課題となりうる側面:過度に理論的
いつも使っているクラウド反訳サービスの機能強化。録音内容を生成AIが分析していろんなことを言ってくるようになった。1時間ほどの打ち合わせ(裁判書類作成に関するもの)をサンプルにして僕自身の言動を評価させたらまずまず悪くない気がする。調子にのって自分にこの職業の適性があるか聞いてみた…そんな前回記事の続きです。先に出力結果を示します。
[話者1(僕)は法律関係者としての適性があるか]
話者1の法律関係者としての適性を分析すると、以下の特徴が見られます:
肯定的な側面:
1. 専門性
- 論理的思考能力
- 事実関係の精緻な分析
- 質問の構造化と体系的アプローチ2. 倫理観
- 公平性への高い意識
- システムの不透明さへの批判的視点
- 依頼人の権利擁護への commitment3. コミュニケーション能力
- 相手の感情に配慮
- 明確で理解しやすい言葉遣い
- 建設的な対話の維持4. 情報収集能力
- 多角的な視点からの情報分析
- 細部への注意深さ
- 追加情報への柔軟な対応5. 感情のコントロール
- 冷静さの維持
- 感情に流されない判断課題となりうる側面:
1. 過度に理論的
- 感情面への配慮が不足する可能性
- 実践的解決への柔軟性2. 慎重すぎる傾向
- 決断に時間がかかる可能性
- リスク回避的な姿勢総合評価:
法律関係者として高い適性を持っていると判断できます。
というわけで、表題の件。過度に理論的ですと(゚◇゚)ガーン
ちなみにこの相談、僕とは全然違う職業の方が依頼人です。
というわけで。僕がその方の職業に向いているか尋ねたところ、
○○としての直接的な適性は限定的であり、むしろ(その分野の)行政や政策、法律、研究などの分野に適性があると考えられます。
なるほど、限定的って上手い表現だな。AIのくせに気遣いを感じる(苦笑)
ちょっと悔しいのはこの分析について、補助者さまが眉一つ動かさずに賛同してみせたことです。
ここで適性を訪ねた職業、社会的にはちゃんとした人がつく職業だという評価を受けるはずのものでしたが…とにかく僕には向いてないのか。
そして補助者さまもそう思ってるのか(゚◇゚)ガーン
ここからは試行錯誤の時間です。本件が裁判書類作成の打ち合わせである、ということで。
欲望のままに入力した以下のプロンプトには、おおむね満足できる回答が示されました。
- 話者2(相談者)は話者1(僕)にどのような印象を持っているか
- 話者1は話者2にどのような印象を持っているか
- 話者2は関係者Aをどう認識しているか
- このインタビューを関係者Aの利害関係者が見たときに、Aにどのような印象を抱くと推測できるか
- 関係者Aは話者2をどう認識していると推測できるか
- 裁判官が話者2を見たときに、話者2が関係者Aに対して主張する権利の成立可能性
一方で、AIによる評価を問答の内容を通じて調整できるらしい、ということもわかりました。
話者2に向いている職業はあるか、という問いについて、話者1の発言を考慮させるか否かで回答が少し変わります。話者1の発言を排除せずに判定させると、話者2がなにやら論理的な人と評価されたうえでそれに向く職業を提示されてしまう模様。
さて、こういうサービスや出力結果、それを利用しようとする人に否定的な反応を示す人も多々いるとは思うのです。
ではありますがすでにこのサービスは存在し、まさに日進月歩の勢いで機能を向上させる、と考えねばなりません。
ここから教訓を得るとするならば。
これから数年の間に、振り込め詐欺は強烈に洗練されるだろうな、と(苦笑)
双方の対話をほぼリアルタイムに分析したうえで相手の心情を適切に推測できたなら、そしてその推測をフィードバックできたら、そりゃ振り込め詐欺に限らずすべての詐欺行為で飛躍的に人を騙しやすくなるに決まっています。
まぁ詐欺には限りません…今まではなんとなく厳しい怪しいヤバい、と事務所で感じていた案件や来訪者を早期に検出できるだろう、そうした芳しからざる来訪者が多かれ少なかれ僕に発揮していた印象操作に僕は対抗できるだろうし、僕自身がなんらかの操作をすることも不可能ではなかろう、とは思います。いい悪いはさておいて。
いずれにせよ生成AIの利活用には関心を持ち続けていないと、圧倒的な知識の差で一方的に騙されるような展開になりかねません。
もう一つ。
いまYouTubeやSNSでしょうもない発言を垂れ流している人、いずれAIによる分析対象になって社会的評価を決定的に下げるだろうな、と。
なぜか女性の依頼人でスピリチュアルな方向にコケる人を数年に一度見ます。
あの人たちが言う波動だの量子力学だの、は理系な人には聞くに堪えない言説なんですが…こういう事務所に相談に来るような問題を抱えていると非論理的非科学的な方向にコケやすいのかもしれません。インターネット上に散在するそういう黒歴史的な発言の蓄積をAIが収集して『この人は不利な状況下で冷静な対処能力を欠きます。事業に関する契約締結は推奨しません』などとAIが言ってくる…というのは未来ではなくいまでも実現可能、な気がしています。
まぁ僕のブログもそういう分析対象になる=ある意味ウィークポイントになることもあろうよ、というのは当然考えているのですが。
結局のところAIを使って何かを偽る(とは言わないまでも、何らかの目的で他人に与える印象を操作する)、それにAIを使って対抗する、という応酬がずーっと続いた果てに残るのはなんだろう、と考えると。
たぶん生身の人間が現に言ってることと、そいつがこれまで長期に残してきた発言等の記録(それは動画かSNSかウェブサイトか紙の本かはともかく、対外的に露出されていて分析可能なものは全部)がまずまず整合しているかどうか、それらを分析した結果を相手が気に入るか、というあたりに落着する気がするのです。
なんのことはない、注意深く誠実に振る舞うのが戦略的に最良ってのは電子計算機以前、くさび型文字ができた頃から変わってないじゃん…ということだとは思っていて。
当然ながら自分の相談態度の改善に、AIによる分析を地道に用いることにしよう/でも最終的には好き嫌いで決めるけどね(笑)というのが当事務所における対応になるわけです。
付録
時期を同じくして行われた二つの事情聴取の録音に、おなじプロンプトを放って分析させた結果を示します。両案件とも、訴状の作成に関する依頼人からの聞き取りです。
何かのはずみで当事務所に裁判書類作成の依頼を検討している方には、ご自身がどんなふうに事情聴取されるかを推測する手がかりにしていただける…かもしれません。
ご同業の方々には、ご自身による録音結果と比較する/僕の結果のほうをこっそり笑う、といった使い方もよいかと思います。
プロンプト:[このインタビューはどのような雰囲気で行われたか]
○案件1
このインタビューの雰囲気は、以下のように分析できます:
1. 協調的で友好的な雰囲気
- 互いに敬意を払いながら会話
- 相互理解を重視
- 率直かつ建設的な対話2. プロフェッショナルな対話
- 技術的・法的な詳細を丁寧に議論
- 専門的な用語を使用
- 具体的な戦略を共同で検討3. リラックスした親密感
- 冗談や軽いユーモアが散見される
- 気軽な会話のトーン
- お互いの立場を理解し合っている4. 問題解決志向
- 具体的な課題に対して前向きなアプローチ
- リスクと対策を共に検討
- 相互に提案や意見を交換5. 信頼関係に基づく対話
- 互いの専門性を尊重
- 忌憚のない意見交換
- 共通の目標に向かって協力6. 知的で分析的な会話
- 多角的な視点から状況を分析
- 論理的な推論と議論
- 詳細な情報交換全体として、非常にポジティブで生産的、かつ友好的な雰囲気のインタビューと言えます。
○案件2(伏せ字にした箇所は、すべて違う文字が入ります)
1. 詳細な事実確認の雰囲気
- 非常に丁寧かつ systematicな質問
- 細部にわたる事実の確認
- 時系列や具体的な状況を逐一確認2. 批判的・分析的な対話
- ○○○○制度の問題点を深く掘り下げる
- ○○○○の指導方法に対する批判的な視点
- 制度の不合理性を浮き彫りにする意図3. やや重苦しい、抑圧された雰囲気
- ○○○○的状況の詳細な聞き取り
- 精神的な圧迫感を感じさせる対話
- 不当な扱いに対する怒りや frustration が背景に4. 共感的な理解
- (相談者)さんの立場や感情への理解
- 不合理な状況に対する共感
- 被害者の心情に寄り添う姿勢5. 専門的かつ法的な調査の雰囲気
- 証拠となる詳細な事実関係の確認
- 法的な観点からの分析
- 客観的な事実認定を目指す6. やや緊張感のある対話
- 繊細な話題に対する慎重な質問
- 感情的にならない冷静な対話
- 事実関係の正確な把握を重視全体として、非常に真摯で、詳細な事実確認を目的とした、やや重圧感のあるインタビューの雰囲気と言えます。
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