怪しいシャチョーが多すぎる?
先週から今日までの、まる1週間はなかなか変化に富んだものでした。欠席判決(全面勝訴)を取って終わった訴訟1件、現時点での見込みを遙かにこえる金額の和解勧試が第一回口頭弁論期日でなされてルンルン気分(←死語?)な訴訟1件、終わったものあればはじまるものあり、ということで新しくお受けした相談2件、今日は某地へ出張だったのですが、その成果を受けて提訴に踏み切るもの1件。さらには、去年からまる11ヶ月さまざまな手練手管を駆使してようやっと会社と社長個人を破産に追いやった事案が1件。
これ全部労働事案、または労働紛争の性質を帯びるものです。
共通点があります。
社長がオカシイんです。社長が。
・・・まぁ僕もある意味、オカシイまたはアヤシイ零細企業のシャチョーの一人なんですがね。そのへんはあまり見ないようにしてお話をすすめます。
さて給料未払い事案の発生原因は大ざっぱに三種類に分けられる、と僕は見ています。
まず第一に、無知。労働基準法知らないがゆえになんとなーく週48時間働かせてしまって、割増賃金の請求を2ヶ年分突きつけられて吹っ飛ぶタイプです。ただし、従業員側も実は気づいていなかった、ということが多いためにあまり思い入れがなく、したがって和解で決着できる可能性がもっとも高い、言ってみれば楽に実績を上げられる類型です。
第二に、経営不振。実はこのパターン、あまり多くない気がします。原因が従業員にも見えやすいので、理解が得られれば経営者はそう苛烈な追求を受けずにすむ面があるからなのかもしれません。ですので経営者側がごめんなさいと言ってくればこちらもお客さまに多少手加減するようアドバイスする…のですが、一昨年こうした事案で態度のでかい弁護士が割り込んできて勝手な分割払いの提案をしてきたため、これを蹴って売掛金を差押えたらその後会社が潰れてしまった、という事案がありました。ま、しょうがないでしょう。
そして第三。経営者がお馬鹿または犯罪者。金は潤沢に持っていながら、単に気に入らない奴だから給料払わない、とか、どうみたって取り込み詐欺狙いで作った会社で、従業員にはとにかく給料払わないのがデフォルト設定だ、とかいう社長さんたちが敵に回った場合、です。もちろん、上記三つの原因が複合することはありますが、文句なしに一番厄介なのは第三の類型です。
で、この一週間見てきたのは全部、第三の類型です(泣)
いきおい各会社各社長のお馬鹿さ加減に応じてオーダーメイドの裁判書類を作らされることになり、こっちはたまったもんじゃない=従業員の給料を削る理由、なんて社長の数だけは確実に存在する、のですが、そうやって煩雑になるわりにお客さまの話を聞いていると思わずやる気がでてきてしまうことが多く、後先考えずにお値段安めで受託して後で真っ青になることもあったり(失笑)。当事務所の経営上はともかく、仕事としては大変やりがいがあります。
でもね。給料不払いは基本的に犯罪だ、という態度で行政がもっと厳しく対応してくれないと、まじめに働くことが馬鹿らしい世の中がホントに出現しかねません。給料踏み倒しも含めて計画的に行えば…数千万円単位のお金をいろんなところから引っ張ってきて、タイミングを見計らって自己破産すれば社長の手元にお金は大部分残せるんじゃないの?とさえ思えてしまいます。
そこまで不健全でないにしろ、いざとなったらつぶしてしまえ、というマインドで株式会社を持っている、というのは実によくある話で、最近僕は労働相談に来たお客さまの勤め先が株式会社というだけで、なにかアヤシイものだという先入観が(汗)。もっとも個人企業の経営者も、おかしい人はとことんおかしいのですが、破産法上個人に雇われた人の給料は踏み倒しが効かない(免責されない)ので救われている面があります。会社に対しても、そんな規定があれば…のんびり経営者を締め上げてそれで仕事になるなら、こんなにいい世の中ないのにな、と夢想してみたりします。
さ、来月最初の出張は、見事吹っ飛んだ(というより、追い込んで吹っ飛ばした)社長&会社の破産関係書類の閲覧です。よそのセンセイが作った書類、というのはそれがなんであれ、見るのが楽しみなんですよ。
« はたらけど はたらけど…? | トップページ | 業務報告書、提出。 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 初めての小名浜・久しぶりの横浜(南東北~関東への出張日程が決まりました)(2025.01.21)
- 筋肉痛と腰痛と共に身につける、新案件のワークフロー(2025.01.03)
- 本年最後の誤断(年末年始にゆっくりできると思う方が間違ってた、と大晦日の21時過ぎに気づいた件)(2024.12.31)
- クリスマスイブの夜に行くところ(happy holidaysの不存在確認に関する件)(2024.12.24)
- 憲法など無きものと思え(上告理由としては)(2024.12.08)
先日はどうもありがとうございました。
本日、税理士の先生と相談して
去年の給与支払調書に本来の支給金額と
上に未払分を記入して作成してもらうことになりました。
これに会社の印鑑を押すので証拠として
使えるでしょうとのことです。
「協調路線で社長とは給与未払金は分割支払いで…と話を進めていこうと考えていたけど無理みたいです。」とのことで今後は私の応援をしてもらえると思います。
これからもよろしくお願いします。
投稿: パソ子 | 2007年1月31日 (水) 21時01分