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カテゴリー「不動産登記」の記事

期待(先行)のサービス、開始の件

連休後半はウェブサイトに手を入れる作業をして過ごしておりました。今後の業務の柱になる…とは思えないのですが、新しいサービスとそのページを公開しています。

一応は登記の仕事=休眠担保権や過去の仮登記の抹消、という体裁を取っています。
(http://www.daishoyasan.jp/service/operate/tariff3/s-seek.htm)

…ま、その部分だけなら同業者さんがお持ちの、よくあるページです。

その部分が何かの言い訳のように下半分に配置されておりますが、僕が関心を持っているのはそのページの上半分、所在不明(行方不明)な登記名義人の探索の業務です。上記のとおり、URLのほうには本音が出ています(笑)

さて、このブログで連休前半に扱ってきた過去の電話帳をはじめとする公開データをフル活用して登記名義人の探索に挑めるようにしたい、それはいいけどお客さまからすればそんな得体の知れないサービスにお金出す気になるまい、ということで当分のあいだは、当事務所のサービスには珍しい完全成功報酬制を採ってみることにしました。

もっとも、使うのは主に電話帳だし(補足で閉鎖登記簿謄本の取得や閲覧をするでしょうが)、僕が定期的にしている東京出張にあわせておこなう納期設定なので大怪我はするまい、と踏んでいます。ページの下半分=休眠抵当権の抹消かなにかのご依頼につながればむしろそちらのほうが純粋に儲かる仕事にもなりますし。

ただ、問題意識はそれなりに持っています。相続登記や名義人住所変更登記をしないことで隣接地の所有者や担保権者、その他自分の登記を制限する登記をしている登記名義人との連絡がつかなくなる問題は今後どんどん広がるはずです。まだご依頼に至ったことはないですが、所有権移転登記を自分でする人のためのコンテンツを経てきた方の相談で仮登記の残骸をどうするのか聞かれることもときどきでてきました。

しかしながらこれへの対処としては

  1. 士業が住民票を単純に職権請求する。費用数千円
  2. 探偵業者を動員して人間そのものの所在を探す。費用十数万~数十万円超

のサービスが存在しているに過ぎず、品質面でも費用面でも、この中間がほぼありません。士業の人が現地に行って聞き込み等をしてしまった場合、当然ながら突っ込んだ時間に比例して費用は2.にどんどん近づきます。

一部の探偵業者には「調査した場所に対象者がいないことを前提に」その場所周辺での聞き込みだけをして公示送達等申立の添付書類にするサービスは調査費用数万円からあるようですが、これは相手を探すサービスではありません。

やっぱり、上記1.2.の中間はないように思えます。

この部分をなんとかできないか、というのが、あくまでも先行している期待ではあります。

手続き全体を通じて、各所でご本人がやれることはやってもらうのをよしとする点はここでも変わりません。もし所在不明のままで終わり、公示送達の申立かなにかを要するようであればお客さまが現地調査されたらいいでしょう、行ってらっしゃい(^^)/、ということでまず検索エンジンの反応を見てみます。まずはここから、です。

過去の電話帳を用いた登記名義人の探索の可能性 3

国会図書館にしか所蔵がないことは無視して、過去の電話帳の活用を論じる初夏の自由研究は、今日でいったんおしまいです。これまで紹介してきた過去の電話帳の活用、では実際にどれだけの可能性を持っていそうでしょうか。

その手がかりを、少し探してみましょう。僕がコピーしてきたのは宮崎県某村の、昭和44年・55年・平成2年・13年・22年・28年の電話帳です。

このうち個人の収録件数が最大(730件余り)の昭和55年のデータから、アトランダムに35件(5%弱)の個人を抽出して、55年以降の収録状況を追ってみました。その結果。

平成28年の電話帳に収録されておらず、追跡不能なもの 19件(54%)

…そんなもんか(冷笑)と思われたかもしれませんが、そもそも平成28年の全収録件数が370件ほど、つまり母集団そのものが同期間で49%減少し、追跡不能になってしまっていることに注意する必要があります。あとは、

  1. 同じ電話番号の継続使用が確認できたもの 12件(34%)
  2. 関係不明の別人が同じ電話番号を使っているもの 3件
  3. 同姓の別人が同じ電話番号を使っているが相続ではないもの 1件

このようになっています。

1.は現存していて単純に住民票が取れる集団、ではありません。

この12件のうち、昭和55年から平成28年までに転居歴が見いだせたもの(市町村によっては、住所相違で住民票の発行請求を蹴ってくるもの)が4件、同姓の人に名義が変わったものが1件混じっています。後者は典型的な相続による名義変更と考えます。

追跡不能な19件のなかにも、いったん同姓の別の名前の名義になって平成22年の電話帳まで記録を追えたものが1件ありました。死亡・転居後5年は住民票の除票が取れることから、こちらの1件は現在(平成29年)でも住民票の除票が取れるかもしれません。

2.は関係不明で、名字も名前も住所も別の人が同じ電話番号を使っているもの。単に空き番号が割り当てられただけかもしれないので有利には捉えないことにしましょう。

3.の1件は想定していなかった挙動を示したものです。当初の名義人の生存期間中、すでに別の電話番号を使っていた別人がいました。この別人に自分の電話番号を譲ってから、譲渡人自身は電話帳から消える、そうした挙動が見られました。

例えるなら電話加入権を親族に生前贈与してから転居なり死亡なりすれば、こういう動きになるでしょうか。電話帳を丹念に追った結果、両名にはなんらか関係はあるだろう(おそらくは親族だろう)といえる、ということにはなります。

ひいき目に評価すれば、上記の太字にした件数合計7件(20%)は、昭和55年時点の住所氏名データからは現在の住民票やその除票が取れない状況にあり、電話帳を利用して関連を追えば誰か関係者の住民票や除票が取れる可能性がある、ということになるかもしれません。めいっぱい厳しく評価しても、同姓の人に名義が変わった1件(3%)だけは電話帳による調査が役立つもの、と考えられます。

昭和55年から平成28年まで転居も死亡も相続その他の加入権名義変更もなく健在なのは35件中8件だけしかなかったわけですから、それと比較すれば電話帳を使って追えるデータが7件、というのは少なくはないように思えます。現地調査の時間を減らすインパクトはある、といっていいでしょう。

とはいえ、これは単に同一の村内の電話帳をいじって出した数値に過ぎず、他市町村転出の可能性まで追えればもう少しましな結果は出ると思います。

紙の電話帳とは別の情報ソースでも調べたところ、追跡不能な19件のうち痕跡を残しているものが2件ありそうなのです。電話帳を使って別の自治体まで探索できれば、さらにいくつかは見つかるかな、と(笑)

たまたまこの記事をみてしまった普通の人にお断りしておくと、電話帳だけに頼ってこうした調査をすることは全然推奨できません。閉鎖登記簿謄本や官報も、公開データとして重要になってきます。

これらをさらに別のページで整理して、住民票がすぐにはとれない登記名義人の探索方法と探索代行受託に関するコンテンツを作っておこう、と考えています。これはゴールデンウィーク明けの仕事にしましょう。

明日は、カレーを食べてきます。相続登記のご依頼をくださった方への、接待で。

過去の電話帳を用いた登記名義人の探索の可能性 2

過去の電話帳で所在不明な登記名義人を探したい。

でも、そうした電話帳は国会図書館にしか所蔵がない、という不都合な真実からはいったん目をそらして、お話しを続けるとしましょう。調べたことが多いので前口上も長いのですが、簡単なHow to記事を期待する安直さでこの資料にあたることは、どうやら好ましくありません。

今回は資料としての過去の電話帳の特徴をまず説明します。

○所蔵されている期間

国会図書館ではおおむね昭和39年以降、昭和40年代前半からは全国の電話帳を所蔵しています。ときどき欠けている年もありますが、個人名・企業名とも昭和40年代以降、あらかた揃ってると思って差し支えありません。

それ以前のものについては、民間業者が作った「私製の」電話帳の所蔵を見いだせることがあります。これは大都市のものしかなさそうですので、よほど困ったときでなければ無視してよさそうです。

…などという安易な決めつけを口走るような人間をこの調査の担当者にしてはいけない、という話なんで気をつけてください(笑)

○収録件数の推移

昭和40年代の社会動向をちょっと考えてみてください。

  • 地方の山村では同時期の前から人口減少が始まっています。
  • 一方で、各世帯への電話の普及が一気に進んだのもこの時期です。

このため、今回調査した宮崎県の山村では昭和40年代から50年代までは電話帳の収録件数は増加、以降60年代にかけて横ばいから減少、平成に入ってからはどんどん減少、という傾向を示します。いわば昭和50~60年代が電話帳の黄金期でして、国勢調査の結果把握された世帯数に対して個人の電話番号の収録件数はこの時期、80%を超えてきます。

一言でいうと、「昭和50年代の農山村において、世帯の8割以上をカバーしうるデータ」が電話帳、ということになります。

明治時代に最後の登記の記録がある人にここまで生きててくれ、というのはちょっと厳しいかもしれませんが、農地改革で自作農になった人なら残り30年生きてくれれば電話帳で捉えられる圏内にかかってきます。

○収録形態の変遷

実は、電話帳に番地までの住所が掲載されるようになったのは昭和60年代以降です。この点に注意する必要があります。

それ以前は、一部を除いて大字までしか記載がありません。ですので電話帳から読み取れるのは

  • 氏名
  • 氏の読みの、第1文字目(鈴木なら、「す」)
  • 電話番号
  • 住所または、大字までの住所

これらのほか、場合によっては個人事業主の業種(建築、養豚、林業、薬局、など)もカッコで添え書きされていることがあります。たとえば鳴海町長田32番地の代書人なら、こんなふうに。

鳴海町

  • 鈴木 慎太郎(書士) 95-7896 長田

上記の住所に長田32-703という記載が加わるのは昭和60年代以降です。さらに、行政書士と司法書士が一緒にくくられていることもあったようです。

電話番号も少しずつ変化します。

昭和40年代前半までの農山村では地域団体加入電話というものがあり(僕も初めて知りました)どうやら一つの電話番号に数件の加入者がぶらさがっていて、交換手を通して通話する、ということだったようです。同じように地域で私営の交換台を経由する電話として、農村の有線放送と一緒に運用される電話やらなんやらがあった、と上記リンク先には書かれています。

ですので同時期の電話帳には、時々おなじ電話番号を与えられたたくさんの人の集団が載っています。最初は5桁あった市外局番が4桁になり、市内局番が1桁から2桁へ変わる、というのもありがちです。

ですが、番号の付け方はさておき電話帳に載ってくる人は

  • その電話が引かれている家で1人だけ、
  • おそらくはその家を所有していたり、世帯主である可能性が高い人、

と推測して差し支えありません。

※これは年齢40代より上の人なら経験に照らして納得できるはずですが、なかには「契約者死亡後、電電公社に対する名義変更を遅らせた」ために死亡後しばらく死亡者名義のまま、というパターンもあるはずです。ウチがそうだった記憶があります(笑)

電話帳にもう一つ大きな変化が訪れるのは1990年代後半、つまり平成初期です。

このころから、CD-ROMに全国の電話帳データが収録されたコンピュータソフトの発売が始まります。プレスリリースを見ていると、当初は個人・法人あわせて全国で4千万件を超えていた収録件数は、現在では3千万件を割るところまで減っているようです。

そんなこともありまして、当事務所ではできるだけ発売時期の古い電話帳ソフトをヤフオクで探索中です。これが手に入れば探索方法もずっと多様化するのですが、いずれにせよ昭和時代のデータは紙媒体を目視で見る、という作業を強いられることになります。

○利用方法1

たとえば昭和20年代に土地を取得し、今はその住所地に住民票がない、手紙を出しても宛先不明で返ってくる、という人がいるとします。名前を甲野一郎、としましょうか。

まずその人の住む市町村を収録した電話帳でその所在を確認します。

前述のとおり収録状況が充実しているのは昭和50年代の電話帳ですので、ここから調査に入ります。収録が無ければ念のため年代の早いものにさかのぼります。

ここでは氏名の記載が確認できるかもしれません。住民票は死亡後5年で廃棄されるのに対し、いま見ているのはまさに昭和50年代のデータだからです。

運良く見つかったら、新しい電話帳を数年おきにチェックして掲載を確認していきます。

同じ市内局番の区域であれば、転居しても電話番号が変わらないことは多いです。したがって、転居しても同様に…というより掲載位置すら変わらずに追い続けることができます。

ある時点で甲野一郎の記載がなくなり、同じ住所・電話番号で甲野二郎または花子の掲載が始まることがあります。

これは、相続で順当に名義が換わったことを示しています。

ですので調査対象を甲野二郎または花子に変えて調査を続け、住民票が取れる時期まで引き寄せます。関係者が生きていてくれればそれでよし、仮に記載がなくなっても、過去5年以内であれば住民票の除票が、この例では甲野二郎または花子で取れるはずです。

住民票には本籍が記載されているわけですから、あとはどうにでもなります。

※住所が番地までわかるようになったら、ここでいったん「住所地の土地の登記情報」を取るのは悪くありません。山林や原野は放置していても、自分が住む場所だけは相続登記している、というのはあり得るパターンです。こんどはその土地の所有者から、関係者がたどれるかもしれません。

○利用方法2

上記の例で甲野一郎の名前では掲載が消えてしまい、同じ名字の人もいない、というパターンがあります。

この場合は、少々手間はかかりますが次の年の電話帳で『おなじ電話番号』の誰かをひたすら探します。通常は死亡や転出で空いた電話番号をすぐ他の人に割り当てることはないので、翌年から同じ電話番号の誰かが出てくるようなら、これは甲野一郎と関係がある人物と一応推定します。住所まで一致していれば、まず無関係ではないでしょう。

ただ、さすがにこの人の住民票を請求するわけにはいきませんからこの人についてさらに電話帳を調査し、生存していそうなら手紙を出してみる、といったアプローチから始めるのがよさそうです。

○利用方法3

調査の始点を別の氏名から始めることはできるかもしれません。

調査対象者の住所地に該当する地番で、コンピュータ化に伴う閉鎖登記簿謄本をとってみたらどうでしょう。住所がある以上、そこには誰か住んでいたはずです。建物が登記してあればなおよいでしょう。

そうして同世代の人の記載を見いだせたら、その人または相続人を上記によって追跡してみる、ということも当然できます。電話帳自体は、閲覧はタダですから。

○利用方法4

電話帳に住所が番地まで表示されるようになったのは昭和60年代からだ、という限界はありますが、上記1~3で成果が挙がらない場合、あえてこの時期の電話帳から調査を開始することもできそうです。

調査対象者の住所とおなじ番地に住んでいる人をなんとか目視で探し出し、その人を追跡しつつその人の住所地の登記情報を取得して関係の有無を推定する、ということになるでしょうか。理論上は可能ですが、収録件数が多い大都市ではあまりやりたくない手法です。

○利用方法5

調査対象者が他の市外局番の地域に転出したらもう追尾不能ではないか、と言われれば確かにそうです。

確実に転出時期と転出先自治体がわかっていれば、「ある時期に転出先で新しく電話帳に掲載されるようになった甲野一郎」を発見して調査を再開することは一応可能なんですが、転出先や時期といったメタ情報の取得を期待するにはそれこそ近隣の方々への聞き込み調査をする必要があるでしょう。

条件付きで解決策になりそうなのは、前述の電話帳CD-ROMです。こうした装備があれば、収録時点でのデータに基づいて「同じ人名を、全国で」探すことができます。

とりあえず、全国で(苦笑)

あとは発見できた各候補者について紙の電話帳をさかのぼり、転出前自治体の電話帳から収録が消えた時期と転出後自治体で収録が始まった時期が連続する同姓同名の人物については同一人物の可能性大、と認定すればいい…ということにはなるでしょうか。

恐ろしい労力にはなりそうですが、一応可能です。

そんなわけで、当事務所では少なくとも収録時期について数年の間をあけた中古の電話帳ソフトを揃える必要がありそうだ、というお話しになりました。


追記

連絡不能・所在不明な登記名義人の探索および休眠抵当権の抹消に関するページの公開を、5月から開始しています。

過去の電話帳を用いた登記名義人の探索の可能性 1

事務所東側の丘はさみどりに萌えて、絶好の行楽日和です。
ゴールデンウィークの仕事が、もう一つ減りました。

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…ある労働訴訟。協議の場で口にしてきた未払い金額より1.●倍は多い計算表が、会社側から出てきています。

なにやらいい加減なもんだ、と裁判所の対応も含めて少々首をかしげざるをえませんが、ともあれ僕の仕事は1.●倍ラクになりました。

この表を直ちに詳細に検討して大規模に反論する必要はなさそう、ということで昨日の記事の続きです。


隣接地の所有者や過去の仮登記の権利者、ときには解散しちゃった会社の代表者…などとして登記上読み取れる他人に連絡を取る必要が、たまに発生します。

たまにしか発生しないのですが手続き全般に与える破壊力が大きい、というのがこの問題の怖いところ。あくまで「その手続き当時の」住所と氏名の組み合わせでしか表示されていないこれら所在不明者は、死亡したり転居したりしてしまえばかんたんに行先がわからなくなります。

一次情報として知ることができる対象者データは住所と氏名だけなので、死亡や転居にともなって住民票や除票がとれなくなったら公的な証明でただちに追跡することができないからです。

これを新しいツール(といっても古い資料)である『過去の電話帳』を活用して探せないか?というのが、ゴールデンウィークの僕の自由研究です。

登記上の所有者の所在がわからない、という問題は東日本大震災後にいったん注目されました。そのときの記録では、地権者2400名余りのうち最初は半数程度の人が現在の住所と一致していない、そんな情報があったはずです。

明治時代から相続登記をやったりやらなかったりしてきた農山村(の、中間貯蔵施設の予定地ということは住宅地や主要な農地からは離れているだろう場所)には、きっとどこでもそういう状況が隠れています。

不動産開発(原野商法とは言うまい)の跡地を巡っては、興味深い記事がありました。

『補償時報』108号(平成10年)所載の「山林分譲地の用地取得について--居所不明者の詳細調査等」によれば、中国自動車道の工事の予定地にかかった兵庫県の山間部、佐用町の別荘地(ただし、実際には別荘建設も道路開設も無く、机上で分筆と分譲があっただけであった模様)の地権者は64名。昭和40年代に分譲された=つまり昭和40年以降の住所氏名が登記上見いだせる地権者たちについて事業者担当者が平成初期にしたことは

○まず、登記上の住所氏名で住民票を取得した

 この時点での所在不明 23名

○次いで担当者が地権者住所地の役場に行き、住所地周辺の調査もおこなった

 この時点での所在不明 3名

ここで記事によれば調査地の役場で「かなりの情報」を得た、との記載がありますが民間人がこれを期待するのは野暮、というものでしょう。きっとかなりの情報があったんでしょうね(遠い目)

おそらくは徴税管理のために把握されていた情報かなにかをもらったと妄想しておいて、現地調査ではつぎのような人に話をきいた、とのことです。

  • 近くの派出所
  • 自治会役員
  • 米屋や酒屋
  • 近所の人。共同住宅なら管理人

このほか電話ボックス内にある電話帳を調べるなどの調査をへて、記事の時点で所在不明は3名に絞り込まれた、と。現時点でこの区間に道路は通ってますのでこの3名についてもなんらか解決が図られた、ということでしょう。わざわざ記事に書いてくださった、ということは電話帳もどこかで役に立ったはずです。

登記名義人たる所在不明者の探索方法としては上記のほか、国交省の所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドラインのページ巻末の事例集には「お寺の過去帳」がわりとよく出てきます。これは調査対象者の生存時期が古い(明治から終戦直後あたりで登記が終わっており、あとは相続登記未了)の事例が多いからだと思います。

ガイドライン所載の事例は主に行政がやる所在不明者調査ですので戸籍謄本や登記事項証明書の公用請求が派手に使えるほかは、それで役所の記録が取れなければ現地で聞き込みしましょう、というのが現在の業界標準だ、と考えて差し支えありません。電話帳はあくまで「現在のものを、単に調査対象者の所在と電話番号を知るために」使われているだけです。

自分が住むための住宅など関心の高い不動産でなければ、昭和40年代の登記名義人も最初は3分の1が連絡不能の状態からスタートすることになる、調査の過程で聞き込みがどうやら必要になるとみんなが考えている…ということで時間もお金も限られている民間人には少々酷だと思うのです。

本コンテンツではこの部分、上記の例なら所在不明23名から3名以下に減らす作業を過去の電話帳の活用その他で置き換える、ということを検討するのですが…

すみません。実は過去の電話帳の所蔵は地方の公共図書館にはほとんどなく、東京の国立国会図書館にしか揃ってません。

結局それかよ(怒)と言われそうですが、まぁ僕のところで安く調査代行しますから勘弁してください、とごまかして話を先に進めましょう。


追記

連絡不能・所在不明な登記名義人の探索および休眠抵当権の抹消に関するページの公開を、5月から開始しています。

日本で生まれた未成年外国人の代理権限証書

表題の件。先月お受けした不動産登記はつぎのようなものでした。守秘義務に反しないように一般化します。生前贈与の案件、と思ってください。

  • 不動産を贈与する人は日本人の成年者です。
  • 受贈者=不動産をもらい受けるひとは日本国籍はなく、就労可能な資格を持っている人とそのご家族。うち1名が、日本で生まれた外国籍の幼児です。

受贈者側が日本人ならよくあるパターンです。幼児とその両親が記載された戸籍謄本を取得して、両親の法定代理権を示す代理権限証書として登記申請書にくっつけるだけです。

ですが、日本国籍のない日本在住者の住民票はあっても戸籍の記録はそもそもありません。

だったら両親の法定代理権を明らかにする書類をどうするの、という情報は、ウェブにはあまりはっきり書かれていません。この情報をウェブに放つ価値はありそうです。

外国で生まれた外国人の未成年者、ということでしたら原則通りにするしかありません。戸籍制度がある国なら現地の官公署でその記録をとり、そうでなければ親子関係について現地の公証人なりその外国の在日公館等で公証をうけて、それを日本語訳した訳文を添付して親子関係を明らかにする、ということになります。

もちろん本件でもそれをやっていいのですが、外国人が日本国内で出産した場合も日本人と同様に出生届の提出はなされます。その記載事項証明書を取得すれば、子供の氏名・生年月日と両親の氏名など、親子の関係がわかるひととおりの記載がなされています。もちろん、日本語で

そんなわけで、これを戸籍謄本に代えて、その外国人親子の関係を示すもの=親の法定代理権を示す代理権限証書として不動産登記申請書に添付したところ、申請そのものはつつがなく通りました。これが添付書類になることと受贈者について日本語の通称名を記載した以外は、日本人相互間の不動産贈与の登記申請書とぜんぜん違いはありません。

ただ、これはこれで問題があるような気はするのです。

…などと知ったふうなことを、申請通過を確認してから言う態度に問題ないのか、という点からはそっと目をそらしましょう。

さて、出生届の記載事項証明書は、あくまで『子の出生時点での』親子の関係を示すものにすぎません。その後片方の親が死亡するとか、子供が養子に出されるなどすればその時以降の法定代理人が誰かを示す書類とはならない、と考えなければなりません。

今回お受けした外国籍の方の国の家族法では、子が養子に出された場合は養親が親権を行使し、実親は法定代理権を失う、とされています(その養親が死亡したりすればまた別のようですが)。

こうした法律を持っている場合、ある時点での『親に見えるひと』の子供に対する法定代理権は

  1. その親に見える人が、子の出生時点でその子の実親で
  2. 贈与契約や登記の委任をする時点においてその親が親権を失うようなイベント(死亡なり養子縁組・その解消など)が発生していない

ことの双方を明らかにしないと、ほんとうはいけないような…気がします。

が。しかし。

今回の登記申請では、

  • もうそろそろ保育園にいくんじゃないのかな(遠い目)

という年齢のお子さんについて、出生届記載事項証明書を代理権限証書にして申請が通ってしまいました。

確かに不動産登記で添付する戸籍謄本の発行時期が問われることもないので日本国籍がない人にだけそれを厳しくする道理もないのですが、戸籍と違って出生のあとは絶対にアップデートされないデータ(出生届を出した時点の情報だけが記載されている記載事項証明書)をつかって、じゃぁ子供が17歳になったときでも親の法定代理権を明らかにできるのか?と言われたら…

そうした不動産登記のご依頼はちょっとね、などというと、きっと補助者さまに笑われることでしょう。

最後に、当事務所ではごくふつうの不動産登記のご依頼を積極的に扱っておりますほか、あえて土地家屋の名義変更を自分でやってみたい、という方に登記相談を行っております。それぞれ皆様のご依頼をお待ちしております(笑)

誰かが、何かを、間違えた

有川浩の『図書館戦争』をSFの一種だと思って読み始めたのは僕だけでしょうか?

現実と少し違う未来に進んでしまった日本を舞台に、架空の行政官庁の構成員の活躍を描いたもの…小川一水の『こちら郵政省特別配達課』と同じような。

両者の読者層がどれだけダブってるかはさておいて。巻目の『図書館危機』まで読み進んだあたりでこれは恋愛小説ではないかと気づき愕然としたものです(苦笑)

で、今日は1文字の間違いのお話です。


申請の当日にそれに気づいたのは、我ながらよくやったと思います。
先日お受けした、相続登記のご依頼のことです。

複数の不動産の名義を、親子や兄弟での遺産分割協議を経て1人の相続人に集中させる。よくある類型のそのご依頼では、登記情報によれば不動産のうち1つだけが所有者の住所が少々違った記載になっていたのです。

たとえば所有者の住所が千代田区永田町1丁目とあるべきところを、千代田区永田1丁目となっている、そんな状態を想像してください。

どのような経緯でそうなったのか登記情報からは読み取れないので、法務局でコンピュータ化前の閉鎖の登記事項証明書を久しぶりに取ってみました。

原因を作った登記申請はわかりました。コンピュータ化前に実施されたある登記申請の経由後、当時の紙の登記簿に所有者の記載が間違ってタイプされていたのです。

さて、住所が間違って記載された結果、実際には存在しない住所で被相続人の住所が記録されてしまっています。

被相続人の死亡時の住所と登記情報記載の住所が異なる場合、ではあります。しかし、単に被相続人の住所を証明する書類が調達できない場合に一般的な相続登記の申請とはやり方が違う気がします。

その日に申請を出すつもりだった事はおくびにも出さずに、まずは担当者さんと事前の打ちあわせをします。この問題にはずっと前から気づいていたふりをして(遠い目)

あちらも少々考えてくださったようで、さまざまお聞きした結果、以下の書類の追加があれば申請を受理しようということになりました。

  • 被相続人が、その不動産を取得した際の登記済証(いわゆる権利書)
  • 市役所で発行される、 その住所が存在しないことの証明書

不在籍証明書と不在住証明書ではないのがミソです。
今回は、登記情報に記載されている住所が誤ったもの、つまり現実には存在しない住所であるので、その旨の証明書をとればということになったわけです。

お客さまには早速、従前の登記済証がないか探して頂くようお願いしました。
すると、お願いした登記済証の他に、住所の記載が誤った原因となった登記申請の登記済証も送られてきたのです。申請書副本からつくられた登記済証が。
そこでの所有者の記載は、正しい住所になっていました。

結論。
誤ったのは、申請人ではない(笑)

そんなわけで、申請書には従前の権利書のほか、誤記が生じる原因となった登記の登記済証も添付して、つつがなく申請をを終えました。

その従前の登記申請、業界団体の役員をしておられた大先生の事務所から出されています。申請後に閲覧かけて照合したのかは不明ですが、まぁ忙しすぎるのも考え物ということかもしれません。

ヒマヒマな当事務所では、今回の登記済の引き渡しにあたって1文字ずつ記載事項の再確認を行うとしましょうか。十数年後に誰かを困らせることがないように(汗)

最近は登記の本人申請に関心を持って、この事務所のウェブサイトやブログをご覧くださる人も増えているようです。
少なくとも受験生や同業者のみなさんより、未来のご依頼につながり得るありがたい方々であります(笑)
今日はそうした方々向けの、法務局にある不動産登記の記録が、常に正しいわけではないというお話でした。


今週末の出張は10月9日、京都府・奈良県内で用事が入りました。同日は夕方以降奈良以東で余裕があり、10月10・11日はまるごと空いています。出張相談ご希望の方のお問い合わせをお待ちしています。

本日は(珍しく)登記の日

車はありますが、普段の移動は公共交通機関と自転車が中心です。

ふっと…不安になりました。

以前ガソリン入れたの、いつだっけ?

まだ寒かった気がします。2月末まで使えるクーポンを使おうかどうか迷った痕跡があり、ダッシュボードから結局使わなかったクーポンが発見されました。

つまり、2月末よりずっと前だ(笑)

そろそろ油、カビてるんじゃないかしら?

一層不安になってこの油、使ってしまおうと決めました(もちろん冗談ですが)

まず正午に訪れたのは名古屋法務局、ここまでで1時間。

さらに1時間半走って、昼下がりの岐阜市役所。

そこから1時間ちょっと走り、途中おやつに一回休憩を入れて。

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関市役所までやってきました。水平方向にも垂直方向にもとっても見晴らしがよいこの庁舎、水平方向は北へ1キロ向こうまで田んぼ、垂直方向数百メートルのところにはC130が気持ちよさげに弧を描いて飛んでいます。このへんではありふれた光景なのかもしれません。

久しぶりの抵当権設定登記の申請を出しに本局まで行こう、どうせならこの次の相続登記につかう除籍謄本も集めてしまおう、ということでここまで来たわけですが…そんなときに限って出てくるデータは超シンプルだったりします(笑)まぁ、これで来週からは名古屋市内での資料収集をすればよいことにできました。そういうことにしましょうか。

ところで、名古屋法務局では不動産登記本人申請を行うひとに「登記完了予定連絡表」を渡してくれます。

これには受付番号と完了予定日、受取時に持参してほしいものが書いてあるので僕も一枚もらってきました。

当然ながら僕、まだ司法書士の資格を失ったわけではありません。

今日提出した申請は2件の連件。1件目がお客さまの本人申請による所有権保存登記、2件目が司法書士代理人の申請による抵当権設定登記という構造なのです。

注文住宅を完成された方が建物表題登記と所有権保存登記までを自分で申請される、というのは金融機関と調整できれば可能です。場合によっては表題登記まで本人OK,保存以降は司法書士がやってよ、というところもあります。

僕はわりと本人申請に協力的なほうだと思うので、こういう案件ではお客さまが作った所有権保存登記に訂正印を打った状態でお客さまから申請書一式を預かります。

もちろん、申請書はこちらでチェックをかけて(先行する保存が通らなかったら続行する設定をかけたこっちが即死しますから、サービスと言うより自分の身を守るために!)補正になりそうな箇所があったら訂正を求めます。

預かっておいた所有権保存登記申請書と僕が作る抵当権設定・追加設定登記申請書を法務局に出しに行くのが僕の仕事で、お客さまには後日、所有権保存登記の登記済み書類を自分でとりに行っていただく、そんな段取りをしています。

法務局の窓口担当者さんが多少不審な、古風な表現でいえば胡乱な目で僕をみる(本当なら思い切り見つめてあげてほしい『本人』は申請時には窓口に来ていない!)だけが問題なこの申請類型、それでも僕はわりと好きで、もう少しこのご依頼が増えないかな、と思っているところです。この線で新しいコンテンツを整備しています。

『非課税部分があります』

師走だから、でしょうか。小刻みに名古屋市内と近郊をまわる用事が、先週・今週で三つほど入りました。いずれも不動産登記や独立系FPでの仕事なのは大変ありがたいことです。

そんな仕事の一件に、見慣れない評価証明書の記載を目にするものがありました。

評価証明書=名古屋市内では固定資産税評価額等証明書は、所有権移転登記で登録免許税を計算し、その根拠を示すために申請書に添付するお約束の書類です。そこに手書きの追記があるのです。

『非課税部分があります』

と。

数値を書き換えると、こういう内容らしいのです。

その一筆の土地は、

  1. 登記上の地積 5000㎡
  2. 課税上の地積 4500㎡
  3. 価格 4億5000万円
  4. 500㎡は、非課税。公衆用道路であるため。

4.の部分が手書きの追記で読み取れる、と。

リクツはわかりますが初めて見ます。登記の受託件数がそもそも絶望的に少ないだけだろ、という突っ込みも自分で入れるとしましょう。

ただ、一筆の土地の中に課税部分と非課税部分が混在している、という場合にどうやって登録免許税を、そして、その根拠となるこの土地全体の価格をどう計算するか、という情報はウェブから拾えませんでしたので、情報をネットに放す価値はありそうです。

戸建ての住宅地に時折セットされる私道やその共有持ち分のように、一筆の土地がまるごと公衆用道路で非課税、というなら情報はいくらでもあります。その土地の近傍で価格の参考となる土地を法務局または市区町村役場で決めてもらって、その土地の㎡あたり単価に30%を乗じた金額を目的の土地の㎡あたり単価にして、あとは地積と持ち分を乗じてあげればよい、と。

…で、その近傍地の指定が不適切だと税務訴訟になるらしい、と(遠い目)

だったら今回の土地は?

同じ土地のなかに課税部分と公衆用道路として非課税部分があるなら近傍地もへったくれもあるまい、と考えました。上記の設例で、課税されている部分の㎡あたり単価を

4億5千万÷4500㎡=10万円/㎡ として、非課税部分の価格は

500㎡×10万円×30%=1500万円 したがって

この土地の価格は、4億5千万+1500万=4億6500万円

このように計算して所有権移転登記の申請をかけたところ、法務局から電話がかかってきました(がーん!)

「被相続人●●さんの所有権移転登記ですがね、これ集会所の部分だけ、登記上の住所が住民票の除票の住所と違ってます」

…は?

よく見ればこのマンション、居室(専有部分の建物)のほか、敷地権化されていない共有持分として土地と集会場等の建物を含んでいます。区画整理を経て、土地の名称と地番が変わりました。

で、以前登記申請をされた担当者さんは、居室と土地の持分だけは所有権登記名義人住所変更登記をしていてくださって、

僕には少しだけ、仕事を残しておいてくださった、と(爆)

ともあれ、肝心な登録免許税額の計算は間違っていなかったことを喜びましょう。明日は補助者さまや同業者さんご夫妻と、忘年会です。いいお酒になりそうです。


非課税の土地がある、あるいは土地の一部が非課税ということに気づかないで登記本人申請が頓挫する(または、申請そのものを見落とす)ことも登記の相談でたまに見るようになってきました。ウェブサイトで公開している、所有権移転登記を自分でしたい人のためのコンテンツでもこの部分への対処法を説明したいと思っています。

相続登記の費用が自動で計算できるようになりました

三連休を使って、明後日からの出張前の大仕事を終えました。

当事務所ウェブサイトでは昨年から、中古住宅取得時の登記費用(司法書士報酬と登免税ほかの実費)をウェブ上で自動計算できるようにしていたところ、このたび相続登記の費用も自動で計算できるようにしたのです。

久しぶりに、JavaScriptをいじって過ごしました…お天気のいい週末だったのに(苦笑)

登記費用自動計算のページは毎日40~70件程度のアクセスがあり、当事務所ウェブサイト全体でもアクセス数の上位トップ10に入ってきています。皆さん問い合わせをくださる前にできるだけ具体的に費用を知りたいはずだ、ということでシステムを組んで世に送り出してみるとしましょう。

現在、googleで『登記費用 計算』などのキーワードで検索すると、同様のサービスを提供するサイトは上位10位以内に3つでてきます。うち1つが当事務所、もう1つはわりと昔からそのシステムを持っていたものの、所有権移転がらみの登記での計算はできないようです。

相続登記に限っていえば、同じ支部管内でそれはそれは綺麗な見積書を自動作成されるサービスをお持ちの事務所さんがあります。

そちらと比べると、見かけでは劣ります(修飾語一切不要で、『劣ってます』)

3

既存の不格好なシステムを発展させて作ったため、正しく不格好さをひきついでおります。

ただ、当事務所の自動計算システムでは被相続人が1親等~2親等で住宅1個程度のよくある事案ではかなり正確に費用を出してくるようになっています。遺産分割協議書作成や相続証明書類の取得代行の要否でしっかり費用は変わります。

あとは、明日中にウェブサイト内から適切に内部リンクを張って、さらにこのページの利用が増えるようにしてみましょう。

ここまで来たら新築住宅の取得費用についても作ってしまいたい、とも思っています。こちらは、これまで扱っていなかった申請類型と計算作業=所有権保存登記と建物の価額の計算が絡んできます。かなり面倒です。

今回の相続登記の費用計算でも、所有権移転登記の本体部分は既存のシステムを流用できたものの戸籍謄本類取得の実費をどう正確に示すか?でかなり悩みました。

それ無理!

と開き直ったうえで概算額を示すに留める、それをすでに実現した事務所さんのウェブサイトを発見したことがブレイクスルーになりました。僕のところではこの実費、基本は3千円(除籍・原戸籍謄本4通分)計上することにして、あとは相続人1名増加ごとに1500円増加させた費用を示すことにしています。実際の事例をいくつか出して比べたのですが、数千円違うことはないし若干過大に出せている気がします。

保守的な同業者さんの存在から目をそらして世に送り出すこのサービス、一般のお客さまには便利なはずなのです。

これをさらに徹底してやっている事務所を発見してしまい、なぜか補助者さまがその事務所さんのサイトをいたくお気に召したらしいのです。彼女が同業者のウェブサイトを見てテンションを上げているところを、久しぶりに見ました。

僕としては、なにがしか刺激されるものがあります。そうまで盛り上がられてはこちらも手を付けずにはいられません。

詳細は次回記事『本職と補助者(さま)の欲しいものの違いに関する一考察(仮)』で、明日にでも。

特別受益証明書は嫌い…だったんだけど

特別受益証明書が嫌いです。

こいつに捺印したことある、という方で実際に生前に財産もらってた、なんて人に会ったことないから(笑)

この『特別受益証明書』、その場限りの相続登記さえ終わればあとはどうだっていい実務家が適当に作って自分の依頼人ではない=不動産を相続しない相続人どもからとりまとめる謎の物体…というのでなければ、正しくはつぎのようなものです。

相続に際して、ある相続人が、被相続人から(主として生計の資本として)生前に十分な贈与を受けていたために、被相続人の死亡後にはじまる相続財産の分配に際して他の相続人に対して『自分には(特別受益考慮後の)相続分が、もうないこと』を証明する文書、だと。

つまりこの文書をとりつけることで、遺産分割協議なくしてその相続人を遺産分配の手続きから事実上脱退させてしまえるこの文書、きっと使い出したらやめられない便利なものなんでしょうよ。

でも。相続紛争を作り出す相続登記申請のなかには、十数人の相続人から十数枚の特別受益証明書をかき集めていて、そのなかの一人ないし数人は

生前贈与?何それ食えるの?

とか言っている実情もあるわけです。なかには相続放棄とこの文書への捺印を混同している人もいたりして、相続放棄とは異なり実際には債務を相続してしまう=危ないことこのうえないこの特別受益証明書、当事務所では一度も作ったことありません。

創業以来の相続登記の受託件数そのものが他事務所の数ヶ月分に満たないからかもしれませんが(あ、笑ってください)

ただ、今後はこの特別受益証明書の活用を考えねばならない気がするのです。

同業者の皆さまにはご存じのとおり、一人でやる遺産分割協議の結果を添付しての相続登記はこの秋を境に、おそらく全国的に認められなくなりました。

よりによって、この春からまさにそうした案件をお受けしていたところなのです。当事務所創立初の案件として(あ、笑ってください)

情報をいろいろ集めながら、ああ、この春から関東の法務局でもダメになりつつあるんだなこれきっとダメになるパターンだよな…と観察しているうちに9月の東京高裁判決でトドメ刺されて諦めた、委任状追加でもらおう、となったその案件。一般化すればこのようなものです。

  • お父さんとお母さん、子供一人の家族がいます。
  • お父さんがお家を持っています。
  • 平成24年にお父さんが死亡します。
  • 平成25年に入ってお母さんが死亡します。
  • その後、子供さんから相続登記のご依頼がありました。

なんでもいいから、お父さん名義のお家を子供の名義に変えてくれよ、というオーダーです。兄弟の数が減ってくれば、つまり今後は実によくあるパターンにはまってきます。

…で、従前ならこうした件では『子供さんが、子供さん本人とお母さん(の相続人)を兼ねてお父さんの死亡に際して一人で行う遺産分割協議』の結果を添付して、一件の相続登記申請で子供の名義に変えることができていたんです。これができなくなりました、と。

遺産分割協議、って言ってるんだから一人でやるなよ、というリクツらしいんです。問題はそれへの対処です。

ならば今後はどうするか?なんですが、原則論では

  • お父さんの死亡に伴う相続登記(1)で、持ち分2分の1を既に死んでいるお母さんに、持ち分2分の1を子供さんに相続させる登記申請をして
  • お母さんの死亡に伴う相続登記(2)で、お母さんが相続した持ち分の2分の1を子供さんに相続させて
  • 最終的には、子供さんにすべての持ち分を持たせる

ということになります。司法書士が余計に仕事すれば済む、という問題ではありません。上記の例では(1)で不動産のすべての持ち分、(2)で不動産の持ち分の2分の1の持ち分移転を行うため、登記申請が一回で済む場合と比べて登録免許税が余計にかかります。この例では、不動産が余計に動く分=不動産の額の2分の1×0.4%。

価額1000万円の居宅なら、2万円余計にかかる、ということになります。

諦めてそうしてね、というのは確かに悪くありません。

ただ、上記のように二回にわたって発生している相続でも、最後以外の相続が『相続人が一人しかいない状態』になっているなら、最後までの相続登記の申請を一回でやっていい、ということになっています。遺産分割協議とは関係のない、この部分の判断には変化がありません。

さて、そうすると。上記の例でお父さん死亡時の状況としては、お母さんと子供さんの2名が相続人だったはずです。相続人は2名です。

いきなりですが、子供さんが相続放棄したらどうでしょう?

実はお父さんの死亡が平成24年12月、お母さんの死亡が平成25年1月、相続登記のご依頼が平成25年2月だったとしたら。

子供さんがお父さんの相続について相続放棄しても実費は数千円で済み、お父さんの相続に関する相続人はお母さん一人になってしまいます。

結果的にはお父さんの財産をすべてお母さんが相続後、ただちにお母さんの遺産として子供さんが相続することになるので実害ゼロ、ということになるでしょうか?

お父さんもお母さんも死亡した後、相続放棄の熟慮期間3ヶ月が経過していたらどうでしょう?

遺産分割協議のように、共同相続人の誰かと複数人でする行為はもう一人だけでは(正確には、相続人たる自分と他の共同相続人の権利を相続した自分とでは)できない、というルールはできあがりつつあります。

特別受益証明書の作成はどうでしょう?

  • 相続人たる自分が、過去にあった事実を証明するだけの文書、ということになるのでしょうか?
  • 他の相続人の利益になる文書である、ということを考えれば、利益を受けるべき他の相続人が生存している必要があるのでしょうか?

もし前者であれば、上記の設例で子供さんが

あ!ワタシ大学入るときに(または結婚のときに)お父さんからたくさんお金もらっちゃった♪といきなり都合良く思い出し、それを受けて実務家が嬉々として特別受益証明書をつくり、それを添付して相続登記の申請をこれまでどおり一回で終えるようにするのが今後は流行るのかもしれません。

上記の設例で、お父さんの死亡時に子供だけのアクションによって『相続人がお母さん一人である状態を作る』ために、もっとほかに自然な方法がないか…あれこれ考えているのですが、なかなかいいのがないのです。

相続分の譲渡は(譲渡をうけるべきお母さんが既に死んでいるから)まず不可、相続分の放棄はどうだろう?と考えるのですが、放棄の意思表示を受けるはずのお母さんがやっぱりいないので、ダメなのではないかと思うのです。

そうやって考えると、事実に反していることはやっちゃいけない(お母さんの死亡前に遺産分割協議は成立していた、などという虚構をでっちあげない)というならば…まず慎重に特別受益の可能性をさぐって、そうした事実がなければあきらめる、運が良ければ(相続放棄の熟慮期間が過ぎてなければ)本当に相続放棄してしまう、ということになるのかもしれません。

などと小難しいことを言わずに、適当な書類をサクサクつくって申請を終えてくれる事務所さんのほうがきっといいに決まってるね、と気づいてしまいました。

ありがたいことに今月も、相続登記のご依頼が入っています。普通に遺産分割協議できる案件が。

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