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本人訴訟の最果てで、人が強くなるところを、みた

安定しない依頼人、自由奔放な相手方、辛めな訴訟指揮の裁判官。

居酒屋で『代書人 秋の心配事三点盛り』を頼んだらそんな盛り合わせが出てきそうな事案が佳境を迎えておりました。

場所はヒミツな今日の宿の滞在は2泊目、日曜日に67kgあった体重は64kgを割っています。
当事務所には準備書面ダイエットというダイエット手法がありまして、ムリな日程で裁判書類を作る仕事をすると体重が落ちるのです(苦笑)

刑事民事併せて年間数百件の利用にとどまるはずのビデオリンク利用による遮蔽措置が採用されてしまった証人尋問を含め、10時半から17時までまる一日を裁判所で…主尋問と反対尋問で過ごし、どうにか危地を脱し、ひょっとしたら成果が挙がっており、さらに表題のなにかをみた、今日はそんな事案のはなしです。

この証人尋問、僕にはちょっとした敗北感がありました。
ビデオリンクによる遮へい措置の扱いは、相手方から希望→当方から反対の意見書提出→意見書不採用(がーん!)、という流れで実施が決まっていたのです。

これまでのお客さまからの報告では、なにやら裁判官の訴訟指揮が自分たちのほうに厳しいようだ(どうしてくれるんだ)、といったことを言われていた経緯もありまして。少々あるいは多々頭をかかえたこともあったのですが、この点は期日前に仮説をひとつ提示しておりました。

裁判所、たぶんビデオリンク設備の虫干しをしたいに違いない。秋だし天気もいいし。
でなければ●mazonとか●天で、機材を1個余計に買っちゃって会計検査院に言い訳しなきゃならないとか、そういう展開だ、きっと。

3割冗談7割本気で提示した可能性ではありますが、このたびの証人尋問では音声と書画カメラ画像のやりとりがそれぞれ複数回途切れ、証人の背後では青色の服を着た女のひと(もちろん職員)が行ったり来たりしており、証人がいる部屋と法廷との電話連絡が若干活発に行われていたことなどから…尋問後のほうが上記の可能性は高く思えているところです。

まぁビデオリンクのほうは当事務所にまた1つ経験が蓄積されたということで(書画カメラの解像度と撮影範囲がわかったのはよかったですよと虚勢をはってみたい)…本文冒頭の件。

聞いても聞いても情報提供が安定しない、前日に演習やってもやっぱり安定しない、蓄積されている記憶と出力される音声のあいだにrand関数が存在しているとしか思えない、そんな当事者が当方側にいたのです。

守秘義務に反しないことを言わせてもらえれば、この人のおかげで何度か徹夜した、陳述書の準備と陳述書の作成と尋問の演習と尋問事項書の作成と(以下略)そういう人が。

懸念とともに始まった主尋問はまぁ何箇所か僕が期待する回答(事前に何度か回答されたもののうち、バラツキがある出力のなかで最も望ましいものの1つ)と一致しなかった箇所があったのですが、それでもなんとか致命傷を負わずに終了できたのです。

自滅は免れたねこっちも、というくらいの感じで主尋問はクリアして。

とはいえ、この証言者に対する主尋問は当初はこちらの希望時間60分、これが裁判官から、時間が長いと一回蹴られ変更後の=正確にはリストラ後の尋問事項書(2)をもう一回蹴られて尋問事項書(3)が採用されて予定時間35分、という経過をたどっています。

主尋問は僕さえ苦労すれば尋問事項を調整できる、つまり依頼人が自滅から免れられる可能性は高まるわけですが、、反対尋問は当然そうはいきません。

今回は反対尋問者が弁護士ではないのです。つまり向こう側も本人訴訟、ということ。

いろいろと酷いことになるよな、という予想はしっかりと当たりました。

別の証言者に対する反対尋問では、証人席から証言者自身が異議を出し、それが片っ端から通っていく尋問がありました。なかなか見られないものだったと思います。

要するにそういう品質の尋問が相手からなされました、ということ。
予想していたので対策した、というだけですが。

傍聴席から見ていた僕の観測では、その証言者(当方側)に対する相手側からの反対尋問実施時に証言者が自分で出した異議は20分で十数件にわたり、その3分の2は採用された、そんな印象があります。

最後は裁判官、もう目線だけで異議に対応してた気配があります(笑)

こちらも向こうも本人訴訟である本件、こちらは当事者席に複数の人が座れます。ですので対応能力の高い人に弾幕を張ってもらうという表現がふさわしい=異議を派手に飛ばして他の証言者を守ってもらえます。そういう作戦を採りました。

そんな援護射撃に助けられつつ、失礼ながらよろよろと反対尋問に対処していたお客さまの態度が、反対尋問開始後20分ほどしたところからなにやら変わりだしたのです。

最初逃げ腰だったのが、受けて立つ感じに変貌したといいましょうか。

そうなると。上手ではない反対尋問はよくある『業界団体の研修で出てくる例=反対尋問しているつもりが、相手が主尋問で言いたかったことを補完してしまっている例』に変化します。なんと今回もそうなりました。

つまり僕が削った25分の主尋問時間は、向こうからの反対尋問によってほぼ補完された、と(わお!)

その方の反対尋問はラスト20分、聞けば聞くほど当方側証言者が雄弁に回答する、僕が望んだ以上の回答が出る、そんな展開になって終わったのです。

そんなことができるなら依頼当時からやってくれよ(笑)
というのは冗談ではなく心からの叫びだとして(苦笑)

そのお客さまの一番肝心な変化が、弁論終結ギリギリのタイミングで訪れたのを僕は見ることができたのです。

できれば主尋問のときに訪れてほしかったんだけどさ(苦笑)

ウェブサイトを熟読して訪れた志操堅固知識十分な依頼人と共に相手方弁護士に挑み、正々堂々巧緻の限りを尽くして勝利するのは、当事務所裁判書類作成業務のいちばんやりがいのある部分、ではあるのです。

今回の事案はその対極といいますか…最果て、というイメージを持ってはいたのです。
紹介でやってきた、ちょっとどうかなと思える依頼人と共に、かなりどうかなと思える相手方と対峙する双方本人訴訟、巧緻というより清掃作業兼廃品回収(ばら撒かれた邪魔なものをとりのけて、使える素材をもらってくる)みたいな反対尋問準備をおこなってきたものですから。

そうではありましたが、一番脆弱と見ていた証言者が訴訟の最後の20分だけ、強靱な証言者に変わったのを見た、ようなのです。

とは申しましてもその証言者のおかげで僕の仕事はとても増えており、実は月曜日から水曜日まで晩ご飯抜き睡眠2時間、という状況にあり、したがって今日は少し高い酒飲んで飯食って熟睡してもよかろう、ということで。

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最果て、をうたった梅酒を土産物売り場から仕入れてきました。

それは売買なのか?(と思うのは僕だけ?)

最近少しずつ増えてきた妙なサービス。いらない土地を引き取る、というものです。県外の実家とか原野商法の跡地とか、残念ながら山林などが扱い物件の例として挙げられています。

確認したかぎりでは不動産業者さんに加えてなんと税理士さんが運営しているサービスもあり、どうやら司法書士は直接手を染めてはいなさそう。今後もそうかどうかはわかりませんが。

システムはだいたいこんな感じです。

  1. 現状有姿で土地売買の契約を締結し、登記上の名義は元の持ち主から引受業者に移転する登記を行う
  2. 移転前後に持参金といいますか、土地を手放したい人から引受業者に金を払わせる
  3. 引受業者は受け取った金でしばらくのあいだ固定資産税を支払う(らしい)

持参金付きで土地を引き取って貰う、というのがミソです。

たとえばこのサービスの背後にいるのが反社さんなら(という想定も酷いですがそのままお聞きください)
思い通りにできる誰か=飛ばしの携帯や銀行口座を売りたいところまで行ってしまった人を適当に見繕って代表者にして適当な一般社団法人を設立してこの事業を適当かつ大々的に展開して、社団法人が受け取ったお金は適当に没収して代表者には適当に消えて貰う、
そんなことを考えつくのは一瞬だよ、と思えてなりません。

ちなみにウェブサイトを回ったところ、上記の土地処分で元の土地の持ち主が用意すべき持参金は10万から50万くらい、といったところ。年に何件か受託できれば、ダミー法人の一つや二つ作ったって十二分にペイする金額です。

さて、そんなサービスにも司法書士は、関与はしているというのです。もちろん登記で。

土地所有権放棄のサポートを標榜する、あるウェブサイトには『持ち主様には司法書士から送られてくる委任状に署名捺印して返送していただければ登記が終わります。司法書士の費用は通常7万円のところ6万円』などと書いてもあります。

僕なら立会を伴わず売買契約書が用意済みの土地所有権移転登記申請代理の司法書士報酬…土地1筆で税別23000円なんですがそれはさておいて。

やっかみ半分どころか95%以上、ということをご了解いただいて本文を続けます。
今年は、売買による所有権移転登記はまだ1件しか受託しておりません(わらうところ)

登記義務者の本人確認なんかしない、と宣言しているに等しいそのウェブサイト&提携司法書士のやってることを、裁判書類作成業務にどっぷり浸かった司法書士として分析してみたくなったのです。

ただし、やっかみ半分どころか95%以上、というバイアスはかかっています。ご同業の皆さまにはどうぞ笑ってお読みください。

こうした民間による負動産放棄支援サービス(失笑)では、ほとんどの場合土地の元の所有者から土地の引き受け側に金が流れます。通常の売買とは真逆の方向にお金の流れが生ずるのです。

当たり前といえば当たり前ですが、そうでないと引き受け後に発生する不動産取得税・固定資産税負担に耐えられません。

一方で名目上は土地引き受け側から元の所有者にちょっぴり(1円とか1000円とか)お金が渡されて、それをもって両者は土地売買契約を締結した、というのです。

当然、所有権移転登記の登録免許税率も『売買』による税率→贈与よりちょっと安い、評価額の1.5%が適用されます。贈与なら2%。

でも。
月給70万円後半の銀座のホステスさんから月給10万円台前半の四日市の大工さんまで多種多様な人の業務委託契約準委任契約請負契約等々を裁判所で破壊して(好きで壊したわけじゃないですが…解雇予告手当や残業代が欲しかったんですわ)労働者性を認めさせてきた僕としては、本件もあくまで契約とその履行の全体を見たいのです。

本件、負動産放棄支援サービスの提供業者(甲)が元の土地所有者(乙)と交わす契約は二つあるはずなのです。

  • 一つは売買。甲→乙に、たとえば100円の売買代金が渡されます。それと引き換えにほぼ無価値な土地所有権が乙→甲に移転します。
  • もう一つは、別の何かの契約。乙→甲に、たとえば20万円のお金が渡されます。名目は調査料でもなんでもかまいませんが。売買代金とはされません。

さて。そうすると。本件において財産の流れは

  1. 甲→乙 現金100円
  2. 甲←乙 無価値な土地
  3. 甲←乙 現金20万円

となるわけです。すべての契約を俯瞰すればそうなり、これらのどれが欠けても甲と乙は決して契約関係に入らない、のです。

そろそろ民法の条文を引っ張り出してきます。当ブログでは久しぶりな気もしますが。

同法555条では売買契約とは、本件に照らせば

  • 乙が甲に土地の財産権を移転し、
  • 甲がこれに代金を支払う契約、

ということになります。

でも、上記で三つ並べた矢印を整理すると、結局

  • 甲←乙 無価値な土地
  • 甲←乙 現金19万9900円

となって…つまり、乙が甲に19万9900円の対償を支払って無価値な土地の引き受けを依頼する契約となって、甲乙間の契約は売買契約にはなりえない、と思えるのです。

強いて言えばこの契約、売買でないなら負担付き贈与、でしょうか。

甲は理由がなんであれ引き取った土地を乙に返還しない義務を負い、その代わりに土地とお金を無償で貰っている、と。

完全に塩漬けになる土地ならこの負担付贈与で、転売可能ならば…脱法的信託あるいは委任、でしょうかね。甲は乙に代わって買主を探し、さっさと売り払え、という趣旨の契約で、土地は先に所有権移転してしまい報酬19万9900円も乙が甲に先払いした、そうとも言えます。

いずれにせよ甲と乙の契約の実質は売買ではないのです。絶対に。

そうすると、こうしたサービスに関わって登記原因を売買として所有権移転の登記をするのは司法書士としては危険、とも思えてきます。
少なくとも労働紛争労働者側で働いてはいけないな、経営側でもダメだ、とも。

まぁ、もうひとひねりすれば。
ダミーの法人を二つ作り、一つの法人は現金を調査料なり相談料なりの名目で受け取って、もう一つの法人では土地を引き取って、と言う形にして、さらに双方の法人で代表者を全くの他人にしてしまえば…当分はバレないだろうな、とも思えます。

反社さんならこのくらい、楽にクリアできるだろうな、とも。

一般人の方々には、こうしたサービスに安易に関わってはいけません、という趣旨でこの記事をお読みください。

同業者の皆さまには、当事務所における売買による所有権移転登記受託実績が業界平均の約100分の1とか、そういうやっかみ半分どころか95%以上の思いを込めた記事としてお読みいただければよろしいかと存じます。

最後に一つ悪い冗談を追加するとしたら。

もしこのブログで挙げたような負動産の引き受けサービスをする法人が破産して。
もし破産管財人が僕だったら『これは売買を仮装した不正な契約であり、公序良俗に反して無効だ』とかなんとか言って土地を片っ端から元の持ち主に突っ返し、破産財団を身軽にしちゃうかもしれません。で、同時に発生する持参金の返還義務は当然のように踏み倒す、と。だって破産するわけだから(笑)

悪すぎる冗談はこのくらいにしておきましょう。

冗談かどうかは微妙なんですが、来月は売買の登記の依頼があるらしいのです。今年2件目の。

一瞬でダメだとわかる請求の趣旨(ただし、職業代理人の作成によるもの)

先日した、ある地裁での書類閲覧でのこと。

同地裁、記録係の担当者さんは概して親切なんですが記録閲覧用のスペースは貧弱です。
その日は2㎡ほどの範囲に5人詰め込まれました。まさに密(苦笑)

肝心なその訴訟は和解条項から想像もつかなかったのですが、事件名が貸金返還請求事件となっておりました。原告被告双方とも職業代理人がついている事案、ですが。

訴状を見て目を疑いました。請求の趣旨がヘン、なのです。

1 被告は原告に対し、金●●●●万円およびこれに対する、訴状送達から相当期間を経過した日から支払い済みまで年6%の割合による金員を支払え。

こんなことが書いてありました。

僕が雇った人がこんな起案をやったら一瞬でクビ、といえるくらいには下手だと思っていただいてかまいません。これでは相当期間の経過日=遅延損害金の起算日がいつなんだかわかりません。

ただ、百歩譲って三舎を避けさらに平和維持軍の監視を受けつつ緩衝地帯を設けるくらいの譲歩をすれば、この訴状をつくった代理人の言いたいことは一応わかるのです。

請求の原因をつらつら眺めると、詐欺まがいの原告会社がしょうもない被告会社に対し、念書一つ残さずに貸付(と原告が強弁する資金移動)を繰り返したことはわかります。つまり、原告から被告に期限の定めのない貸付が繰り返されていたからそれを返してほしい、というのが訴状に書かれている内容ではあるのです。

こういう場合、確かに債権者からの請求を受けてから相当な期限の経過後に債務者による支払い義務が生じる、とはいうのです。

でも訴状にそう書いちゃダメで、極めて当然ながら訴状訂正の申立書が出ておりました。

訂正後

1 被告は原告に対し、金●●●●万円およびこれに対する、訴状送達の日の翌日から支払い済みまで年6%の割合による金員を支払え。

…ようやく世間並みの世界に戻ってきましたよ記載が。というより訂正前の訴状、最初から受理するなよ裁判所(憮然)

こういう場合、あらかじめお金の返還を催告して相当期間の経過ってやつを実現させておき、そのうえで訴状送達の日の翌日を遅延損害金の起算日にしておけば裁判所は送達報告の内容を反映させて遅延損害金の起算日を補完してくれます。ですので訂正後のような記載に最初からしておくのが素人向け書式見本でもわかるお約束、のはずなのに。

印紙代だけで十万円を大きく超えるこの訴状でこの低レベルな記載とその訂正は一体なんなんだろう、とがっかりさせられてしまいました。

まぁ、あとはこの代理人がいくら着手金をとったか下世話な関心を持っているところです。昔懐かし報酬額基準が健在だったころなら300万円は取れているところなんでしょうが、まずそれはあり得ないでしょうね。

成功報酬には興味ないのです。和解調書によると、ほぼ原告全面敗訴♪で訴訟は終結しています。

こうしてみると、この業界にもセカンドオピニオンの重要性は高まっていくのかもしれません。業界内の人が見れば一瞬で不可だとわかる訴状がふつうに流通しているのをみると、そう思わずにはいられないのです。

もう一つ、この出張中に見てしまったものがありまして。

こちらは守秘義務に服するため言えないのですが、結論から言うと僕は家族信託反対派になる…とまでは言わなくても、いわゆる家族信託(残念ながら民事信託も含むだろうとは思います)から生じる紛争に対処できる技量と情報を蓄積しておいたほうがよさそうだ、と思っています。あの世界からもそろそろ腐敗臭が漂ってきた、そう思わされました。まあ20年前の成年後見制度黎明期と同じようなものなのかもしれませんが、非商事の信託制度に群がる低レベルな有象無象の跳梁はそろそろ目に余るものがあります。

(委託者の財産を)絶対パクるだろ受託者、最初からそのつもりだろ、と思わずにはいられない…一瞬でダメだとわかる脱法信託やその準備構想も、やっぱりあるわけですよ。本人訴訟でなんとかするにはちょっとしんどいテーマですが、いわゆる家族信託®(商標登録済みであることを示すのは、当ブログでは皮肉です)に正面から取り組むより脱法家族信託問題対策室を主宰するほうがやりがいがありそうです。

同じソフトが欲しいわけ(実は登記名義人調査に活躍中)

いよいよNTTが電話帳の発行を止めることになりまして、ちょっとした衝撃を受けています。

電話帳の発行が止まるということで、電話帳を元に作られているこのソフトの発行も止まるようです。

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システム・ビットの『ら~くらく電話帳』は全国の電話帳のデータを収録し、氏名から電話番号と住所の検索を可能とするソフトです。現在は2018年に出たVer.28が最終バージョンになっています。

同社ウェブサイトの製品紹介ページには、なぜか一番肝心なはずの『氏名から(電話番号なんかどうだっていいから!)住所が検索できる』機能の存在がわかりやすく書かれていないのは…個人情報に敏感な昨今の世情を反映したものなのでしょうか(苦笑)

世の電話帳の収録件数に応じてバージョンごとに徐々に収録件数を減らしてきたこのソフト、近年では収録件数3千万件を割り込んでいたはずです。僕のところにあるVer.20あたりまでが3千万件を維持していたかと。

僕がこのソフトに注目し、ヤフオクやらメルカリをウォッチして買いを入れだしたのは3年ほど前からです。最初にVer.10が、次に20と21が、今年に入って3が来て、21は転売して差益を若干稼いで導入費用の足しにした、そんな経緯をたどっております。

いちばん古いVer.3はWindows2000すら公式対応をうたっておりませんが(汗)このソフトを動かすためにWindows98seのシステムを維持するだけの価値はあります。2000年初頭に出たこのバージョンは順当に行くと1999年当時の電話帳データを収載しており、ちょうどその頃が我が国における固定電話の加入者数の絶頂期=契約数6千万件強、電話帳収録件数4千万件強などと言われておりました。

この時期の国勢調査で把握される世帯数とハローページ個人版の収録件数を比べると、僕のところには1999年時点で存在する世帯数の6~7割をカバーする世帯主の住所氏名(あ、ついでながら電話番号。別に興味ないですが)のデータがあって、それが検索可能になっているのではないか、と考えているのです。当然ながら通常は固定電話は各世帯に1回線=各世帯で一人しか収録されていないので、調査にはその特性を踏まえた工夫を要しますが。

ここで表題の件。
実は先日も、不明な登記名義人あるいはその相続人の調査を当事務所でできるのか、といった問い合わせがありました。今回は林業関係のお客さまです。

こうした業務では現地訪問=ご近所さん町内会長さんに調査対象者の消息を聞いてみる、という最も確実な手法を除けば(不動産価格も低いので課税データからも所有者の関係者がわからないという状況下で)

  • 死亡によりとっくに消除された住民票を請求し堂々とハズレを引く
  • 運がよければ登記上の住所が本籍地なので戸籍除籍の請求が成功する

これがやるべき作業の8割、それでダメなら諦めろ、みたいになっていますがちょっと芸がなさすぎる、と僕は思っていたのです。
当然ながら登記名義人の住所地の土地建物など他の不動産の登記情報を派手に請求して云々、といった普通の司法書士さんが机上でやることは全部やる前提で、さらにその斜め上を行ってみたいな、と常々思っておりました。

きっとそういう技能や装備が必要な時代がくるだろうから、というのは戸籍の電子化で電子化前の改製原付票が片っ端から捨てられだした平成中期から思っていたのです。

電話帳データを元にした同様類似の有料サービスはネットにも公開されています。しかしながら検索性に加えて運営者の合法性にも相当な難がある(犯罪とはいえないが民事上の不法行為が成立しないとは言い切れない=著作権個人情報回りの問題はぎりぎりパスしているとしても、プライバシーは蹂躙している)、近づかないほうがいい、ということで僕は『スタンドアロンで運用されて完全に合法な昔のソフトをゆっくり探し、見つけたら買いを入れ、ある程度整ったところで保有状況をアピールする(←いまようやく、ここ)』という策をとることにしました。

運がよければ、ではありますが戦前戦後(1940~50年)に不動産を取得相続された人については、ちょっと長生きしていてくれれば2000年の電話帳データに引っかかってきます。不動産取得時30歳として、その後50年ほど生きていてくれればよいわけですから。残念ながらCDに電話帳データを積んでPCで検索できるようにしよう、というソフトが出だしたのが1990年代後半なので、これ以上大きく遡るのはムリ、な状況なのです。まぁ労力勝負と割り切って国会図書館にこもり、紙の電話帳を探すということもやるときにはやりますが。

このソフトの素敵なところとして、同一市町村内あるいは県内にいる候補者を名字だけ・名前の一部などで検索し、相続人である可能性が極めて高い人をいきなりヒットさせる、ということもできたりします。親が似たような名前を子供につけてくれていると、もう嬉しくてたまりません(笑)珍しい氏名なら他県に移っても楽勝で捕捉できます。

こうした『住所の一部・氏名の一部・それらの組み合わせ』で登記名義人を検索できる機能は、戸籍や住民票、登記の制度には存在しないのです。正確には、当該業務を扱う役所の外にいる民間人には開放されていません。当然ながら公的に=国土交通省さんあたりが公開している所有者不明土地の探索フローチャートにも出てこない。ら~くらく電話帳はこの機能を置きかえるほか、『過去の世帯主のデータを探す』というものでもあります。この点は現在の住基ネットのデータとも違う特徴、ということになるでしょうか。

僕のところでは登記名義人の探索でこの電話帳ソフトが結構な活躍を見せているほか、会社の役員を氏名で検索できるサービスとして東京商工リサーチのTsr-Van2と登記簿図書館、不動産登記の甲区の記載を住所・氏名で検索できるサービスとして登記簿図書館(運営会社名も登記簿図書館)を用いています。

こうした調査能力を巡って誰かと競うことは難しいためあくまでも推測ではあるのですが、これらの…補完的なはずなのに実は主力として機能するサービスのおかげで特に戦後の登記名義人については他事務所より若干優れた探索能力を持てているはずです。たまに回ってくる、他事務所で調査不能を言い渡されてきた案件を見ているとそう思えます。

当事務所では、ご依頼の趣旨から依頼人が調査対象者の戸籍を請求可能ならば戸籍等の職務上請求をおこなうほか、それができなくても上記のサービスを組み合わせて行けるところまでは行く、そうした調査もしています。基本的には机上調査なので、全国からのご依頼に対応します。

欲を言えばもう一年遡れる、ら~くらく電話帳のVer.1が中古市場に出たら買いたいものだ、と思っているところ。もう数十万件か、保有できる世帯データが増えるはずなのです。

節度と限界(苦笑)を意識しつつおこなう東京北関東出張2泊3日

今日から出張です。予定は昨晩追加されました。

あれやこれやの経緯でどうだこうだに至ったため、今後継続的な相談および対応を依頼したい、と。思わず口走ったのが冒頭の発言の直前です。

「テンションが下がるご依頼ですねぇ」

あ、もちろん裁判事務が関係するご依頼です。
もう思いっきり紛争の泥沼に足を突っ込むことになるお約束の展開への入り口です。
その扉をそっと開いてみたところ、なのです。

逆にここで適当な言い訳をして(それこそ適当な限界を宣言して)扉の前から立ち去ればしばらく平和に暮らせるわけですが、まぁそうはしないんです…このお客さまはよきリピーターさんで、先日お別れした方と違って報酬の支払いを遅滞することがありません。上記のような放言を一応許してもらえる程度の信頼関係も構築されています。

ですがもう少しキレイにまとめないと救いがない、というのは発言中に自覚できたところです。説明を追加します。

「まぁとりあえず節度と限界を意識しつつ、ときには積極的な対応をとる、という趣旨だと了解してお受けします。それはいい是非やろう、というものではないし正当性を主張されたら相談を直ちに打ち切って出入禁止にしますが(笑)そうではない、ということで…お受けしますから」

およそ自分の正義を確信した奴ほど度しがたい、というのは民事紛争においても国際紛争においてもよくある話しで(ええ、そういう相手方当事者さんも現在、複数いらっしゃいます)、実は自分の正しさを自分でほどほどに疑っていてくれるか、いっそ正しくないが駆け引きと割り切ってやってると認めてくれる方ほど僕とのパートナーシップが構築しやすい。そう常々思っているのです。当事務所の裁判事務はそういうもので、お客さまがそうであるかぎり不倫やった人投資詐欺やった人交通事故やった人等々は僕からみて『よいお客さま』と認識できる実情があります。あとは請求書の期限内に支払いを終え、ときおり食べ物やお酒を送ってくれればいい(笑)

※労働紛争労働側のように相手方の不当性が極めて高い場合どうしてきたのか?は問われるのかもしれませんが、この場合でも会社を潰す等の展開はありまして(当事務所は創立以来、設立登記で世に送りだした会社と差押仮差押でこの世から葬り去った会社とではまだ後者のほうが多いのです)…結果として過剰な攻撃になることへの恐れ、みたいなものは常にあったほうがよいと考えています。たぶん軍事力の扱いと似ており、ウェブサイトやブログをちょっとみただけで『先生のような司法書士になりたいです!』などと勝手に憧れてくるおっちょこちょい(今月も一人いましたが)にはかなり消極的な対応をしたりもします。お話がそれました。

第三者がみればどっちもどっちな争いの片方に助力して泥沼でパフォーマンスを見せよ、という案件と、南関東のお客さまが北関東に土地を買う案件(まぁやる以上は活用する方向で行きましょう)。そして空いた時間で国会図書館の書見、今回はそんな出張であります。嬉しいことに25・27日、国会図書館の入館予約が取れました。ちなみに今回は名古屋-東京間の日当を誰からももらってないので、これでお客さまを裏切ってることには絶対なりません(失笑)

例によって栄7時25分発の新宿行き、先日僕を大雨の福井から救い出してくれた恵み深き名鉄バスの予約をとりました。例によって空席をよく見て選んだため、前後横には人がおりません。

二つ後ろの席の男がうたう『おもいで酒』が下手なのを除けば快適な道のりです。

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実はお客さまからもらったAmazonギフトカードで買ってしまった森口博子の新しいアルバム、5曲目で音量を少し上げました。

自主規制しつつ利用開始する新サービス-さらなる調査能力の向上を目指して-

今日の記事の読者は極めて限定されます。同業者さんのごくごくごく一部=非定型的裁判事務にクビまで浸かった方と債権回収のために本人訴訟を進めておられる方のごくごくごく一部…当事務所が受託すると決めた人に向けてお送りします。

当事務所ではここ10年ほど、東京商工リサーチのTsr-Van2を利用して『役員名による法人の検索』を、限定的ながら可能にしておりました。

これはどうしようもない社長による賃金踏み倒しその他の詐欺的行為への追及に非常に大きな効果を発揮しており、このほど当事務所では法人格否認の法理によって社長の個人責任を認めさせる判決を得たところです。

超簡単に言うと、社長の名前をインプットしただけでそいつが作り散らかしたダミー会社がごろごろ発見される、そういうサービスの恩恵にあずかっている、と。これは公式な登記制度=法務局が出す登記事項証明書や登記情報提供サービスにはない機能なのです。

で、今日。

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当事務所もようやく、登記簿図書館のサービスを利用開始できることになりました。

このサービスは、利用者(当事務所)と民事法務協会提供の登記情報提供サービスのあいだに介在しています。当事務所が登記簿図書館を通じて登記情報提供サービスから登記情報を取った場合、そのデータは登記簿図書館にも蓄積される(で、他の利用者もこのデータを検索・取得できる)ことになります。

そうした仕組みによってちょっと安く登記情報が手に入れられるというのが売りですが、僕はそこにはあまり注目しません。

そうやって登記簿図書館に長期に膨大に蓄積された法人・商業・不動産の登記情報から、所有者や役員などの個人名で該当する法人や不動産が検索可能になる、というのがこのサービスの偉大なところなのです。昔は見ただけで鼻血が出るような高額な基本料金でしたが今はなんと、基本料金無料。

ある弁護士さんのブログによれば、このサービスはテレビによく出演する同業者がどんなところに別荘持ってるかを覗き見るなどのゲスい目的でよく機能する、のだとか。う~ん、ゲスい。納得したけど(笑)

僕のところでは使い道は2つあります。一つは責任追及中の対象者について、どんな法人に関与しているか=氏名から役員になっている法人を探す作業。そしてズバリどんな不動産を持っているかを、氏名から探す作業。

もちろん同姓同名の可能性はありますが、不動産登記で氏名からの検索ができることの効果は文字通りはかりしれません。このサービス、個人では士業のひと以外に契約できないということですので当事務所の個人客ご一同様には楽しみに待っててくれ、と申し上げます。

もう一つは。

登記簿図書館のサービスの流れを概観するとヒントがあります。このサービスを通じて登記情報を取ってしまうと、かならず登記簿図書館に登記情報が残り、それが他の登記簿図書館利用者から検索可能になるわけです。氏名で。

つまり当事務所の依頼人を守るため=第三者がみだりに僕の依頼人を氏名で検索可能な状態を作らないためには、登記簿図書館のサービスを使うべきでない、ということになります。より具体的には、不動産登記の完了後の確認で登記情報を取得するときには登記簿図書館を経由してはならない、と。

その逆はどうか、と考えてしまったのです。

かつて当事務所では、競合または利害対立する弁護士さんに流す情報を操作しながら投資詐欺の親玉になった社長への責任追及を誘導する、といったミッションに関わったことがありました。そのときにも活躍したのが、役員名で会社が探せるTsr-Vanのサービスだったのです。このサービスを使っている、というより役員名で会社が探せる能力がある人が僕しかいなかったので結果として僕と僕のお客さまが背後で弁護士さん達を操ることになった、そんな事案がありました。

言い換えます。他の人たちが検索できる可能性を高めたい人=ワルいことしてる人!の会社や所有不動産を探索するときには、積極的に登記簿図書館のサービスを経由して登記情報を取得したらいいのかもしれません。そうすれば他の方々も、相手方当事者の名前でいろんな情報を得やすくなるはず。あの社長のあの会社やあの被告のあの建物なんかを今後は意図的に登記簿図書館経由で情報取ることにしてみようか、といった使い方がただちに考えつくわけで…これまたゲスい(苦笑)

とは申せこのサービス、何年か前から東京都弁護士協同組合の特約店になったとか。
想定される使い方はさておいて、そう怪しいものではないという外形を持つに至ったのが今回当事務所が契約に踏み切った理由です。

そんなわけで、使用感を聞いてみたいという方にはちょっとご連絡ください。もちろんリピーターの方、またはすでに依頼中の方に限りますが。

抵当権抹消登記手続請求訴訟のクライマックス(所要時間は本文にて)

南予は朝から、雨になりました。
ベンチで書類を広げながら、バスでなく期日を待っています。

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未確認の情報ですが、オリンピックは終わったという説がウェブには流れています(裁判書類作成と教材執筆に追われていてよくわからなかったのですが、本当に東京でやったんですか?)。誰もいない待合室のテレビは甲子園からの中継を映しています。

さて、久しぶりの簡易裁判所訴訟代理の仕事です。僕が愛知県に事務所を持っておりここが愛媛県であることは、漢字一字の違いでしかありません。

ここから歩いて10分ほどのところにある簡易裁判所が提示してきた開廷時刻の候補は、11時と13時。11時を選んだのは失敗で、宿毛からのバスは9時半に着く便と11時18分に着く便しかないことに気づいたのは期日請書(指定日時を受け入れると裁判所に出す紙)を出したあとのことです。

こういうことはお客さまに無用の心配をさせぬよう、やらかしただけやらかした後でブログに書くのが手というものです。あはは(わらうところ)

戦前に設定されたまま残っている休眠抵当権、これを気炎万丈勇往邁進、ただまっとうな手段によって抹消してやろうというプロジェクトはいよいよ最重要な行程にさしかかりました。本日は当職が原告訴訟代理人として提訴に踏み切った抵当権抹消登記手続請求訴訟の第一回口頭弁論期日です。が。

ええと
こっちのほうに裁判所、あるはずなんだけど、な

Img_20210812_013907

どうやら区検察庁の庁舎(一応写ってるんですよ)を視界におさめていたようで、裁判所は画面中央の一般住宅の裏、区検の隣にありました。

久しぶりに法廷に入ります。

隣家の庭では柿の実が青く色づいています。その隣は水をたたえた田んぼが広がっています。
ちょっと外し気味のブログの書き出しをこの情景から始めるのもいいかな、と考えたりもします。開廷10分前。

期日そのものは3分弱で終わりました。11時3分にはもう、お客さまに終了の電話をかけた記録が残っています。『はい』と2回答えて首を1回縦に振ったら終わり。

法廷の情景を、より正確に描写すると以下のとおりになります。時刻は10時59分から。

書記官:無言で掛け時計を見る

11時

書記官:無言で腕時計も見る

裁判官:入廷

書記官・僕:起立し、一礼

書記官:「令和3年(ハ)第●号 抵当権抹消登記手続請求事件です」

11時01分

裁判官:「訴状の通り陳述しますか?」

僕:「はい」

裁判官:「では弁論を終結します」

僕:首を1回縦に振る

裁判官:「判決言い渡しは9月●日、●時です。今日はこれで終了します」

僕:「はい」

裁判官:退廷

口頭弁論期日実況中継というものがあるとすれば以上です。

もしYouTubeにアップロードできたら上映時間1分40秒くらいで、せめて事件番号が3桁あれば書記官による読み上げの所要時間が増え、もう1秒伸びたかもしれない(苦笑)

裁判官退廷後、書記官の方に送達状況を少しお聞きして判決の送達にも支障なさそうだと確認し、久しぶりの訴訟代理人としての出廷はまことにつつがなく、無事終了となりました。

業界外の読者の方には、訴訟において訴えを起こされたひと(被告)が答弁書を出さず出廷もしない場合、訴訟は原告が一回だけ裁判所に出廷すれば終わってしまい提訴した側(原告)の主張する事実が認められたものとして判決が出る=欠席判決が出る、そんな制度のためにこの情景になった、とお考えください。

ええ、つまりこれは、原告側職業代理人が受任時に妄想する最も楽な終了パターンの一つです。統計上はサマージャンボ宝くじの7等300円が当たるより高い頻度で発生しているはずですが、なぜか僕のところでは…と言いかけて。本当に6等相当=50分の1を超えて100分の1の間にあるらしい事象であることに気づきました。ひどいよ(涙)

ところでこの裁判所では今日、期日は僕の訴訟しか開かれておりませんでした。誰もいない受付の前のベンチでお客さまの迎えを待っていると不意に出てきた若い職員の方がもの問いたげに僕を見ます。

僕:「あ、さきほど終了した期日の原告代理人でして…ここで迎えを待たせてください」

職:「時間はかかりそうですか?」

僕:「いえ、●●(地区の名前)からですから15分ほどで着くはずですが…退出したほうがいいですか?」

職員の方、首を軽く横に振って曰く

職:「時間がかかりそうなら別の部屋でお待ちいただいても」

あらら、優しい裁判所♪
別の部屋には興味がありましたが(調停室かラウンドテーブル法廷とかだったらいっそ入ってみたかったですが、きっと待合室でしょう)、ほどなくお客さまの車が着きました。

債権差押命令申立:2度目の補正指示のわけ

意味不明理解不能なローカルルールの使い手が蟠踞し、時に何の罪もない利用者に立ちはだかる謎の役所。この国が法治国家か否かについて時折クビをかしげたくなる場所。

裁判所はそういう役所だと思うのです。今日は少し、そういう話しです。

あの地裁本庁でだけやる金属探知や中のひとが他庁との違いを楽しんでるとしか思えない予納郵券額の違いは都度都度ブログのネタにさせてもらうとして(一般読者の皆さまには、この国では訴状を出すときに裁判所に納める郵便切手の金額や組み合わせが裁判所ごとに異なり同じ県内の裁判所でも異なり同じ庁舎内にある地裁と簡裁と家裁で異なり地方の支部に書類出すときにはもう電話で聞かなきゃわかんない、という素敵な実情のみお伝えします。ボディチェックのほうはさらに酷く、導入から5年も経たないうちに労働訴訟の当事者の女性が庁舎内で裁判官を襲ってケガさせた(尖らせた木の棒が武器でしたっけ?)のは知ってる人は知ってる話しです)。

要するにこの国の無意味なことのいくつかは僕が属する業界の周りにあるんですが、それはどんな業界でも同じだとして、今日の話題。

先日のこと。ある地裁本庁に、債権差押命令の申立書類を作って出したのです。隣県の地裁本庁はその前月まで平常運転=申し立て後の翌翌開庁日には発令していたのを別のお客さまから聞いており、少々油断がありました。今回提出した裁判所では週間単位の遅れが発生したとのことで、僕がお客さまに『もう補正がないから大丈夫です』と言ったずっと後になってお客さまに補正指示が転がり込みます。

曰く、当事者目録記載の第三債務者の郵便番号が違います、と(愕然)

えーと下4桁8600番台は事業所の郵便番号です、ということでその補正指示はパスし、担当者さんから次の疑問が呈されました。

なぜ判決主文第2項の金員のほうは判決記載の起算日から遅延損害金を記載しないんですか?と。

実は本件、利率が異なる2種類の請求が認容されておりました。判決主文第1項では10万円に対して年6%、第2項では3万円に対して年3%、とか。

さらに、一部のお金が自発的に支払われてもおりました。上記の例では遅延損害金の全額と、元本を1万円くらい減らせる程度の。

そうした支払いがあったのはわかるが、ならば遅延損害金の高い第1項のほうに全額が支払われたものとして(充当して)利率の低い主文第2項のほうには弁済があったものとしないのが妥当では?と担当者さんはいうのです。

なるほど、民法第488条4項2号では

全ての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。

としています。判決が出てる=全ての債務は弁済期にある、というより年単位の彼方に過ぎ去ったんで(苦笑)債務者のために弁済の利益が多いものは本件では『遅延損害金の高いもの』が該当する、と考えれば担当者さんの考え方になります。

それは承知してるんですが本件では、相手方が計算した遅延損害金額が示されていて、その計算には主文第1項・第2項とも遅延損害金額が計算してあるので、それに従いました。と答えます。

同条1項では

(略)弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。

としています。計算書を作って送ってきた以上、その計算書に従って充当する=支払ったことにすると読むべきなんだろう、と。

そうですねぇ、そんな書面が来てたんですか、と担当者さん、少し考えます。

だったらそれ請求債権目録に書いてくれませんか、と指示が降ってきました。
ローカルルール発動(笑)

脊髄反射でつぶやいたような文案が採用され(僕が法的判断をしたわけではなく、もう10年ほども前に札幌地裁に出したときの記載事項を思い出して口にしただけです。今回の提出先は南関東の裁判所ですが)、お客さまから裁判所へ連絡書をだした次の日(訂正申立書のまえに書面を出してくれれば訂正申立書の記載予定事項を事前チェックしてあげる、というありがたいローカルルールがここでも発動しています)。

補正指示がでました。

遅延損害金の計算が違います、1日分違うようです、と。

ああそれは相手方代理人が計算してきた…と説明しかけて、付け加えました。

でも間違ってるわけですね!
つまり訂正をこちらでする、と?

そうしてほしい、日数を1日プラスして計算すると正解が出るから、と担当者さんはいい、さらに付け加えます。

遅延損害金が多かったわけですから充当できる元本が減りますよね

がーん

僕の真情としては上記の一語で十分だと思います(涙)

裁判事務に興味の無い読者の皆さまには、これまで僕が作った書類4ページのうち1ページの訂正で済んだのが要修正箇所が2ページに拡大した、と考えてください。

僕とお客さまとの裁判書類作成業務委託契約の債務不履行率が25%から50%に上がった気にさせられます(苦笑)

僕は今回、相手方の代理人が一部弁済のときに作ってきた計算書が正しいとしてそのとおりに遅延損害金が払われたものと考え、遅延損害金として受け取ったのこりの金額は元本が減るものとして残りの元本と、一部弁済の日から債権差押命令申し立ての日までの遅延損害金を請求する書類を書いたわけです。

でも、支払われたお金の内訳として遅延損害金として受け取ることになる金額が増えれば、その分未払いということになる元本が増えるわけで。

ま、10円ちょっとなんだけど

お客さまが裁判所にファクス送るのには、1ページ50円かかるんだけど(泣)

文句があるなら相手方代理人に言ってやってください(なにしろ僕には代理権がありません)、とお客さまに伝えて、検算を続けます。

なるほど相手の代理人、支払いに際して主文第1項のほうの遅延損害金は初日算入とする一方、第2項のほうだけ初日不算入にして不正解をたたき出しておりました。

ちなみに僕はその計算書、主文第1項の日数計算だけ事前チェックして第2項のほうはチェックしなかったんです。

-つまり法律業界の間抜けが二人して裁判所と一般市民に面倒かけてるってわけか、などと納得しないでください-

で、その手抜きの結果は全面的に僕に返ってきた、と。
相手方代理人事務所の補助者(あっちの業界では本職のアシスタントを補助者って言わないんでしょうか)にも少しは僕の苦労を分けてあげたいんですが、あいにくそういうわけにはいきません。なにやら理不尽さを感じますが、金利の計算には強くなれた気もします。

3度目の正直で送った書面は無事に通り、今となってはめでたしめでたし、という話しでした。
この世界、自分も含めて誰も信じちゃいけないよ、という話しかもしれませんが。

訴訟費用額確定処分:予納する郵便切手額が決まっていないときのトークスクリプト

盆と正月が一緒に来たような夜。

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愛知県内のお客さまから蜜柑を、愛媛県のお客さまからスイカをいただきました。

蜜柑には冷蔵での保管指定がかかっておりました。
ご指定通りに冷蔵庫に退避させてから夜、おもむろに出してきて作業卓に並べ、蜜柑タワーを作って手元に蜜柑がある幸せを満喫し、欲望のおもむくままに3つ食べて我に返りました。

補助者さまにもお分けせねば(汗)

隣にあるA4判シートフィードスキャナより大きなスイカは冷却方法を検索するところから準備を開始しました。

タライとタオルとサーキュレーターを使うことになるであろう、と思っていますが、冷蔵庫内の3分の2をこのスイカが占める写真を撮ってブログにアップしてみるのも映える気はしています。

うちの冷蔵庫は170リットルの収容能力しかないのです(汗)


さて、なかば無理矢理に表題の件です。

昨年度業界団体統計によれば本県内の同業者さん1名あたり年間受託件数0.5件を余裕で下回っているという民事関係裁判書類作成業務。
当事務所では今月3件の受託件数をカウントできる裁判書類の作成のうち1件が、例によって訴訟費用額確定処分の申立書作成になりました。

これで受託件数1件と主張するのはズルいような気もするのですが、これも確かに独自の事件番号を付与してもらえます。それに、ここに至るまでに作った準備書面と投じた時間数が尋常ではないので第一審控訴審で計2件にまぁもう1件カウントして可、ということにしましょうか。

申し立て先は青森地裁管内某支部です。傍聴にも打ち合わせにも行きましたが何か問題でも?ということにしましょうか。

訴訟費用額確定処分の申立書を出したいのだが予納郵券額を教えてほしい、と尋ねたところ、カップラーメンができあがるほどの(または、蜜柑を三つむさぼり食えるほどの)保留時間を経て、地裁支部では時折聞けるお返事が返ってきました。

特に決まっていないんです、と。

ちなみに前回このお返事を聞いたのは松山地裁管内某支部です。記録閲覧にも打ち合わせにも行きましたが何か問題でも?ということにしましょうか。

とりあえず、なんらか合意に達せねばなりません。

でしたら特別送達2回分と一般書留で催告書を送る1回分をつけておくことでいかがでしょう、他の裁判所では(正確には、他の高裁管内の裁判所では。カッコ内は発話不要)そんな感じにしてもらってますが、と持ちかけてみました。

ならばそれに数十円足しておいてもらって、足りなければまたご連絡ということで、と応じてもらって当該地裁支部における訴訟費用額確定処分の予納郵券額が決まりました。さきほど(笑)

このマイナーな申立で煮詰まっている方は業界内より業界外にいらっしゃるように思えます。当ブログはそうした方向けの情報提供になっているらしい、ということも承知しています。おそらくそこら中の地裁支部や独立簡裁でこんな感じだと思うので、上記のような提案が通る理由を申立の流れに照らして説明します。

1.訴訟費用額確定処分の申立は裁判所に提出するほか、相手方(訴訟代理人が就いていたならその事務所)に直送します。

→この部分、直送費用はカウントされません。安く送りつけてやってください。

2.訴訟費用負担が全額でない(原告が5分の1、被告が5分の4負担の判決が出た場合の原告側が申立人、など)場合や交通費を実費償還させたい(飛行機とか新幹線などの素敵な交通機関を使って裁判所に出頭した)場合には、裁判所から相手方に催告書を出して訴訟費用額に関する回答を求めることがあります。

2a.ことがある、と言いました。
交通費は距離比例で計算、訴訟費用は相手方全額負担、というパターンの申立で催告書の送付が省略されたことがあります。まぁこの場合、相手方から訴訟費用額を争いようがないから、ということだと思います。

2b.もう一つ、裁判所に通うみんなが顔見知りになってるような地方都市の地裁支部だと、訴訟費用額確定処分の申立を扱う裁判所書記官がまったくの別件で出頭してきた相手方訴訟代理人を呼び止めて催告書や訴訟費用額確定処分正本を手渡しする→裁判所書記官による送達完了♪ということもあったりします。この場合も納付後に切手が不要になる、と。

→予納郵券額の調整ではここで一応、一般書留を使って催告書送付となる可能性を考えておきます。

3.訴訟費用額確定処分が出るときには(あとあと債務名義になる関係上)、裁判所から特別送達で送達されます。

→これが申立人相手方の各1回=計2回分の予納郵券を要します。余ったらもちろん返してもらえます。

4.ですので特別送達2回分+一般書留1回分プラスアルファ、の郵便切手を納付するのは実情としてだいたい正解です。

ただし厳密な根拠があるわけではありません、というお話しでした。

ちなみに冒頭の果物たちをくださった方はお二人とも裁判書類作成、しかもお一人は訴訟費用額確定処分申立書の作成が最初のご依頼だった、ということで当事務所では今後とも他県にお住まいの方からの果物…いえ、訴訟費用額確定処分の申立書作成のご依頼をお受けしております。ただし8月19日までは新規のご依頼の受付を停止していますのでこの点はご了承ください。

蜜柑タワーができるほどの蜜柑をお送りいただくとその受付停止をどうにかできるのではないか、ということはリピーターのお客さまのみご検討くださいますように。

さりげなく書き添えてあった地雷(の、ようなもの)とその回避に関する件

裁判書類の作成、いいようなわるいような言い方をすれば本人訴訟の支援という形態でご依頼を受けるとき、僕は僕と僕の事務所をこんなふうに紹介します。特に労働訴訟労働側の場合。

  • これから行く世界の案内人としては業界平均を超える経験はありますし優秀だとも思います。
  • ですが、基本的にご案内する先が地獄巡りという設定ですのであまり愉快な思いはできません(苦笑)

今日はそんなじご…いえ、労働者が労働訴訟の最後で通過した、小さな地雷原の話しです。


その訴訟で相手方社長には職業代理人がついておりました。いいようなわるいようなお方です。きらいではありません。

わるいような、とした理由を先に説明すると、この方は期日の最後の最後で追加の立証を出すような出さないようなそぶりを取りつつ実際には出さずに弁論終結とさせてしまいました。

…僕と僕のお客さまに無駄な準備を強いたと言えます(あ、僕はそれが仕事ですけどね)

いいような点もあるのです。この方は今回支払い義務が認められたお金の3分の2をある方法で我々が確実に受け取れるようにしておいてくださり、このたび残り約3分の1も社長から預かって支払ってくれる、と言ってこられたのです。

賢明なご判断とは言えるのでしょう。当事務所の売り上げは不動産への強制執行申立書類作成一回分、吹っ飛びました。

しかしながらこの連絡で端数を十何万円かカットしてくれないか、と書き添えてあったのは悪い点です。勝訴判決を確定させてしまった労働者にこの提案を呑ませるセールストークを僕は知りません。破産寸前というならいざしらず、政令指定都市に担保に入ってない不動産をお持ちだとこっちが知っている状況下では。

そして、こういうことを言ってしまった相手方代理人に対する信頼感を僕のお客さまに与えるセールストークも知りません。

というわけでこの提案はまず、即決でゴミ箱へ。

一週間後。端数も含めて遅延損害金も支払った、という連絡が入りました。

なら最初から端数カットなんて言わなきゃいいのです。問題はこの先です。

支払ったから受領確認書を送ってほしいという連絡が入っている、お客さまからそんな報告と書類のスキャンが送られてきました。

3行目に絶対受け入れられない文章が置いてありました。

これで未払い金の全額を受領しました。これで原告と被告には債権債務がないことを確認します…そんな文言が。

まて

この訴訟、原告全面勝訴の判決が確定しています。

そう、訴訟費用は全額が素敵な被告さんのご負担、そんな判決主文となっているのです。
提訴に際して納めた印紙代は1万円以上出した書証は66通以上…加算がかかる通数です。お客さまは出廷に新幹線を使われたこともあったり。

これで訴訟費用額確定処分を申し立てなきゃただのお人好しだろ?

…という士業の方が圧倒的少数派らしいのですが、当事務所はそういう事務所です。
なのにこのタイミングで債権債務なし、などと言われたらこの素敵な残務整理をやれずに終わってしまうではありませんか。

ひょっとしてこれ、全面敗訴になり遅延損害金一部カットも認められなかった相手方代理人が最後に仕掛けた地雷、なんでしょうか。
などと思っているのは我々下々の者だけででしょう。

実情として、請求額数百万円の訴訟を担当され自らの売り上げも一案件100万円を超える職業代理人の先生方はたかだか10万20万の訴訟費用なんかにこだわってない気もします。あの先生方から訴訟費用がどうこう、なんて話し聞いたことがない(苦笑)

とにかくこれに応じると、最後の最後に数日分の給料に匹敵する権利が吹っ飛ぶ、という作りになっているとしか読めない連絡書がやってきたのです。で、これもまたゴミ箱へ。

延々と訴訟を戦い抜いてようやく勝訴判決を確定させ、訴訟費用額確定処分の準備をやりに県外の裁判所に訴訟記録閲覧に行くのは、ある種の自分へのご褒美、という面を持っています。その楽しみを奪おうとは…許せぬ(冗談です)

まぁ今回は裁判所が遠すぎてその出張は無理ではあるものの、関連する別件で素敵な残務整理が待っています。
うまくいけば夏の青春18きっぷ利用可能期間内に、フェリーと組み合わせた旅ができそうな気がしています。

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