家主さん、がんぱって!
思わず笑っちゃうほど馬鹿な店子がいます。
そいつを敵に回して建物明け渡し請求+賃料支払い請求訴訟の裁判書類を作成するのが、4月からの新しい僕の仕事です。いまようやく、訴状ができたところ。時刻は4月9日、午前0時40分です。これで先週作っておくべき全4件の裁判書類がみんなできあがりました。
さてこの爺さん、正確には賃借人たる理容店経営者の夫=文字通り
髪結いの亭主。(失笑)
なのですが、その特異な風貌から僕は『蛾次郎さん(仮称)』と呼んでいます。この人とはもう半年ほどのおつきあいになるのですが、なにが楽しいかってとにかく
言ってることに筋が全く通らない
こと。時系列で並べるととっても愉快なのです。曰く、
- ●月になったら交通事故の保険金が入るから払う
にはじまって、その月になったら
- 翌月になったら払う
支払わないので司法書士同道で家主さんと訪問したら
- ~猫とか犬とか飼ってるし(失笑)理由を問えば
- ワタシは動物には優しいので捨ててある動物を見捨てられないから(って人間には優しくないのかよッ(怒))
さらに言うことには
- いまやっている過払い金返還請求訴訟で勝ったら払う(って保険金云々はどこ行ったンだよコラ)
- ワタシには弁護士の知り合いがいる(頼むから、速くそいつを出してくれっ!)
- (僕を指して)代理権のないお前と話す筋合いはない(誰がお前と話したいなんて言ったかよ!)
- ワタシには有益費の返還請求権がある(だからといって、7ケタに上る未払い家賃と相殺することはできないんですが(冷笑))
- ワタシには造作買い取り請求権がある(だからといって、10年前に買った湯沸かし器を購入時の定価で払えって真顔で言ったら常識疑われるよアナタ(冷笑))
-で、その過払い金返還請求訴訟で勝ったら勝ったで傍聴人たる僕に-
じゃ、(和解できたと)言っといて。
馬鹿かお前はっ(激怒)代理権がない奴と話しはしないと人を低くみたのはテメーだろっ!と言いたいのをオブラート80枚ぐらいにくるんでやんわり言い返します。
それはできませんね(冷笑)
ムッとした顔で裁判所庁舎から出て行ったこの髪結いの亭主。車のナンバーを控えてすかさず陸運局で自動車の所有名義を確認する代書人。
彼は今度は自分たちが被告になって裁判所に現れる道を選択するようです。いまからこいつらの答弁書が速く読みたくてたまらないのですが、聞けばこの人、まだ弁護士を呼ぶだの司法書士に相談中だのと僕のお客さまに言っているようで。こっちはとりあえず、賃借人たるこいつの嫁さんとセットで日常家事債務による連帯債務の成立を主張して、この髪結いの亭主もついでに被告席に座らせることにしようかと思います。僕はそれを傍聴席からみて楽しんでやろうという方針ですが…できれば代理人を立てて欲しいです!ウェルカムです、弁護士サン。
最後に一つ、この人のお言葉によれば
ワタシは払うものは必ず払う
んだそうです。ならとっとと払わんかいっ!
この『蛾次郎さん(仮称)』事件もそうなのですが、私人間の金銭のやりとりに関する紛争って本当にどうしようもない人間が敵対側に回って、時に大変楽しい思いをさせられるのですが…
そうした連中を数発余計にぶん殴ることが、最近楽しくなってる自分がいたりします。ある種の消極的攻撃性といいましょうか、こういうわからんちんどもが論理破綻して沈黙するさまを見るのが、もう嬉しくてたまらない。先週金曜日のブログでもそうなのですが、言ったことが全部記録に残る民事訴訟、というのは主張がふらつくことでとても不利になることが多く、そうした立場にじわじわと追いやるのが実にこう、澱んだ快感なのですよ。
別にこっちも聖人君子じゃないんで、正義感だけでこの商売やってるわけではございませんから…とりあえず今回は、家主さん側の味方につくことに決めました。ただ最近は極悪な店子(なかば常習的に家賃踏み倒しを繰り返し、連帯保証人にはわざと財産のない者をダミーで立てる)に関する相談もいくつか入っており、これはこれで一つのテーマになる気がします。ただこの分野、おかしな奴を如何にして入居させない&追い出すか、でかなりのスピードとテクニックが要求される気がします。精力的に研究してみたいような、みたくないような…?
« 視線が気になる傍聴席 | トップページ | 不能率 万歳!? »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 初めての小名浜・久しぶりの横浜(南東北~関東への出張日程が決まりました)(2025.01.21)
- 筋肉痛と腰痛と共に身につける、新案件のワークフロー(2025.01.03)
- 本年最後の誤断(年末年始にゆっくりできると思う方が間違ってた、と大晦日の21時過ぎに気づいた件)(2024.12.31)
- クリスマスイブの夜に行くところ(happy holidaysの不存在確認に関する件)(2024.12.24)
- 憲法など無きものと思え(上告理由としては)(2024.12.08)
コメント