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身勝手な依頼

 という言葉で、ご自分の依頼を表現されたお客さまがいます。

 決してそんなことはないよ、と言わなければなりません。そう言ってみせるのがたぶん、僕の仕事です。

 なにしろこの無茶苦茶な事務所では、身勝手な依頼を持ち込んでくるのはそのお客さまだけではないのでハッハッハ、と言っちまったら身も蓋もないのですが…ちょっと考えてみましょう。

 これまでの短い経験から申しますと、一番スジのいい、あるいはつき合って長続きするお客さま、というのはみなさん共通項がありまして、それは

自分のやましさを自覚している・少なくとも否定はしない

 点にあります。僕自身もそうだ、ということができます。この事務所はその成立までの過程において、自分の雇い主だった土地家屋調査士兼行政書士2名を相次いで訴える(そのうち一件は『おはようのない事務所で』に記載)という、ある意味自分を育てた人間を否定するところから生まれたと言えます。そしてこれがベストな選択だったとは、実のところ僕も思ってはいません。あるいは、この人たちと仲良くやっていける可能性があったのかもしれません。勤めていた頃は、そんな話をしたこともたしかにありました。

 また、実際に開業したらしたで『抵●権抹消登記1件●万円』みたいな法外な見積もりを上げる連中やらダミー会社を作って脱法派遣を企てるたわけ者やらに接して、まぁ街の法律家とか言ってるけど結構とんでもないところだよな、という感じをいよいよ強くしています。だからといって自覚的に、この業界が一種『怪しい』面をもってることを認めるのもまたどうかしら、とは思いますがね。これはこれで、お行儀のいい連中に言わせれば同業者・隣接他業種への誹謗ですから。

 でもやっぱり、おかしいものはおかしいじゃん、という思いも強くあって、労働訴訟しかも労働側、という世界を専門にしながらも、自分の正当性だけご主張したい人に対してどうしても引いてしまう、極端には依頼拒否という行動に出るのは、その人たちの脳天気さに着いていけないから、でもあります。脳天気、というよりは一種危険な気配を感じてしまう、と。

 これに対して、どこかで『自分がまちがった だからこんなことになった(紛争や問題に直面した)』ことがわかっている人の言うことには、法律や契約の知識の質と量にかかわらず、無理がありません。そうした仕事を受ける側にも同様のことがいえまして、当然ヅラして抵当権抹消で3万取る人間の理屈には僕はどうにも納得できないし、まして債務整理で年商億単位で、ン十名いる補助者を名目上別会社に飛ばして偽装派遣しよう云々、と言ってる連中のいうことは、これは明らかに醜悪、というより犯罪であります。開業して三年も経つと、まぁそんなもん、おなか一杯見せられますよ。


「だからこれだけははっきり言えます 自分のやましさを知っている人間がもっともいい仕事をするのです」(『大使閣下の料理人』西村ミツル著 かわすみひろし画 講談社)


とまで言い切れる境地には達していないけれど、これはけだし名言というべきです。漫画あなどりがたし、というべきでしょう。一言できれいにいうと、たぶんこうなります。

  • ある人は、なんとなく支払われると思っているうちに未払い給料を7桁までためた。
  • ある人は、法律家になんか任せたらいくら取られるかわからないと言いう言い訳で割り込んできた親戚に、せっかくの遺産をあらかた持って行かれた。
  • ある人は、言われるままにお金を貸してそのほとんどが未回収になった。
  • ある人は、なんとなく配偶者がある人とつきあい始めておかしな関係になった。

まぁ実際問題、どっかで手落ちがあったからそうなった、と言ってしまえば身も蓋もありません。ただし言ってしまわないと、同じことをくりかえすかもしれない。

だからと言ってそれを指摘する立場のこっちも、清廉潔白でも公明正大でもない。まして正義の味方でもなく、単にちょっと変わった民間業者に過ぎません。お互いにどこかが怪しかったりやましかったりするなかで、それを相互に認められるからうまくやっていける、のだと思います。

 だから。

 冒頭の言葉に戻るのですが、正確には、身勝手な依頼でもそれはたしかに、その人限りの大切な大切なご依頼だ、というべきでしょう(救いになってねぇっ!って声が聞こえてきそうですが…それはさておいて)

 あるいは、身勝手な依頼であることを自覚した瞬間に、それはたいていの場合、身勝手な依頼でなくなるのかもしれません。当事務所に訪れるお客さま方をみていると、たぶんこの考え方でだいたい当たりです。このへんは『無知の知』と同じようなもんで(って強引な)、自分の依頼が身勝手であることを知ってる人は、それを意識せずにご自分限りの正義を主張する人より、身勝手ではありません。


 結論。

 よって当事務所においては、あなたの依頼は、身勝手な依頼などでは、決してありません。

 今日メールをくれたあなたへの、業務連絡です。

 ・・・身勝手な旅行書士からの、ね(苦笑)

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