道路横断費用 金五千円也
本年最初の、新しい訴状作成のお客さまがやってきました。割増賃金支払い請求訴訟です。管轄は名古屋地裁または簡裁にできそうです。
地裁または簡裁ってのがミソです。これは少々かんがえものです。なぜなら、
この事案では下を見ても70万円強の請求が立ちます。ぼくは簡裁代理権をもたないので、べつに簡裁に訴状を持っていくことにこだわる理由は皆無です。そしてなにより、労働基準法第114条の規定による『附加金』の請求を、この事案では行うことができます。
すると、未払いの割増賃金元本70万円強+同額の附加金=下を見ても140万より大きい金額の訴訟、を起こすことができます。
現行法上、請求額ベースで140万円までは簡易裁判所に、それを超えたら地方裁判所に訴えを起こすことになります。そしてこの名古屋市では、官庁街の道路をはさんだ南側に簡裁&家裁、北側に地裁&高裁が向かい合っています。
附加金付ける気が無いなら道路の南、簡裁へ。
附加金付けたら道路の北側、地裁労働部へ。
さてどちらにしようかな♪というほどお気楽なものではありません。いろいろと考えるのですが、僕は普段は附加金を付けることをお客さまにおすすめしないのです。理由は、結局のところ判決が取れなければ附加金の支払義務は認められず(附加金込みで和解する、ってのが絶対ないわけではないが)、そのくせ提訴時に納める収入印紙代は増加してしまって捨て金になるからなのですが…
今回に限り、附加金の請求をつけることをお勧めしました。これによる費用増加は『5000円』です。
理由はかんたん。
地裁本庁に持っていけば絶対に労働部に配点されることがわかっている事案なのだから、簡裁に持っていって多重債務者さんたちと一緒に十把ひとからげに期日を設定されるよりは労働事件をよく見ている裁判官を相手取ったほうがいい=労働法規への違反に対して、敏感に反応してくることが期待できるのでは?と考えました。つまり附加金請求部分は最初ッから『取れれば儲けもん』と言う程度のもの、附加金請求をすることによる費用増加5000円は、文字通り
道路わたって地裁にいくための必要経費です(失笑)。
と、身も蓋もない説明をしてあります。そりゃ取れればそれに越したことはないけれど。
さてこの事案をうけたことで、今月から3月まで毎月1件以上あたらしい労働関係訴訟を起こしていくことになりました。これらが終わるのはたぶん夏以降。お客さま方に実りの秋を提供できるかどうか、僕も楽しみです。
« 捨て印連打は ありません!? | トップページ | 私は呑気な傍聴人 »
「本人訴訟」カテゴリの記事
- 憲法など無きものと思え(上告理由としては)(2024.12.08)
- そうだ、米原、いこう(僕なりのやり方で時間をお金で買ってみた件)(2024.05.22)
- 10月下旬の東京出張決定について|裁判事務のご依頼かくあるべし、という話し(2023.10.16)
- (それでも)裁判書類の添削のご依頼をお受けしています(2023.08.12)
- 8月初旬の出張【変更】/依頼受付の停止について(2023.07.30)
こんにちは。いつも楽しく拝見してます…
って、これ私ですかね(笑)
その節はいろいろ申し訳ありませんでした。
これ見て自分を発奮させ、今は辛抱と頑張っていきます。
これからも楽しいブログ期待してます。
投稿: やまなか | 2007年4月23日 (月) 17時53分