が出まして、それへの反対の意見書を書き上げたところです。

 ・・・おお、という声が関門海峡の向こうから聞こえてくるようなこないような。以前僕が『とよのくに簡易裁判所』でやらかしたアレ、です。

さてさて一般の閲覧者ご一同さまに解説を加えます。

  1. 全国規模の大きな会社があります。
  2. その一事業所で働いていた人に労働紛争が発生します。
  3. 本社はとんでもなく遠いところにあります。
  4. しかたがないのでテキトーな理由を(などといいながら実は必死で!)セレクトして、少しでもお客さまの住所にちかい裁判所で提訴します。
  5. 被告会社は本社所在地で弁護士を選任します。
  6. その弁護士がテキトーな理由を(本気なのか「うそん気」なのかは不明)セレクトして、本社所在地管轄裁判所へ移送するよう申し立ててきます。

これが、移送申立。もし移送されてしまったら、以後は期日のたびにその遠い裁判所に行かざるを得ず、本人訴訟を戦うひとへの嫌がらせとしてはけっこうな破壊力を持っていることはわかるでしょう。仮に北海道の営業所ではたらく人の不当解雇を、本社人事部がある大阪の裁判所で争わねばならなくなったら、そりゃ悲惨ですよね。

この移送申立、制度上こちらが提出した訴状に対する答弁書にくっついて出てくることと、裁判所がなんらか『決定』をださねばならないために、ある意味で開戦劈頭にいきなり原被告双方が激突する決戦になってしまう面があります。ちなみに、豊後水道の西側にあるとよのくに簡易裁判所(仮称)から東京へ移送するよう申し立てられた前回はこっちが大勝利、二回目の今回は、当事務所から電車で1時間ほどの、某地方裁判所ほのくに支部(仮称)から東京へ移送するよう申立てを受けて、いよいよ意見書が仕上がったところです。ただいま7月17日、1時44分。

~それにしても、東京の弁護士さんって、移送がお好きなのかしらん?という邪推はおいといて、さて今回は勝たせてもらえるか、結論は来月中に出てくるはずです。

 ところで、会社側からこっちが納得できない移送申立を食らったのは昨年は、1月にとよのくに簡裁・10月にみおつくし簡裁(これは地裁への移送)の二回、今年は7月早々に、この某地裁ほのくに支部で出てきました。こうしてみると、いいがかり的移送事案って、年に一度はかならず出てくるものなのかもしれません。

2020.12.01修正

煮込んだ白ネギみたいな気分って

 大学のときの同級生からのメールで、車の中に居て雨が降る外を眺めている気分を上記のように描写してきたことがあるのですが…卒業から11年会ってなくても、あいかわらずだな、と感心(安心)したことがあります。

 今日はそんな、白ねぎみたいにとろける気分で一日外を眺めながら過ごしていました。言ってしまえばヒマなんですが(失笑)。ただ、週84時間労働(一日12時間×7日)から40時間労働へと態勢が変わっていく過程で稼働率が半分以下に落ちても、それは単に人並みに近づいただけ、なのかもしれません。

 さて来週出す書類は、訴状が一件・移送申立書への意見書が一件・相続登記申請書が一件。しかも意見書以外はすでにできている、さらに今月は、再来週にある申立書を一件作ってハンドキャリーすればそれでおしまい、以後依頼なし!ということになってしまいました。

・・・なにか、天罰の存在を疑ったほうがよさそうです(泣)

 もちろんしっかりと損益分岐点を下回りそうでして、この限界を画するのが来週某日に支払期限がある、先頃終了した訴訟の解決金●●万円の任意支払の有無、という状況です。もしこれで、どこぞの社長が僕のお客さまに支払をサボったら、かなりな怒り(もちろん理由のない怒り)を込めて債権差押申立書を作らねばならないところですが、とりあえず今日は平和で閑散な雨の休日を満喫しています。忙しいのとヒマなのとの落差がだんだん激しくなってきて、どうやらヒマな時期に入ってしまった、という状況がだんだんみえてきました。今月前半にかけて集中的に、終結するか心証開示で勝たせてもらえることが見えた事案が発生したため、担当する事件もひさしぶりに両手で数えられる件数です。いま係属中の裁判事務は

東京高裁管内 地裁2件 簡裁1件(うち1件は、来月判決言渡し)

名古屋高裁管内 地裁3件(うち1件は、実質上審理終結)

大阪高裁管内 地裁2件(うち1件は、債務者の免責に関する裁判所の決定待ち)

ということで、実質的な作戦行動を行っているものは5件のみになりました。いずれも労働事案で、しかも上記5件のうち3件は9月までこっちが何もできず、1件は来週書類提出で、残り1件は8月上旬まで動けない状況です。

 あとはお久しぶりの九州=福岡高裁管内で1件、申立を準備中ですがこれはたぶん、来月から9月はじめまで様子をみないといけません。一方で問い合わせはいくつか入ってくるものの、依頼になるものはなさそうです。つまり順当に行けば、来月1日の開業4周年は、朝寝して昼寝して早寝して、と言う感じで迎えることになりそうです。

 ここで昨年までなら、預金通帳の残高が月の下旬にお家賃引き落とし予定額を下回ると、決まって偏頭痛になやまされたものなのですが(実話です!)、今となってはあの偏頭痛、ふところが冷えると発症するんだという因果関係が完璧に証明されて過去のものになったようです(笑)。この事務所を立ち上げる際に、とりあえず三年持たせて多重債務者にもフリーターにもなってなければ大したもんだ、と思っていたのですが、ありがたいことに四年目を終えることができそうです。開業時に持っていた投資信託は全部解約せざるを得ない状況に追い込まれましたが、変額保険は手を付けずに済みました(2ヶ月保険料が払えずに、担当さんが集金に来たことは複数回ありましたが)。

 これもひとえにお客さま方のおかげでございます。煮込んだ白ネギみたいな気分でこれまでのことを、とろとろと思い出していたら…

 当ウェブサイトで公開している、労働裁判事務統計の数字が合ってないことに気づきました(うゎぁ)。

 6月分の更新が遅れているので先月度の実績を加算しないと、と思っているのですが、どこかで何かが間違えているようです。もう一回、公表用にデータを整理してみないといけません。ですのでやっぱり、この日曜日も月曜日もなにかしら仕事、という状態は続きそうです。

今度の相手は『しんたろうさん』?

 しんたろう、という名前の人が世にどれだけいるかはわかりませんが、ずいぶんいろんな人がいるようです。有名どころでは現職の都知事に、総理大臣の父親(笑)。懐かしいところでは麻薬の不法所持で捕まった芸能人、殺人犯もいたはずです。ちなみに、そのまんま『鈴木慎太郎』さんというつづりの方で法学関係者がおいでとか。漢字で検索した場合、その方より上位にくるのですが社会的にはもちろんそのお方のほうがずっと上です。

 さてそうした『しんたろう』さんたちの一人が相手方になることが明らかになりました。よりにもよって(呆然)

 戸籍謄本職権請求を受理した窓口氏が、職権請求者と戸籍筆頭者の名前が同じことに少しウケていたことを、見逃しませんでしたよ。

たかちゃん・ぼっちゃん・しのすけさん

 上記はいずれも、僕とお客さまが勝手に付けた『担当裁判官のあだ名』です。いずれも今月終了するか、事実上終了した事案です。事案はいろいろ。

1.たかちゃん

 これは僕の命名です。推定年齢三十台後半の女性で、名字の一字からとった単純なもの。お客さまの弁によれば、

-辛島美登里のシングル『流されながら』の写真と雰囲気が似てる-

とのこと。

僕としては『黄昏を追い抜いて』のそれがさらに近いと思うのですが云々、等とわからない人は一斉に後ずさりしそうなコメントをしてみるのですが…

うーん、たしかに色白でショートカットがよく似合っていて清楚で知的な感じがなかなか(ってわからない人は理解不能だ)。
さてこの方の最後のお言葉である『判決』にどんなアートが含まれているかは僕の目下最大の関心事なのですが、お客さまからの連絡によれば来週言い渡しの予定だったものが8月中旬に延期になったとのこと。理由に思い当たる点があるか聞かれたので、「難易度のそこそこ高い事案ではよくあることよ」と応じておきました(特殊な論点をはらむ労働訴訟だったので)。が。

そんな、理由なんて

僕が夏の青春18きっぷをつかってその裁判所(当事務所からの距離、鉄道営業キロベースで約450km)まで言い渡しを聞きに自腹で行けるように、という配慮があったに決まってるでしょー、と冗談を言ってみる勇気は、さすがにありませんでした。

でも、お盆のどまんなかに期日を開くってのはさすがたかちゃん、やることが違います。まぁこの判決、聞きに行くと断言はしませんが同時期僕はどこかに私用で旅に出ますんで。どこかへね。

2.ぼっちゃん

 これはお客さまと僕との会話から。「あの裁判官なんかお坊ちゃんって感じですよね~」と盛り上がった結果こうなりました。

 ただこのぼっちゃん、裁判官としての能力は前項のたかちゃんと同様に相手側の代理人をはるかに圧倒して高く、僕のお客さまに対する補充尋問で結構するどい所を突いてきています。傍聴していて勉強になるタイプですが、原告被告の尋問が終わった直後に原告側(貸金110万・慰謝料100万・不当利得返還請求110万を請求中)に対して

金銭的請求を無しにする和解できますか?

と言い放つ結構な度胸を持っています。これで僕がもし原告側司法書士ならこの夏いっぱい半死半生で過ごすところですが、あいにく僕は今回、被告側です♪

 ただ、こう言われたにもかかわらず裁判所から出て行く原告代理人弁護士サンの足取りが、これから南の島にでも行くんじゃないかというほど軽かったのが疑問と言えば疑問です。まぁ、原告本人が素敵なお方なので、それから解放されるから、なのかもしれません。なんにしろ、これも判決が楽しみです。

3.しのすけさん

 『某県庁の課長』というステータスをお持ちのお客さまがいらっしゃいます。労働事案ではないのですが、家賃支払請求訴訟でこちら側勝利の和解を締結する段になって…深刻な顔しておっしゃるのです。

 「ところですずきさん、あの裁判官誰か落語家に似てませんか?

 -伝法な語り口・目立つ額(ひたい)・後ろに上げる前髪・表情豊かなまなざし…沈思3秒。思わず『ガッテン!』-

立川志の輔!?

 叫び返す僕。大きくうなずくお客さま。和解手続中の某簡裁兼地裁支部待合いベンチで、事案とは全くかけはなれたところで喜び合う二人(笑)

 いや実は僕も第一回口頭弁論から気になってたんですよ云々、と思わず手を叩いて喜んだのですがこの事案、分割払いに応じた以外はこっちの要求を全部通して首尾よく和解成立となりました。被告さんたちが合点できたかどうかは、ともかくとして。

 まぁこれらの各お客さまがたには、おかげさまで受託から訴訟終結までの過程でそれなりに楽しんでもらえたと自負しておりますが、それにしても今年上半期は個性的な裁判官が揃ったものです。また、各事案とも勝利と受け止めることができる結果になりそうだということで、この夏は安楽に過ごせそうです。現時点で、8月に入っている傍聴を要する期日は上旬に大阪で1件、下旬に名古屋で1件のみ。今月は下旬に東京で1件あるだけ。いずれも進行上、書類の提出の必要がありません。これは本当に、長めの夏休みになりそうです。

 最後に、いろんな人がいろんなところでいろんなことを言ってきて僕だけが大変タノシイ思いをさせてもらったのですが、先日の記事の『透け乳首』のお客さまは男性なんで、念のため。

2020.12.01修正

僕のお客は『透け乳首』

僕のお客は『透け乳首』
さいたま地裁に来るのは2年ぶり。ついていきなり毒気を抜かれました。1階受付で開廷表をめくっていたら、赤ん坊を抱えたお姉ちゃんがやってきて、担当者に尋ねます。

…ここって、裁判所ですか?

空気が冷えるのを感じたのは僕だけではなかったようで、僕と受付担当さんの視線が戸惑いをはらんで交錯します。彼女の問いが僕に放たれなかったことに安堵しながら、そっと目をそらしました。

受付さんはなおも平静を保って優しく答えます。そうだ、と。
彼女は全く動じることなく、さらに

…今日ここで裁判あるって聞いたんですけど?

誰の裁判かと問われてさらに

…あたしの。

〜思わずぶっ倒れそうになったのですが、どうやら離婚に伴う養育費と慰謝料に関する事案のよう。

意識が遠くなってたたずむ僕のところに、今日が第一回口頭弁論の、お客さまが近づいてきます…が?

白いTシャツで現れましたよ?

しかも乳首透けてますよ?

うまく言えませんが、何か間違ってる気がします。次に来るのは、9月です。

西船橋経由浦和行き

西船橋経由浦和行き
首都圏の人なら誰も首を傾げる経路で、ただいま出発しました。ここは野並発22時19分発地下鉄桜通線の車内です。

さて、明日はさいたま地裁に10時15分についていたいのですが、始発の高速バスでは絶対まに合わず、7900円のぷらっとこだまエコノミープランで行ける状況にもない、ということで『順当に』夜行高速バスを採用するのですが、名古屋発の各路線はほとんどが6時台に到着してしまいます。

早着しすぎてもヒマで寝不足になるだけなので、例によって『ファンタジアなごや号』を使います。これが西船橋8時着で、これ以外だと『ラメール号』が品川に6時45分に着くのですが、やはり早過ぎです。

ということでやってる本人としてはいつも通りに、サラっと行ってきます。

日曜日の河川敷

日曜日の河川敷
いい風がふいてきます。
黄色い花が揺れています。
向かうのグラウンドでは、外野フライのバックホームが間に合わなかったようです。
空には誰かの模型飛行機が舞っています。今担当中の訴訟で、敵に回した馬鹿社長もそんな趣味を持ってたっけ、と一人思い出し笑いする僕は、

ここに、現地調査にきました。

さて、本件調査の結果を踏まえて損害賠償請求事案の訴状を作ったら、納期がある仕事がもうない、という状況に、いきなり立ち至りました。来週あたりから、事実上の夏休みになりそうです。
今月は、火曜日にさいたま市、水曜日に半田市、25日に都内に、それぞれ傍聴に行きますが、いずれも進行上書類の提出はないはず。

まぁしばらくの間、ゆっくりします。最近依頼受け付けを激しく停止しすぎたので、今度は当分、損益分岐点の上と下をさまよう気がします。来月で、社会保険労務士としての先行開業からまる4年。もう少し成長スピードが遅いほうがよいと考えていたところなので、これでよいかと思っています。

頼むからはっきりしてくれぇ

 明日は県内の某裁判所におでかけです。いまこの裁判所に係属している、僕が本人訴訟を支援している唯一の案件なのですが、実は労働訴訟ではありません。被告側でしかも経営側という意味でも特殊です。ただ、新旧経営者の争いですので別に労働者を相手にしているわけではありません。

 さてその訴訟、原告さんが頑固なのか原告代理人が無策なのかとうとう証拠調べまできてしまいました。明日がその、証人尋問の日です…が。

 相手側が申請した証人が出廷するかどうかが不明です。

 いろんな情報を総合してもとにかく『わからない』状態。正直言ってアタマを抱えています。こっちとしては別にどっちでもいいのですが、とにかくどっちかに決めていただきたい。この訴訟のおもしろいところは、相手側が申請した証人がとにかく

片っ端から出廷拒否してくる

ところにありまして、人望ない人って、いざと言うとき辛いのね、と傍聴席で見ていて原告代理人がかわいそうになってきます。このところの彼の役目はもっぱら、前回期日に申請した証人を

~実は申請していた証人が出廷を固辞しまして云々

と、不景気な顔で陳述してみせることにあるようです。

その出廷拒否の真打ちをかざるのか、あるいは相手側の退勢挽回の期待に応えて(?)堂々の出廷なるか?次号、刮目して待て!とかなんとか盛り上げてみたいところではありますが、実際のところどうだってかまいません。実は冷め切ってます。

・・・と、書いておきます。その証人候補者がこのブログを見てないともかぎりませんからね。実は出廷だけはされたら困るのかもしれませんし、是非ともご来駕たまわりたいのかもしれず、一撃必殺の反対尋問群を用意して迎撃準備を整えているかもしれませんし、実は無為無策かもしれません。

ですが、とにかく証人尋問まで行く案件は少なく、労働事案非労働事案あわせても今年にはいってこれが三件目。場数を踏ませてもらえるのは、ありがたいことです。

2020.12.01修正

倒産速報出る

 年に一回あるかないか、ですが労働紛争の相手側会社が倒産することがあります。昨年は一件、おととしも一件ありました。

 今年も一件ありました。自己破産を前提に弁護士一任、との発表です。負債総額三十数億と少しスケールが大きいということでtsr-van2等でチェックしていたのですが、午後に出先にいたところお客さまから連絡が入り、帝国データバンクで速報が出た、とのこと。

 さすがに自分が訴状を送りつけた会社が大型倒産速報に載るのは初めてだったのですが、報道発表・一般労組・巨大掲示板・お客さまのブログとまぁこれだけ言ってることが錯綜するものなのだ、としみじみ考えさせられました。とりあえず今後は、『例によって』(という表現がわかる人は数名ですが)利害関係人として破産申立書を閲覧してみましょうか、という話をはじめたところであります。

 実のところ今回は、お客さまの直接の雇い主企業が破綻したわけではないので、僕とお客さまとの関係では落ち着いていられるのですが、当事者会社に雇用されている人は常用臨時併せて数百名いらっしゃるということでさぞ不安だと思います。だれか専門家が着いて正確な情報を選択できる人はそう多くはないなかで、たまたま派手に騒いでいる一般労組に加入してみてもそれが適切かどうかがわからない、という状況であればなおさらです。

 言ってみれば会社という一隻の船が沈没する際に、いち早く逃げ出した経営者、少しまともな小型高速艇に移乗済みの当事務所のお客さま、退船時に多少水を浴びたり溺れたりする可能性があるそのほかの従業員の皆さん、ということになるのですが、その小型艇の艇長たる僕はある意味で

僕のお客さまだけの安全を図ってさっさと離脱しつつある

ようなわけで、さてこれでいいのかどうか、常に考えさせられます。この先(この事務所がいつまで健在なのかはさておいて)何度もこうした場面を見るのでしょうが、こうしたときには代理権が欲しいと思いますね。もちろん、損得度外視で活動できる経済的余力も、ですが。こうした点で、時として手弁当で弁護団を組成してしまう『資格職能としての弁護士さん』達を尊敬せずにはいられません。

 さ、とりあえず今回の弁護士一任発表で、やるべきことは比較的はっきりしてきました。まずはお客さまの様子を拝見してくることから始めるとしましょうか。

収拾不能になりませんか?

 そのブログのアクセスは、三日できっちり10倍になりました。いま二千弱/日といったところでしょうか。ちなみに当ブログは、昨日の実績で208ページビュー・49件のユニークアクセスと言ったところです。

 さてではその『三日で10倍』ですが…繁盛というよりはいわゆる炎上なんじゃないか?と端で見ていて心配せずにはいられません。なぜならそれは、僕のお客さまが当事務所に依頼中の案件について書いたブログなのだから。この事案、当事者と会社のほかに

  • 某巨大掲示板
  • ちょっと元気な一般労組

という特異な要素を考慮してことをすすめないといけない、しかしこの要素あるがゆえにこのお客さまのブログは繁盛か炎上かしつつある、という状況です。

ま、僕が指示した対応策がお客さまのブログに載り、傍観者が勝手なコメントを発しているのを見ることができる、というのは希有な経験です。

しかしながら、このお客さまはこれだけ注目されてしまうとあっちはあっちでいろんな人のいろんな思惑の中で踊ることを強要されかねない面があり、さて上手に手じまいできるのかが未知です。少なくともそうした分野にはさしたる経験がないので、下手をすると僕も一緒に巻き込まれかねず、近々傍聴に行く某地裁正門前に組合の旗でも立ってようもんなら

場合によっては帰ります

ただでさえ今月は、東証一部上場企業を向こうに回して全力で衝突した事案の判決言い渡しがあって、そっちでも別の労組にちょっかいかけられかねません。まだ祭り上げられたり絡まれたりすることに耐えられるほどこの事務所には余裕がありません。やってることの性質上好むと好まざるとにかかわらずまじめに働いたら社会的存在にならざるを得なくなる、それはわかっちゃいるけどもう少し先にしてもらわないと、本当に事務所が潰れてしまいます。

かと思えば今晩の打ち合わせのお客さまはなぜか僕を、別件の境界紛争とか開発許可申請に関与させたいらしく、思わず腹に据えかねて

相手側代理人から放たれるであろう反対尋問への回答演習時に、ちょっと相手方からの追及の度合いを上げました(苦笑)

2020.12.01修正

恐るべし、巨大掲示板

 いま支援している割増賃金支払い請求訴訟のいくつかは、某巨大掲示板にその会社に関するスレッドが立っています。それ自体はべつにどうということもないのですが、うち一事案が少々気になる展開になっています。某巨大掲示板とお客さまとの関係について、ちょっと憂慮すべきものになってきた、と言いましょうか。具体的には個人攻撃に類するものが出現しだしている状況です。あとは、裏をとったら即時に流言飛語の類であると断定できるものが実際に書き込まれていることが確認できる、ということも。

 いろんな場面で石が流れて木の葉が沈むのがネットの世界なのですが、さてさて一企業が破綻して行く過程をいろんな角度から見させてもらえるこの事案、この事務所が今後存続するならば大変いい経験にはなりそうです。ただ、零細事務所の一つや二つサクッと抹殺するだけのお力をもってらっしゃる割に責任能力や規範意識の所在がうかがえないそうした掲示板の住人たちに絡まれないで今後もこの事務所を運営していくことができるのか、正直言って不安です。

 なにか人と変わったことをしようとしている人が負うべきリスクではあるのですが、巡り巡って実社会で干された場合経済的に耐えられません。まぁ三十代でいるうちは、またどこかの脱法人材派遣業者にでも潜り込んでどこかの工場の片隅で生きていくことはできますから、ここ数年は一応よしとしますがね。さいきんいろんなところで、せっかく取った士業の資格を見事に無駄にして被用者の世界にもどっていく人の話を聞きますが、僕もいつどんな理由でその列に加わるかは全くもってわかりません。中途半端に事務所が立ちゆくようになってからしばらくの間、が一番キケンだとしみじみ感じます。

 今年下半期は、いろんな意味で試練の時期になる気がします。

 当ブログについても今後予告無く更新を止めたり、あるいは公開停止することがあるかもしれませんが、これまでに依頼があったお客さまについてはその都度移転先をご案内しますのでお問い合わせくださいますように。

« 2007年6月 | トップページ | 2007年8月 »

2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31