カテゴリー「本人訴訟」の記事

面談不要で全国対応する業務のご案内について

一部の裁判書類作成について、事務所への来所不要で受託する扱いをはじめています。

詳細は当ブログ『面談不要で全国対応する業務のご案内』をご覧ください。

この記事は6月いっぱい、当ブログの一番上に表示しています。

控訴理由書が出てこない

日曜日は周りの工場もお休み。爽やかな風が吹く、静かな夕方です。

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午後から答弁書を書いて過ごしているのです…が。困ったことになっています。

控訴人が、期日まで2週間になっても控訴理由書を出してこないのです。

それ自体は業界内でもよくあることで僕も見たことありますが、今回は相手に職業代理人がついていないのが特殊です。その他の士業が関与している形跡もありません。

適切でない書面に対して裁判所が形式論理で請求棄却の判決を出し、控訴審でもその人の相手をすることになったのが僕、ということになっています。

こうした適切でない本人訴訟、状況や目標によっては悪くないのです。一般的にはそうした人が訴訟を起こした場合、たとえば適当に盛り付けた慰謝料額100万円の訴状出すのに必要な実費は印紙代切手代込み1万7千円程度で済みます。

一部の裁判所はこうした人が出す訴状になぜか寛大で、請求額9千万円超えの損害賠償請求訴訟(不法行為による、本気で書けばかなり複雑な案件)が本文数行しかない訴状で受理されちゃった例をみたことがあります。

そうした本人訴訟でも、被告側が弁護士を選任して迎え撃つには最低10万円から、通常は請求額に比例した着手金と請求を排除した金額に比例する成功報酬がかかるわけです。

つまり。凄く不謹慎な言い方をすると民事訴訟(特に、不当性が高いがギリギリで不当訴訟とはならない針小棒大な請求をでっちあげるもの)は『自分が出したお金の十数倍以上のお金を敵に使わせることができるゲーム』という面を持ってしまうことがあります。

だからかもしれません。第一審で弁護士に費用を出しすぎたのか、第二審で本人訴訟に切り替えてくる、という人は当事務所の依頼人にもその敵対当事者にも、時折見かけます。

おそらくはそうした出血増大効果を、第一審の提訴段階では相手も狙ったかもしれないのですが…残念でした。

こっちには司法書士がついてしまったのです。弁護士じゃなくて(苦笑)

この事案でも僕は順当に裁判書類作成=1件数万円の賃労働に徹しておりまして、成功報酬など発生しないのです。

当然ながら実務の趨勢=控訴審は第一回で弁論終結になる、ということを見越しての受託です。もし弁護士の報酬基準で訴訟代理できたら、一ヶ月事務所が回っていくだけの売り上げが立つ事案なのに。

さらに切ないのはこの相手がほんとうに適切でない書類を作ってくれることでして、あちらが出してきた書面について重要な箇所ごとに

  1. 書いてあることの意味はよくわからないが
  2. ○○であると解される
  3. というわけで、否認し、争う(笑)

といった主張をこちらで繰り返さなければいけません。

立証責任は先方にあるんだから放っておけば自滅するんじゃないか、と言われるのですがこうでもしないと議論が永久に進まない弊害がありますし、原告席にも被告席にも対応能力に問題のある人が座ってるんだ、と裁判官に思われるのはあまり愉快ではありません。それだから本人訴訟はダメなんだよ、などと弁護士に言われるのはさらに嫌です。

それに、万一そうした意味不明理解不能に見える訴状や準備書面を放置しておいて、裁判所のほうではどうにかして主張の内容を把握できてしまった(期日で丁寧に釈明権を行使するなどして)場合、こっちが反論を怠ったことになる=不利になる可能性もあります。これが最悪中の最悪です。

相手側が言うことだからといって、単に意味不明として放置することはあまりよくない、という話をもう一つ。

ある事案で、相手側の主張を一部理解できる、という表現をする書面を作ったところ、文案にお客さまから物言いがつきました。

どうも理解を示すと言うことで不利になることを心配しているようです。そうではなくて「ここでの理解という語は、『英語に翻訳可能な日本語の文章として内容を把握した』という程度の内容しか含みません」と説明して付け加えました。

そうしたことを言い続けると、理解力が低い人と思われてしまう可能性がありますが

と。訴訟および訴訟につながる紛争は最終的に第三者=裁判所が見てるところで争うことになりますので、主張の当否や立証の充実もさることながらその第三者から見て少しでもましな挙動を示せるようにはしておいたほうがいい、と思っているのです。


ちなみに。

当事務所の裁判書類作成業務において、高裁控訴審での逆転勝訴・逆転敗訴判決をそれぞれ一例ずつ実現して(させられて)しまったことがあります。詳細は言えませんが、労働訴訟ではありません。労働訴訟に限っては大丈夫だと思って受託し大丈夫なまま終わった事案ばかりなのでいいのですが、大丈夫じゃないと指摘して受託に至らず、逆転敗訴したと事後報告を受けた事案が数件あり、いまでも時折複雑な気分になります。

簡裁→地裁への控訴で逆転は勝訴が一例ありまして、これは東京簡裁での残業代請求訴訟です。

つまり簡裁では敗訴したわけでして…実は簡裁(特に、大規模庁に提起する労働関係訴訟)のことを僕、あまりよく思っていなかったりします。ごくまれに、理解力に凄く問題がある裁判官&司法委員に当たってしまうから。

週に一回山向こうの街にある地裁支部から地裁の裁判官が転補されてくる、といった田舎の簡裁が好きなのは、傍聴に行けばその道中が楽しいのと(笑)訴訟の品質が安定しているから、なのです。

緊急事態宣言が解除になった県からのご依頼、来月からは増えるといいのですが。

2019.11.19修正

事例紹介:少額で利用可能な遺産分割調停について(審判書)

前回記事に続き、中山間地域で売却価格や評価額の高くない土地の相続登記を促進するために遺産分割調停を使った事例の紹介です。この紹介にはお客さまの許可を得ています。

以下、審判書は関係者の氏名等を伏せ字にし、価格などの金額については事案の性質を失わない程度の改変をしています。改変箇所には下線を付しました。


第1 審判書

主文

1 当事者双方は,①被相続人の相続関係が別紙相続人関係図のとおりであること,
②別紙遺産目録記載の財産が被相続人の遺産であることをそれぞれ確認の上,これを次のとおり分割する。

(1)申立人は,別紙遺産目録記載の土地を単独取得する。
(2)相手方らは,いずれも遺産を取得しない。

2 当事者全員は,これまでに負担した別紙遺産目録記載の土地の固定資産税及び同土地上に存在した建物の解体費用について,他の相続人にその負担を求めないこととする。

3 当事者全員は,以上をもって,別紙遺産目録記載の被相続人の遺産に関する紛争を一切解決したものとし,本件に関し,当事者間に何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。

4 手続費用は各自の負担とする。

理由

1 本件申立ての趣旨は,被相続人の遺産の分割を求めるというものである。

2 本件の相続関係は,別紙相続人関係図のとおりである。

3 別紙遺産目録記載の土地(以下「本件土地」という。)が被相続人の遺産であり,その評価としては,固定資産評価額と同額の75万8104円と評価するのを相当と認める。

4 本件土地上には,かつて被相続人所有の建物が存在していたものであるところ,同建物は,老朽化が進んだこともあり,自治体の指導を受け,平成27年12月に取り壊された。その解体工事費用約130万円は,申立人,相手方d,相手方e,相手方f及び相手方gが負担している。また,本件土地の固定資産税については,現在,申立人において納付している。

5 遺産分割の方法について,申立人は,本件土地を単独取得すること,代わりに,本件土地の固定資産税及び本件土地上に存在した建物の解体費用については,他の相続人に分担を求めないことを希望している。他方で,相手方らは,いずれも本件調停期日に出頭しないが,当裁判所に提出された回答書によれば,いずれも遺産の取得を希望せず,自己の相続分は放棄したいと述べている。

6 以上の事情によれば,申立人の希望するとおり,申立人に本件土地を取得させ,相手方らは遺産を取得しないとの内容により,被相続人の遺産を分割し,併せて,本件土地の固定資産税及び本件土地上に存在した建物の解体費用の負担についても,現在の負担者から他の相続人に対して負担を求めないとの形で清算することが相当である。このようにしても,申立人以外に本件土地の取得を希望する者がいないこと,相手方d,相手方e,相手方f及び相手方gにおいては,本件土地の固定資産税に係る分担義務を免れ,相手方h,相手方i及び相手方Yにおいては,これに加えて建物解体費用の分担義務を免れることに照らせば,当事者間の公平を欠くことにはならない。

したがって,家事事件手続法284条1項により,主文記載の内容で調停に代わる審判をすることが相当であると認め,調停委員会を組織する家事調停委員2名の意見を聴いた上,当事者双方のために衡平を考慮し,一切の事情を考慮して,主文のとおり審判する。

日付・裁判所名・裁判官名


第2 所感

…うまく行き過ぎました(笑)

狙って実現した結果ではありますが、家庭裁判所ってところもなかなかいいな、と思わされたところです。

第3 相続登記と費用(審判書による相続登記 合計32120円

③司法書士報酬 税込合計28600円

  1. 評価証明書取得代行 3000円
  2. 所有権移転登記申請書作成 20000円
  3. 登記申請代理 3000円

④実費 合計3520円

  1.  郵送料 520円(依頼人宅への書類返送のため)
  2.  登録免許税 3000円(評価額75万8千円の0.4%の額)

調停申立を経て調停成立あるいは審判確定となった場合の相続登記はずいぶん楽です。

戸籍謄本類は登記申請時には添付不要です。つまり遺産分割調停申し立てで提出したものが返ってこなくても実害はありません。

被相続人の登記上の住所と死亡時の住所は審判書に示されているため被相続人の住民票の除票も不要、当然ながら遺産分割協議書や各相続人の印鑑証明書は一切不要、ということになっています。このため、本事例で審判確定後の相続登記における添付書類は

審判書+確定証明書(登記原因証明情報)、Xの住民票、本件土地の評価証明書、司法書士への委任状

のみとなりました。相続関係図が審判書に綴りこまれているため、相続関係説明図も不要です。祖父A→父B→依頼人Xという順で相続が発生していますが、この審判書を使えば相続登記は1回でできるのは同内容の遺産分割協議が裁判外で成立したときとおなじです。

このため相続登記の費用も安く済みました。

結果、前回記事(遺産分割調停申立書作成・添付書類収集)まで含めた相続登記完了までの実費込み総費用は11万1830円となりました。

内訳は次のとおりです。

司法書士報酬

①遺産分割調停申し立てまで 43200円
③相続登記申請 28600円

実費

②遺産分割調停申し立てまで 36510円
④相続登記申請 3520円

このうち土地価格に比例するのは④(相続登記の登録免許税。本事例では実際とは少し数値を変えており、評価額75万円余という設定で計算するとこうなります)、相手方その他の関係者数により増加するのは②(本事例では相手方7人分の予納郵券・30通の戸籍除籍謄本類を含む添付書類収集費用)です。

ただ、前回記事に出した僕が起案している『申立ての実情』はあれだけで6枚に達したので、次回以降の受託では枚数に応じて司法書士報酬を加算するかもしれません。当事務所報酬額基準でも2ページ分、1万2千円は加算可能だったようです。

僕の場合、やる気スイッチが入ってしまうと書類作成枚数カウントスイッチが切れることがたまにあるのです(苦笑)

第4 注意点と寸評

本事例は『売却価格や評価額が安い』不動産の相続を巡る紛争を『その不動産に関して投入した費用(家屋解体費用)が土地売却で期待できる売却金額を超える』状況下で解決できたものです。

ただ、本事例の考え方は管理に手間を要したり価値の低い山林が遺産分割協議不成立→相続未登記になった状況を解決するのにも有用と考えます。

上記審判書の内容を当ブログのいつもの表現で要約すると

『申立人が自腹切って赤字で終わるんだし、ほかにこの土地が欲しい人もいないみたいだし、だったら申立人がタダで相続しちゃっていいことにするから後はちゃんと売ってしまえよ』

ということになります。常識に合致する妥当な結論というほかありません。

しかし、遺産分割調停申立書を作成・代理する人によっては、土地の相続と土地上にあった建物の解体費用負担はまったく別の話だ、と判断して申立書に盛りこまない、という判断もありえます。

仮にこの土地上にあって解体された建物が、祖父Aではなく父Bが建てたものならこの遺産分割調停申立に経緯を取り込んでC側に費用負担を押しつけることはまずムリです。

今回の申立では『もともと祖父が住んだ建物なんだから祖父の遺産だ・それを町から指摘されてやむを得ず解体した以上、遺産に関して発生した費用なのだから祖父のすべての相続人が負担すべきだ(が、父以降の世代がこの家に住むことができた利益に関してはまぁ黙っておくことにしよう)』という内容だったから上記の結論になったと考えねばなりません。

※ただ、相手方に僕みたいな人がついて上記の観点で反撃されたとしても『父以降の世代が居住開始した時点で建物は十分古かったわけだから、居住によって得られる利益も少ないし、そもそもこの建物が空いたからC側が住む、という可能性もなかった』とか再反論を企てるとは思います。

いずれにせよ、僕が絶対の自信があって遺産分割調停申立書を完成させたわけではありません。

相談から申立までに内心ではあれこれ考えたが使わずに済んだ反論や論理構成は、いくつもあったのです。このことは、適当な検索エンジンからやってきてこのブログにたどり着き、同様類似の事案が見つかったと嬉しくなってしまった軽はずみな方には気をつけてほしいと思います。

司法書士の職能上の限界として僕の判断は自由に外に出せない=家裁の調停申立事案で自由に法的判断を示したり方針を推奨する法律相談ができない関係上、いろいろ考えはしていますが当事務所への依頼により適切な選択肢にすぐに楽に導く、ということもできません。

お客さまにはゆっくりお話いただいて、いまどうなっていて今後どうなったらいいか…を十分よくお話しいただく必要があり、まぁそれに何時間かはかかります。

その結果この人じゃ本人訴訟はムリ、と僕が判断すれば採算割れが明白なのに弁護士の利用を推奨することもあるかもしれません。

ただ、誰が本人訴訟に向かないか、について老若男女職歴学歴は関係ないようです。東京六大学クラスの学歴持った男女が時折ポロッと脱落していくのを見ることがあります。

そうした代書人の事務所ではありますが、今後もこうした中山間地域で価値が高くない不動産の遺産分割未了・相続未登記案件でなにかできるかもしれない(そして、それはお客さま次第だ)というお話しでした。

事例紹介:少額で利用可能な遺産分割調停について(申立書類作成)

 お客さまの許可を得て、遺産分割調停の申し立て事例を紹介します。

特徴は、課税価格が高くない(本事例では評価額100万円未満)不動産について、本人申立てにより比較的安価に所期の成果を達成したことにあります。本事例では相続人の一人と合意に至らずに遺産分割協議が頓挫していましたが、当事務所で受託後は任意での交渉から調停手続きの利用に方針変更しました。

結果、申立人が調停の期日に(家庭裁判所に)出頭したのは一回で済み、申立人が無償で目的不動産を取得する審判を得ることができました。

遺産分割調停の申し立て対象としたのは宅地ですが、評価額の高くない林地やその共有持分の相続未登記問題解消についても応用可能な事例だと考えます。

以下、説明には事実から若干の改変を加えました。改変箇所には下線を付しています。


第1 相談概要(受託1ヶ月目)

初回の相談で、概ね以下の説明がありました。

○親族関係

  1. 依頼人Xは甲県の某町に実家があったが、現在は別の乙県に居住している
  2. 甲県某町所在の本件土地は、依頼人の祖父Aが登記上の所有者である
  3. 祖父Aは50年以上前に死亡。依頼人の父Bもその後死亡した。
  4. 祖父Aの子はBのほかにCがいたが、死亡。BCともに子がいるため数次相続が発生。
  5. Bの子は依頼人Xのほか、d・e・f・gの計5名。Cの子はi・h・Yの3名。合わせて8名が祖父Aの法定相続人である。
  6. 本件ではC側の家族に交渉を阻害する者Y'(法定相続人Yの関係者)がおり、相続登記に必要な遺産分割協議が成立しない。ここ数年はYと意思疎通すらできていない。
  7. 依頼人は最初に依頼した地元司法書士と複数回現地に行って打ち合わせなどしたが、手続きは進行せずここ数年はその司法書士から連絡もない

※ここだけいつもの表現を用います。本件は裁判書類を作らないヘタレが放り出した事案だ、という点に僕のやる気の割増要素がありました

○不動産の状況

  1. 本件土地の固定資産税の納税は、A死亡後はB、その死亡後はXがしている。
  2. 数年前までは本件土地上に建物があったが、父B死亡後は空き家になった。
  3. その後、老朽化のため建物の解体または修理の要請(強制力なし)が某町役場からあった。
  4. このためBの子たち(Xの兄弟)5名が費用を出し合って建物のみ解体。解体費用130万円
  5. 建物もAの所有だったが解体に際してC側相続人からの同意はとっていない。遺産分割協議に際して、この経緯は問題にはなっていなかった。
  6. Aには本件土地のほかに、遺産はない模様。
  7. 本件土地には買受け希望者がいる。希望価格70万円で、固定資産税の評価額とほぼ同じ。

○依頼人の意向

  1. 祖父Aの全法定相続人の客観的状況として、この土地を相続したい者はいない。
  2. このため、いったん自分(依頼人X)を所有者とする相続登記を実現してから、買い受け希望者がいるうちに売却したい。
  3. この土地が売却できればC側親族に建物解体の費用負担を求めるつもりはない。

●僕の判断(内心)

Y夫妻をどうにかしてしまえばよい。したがって家事調停の一択。

  1. 言動から察するに、YとY’は調停手続を利用して隔離すれば無力化できる。また、単純な相続分と不動産の市場価値からすれば相続人一人あたりの価格は10万円台にとどまる。
  2. ゆえに敵側での弁護士代理人の選任は当然ありえない。司法書士への依頼も厳しい。少なくともコストパフォーマンスでみる限り、士業による反撃の可能性は無視してよい。
  3. 依頼人の説明は調停申立書に記載すべき事項を十分網羅しており、僕は単に書類を整序すればよい、ということにできる。
  4. 遺産分割調停の結果得られる最悪の結論は、家屋解体費用を無視して土地売却後の売却金分配または代償金支払いを命じる審判である。
  5. しかし、もしYが本気でこれら金員の支払いを求めてくるようなら、支払督促かなにかで家屋解体費用を請求してしまえばよい。
  6. この請求は手持ちの簡裁代理権で対応可能。Yへの対応にはなんの問題もない。

まぁ、C側があまりゴネるならB側陣営が全員結託してC側に不動産と納税義務をまるごと押しつけて逃げる、という戦術も一応ある(僕の内心です。説明はしていません)

○僕の相談(外見)

  • 任意での交渉を経て遺産分割協議を成立させるのは一般的なことであり、従前依頼していた司法書士さんもそれを試みられたようですが、お話を聞く限り今後も交渉成立の可能性は薄いようです。
  • このように遺産分割調停がちょっとした理由で成立しない場合にも家庭裁判所での遺産分割調停が利用でき、当事務所でも代理はできませんが申立書類を作成することはできます。
  • 実費と申立費用は皆さまがお考えほど高くはありません。
  • また、お客さまが私にお話いただいている発言内容からして、代理人なしで調停を申し立てても調停委員との会話に困ることもないかと思います…
  • ですので気が向いたら、そうした書類作成のご依頼をご検討ください。

等の助言をおこなった。

その後、家庭裁判所に提出する遺産分割調停申立書作成および添付書類収集を受託した。

第2 申立書の作成(受託2ヶ月目)

土地が売れれば家屋解体費用は相手に請求しなくてよい、という依頼人の説明を整序することを基本方針とした。

このため、(少々強引かもしれないが)家屋解体の経緯と費用に関する説明を追加し、さらに依頼人から聞いた意向を申立人が希望する調停条項として整序したところ、後記の申立書文案が依頼人に採用された。

本申立書による遺産分割調停申立で実現可能な最良の結論は、申立人が代償金の支払いを要することなく=無償で本件土地を取得してしまうことにある。

ただ、土地上の家屋の解体は一部の法定相続人の承諾なくおこなった相続財産の処分という面を持つ。このため申立書案では『町から行政指導を受けたので』建物を解体した、という説明をした。

注:この部分は、単に建物が老朽化しただけだったり建物の名目上の価値が大きい場合に難しい問題になります。相続人の一部の同意があるから勝手に家を壊していい、とは考えません。

以下、関係者の氏名や遺産目録など定型的な部分は省略して『申立ての実情』のみ掲載します。■はチェックした欄、□はチェックしなかった欄を示します。『その他』という項目はないのですが、追加するのは申立人の自由、ということになっていると考えてください。


遺産分割調停申立書文案(申立ての実情)

1 遺産の範囲
□申立人主張の遺産の範囲は遺産目録記載のとおり
■その他 (遺産目録土地上に家屋があったが、解体した。詳細は後記の通り)

2 遺言書の有無
■ない

3 遺産の使用・管理状況
■ 不動産
  現在は誰も使用しておらず、更地である。

4 当事者間における分割協議の有無
  協議をした(3~4回)
  協議がまとまらなかった経過は次のとおり
 相手方Y以外の各相続人とは、申立人が本件土地を相続する旨の調整ができた。Yにも同様の申し入れを電話・手紙で試みたが、Yの孫であるY’が介入するため本人と直接交渉ができない。

5 遺産分割方法について

■ 自分の希望は次のとおり
   遺産目録番号(1の土地 )を取得したい。
   詳細は後記の通り
■ 相手方の希望は次のとおり
  相手方Yの希望は不明であるが、遺産目録記載の土地を取得したいという意向は示されていない。

6 特別受益・寄与分の主張について
(1) 特別受益の主張をする考えが
   ない
(2) 寄与分の主張 をする考えが
   ない

7 相手方について
 (1) 相手方は本件申立てがなされることを
   知らない
 (2) 相手方が代理人に弁護士を選任しているか,またはその見込み
   不明

8 その他
(1) 申立人と被相続人の関係
 被相続人Aは、申立人の祖父である。
 被相続人の子3人は全員、すでに死亡した。
 長男○○には子がない。
 長女Cには人の子がいる。長女がY、長男である亡●●の代襲相続人がh、次男がiである。
 二男Bには人の子がおり、いずれも生存している。

 被相続人は亡Bの長男である。B夫妻が本件土地上の家屋に住んでいたこともあり、現在は本件土地の固定資産税の納税義務者の地位にある。本申立ての遺産分割に際して、亡Cの相続人である相手方Yとの協議が成立せず、本申立てに至った。

(2)主たる相手方について
 相手方Yは、被相続人の長女(亡C)の長女である。
申立人は本件遺産分割について、亡Bの相続人名の意向をとりまとめたうえで平成27年から28年にかけて、相手方Yに遺産分割に関する協議を申し入れた。
しかし、その都度Yの孫であるY’が介入し、被相続人には他に遺産があるはずだとか、Yが精神的に疲弊しており交渉ができないなどと回答し、Yに対する直接の連絡を妨げている。

 このため申立人は遅くとも平成28年以降現在まで、Yと手紙・電話・面談等による交渉ができていない。

(3)被相続人の遺産について
 本申立書に記載した土地以外に、被相続人の遺産は存在しない。
 少なくとも、申立人は把握していない。調査の経緯は以下のとおりである。

 申立人には某町役場から毎年、本件土地の固定資産税の課税明細書が送付される。課税明細書には本件土地以外に不動産の記載はない。
 被相続人について、ほかの市区町村役場から固定資産税の納付を求められたことは全くなく、ほかの相手方からもそうした話は聞いていない。

 相手方Yの孫Y’は本件遺産分割の交渉の過程で、被相続人にはほかに遺産を有するはずだと述べたことがあった。しかし、特に財産の所在や根拠を示したわけではない。
 このほか被相続人の財産あるいは負債について申立人や相手方に、第三者から連絡がなされたことはない。ただし、後記の建物解体に関する連絡のみ存在した。

(4)被相続人が所有する建物の解体について
 被相続人は本件土地上に建物を所有し、昭和35年の死亡まで居住していた。その後、被相続人の妻および二男らがこの建物に居住した。
 被相続人の二男Bの妻である△△が平成年に死亡して以降この建物に居住する者はなくなり、申立人をはじめとする亡Bの子(被相続人の孫)が時折訪れる程度に使用していた。

 平成27年3月、某町建設課から申立人に対して、本件土地上の建物を修繕するか解体する等適切に管理するよう求める行政指導があった。そこで申立人をはじめとする亡B相続人5名は費用を負担し、平成27年12月にこの建物を解体した。要した費用は総額130万円である。相手方Yら亡Cの相続人3名は、この費用を負担していない。

 解体前の建物の状況は、某町からの文書では『屋根上の石やトタンの飛散により被害を及ぼす可能性が』あるとされており、文書に添付の写真でも道路に面した屋根が大きく剥がれている等、居住に適さない状況であった。

(5)本件土地の現況と買い取りの希望について
 もともと本件土地上の建物は隣地にある建物(現在の居住者 甲)とつながっていたものである。
 このこともあり、解体工事後は甲氏から申立人に対し、本件土地を70万円で買い取りたい旨の希望が示された。
 被相続人Aの各相続人のうち某町に在住するのは亡Cの子iのみである。この者も含め、相続人にはこの土地を取得したい者がいない。

 本件土地の今年の固定資産税課税上の評価額は75万円であり、隣人への土地売却で確定測量も要しない(土地売却にかかる費用として測量作業に20~40万円を要することは公知の事実と考える)ことも併せて考えれば、本件土地を70万円で売却することは概ね妥当というほかない。
 このため、申立人としては、本件土地をいったん申立人が相続し、すみやかに甲氏に売却し、売却金は建物の解体費用の一部に充当して、C側の相続人である相手方Yおよびh、iに負担を求めることなく遺産を処分するのが妥当と考えている。
 この案は相手方Y以外の全相続人の内諾を得ているところであるが、Yの孫であるY’が妨害するため手続きがまったく進んでいない。

(6)結語
 本件は価値のある遺産を取り合う争いではなく、申立人が費用を負担して祖父の家の後始末をする性質の申し立てである。望ましい条件で土地が売却できても、申立人ら兄弟にはまだ家屋解体費用の負担が残る。

 申立人としては建物の解体費用および申立人が負担した固定資産税についてYに対し、法定相続分相当額を請求することもできると考えているが、本申立てにより調停が成立するのであれば、Yに対して特段の費用負担を求めないこととしたい。
 ただし、これまで述べたとおり建物解体費用まで含めれば被相続人の財産は存在しないどころか申立人をはじめとする相続人に金銭的負担を残す事案であることから、可能性として代償分割を命じられるとしてもYに代償金を支払うことは妥当とはいえない。

以上のことから申立人としては、以下の調停条項を提案したい。
1.申立人は無償で本件土地を取得すること
2.申立人は本件土地を売却し、本件土地および建物の保有および解体に要した費用は、Yおよびh、iに負担を求めないこと

以上

 


第3 費用 総計79710円(調停申立書提出まで)

①司法書士報酬 税込合計43200円

  1. 家事調停申立書作成 30000円
  2. 添付書類収集代行 10000円

②実費 合計36510円

  1. 評価証明書(1通)・登記事項証明書(1通)戸籍謄本類(30通)発行手数料、郵送料、定額小為替(31枚)発行手数料 計22470円
  2. 申立書に貼付する収入印紙代 1200円
  3. 申立書に添付する予納郵券(切手代) 12840円(相手方7名分)

第4 調停終了(受託5ヶ月目)

申立書提出の約2ヶ月後、第一回期日が指定された。

期日には申立人を除き、全員欠席。家裁が各相手方に意向を尋ねる文書には、期日前に全員が回答した。

裁判所は第一回期日で調停終了、審判を出す旨を申立人に伝えた。期日の約1ヶ月後に審判が出され、相手方が異議申立をしなかったため確定した。

【準備中】裁判書類作成受託時の本人確認・意思確認を面談不要とする扱いについて

来月までに、一部の裁判書類作成業務で受託時に直接の面談を不要とする扱いを始めようと思います。

本人確認書類と本人との対照をテレビ電話で行う作業行程をどこかに入れるのと、本人限定受取郵便による業務委託契約書送付を併用するつもりなのですが、世の大部分の人が使えるテレビ電話なんてあるのかね…と思っていたら。

よりによってと言いますか、仕事でも私用でもできるだけ関わらずに暮らしたいと思っていたLINEがそうした機能を標準装備しています。

しかしながら、これを使おうとすると当事務所のLINE公式アカウントのほうが対応していません。アプリとしてのLINEは商用利用不可、ですのでこれを利用することは規約上できない、ということになっており、やっぱりここでもLINEは邪魔だ、ということで検討終了しました。

あとは…こちらも嫌なんですがFacebookページ(っていうんですね。Facebookの商用利用可能なサービス)を導入してメッセンジャーの機能を使い、Skypeと併用するようにしておけば少しはよさそうです。

対応可能な業務は地裁家裁の通常訴訟は不可としておいて(これを本人訴訟でやり抜ける人材かどうかを見抜くのは結構難しく、受託へのハードルを下げたくないのです)、シンプルな労働審判手続までは可、少額な給料未払いは歓迎、とするつもりです。

こういうご時世だから始めるサービスではあるのですが、労働紛争を裁判手続きに乗せたいとき、近隣にいい事務所が見つからない、という問題は新型コロナウイルス問題が収束しても当然残るはずです。請求額が小さい案件を中心に受託余地を残して、細く長く使えるように育てたいと思っています。

あまり対応可能範囲を増やして自分が出張できる可能性を減らしたくない、という葛藤もあったりするのですが(^^;)

やりがいとしての整序(または、裁判書類の『編集』)

昨晩気づいたのです。研修単位を8.5単位しか取ってないことに。

ご同業の方ではない読者さんに説明しますと、この業界では毎年度最低12単位の研修受講義務が定められています。1単位の取得に約1時間を要します。

で、単位が取れなかった旨は業界団体が出す名簿で開示され、さらに素晴らしいことにはそれ(←単位取得状況!)を見てから当事務所への依頼を決意した、というお客さまがすでに存在している、ということです。

そんなわけで、3月31日の朝。

まず作成中の裁判書類について、1部32枚全2部のジョブを10年もののカラーレーザープリンタに発行しました。

このプリンタはもう半年前から普通紙設定での印刷ができず(世の多くの人なら故障というでしょう)、印刷する媒体を必ず光沢紙に設定して定着器の温度を上げ印刷速度を落とせば普通紙にも、なんの問題も無く印刷できるのです(当事務所ではここに注目しています)。

カラー印刷の速度、だいたい2枚弱/分(わらうところ)

やがてワケありの鶴が機(はた)を織るような音が隣の部屋から聞こえだし、僕は安心しつつ業界団体連合会のウェブサイトを開きます。

ずいぶん便利な世の中になりまして、単位取得義務はあるのですが研修は全部、e-ラーニングで取得できるのです。

プリンタが出力を終えるのに、たぶん1時間かかるはず。速度は遅いが重走や紙詰まりは滅多に発生しない、そんなCanonのLBP5050は名機なのです(苦笑)

で、これは会場で受ける研修でもよくあることですがレジュメを勝手に読み進めます。

同業者さんなら誰でも知ってる松山地裁西条支部の判決とその控訴審判決、不利なほうに傾いた高松高裁の判決をもう一度読んでみますと

『嘱託人の嘱託の趣旨内容を正確に法律的に表現し司法 (訴訟) の運営に支障を来たさないという限度で、 換言すれば法律常識的な知識に基く整序的な事項に限って行われるべきもの』

裁判書類の作成に際して発揮が許容される僕の判断作用はこうしたものに限られる、ということになっている、いわば僕が独自の法的判断を及ぼしてよいものではない、のですが

ここ数年、この立場が大変居心地がいいのです。

嘱託人側の法律常識ってやつがインターネットのおかげで顕著に向上した結果、昭和時代は非現実的だった控訴審判決の発想が現実的になっちゃった(苦笑)のが最大の理由ですが…そんな世の中であってなお知識が十分でない方については依頼を拒否する正当事由になるから、という後ろ暗い面もあります。

この部分、上位互換の職能との対比で代理権やら法律的な判断可能な範囲の拡大だのなんだの、という議論だけが盛んなのですが実はそんなのあまり関係ない、と僕には思えてならないのです。

上記の制限を無視しろ、というわけではありません。当事務所ではかなり厳密に(ときには依頼人に、他事務所への相談の手間を強いて)守ってると思います。

その上で、読み物としての裁判書類を読みやすく読み手が納得しやすく作る、という作業にやりがいを感じてしまうのです。

裁判書類でなければ整序というより『編集』というでしょうか。

たぶんですが、2年前に僕自身が初めての著書を出す過程で編集者さんとの共同作業を経験したことに触発されていると思います。法的判断(が、できる範囲の拡大)を前面に出さなくても文章表現や構成を工夫することで読み手の心がなにか動く、その結果として依頼人に有利な変化か敵側に不利な変化が生ずる、という余地は裁判書類にもあるのではないか、と。

その一番後ろ暗い楽しみはふだんの言動に問題のある敵を向こうに回した案件で、『あいつは●●だ』というような直接的な表現を使わずにそれを伝えることであったりするのですが(苦笑)

言い換えると、訴状提出後にそれを読んだ敵側の士業が、『こいつ(被告)から依頼受けると絶対面倒だよな/余所へ回すか着手金上げてやろう』などと思わせる方向で心を動かしてやれないか…そうしたことをときどき考えたりします。

もう少し綺麗な活動ももちろんします。他の方が作った裁判書類で記憶に残っているのは、動産売買の先取特権に基づく債権差押命令申立書の申し立て書類に図を入れて事実関係を説明してあった東京の大法律事務所です。

やっぱり雑誌のランキングに載るようなローファームが一流企業の依頼を受けて動くと申立書も洗練されたものが出てくるよなぁ、とそのとき思わされました。

※そのとき僕は、彼らが差し押さえる債権に残りがあるのを見切れたので一般先取特権での債権差押命令申立書を作り、競合になった債権者に随行してその大事務所が作った申立書類一式を謄写することができたわけですが…おかげで滅多に手に入らない資料をゲットできました。

そうした経緯ももともとありまして、図を入れるとか説明文の構成や表現を工夫する、といった法律的判断そのものは不要な=依頼人が示した事実を読みやすく整序することにいろいろな楽しみを見いだしているところです。

いま印刷している書証にはそんな要素はありません。

という表現に『本文では派手にやってるんだけど』という表現を付け加えるかどうか、そうした工夫をする余地が、陳述書や準備書面にも多大にあるような気がしているのです。提出先が裁判所なんで法律上の規制がかかっているから普通のライターさんや編集プロダクションでは仕事できない、市場として開かれていない、というだけで。

そのような…代書人としてあまり法律判断はしたがらない(もちろん口に出さないだけで、思考停止してるわけじゃありません)裁判書類作成の相談・書類添削および作成も当事務所ではお受けしております。ご興味がありましたらお問い合わせください。

同業者の下品なウェブサイトに興味がありまして(面談での本人確認をパスできる正当事由を探ってみる件)

こいつはとびきり下品だ、と思えるウェブサイトがあります。

関西地方某県に事務所がある同業者のもので、残業代請求のサイトができていたために気づきました。おそらく自作なんですが、色使いから画像から文章からとにかく下品だ、と僕には思えるのです。

で、そのサイトの抵当権抹消登記のページをもう一度見てみたくなったのです。

相変わらず下品で安心しました。きっと本職、元気なんでしょう。

そんなことをした理由は昨今の社会情勢にあります。あの救いのない連中=抵当権抹消登記一式1980円とか2980円とかいうウェブサイトを作って全国対応を標榜している事務所群は、いったいどれだけ本人確認を手抜きしているんでしたっけ?

正当性は毛ほどもないはずです。どの事務所でだってできる業務を報酬の安さを売りにかき集めているだけだから。

で、どうもそれらの事務所は受託に際して本人限定受取郵便すら用いていないようです。彼らが提示する費用と工程を見る限り、そう読まざるをえません。

ひょっとしたら本県同業者団体だけが過酷な本人確認規程を持っている、ということなのかもしれません(冗談ですが、抵当権抹消をやたら安くやる事務所が本県に現れないのは…登記が少ない当事務所にはわからないヒミツがあっても不思議じゃないと思ってはいます)

本県では、相談を除く登記や裁判書類作成の受託に際して依頼人の本人確認は面談によるのを原則とし、『合理的理由によりそれによらない場合は』通信手段を用いる方法が使える、とされています。

自分が手抜きして儲けたい、というのはきっと合理的理由たり得ないはずです。

とりあえず欲望優先な依頼人確認の極北が『委任状はダウンロードして印刷し、あとは免許証のコピーを送ってネ♪』というところにあることはわかりました。

事務所が傾くほどの非効率さを満喫しているのは当事務所です。開業直後に一回だけ郵送での本人確認にした簡裁通常訴訟の書類作成が一件ありましたが、あとの15年ほどのあいだ裁判書類作成では全件、面談で本人確認しています。登記については判決や調停調書を使って行うものだけ(裁判所による本人確認が済んでる、という理由で)本人限定受取郵便を用いるほか、あとは全件面談。

まぁ在外居住者から依頼を受ける登記事件がない、という幸せな状況に助けられているので葛藤がない、ともいえますが。

そうも言ってられなくなるのか、たとえば労働者側で賃金未払い事案の発生を受けて行う裁判書類作成のため本人確認規程を尊重しておこなう出張は不要不急の用件か、ちょっと考えさせられているのです。

冒頭で挙げた連中のレベルまで落とすことはないとしても、わざわざ遠距離を移動して知事が来るなと言ってる大都市に行って面談やって、という振る舞いが、社会的にはいいことなのか?とも。

業界団体も連合会もそこまで親切じゃないらしく、今なら本人確認を端折っていいとは言ってくれません。

この際だからオンライン申請の利用を促進しよう、というお達しがいち早く出たのはちょっと笑えましたが黙殺して、話を進めます。

いっそ自粛ではない外出禁止が決まれば文句なしの正当事由になるでしょうが、何か間違って『その場合は業務も停めて寝てろ』というお達しがでちゃっても困ります(苦笑)

受託に際して面談不要とするのは、本質的には作業工程に関する手抜きの計画立案実行、ですので適当な理由をつければ2秒後から実施可能ではあるのですが、今のところは堂々と面談不要をうたうだけの切迫感はないようなのです。

そうこうしているうちに先週は関西地方から二つ、裁判書類作成になるらしいお問い合わせが来まして…いずれも当事務所のウェブサイトを読んでこられている関係上、適当に他事務所にたらい回しするわけにもいきません。

もう少しのあいだは原則通り面談必須で走ってみるとして、例えば少額な労働紛争で他事務所の相談(相談までは民事法律扶助などの利用を想定します)と本人確認を終えた依頼人は面談不要で受け入れてしまうようなことを考えていいものか、もう少し考えてみたいところです。

どうせ誰とも競合しないだろうから、労働紛争労働側での裁判書類作成にかぎって面談不要を宣言するのが一番気持ちいいのですが…どうせなら、地元の他事務所さんで一回か二回、法律相談援助を受けてからにしてもらったほうが業界内に敵を作りにくいかな、と。

下世話な関心に戻ります。

抵当権抹消を一発2千円とか3千円とかでやるあの同業者さんたち、ほんとうに免許証のコピーもらっただけで本人確認できたつもりでいるんでしょうか?

興味はすっごく、あるんです(悪~い笑い)

言い訳多めな新サービスの告知(裁判所提出書類作成のための測量作業・現況実測平面図作成の受託について)

こんな本があります。僕はほかに、土地家屋調査士が主人公になる小説をあと一冊しか知りません。

主人公は独身男性の土地家屋調査士。依頼はもっぱら彼の人格識見によって誘致され、金融機関や不動産屋に媚びることもないばかりか登場人物としてほぼ描かれず、本職の測量作業は厳正を極め、必要があれば県外に出張して測量以外の事件も解決し、そんな主人公に思いを寄せる女性まで現れる…

そんな異世界転生モノのライトノベルです。

というのは冗談ですが、今となってはすっごいファンタジー(←もちろん軽蔑的表現)だ、ということはよく存じております。

それに対して今を去ること、二十年ちょっと前。それは僕がまだ、士業に夢も希望も持っていた平成時代初期のはなしです。

司法書士試験合格後、土地家屋調査士の事務所2箇所で補助者として働いていたときに見たのは、本職は不動産屋に使い捨てられるか地元信金とハウスメーカーのためならちょっとやそっとのあれやこれやを厭わず、

  • 境界立ち会いに出てみればエスロン巻尺で境界線の寸法を測ったふりして昭和50年代の地積測量図記載の数値を正確に暗唱させられたり(2cm以上違ってましたが、本職は何かのファンタジーを信じていたのでしょう)
  • いつも開放トラバースで作業してる(閉合なんかしたことねーよ。それどころか本職、測量現場にこねーよ!)のに土地調書にはいつも同じ閉合比が記載されている(どうやって計算したか知りませんが、本職は何かのファンタジーを信じていたのでしょう)

そんな事務所でありました。

そうしたことと、最終的にはそうした事務所を2箇所とも解雇されたこともありまして。

僕は土地家屋調査士兼行政書士の事務所2箇所で補助者をやったあと、社会保険労務士兼司法書士として開業する、という現在に至っております。今月で司法書士登録、16年になります。

さらに付け加えると、開業後は弁護士さんについては彼らの依頼人や依頼人だった人からの法律相談で、税理士さんについては彼らの従業員や従業員だった人からの労働相談で、それぞれ裏口からそーっと、彼らの実情を覗き見ながら現在に至っている…というわけで。

いっそ海事代理士と弁理士の事務所には、厳正な執務と妥当な報酬設定とホワイトな労働条件があるのかしらん(あと、ちょっと色っぽい展開も)などと妄想してみたりします。


なんだか自分が法律関係士業をやってるのが申し訳なくなってきましたが、表題の件。

測量自体は嫌いじゃない、というより好きな作業なのです。

正義はさておき真実を探求するのが好き、そのためには依頼人と対立することを厭わないし売り上げが減ってもいい(苦笑)そんな僕には向いている、と思ってもいます。

そうした僕がたまに受ける、不動産・境界関係の依頼で多大なストレスになっていたのが裁判に関わる測量作業を内製化できない点でした。

最低10万円通常20万円ひょっとしたら30万円、という見積もりが出てくるプロジェクトなのに僕のところで作業指揮できず、発注かけても本職が出てくるとは限らず、紛争案件だとわかった途端に何もかも放り出して撤退する、そうでなければ面倒ごとを僕に押しつけたあと手柄だけ持って行く(まぁ、これは1事例だけですが)、そうした問題がありました。

だったらいいよもう自分でやるから!

…上位互換な他士業の事務所に法律相談に行って請求の少額な案件の訴訟代理を拒否されてブチ切れてきた人の情景描写(←当事務所で裁判書類作成の依頼をお受けする主な経路の一つ)のような情熱と、去年はちょっと増えてしまった売り上げによって生じる利益をどこかに葬り去る必要とに迫られまして、まずは昨年末までに機材を購入しました。

その機材でできることとやっていいこと…法律上の制限と機材の特徴とオペレータとしての自分の能力を把握し実際に作業を終えて、次以降の受託態勢を整えたのが先月までのこと。

このほどようやく、現況測量と実測平面図作成の業務と費用を説明するページを作って公開を開始しました。

誤差は出るんだよ、という言い訳がページ後半に頻出しますが、それは誰がやってもどんな機材でも出るのです。

そうした限界はありますが、昔々の地積測量図記載の数値を現在の、しかも傾いた地面をエスロン製の巻尺で測って完全一致な測長を読み上げるなんて愚劣なパフォーマンスに過ぎず、1km先まで誤差1cm角度5秒刻みで測れる時価200万円のトータルステーションを振り回してるのに想定位置から30cm離れた境界杭をそのまま測って境界確認してしまうなんてただの背信だ(が、それぞれ依頼人の希望には応えてる…関係者の立場を蹂躙してるだけで)とわかってしまった人を何とか支援できるサービスになるだろう、とは思っています。

あとはもう少し穏便に、たとえば未登記建物を強制執行あるいは収去の請求の対象にしたい場合、不動産登記と同様な建物図面の添付を迫られるのですがこれは裁判所に出す書類ですので粛々と作ってあげたい。
次に現状有姿で田舎の更地を売っちゃう、といった場合に所有権移転登記受託のオマケとして現況を僕がさっと測ってあげるのもよかろう、そうしたことも考えております。

不動産に関する出張相談で、そもそも測量業者や弁護士への依頼(要するに十万円単位の出費)に適するかを迅速に安価に判定できるだろう、とも思います。この局面ではかなり活躍するはずです。これは売り上げにはならなさそうですが…出張が増えるならいいかな(笑)

とはいえこうした境界紛争でよくある、1mm単位で正確に測ってみせろという一般人の発想が実は非現実的でして、僕のところの機材と技法や調査士さんが使うトータルステーションでも、誤差の大小は違えど一定の誤差は出てしまう、僕が対処できる土地の広さや測れる長さに制限はある、ということをご理解いただけるような方からに限って受託しよう…

という、かなり無理筋な依頼の誘致を試みるページになってしまいました。

今回公開するページを見て依頼を決意する人が現れると期待する、というのも実はファンタジーなのかもしれません。

本職に思いを寄せてくれる女性と異世界から来たスライムと、どちらが先に依頼人として現れるか気長に試してみるとしましょう(苦笑)


時には仕事を紹介したいしお酒を一緒に飲みたいな、と思える土地家屋調査士さんが一人います。

この方に言い訳しますと、先生忙しすぎるから自分のところで機材を持つことにしました。
それに先生、争いごとお嫌いでしょー(イヤらしい人の目)

 

だからLINEは嫌いです(が、補助者さまの友だちにしてもらった件)

謹 告

当事務所でも鋭意取り組んでおります働き方改革にともない、このたび書証の検討時間に応じた報酬額の改定を行うことといたしました。

来月以降受託する裁判書類作成業務のうちLINEのスクリーンショットを書証として提出する案件につきましては、報酬額として一律で10万円を加えます。

すでにスクリーンショットをお送りいただいているお客さま方には一切影響ありませんのでご安心ください。


冗談です。今は。4月以降はどうかわかりません

そういえばこの季節は、認定司法書士の資格を取るための特別研修が行われているころでしょうか。講義のなかで、『(依頼人に)書証の原本に書き込みをさせるな』というくだりがあったのを思い出します。

書類にあとから書き込みが加わることで、いったん作成された書類の同一性が害されるから、という趣旨だったはずですが…あのメッセージアプリはそんな発想に対して『同一性?何それ食えるの?』と言わんばかりの挙動を示すことに気づいてしまったのです。

-以下、事実を一部改変してお伝えします-

先日のこと。ある依頼人が送ってきたLINEのスクリーンショットについて、追加を依頼しました。一画面では表示しきれない連続するやりとりを、画像の一部が重なるように複数枚取得していったスクリーンショットのうち、重要な部分で連続しているか不明な部分があったのです。

こうしたスクリーンショットを複数枚取ってもらうとき、当事務所では必ず発言が吹きだし一個、そうでなければ最低1~2行重なるように画像を作ってもらってスクロールする画面が連続しているとわかるようにしています。

ところが『お世話になります』『お疲れ様です』『了解です』などのワンパターンな書き出しが好きな人がこの部分だけ重なるようにスクリーンショットを取得しても、各所で同じ表現が出てくるためにやりとりの連続性を明らかにできないわけです。

甲号証の番号を着けて印刷後に僕のほうで不連続に気づいたりすると、ブログにも出せない表現をつぶやきながら…それでもメールでは穏便に画像の追加を依頼したりするわけです。

そんな追加画像のなかに、妙な物がありました。ええ、気づいたのは印刷後です。

同じやりとりの箇所を送ってもらったはずなのに、差し替え前と差し替え後のスクリーンショットで吹き出し部分についている発信時刻が1時間ずれています。

差し替え前

『了解です!』12:15

差し替え後

『了解です!』13:15

こんな感じに。

受け取ったこっちは恐慌状態に陥りました。LINEはメッセージを送った時刻を後から変更できるようなシステムなのかこれは?それができるとするならば変更可能な手法はどのようなもので、可能な範囲はどうなのか?

依頼人側からは残念ながら…まったく残念ながらなんの手がかりも得られませんでした。

この人の処遇は後日考えるとして、さしあたってはこっちで理由を探さねばなりません。

ちなみに、依頼人側で『住所・体調・使用機材・交通手段・通信手段の支障または変更』が生じて業務遂行が困難になったときには僕の側から契約解除できる、という条項が何年も前から当事務所の業務委託契約には入っています。

今回の事象は使用機材(スマホの表示)の支障、になり、僕はこの書証をめぐって依頼が面倒になった肝心なときに依頼を放り出す権利を=業務遂行が困難になったときの契約解除権を手にした、のかもしれません。

それが権利である以上、行使するかどうかは僕の自由ではあります。

ただ、事実の究明に協力的でない人ほど僕との関係は盤石から薄氷に近づくわけです。

当事務所、こういう態度の依頼人にはすっごく優しくないという話でした。本題に戻ります。

正解への可能性と僕が理性を取り戻すきっかけをプレゼントしてくれたのは、例によって補助者さまでした。彼女が言うのです。

(スマホの)タイムゾーン設定を変更するとどうか

と。

さらに。

試しに彼女のLINEを僕に友だち設定してもらいます。

勤続10年以上経つ従業員に今ごろ友だち登録してもらえる個人事業主ってなんなの?という突っ込みはなさらないでください。
ここは素直に、補助者さまと友だちになれたことを喜びましょう。わーい(^^)/

いくつかメッセージを授受したあと、僕のスマホのタイムゾーンをグアム(GMT+10:00。東京は+09:00)に変更してみました。

…吹き出しの表示時刻が一斉に増えました。きっちり一時間。

タイムゾーンを東京に戻します。表示時刻も元に戻ります。

じゃぁ何か?送信時刻とタイムゾーン設定によっては送信日すら一日前にずらせる(タイムゾーンをアメリカ西海岸なりハワイ諸島なりにすればよい)、ずらした痕跡は残らない、と(怒)

いいか悪いかはさておいて、LINEの表示はそういう性質のものだ、ということでした。

で、結論は表題のとおりとなりました。

もっとも、こんなの序の口でそのうちきっと、録音した音声や動画すらスマホのアプリで変造できるようになるんだよ(弁護士も裁判官もついて行けない人がいっぱい出てくるよ)という話で補助者さまとは引き続き盛り上がったことであります。


当ブログ冒頭の告知はいまのところ冗談ですが、いずれLINEのスクリーンショットを持ち込んでくる人には

  1. スクリーンショットは全部、依頼人側で印刷させて
  2. その印刷物は全部、公証役場で確定日付を付与してもらってから当事務所に送付させることとして
  3. 『この印刷物はタイムゾーン設定を東京にして取得した画像に相違なく、万一違背した場合はただちに契約解除されても異議ございません』といった奥書証明も依頼人に添付させて
  4. 上記の証明には連帯保証人を二人ほど付け加えさせるか損害賠償債権を担保するために債権額20万円くらいの抵当権を設定して
  5. で、500円くらいの報酬を加算したうえで、依頼を引き受ける

くらいはいいんじゃないか、とは思っているところです。

…冗談です。仮にスクリーンショットの作成を持て余し気味な方がいらっしゃって、その方が仮に当ブログをお読みだとしても、決してその方を念頭に置いたものではありません…ぐふふ(棒読み+悪い笑い)

思考停止したら負け、なゲーム

-二日前のこと-

理性は、『やめろ』と告げている。

自傷行為じゃないか、とも思う。

しばし考えたのち。

震える手で包丁を取り上げ、その肌に突き立てた。


賞味期限を9日ほど過ぎた豆腐で麻婆豆腐を作ったのです。美味しゅうございました。冒頭の記述はたんに調理風景を述べたものに過ぎません。

さて、今日も元気に旅行書士雑記帳をお届けします。

今日は裁判書類作成の作業をして過ごしておりました。実は法律をどうこうするというより事実とそのかけらを拾い集めてつなぎ合わせてなんとか読み手が納得するストーリーを作り上げる、時々は図面が引きたくなって機材を担いで現場に乗り込み警察を呼ばれてみたりする、僕にとっての裁判書類作成とはまぁそうした活動です。

書類作れば確実に成果があがる熟慮期間内の相続放棄なんかはこのほど初めてご依頼を受け、実は返って緊張などしていたり(だって敵がいないんですよ裁判所への申し立てなのに!と逆ギレしてみたくなるのですが誰も理解してくれないと思います)。

冗談はさておいて、ウソも不正もやってよし、というルールが裁判手続きにおける敵側には実在しています。締め切りを守れない弁護士とか何をしてるのかわからない司法委員とか面倒な事件はすぐ地裁に裁量移送する簡裁判事とか無意味な手荷物検査とか(苦笑)まぁ裁判所のなかには納得できないことがいっぱい。こっちはそうした実情を熟知しつつもおかしなことには手を染めずになんとかせねばならず、仕方がないのでお客さまを督励して有利な事実とその痕跡を探し出すのですが…表題の件。

依頼人としてまずい対応なのが自分の頭で考えるのをやめてしまうこと、です。思考停止したい理由はいろいろあって、それがご自身には当然のことだから・偉い人がそう言ってるから・言ったら不利だと自分の中で決めつけた・何をするのもめんどくさい・忘れてた、などなど。

で、そうなりかけた人の一部には必要は事実を見落とす人、有利な書証を忘れてる人、敵から思いもしなかった反撃をくらって炎上する人などなどがおり、僕は時に『それじゃ(訴訟に)負けるから』などと言い放ったりするわけです。

逆にうまく立ち直ってきた方からはお話を聞き直しているうちに、僕がご依頼受託数ヶ月を経て初めて耳にする新しい話がほんとうに出てきたりします。この仕事のやりがいでもあり怖いところでもあります。

今日は敗北の可能性を示唆した事案も新たな事実を初めて知ることができた事案もあったのですが、よく考えてやった結果が常によいものだとは限りません。

冒頭でお話しした豆腐を食するかどうか、僕もよーく考えて決めた(つもりな)のです。

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