夫婦になるひと 夫婦で来るひと
本日のお客さまは午後に1件。想定収容人数の少ない当事務所では、一人だと思ったお客さまが二人になった時点でちょっとしたごまかし準備が必要であって、この方にも少々外でお待ち頂くことになりました。相談二回目ということで、こんどはご夫婦での来訪です。
さてこの方々のお眼鏡にかなえば、今後ともおつきあいいただくことになるのですが、この方々と同じ分野の案件が(当初のご用のほうですよ)先日一つ、急転直下の大妥結という結果を迎えました。こちらのお客さまも男女お二人で事務所にお見えだったのですが、こちらは本件事案の解決後に結婚されるとのこと。
・・・あんたそりゃ、タイミングとして微妙すぎっ
と、彼らの参謀長たる僕としてはそれを聞いた時点でかなーり強烈なプレッシャーにさらされた(だって交渉決裂で訴訟になんか持ち込んだら、ワタシゃ新婚さんに訴訟をやらせることになりましょうが)のですが、さらにこのお客さま、必殺の牽制の一撃を僕に放ってきました。
聞けばこのお客さま、本日夕方事実上の新婚旅行におでかけだとのこと。彼の言によれば、おそらく使うのは中部国際空港18時30分発コンチネンタル航空904便。行き先はホノルルです。
この予定を聞かされたのが、和戦を決する最終交渉の1日前。
さすがの僕でもこれを聞いたときの自分の心境を正確に描写する術を知りません。意図して僕の行動を統制するためにそうしてきたならば大した客だ、というべき(そーゆー人は大好きですよ。同盟を組む相手としてはもう最高です)なのですが、ある程度美しく紛争を解決してみせたい僕にとってはこれで、出発日までに負けずに妥結して=心置きなく旅だってもらうようにお膳立てしてみせることが至上命題になったことは確かです。
とは申せ。そこはすずきしんたろう事務所です。必要により敵も味方も欺きます。
とりあえずこのお客さまを交渉前に軽く脅して&ちょっとした手管を駆使して(すいませんね)戦意を確認し、かつ毅然とした態度で交渉には臨むよう誘導しながら、僕は僕で相手の態度を一瞬で見切って(敵の机のうえに現金入りの封筒があるかを真っ先に確認した)態度を決して和解へ流れる行動をとり、かつお客さまにはいいようにしゃべらせながらもさりげなく決定権者とはしっかり書類のやりとりを進めて、なんとか取るものを取って現場からの逃走離脱に成功することができました。
さすがにこのあたりの思惑は、お客さまにも事前には言えず、現金奪取後の種明かし、となったのですが、まぁこちらはもう7桁の現ナマぶんどったあとなので、なんとでも言えます。ワタクシ勝たせたあとは、若干ながら態度がでかくなります(昼ご飯とか酒席とかで遠慮無くたかりますが何か?)けれど、その辺はご勘弁いただきたいところです。本来ならそうした形で顧客を手玉にとることはしたくないし、いつもは、やってないですよ。
本当に薄氷を踏む思いでしたが、ここまで僕にやらせた以上はキレイに旅立ってもらわないと困る、と勝手な思惑で夕方の空を凝視しておりましたところ、17時過ぎには雨も完全に止んで日が差してきました。青空対雲が1:1ぐらいの状態で、まずは一安心、といったところです。あとは前途のご安航を祈るとしましょう。そろそろ日付変更線を越えるはずです。ただ、一つの紛争に勝ったあとそれが実感できるのは少しあとになることが多いので、僕が彼らにおめでとうを言うのはもう少し先になるかもしれません。今は彼らに言えるのは、
あなた達は確かに勝ったのだし、それは自ら戦うことを決めたことで得られたのだから、それを誇ってよいのです。
と言う程度でしょうか。あとはまぁ、少しずつ幸せになってもらうとしましょう。あんまり上手く行き過ぎて幸福過ぎるのもストレスの種になるといいますから。幸か不幸か保険見直しだの相続対策だのでこの事務所を使う理由はまだあるようですからね。またのご利用を手ぐすね引いて心よりお待ちしております。
今回解決した事案はちょっとタイミングよすぎの大団円だったのですが、さてさて今日お会いしたご夫婦の事案はどうなりますやらね。
こんな小説じみた解決じゃなくていいんで、そこそこに上手くまとめたいです。欲はいいませんから(笑)
« 今度の相手は、司法書士 | トップページ | 鯖はよみがえった »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 眼鏡という沼への一歩(まず処方箋、2690円)(2023.06.02)
- 作る前にまず壊す、その前の記念写真(鉄道模型レイアウトの製作準備)(2023.05.23)
- 全自動洗濯機の使用方法に関する本職と補助者(さま)との見解に関する件(2023.04.30)
- キーボードを洗って過ごす週末(2023.04.23)
- 無事には始まらなかった20年目(春の特別企画としてPCの更新を始められる件)(2023.03.26)
コメント