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日本で生まれた未成年外国人の代理権限証書

表題の件。先月お受けした不動産登記はつぎのようなものでした。守秘義務に反しないように一般化します。生前贈与の案件、と思ってください。

  • 不動産を贈与する人は日本人の成年者です。
  • 受贈者=不動産をもらい受けるひとは日本国籍はなく、就労可能な資格を持っている人とそのご家族。うち1名が、日本で生まれた外国籍の幼児です。

受贈者側が日本人ならよくあるパターンです。幼児とその両親が記載された戸籍謄本を取得して、両親の法定代理権を示す代理権限証書として登記申請書にくっつけるだけです。

ですが、日本国籍のない日本在住者の住民票はあっても戸籍の記録はそもそもありません。

だったら両親の法定代理権を明らかにする書類をどうするの、という情報は、ウェブにはあまりはっきり書かれていません。この情報をウェブに放つ価値はありそうです。

外国で生まれた外国人の未成年者、ということでしたら原則通りにするしかありません。戸籍制度がある国なら現地の官公署でその記録をとり、そうでなければ親子関係について現地の公証人なりその外国の在日公館等で公証をうけて、それを日本語訳した訳文を添付して親子関係を明らかにする、ということになります。

もちろん本件でもそれをやっていいのですが、外国人が日本国内で出産した場合も日本人と同様に出生届の提出はなされます。その記載事項証明書を取得すれば、子供の氏名・生年月日と両親の氏名など、親子の関係がわかるひととおりの記載がなされています。もちろん、日本語で

そんなわけで、これを戸籍謄本に代えて、その外国人親子の関係を示すもの=親の法定代理権を示す代理権限証書として不動産登記申請書に添付したところ、申請そのものはつつがなく通りました。これが添付書類になることと受贈者について日本語の通称名を記載した以外は、日本人相互間の不動産贈与の登記申請書とぜんぜん違いはありません。

ただ、これはこれで問題があるような気はするのです。

…などと知ったふうなことを、申請通過を確認してから言う態度に問題ないのか、という点からはそっと目をそらしましょう。

さて、出生届の記載事項証明書は、あくまで『子の出生時点での』親子の関係を示すものにすぎません。その後片方の親が死亡するとか、子供が養子に出されるなどすればその時以降の法定代理人が誰かを示す書類とはならない、と考えなければなりません。

今回お受けした外国籍の方の国の家族法では、子が養子に出された場合は養親が親権を行使し、実親は法定代理権を失う、とされています(その養親が死亡したりすればまた別のようですが)。

こうした法律を持っている場合、ある時点での『親に見えるひと』の子供に対する法定代理権は

  1. その親に見える人が、子の出生時点でその子の実親で
  2. 贈与契約や登記の委任をする時点においてその親が親権を失うようなイベント(死亡なり養子縁組・その解消など)が発生していない

ことの双方を明らかにしないと、ほんとうはいけないような…気がします。

が。しかし。

今回の登記申請では、

  • もうそろそろ保育園にいくんじゃないのかな(遠い目)

という年齢のお子さんについて、出生届記載事項証明書を代理権限証書にして申請が通ってしまいました。

確かに不動産登記で添付する戸籍謄本の発行時期が問われることもないので日本国籍がない人にだけそれを厳しくする道理もないのですが、戸籍と違って出生のあとは絶対にアップデートされないデータ(出生届を出した時点の情報だけが記載されている記載事項証明書)をつかって、じゃぁ子供が17歳になったときでも親の法定代理権を明らかにできるのか?と言われたら…

そうした不動産登記のご依頼はちょっとね、などというと、きっと補助者さまに笑われることでしょう。

最後に、当事務所ではごくふつうの不動産登記のご依頼を積極的に扱っております。皆様のご依頼をお待ちしております(笑)

誰かが、何かを、間違えた

有川浩の『図書館戦争』をSFの一種だと思って読み始めたのは僕だけでしょうか?

現実と少し違う未来に進んでしまった日本を舞台に、架空の行政官庁の構成員の活躍を描いたもの…小川一水の『こちら郵政省特別配達課』と同じような。

両者の読者層がどれだけダブってるかはさておいて。巻目の『図書館危機』まで読み進んだあたりでこれは恋愛小説ではないかと気づき愕然としたものです(苦笑)

で、今日は1文字の間違いのお話です。


申請の当日にそれに気づいたのは、我ながらよくやったと思います。
先日お受けした、相続登記のご依頼のことです。

複数の不動産の名義を、親子や兄弟での遺産分割協議を経て1人の相続人に集中させる。よくある類型のそのご依頼では、登記情報によれば不動産のうち1つだけが所有者の住所が少々違った記載になっていたのです。

たとえば所有者の住所が千代田区永田町1丁目とあるべきところを、千代田区永田1丁目となっている、そんな状態を想像してください。

どのような経緯でそうなったのか登記情報からは読み取れないので、法務局でコンピュータ化前の閉鎖の登記事項証明書を久しぶりに取ってみました。

原因を作った登記申請はわかりました。コンピュータ化前に実施されたある登記申請の経由後、当時の紙の登記簿に所有者の記載が間違ってタイプされていたのです。

さて、住所が間違って記載された結果、実際には存在しない住所で被相続人の住所が記録されてしまっています。

被相続人の死亡時の住所と登記情報記載の住所が異なる場合、ではあります。しかし、単に被相続人の住所を証明する書類が調達できない場合に一般的な相続登記の申請とはやり方が違う気がします。

その日に申請を出すつもりだった事はおくびにも出さずに、まずは担当者さんと事前の打ちあわせをします。この問題にはずっと前から気づいていたふりをして(遠い目)

あちらも少々考えてくださったようで、さまざまお聞きした結果、以下の書類の追加があれば申請を受理しようということになりました。

  • 被相続人が、その不動産を取得した際の登記済証(いわゆる権利書)
  • 市役所で発行される、 その住所が存在しないことの証明書

不在籍証明書と不在住証明書ではないのがミソです。
今回は、登記情報に記載されている住所が誤ったもの、つまり現実には存在しない住所であるので、その旨の証明書をとればということになったわけです。

お客さまには早速、従前の登記済証がないか探して頂くようお願いしました。
すると、お願いした登記済証の他に、住所の記載が誤った原因となった登記申請の登記済証も送られてきたのです。申請書副本からつくられた登記済証が。
そこでの所有者の記載は、正しい住所になっていました。

結論。
誤ったのは、申請人ではない(笑)

そんなわけで、申請書には従前の権利書のほか、誤記が生じる原因となった登記の登記済証も添付して、つつがなく申請をを終えました。

その従前の登記申請、業界団体の役員をしておられた大先生の事務所から出されています。申請後に閲覧かけて照合したのかは不明ですが、まぁ忙しすぎるのも考え物ということかもしれません。

ヒマヒマな当事務所では、今回の登記済の引き渡しにあたって1文字ずつ記載事項の再確認を行うとしましょうか。十数年後に誰かを困らせることがないように(汗)

最近は登記の本人申請に関心を持って、この事務所のウェブサイトやブログをご覧くださる人も増えているようです。
少なくとも受験生や同業者のみなさんより、未来のご依頼につながり得るありがたい方々であります(笑)
今日はそうした方々向けの、法務局にある不動産登記の記録が、常に正しいわけではないというお話でした。


今週末の出張は10月9日、京都府・奈良県内で用事が入りました。同日は夕方以降奈良以東で余裕があり、10月10・11日はまるごと空いています。出張相談ご希望の方のお問い合わせをお待ちしています。

本日は(珍しく)登記の日

車はありますが、普段の移動は公共交通機関と自転車が中心です。

ふっと…不安になりました。

以前ガソリン入れたの、いつだっけ?

まだ寒かった気がします。2月末まで使えるクーポンを使おうかどうか迷った痕跡があり、ダッシュボードから結局使わなかったクーポンが発見されました。

つまり、2月末よりずっと前だ(笑)

そろそろ油、カビてるんじゃないかしら?

一層不安になってこの油、使ってしまおうと決めました(もちろん冗談ですが)

まず正午に訪れたのは名古屋法務局、ここまでで1時間。

さらに1時間半走って、昼下がりの岐阜市役所。

そこから1時間ちょっと走り、途中おやつに一回休憩を入れて。

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関市役所までやってきました。水平方向にも垂直方向にもとっても見晴らしがよいこの庁舎、水平方向は北へ1キロ向こうまで田んぼ、垂直方向数百メートルのところにはC130が気持ちよさげに弧を描いて飛んでいます。このへんではありふれた光景なのかもしれません。

久しぶりの抵当権設定登記の申請を出しに本局まで行こう、どうせならこの次の相続登記につかう除籍謄本も集めてしまおう、ということでここまで来たわけですが…そんなときに限って出てくるデータは超シンプルだったりします(笑)まぁ、これで来週からは名古屋市内での資料収集をすればよいことにできました。そういうことにしましょうか。

ところで、名古屋法務局では不動産登記本人申請を行うひとに「登記完了予定連絡表」を渡してくれます。

これには受付番号と完了予定日、受取時に持参してほしいものが書いてあるので僕も一枚もらってきました。

当然ながら僕、まだ司法書士の資格を失ったわけではありません。

今日提出した申請は2件の連件。1件目がお客さまの本人申請による所有権保存登記、2件目が司法書士代理人の申請による抵当権設定登記という構造なのです。

注文住宅を完成された方が建物表題登記と所有権保存登記までを自分で申請される、というのは金融機関と調整できれば可能です。場合によっては表題登記まで本人OK,保存以降は司法書士がやってよ、というところもあります。

僕はわりと本人申請に協力的なほうだと思うので、こういう案件ではお客さまが作った所有権保存登記に訂正印を打った状態でお客さまから申請書一式を預かります。

もちろん、申請書はこちらでチェックをかけて(先行する保存が通らなかったら続行する設定をかけたこっちが即死しますから、サービスと言うより自分の身を守るために!)補正になりそうな箇所があったら訂正を求めます。

預かっておいた所有権保存登記申請書と僕が作る抵当権設定・追加設定登記申請書を法務局に出しに行くのが僕の仕事で、お客さまには後日、所有権保存登記の登記済み書類を自分でとりに行っていただく、そんな段取りをしています。

法務局の窓口担当者さんが多少不審な、古風な表現でいえば胡乱な目で僕をみる(本当なら思い切り見つめてあげてほしい『本人』は申請時には窓口に来ていない!)だけが問題なこの申請類型、それでも僕はわりと好きで、もう少しこのご依頼が増えないかな、と思っているところです。この線で新しいコンテンツを整備しています。

『非課税部分があります』

師走だから、でしょうか。小刻みに名古屋市内と近郊をまわる用事が、先週・今週で三つほど入りました。いずれも不動産登記や独立系FPでの仕事なのは大変ありがたいことです。

そんな仕事の一件に、見慣れない評価証明書の記載を目にするものがありました。

評価証明書=名古屋市内では固定資産税評価額等証明書は、所有権移転登記で登録免許税を計算し、その根拠を示すために申請書に添付するお約束の書類です。そこに手書きの追記があるのです。

『非課税部分があります』

と。

数値を書き換えると、こういう内容らしいのです。

その一筆の土地は、

  1. 登記上の地積 5000㎡
  2. 課税上の地積 4500㎡
  3. 価格 4億5000万円
  4. 500㎡は、非課税。公衆用道路であるため。

4.の部分が手書きの追記で読み取れる、と。

リクツはわかりますが初めて見ます。登記の受託件数がそもそも絶望的に少ないだけだろ、という突っ込みも自分で入れるとしましょう。

ただ、一筆の土地の中に課税部分と非課税部分が混在している、という場合にどうやって登録免許税を、そして、その根拠となるこの土地全体の価格をどう計算するか、という情報はウェブから拾えませんでしたので、情報をネットに放す価値はありそうです。

戸建ての住宅地に時折セットされる私道やその共有持ち分のように、一筆の土地がまるごと公衆用道路で非課税、というなら情報はいくらでもあります。その土地の近傍で価格の参考となる土地を法務局または市区町村役場で決めてもらって、その土地の㎡あたり単価に30%を乗じた金額を目的の土地の㎡あたり単価にして、あとは地積と持ち分を乗じてあげればよい、と。

…で、その近傍地の指定が不適切だと税務訴訟になるらしい、と(遠い目)

だったら今回の土地は?

同じ土地のなかに課税部分と公衆用道路として非課税部分があるなら近傍地もへったくれもあるまい、と考えました。上記の設例で、課税されている部分の㎡あたり単価を

4億5千万÷4500㎡=10万円/㎡ として、非課税部分の価格は

500㎡×10万円×30%=1500万円 したがって

この土地の価格は、4億5千万+1500万=4億6500万円

このように計算して所有権移転登記の申請をかけたところ、法務局から電話がかかってきました(がーん!)

「被相続人●●さんの所有権移転登記ですがね、これ集会所の部分だけ、登記上の住所が住民票の除票の住所と違ってます」

…は?

よく見ればこのマンション、居室(専有部分の建物)のほか、敷地権化されていない共有持分として土地と集会場等の建物を含んでいます。区画整理を経て、土地の名称と地番が変わりました。

で、以前登記申請をされた担当者さんは、居室と土地の持分だけは所有権登記名義人住所変更登記をしていてくださって、

僕には少しだけ、仕事を残しておいてくださった、と(爆)

ともあれ、肝心な登録免許税額の計算は間違っていなかったことを喜びましょう。明日は補助者さまや同業者さんご夫妻と、忘年会です。いいお酒になりそうです。

相続登記の費用が自動で計算できるようになりました

三連休を使って、明後日からの出張前の大仕事を終えました。

当事務所ウェブサイトでは昨年から、中古住宅取得時の登記費用(司法書士報酬と登免税ほかの実費)をウェブ上で自動計算できるようにしていたところ、このたび相続登記の費用も自動で計算できるようにしたのです。

久しぶりに、JavaScriptをいじって過ごしました…お天気のいい週末だったのに(苦笑)

登記費用自動計算のページは毎日40~70件程度のアクセスがあり、当事務所ウェブサイト全体でもアクセス数の上位トップ10に入ってきています。皆さん問い合わせをくださる前にできるだけ具体的に費用を知りたいはずだ、ということでシステムを組んで世に送り出してみるとしましょう。

現在、googleで『登記費用 計算』などのキーワードで検索すると、同様のサービスを提供するサイトは上位10位以内に3つでてきます。うち1つが当事務所、もう1つはわりと昔からそのシステムを持っていたものの、所有権移転がらみの登記での計算はできないようです。

相続登記に限っていえば、同じ支部管内でそれはそれは綺麗な見積書を自動作成されるサービスをお持ちの事務所さんがあります。

そちらと比べると、見かけでは劣ります(修飾語一切不要で、『劣ってます』)

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既存の不格好なシステムを発展させて作ったため、正しく不格好さをひきついでおります。

ただ、当事務所の自動計算システムでは被相続人が1親等~2親等で住宅1個程度のよくある事案ではかなり正確に費用を出してくるようになっています。遺産分割協議書作成や相続証明書類の取得代行の要否でしっかり費用は変わります。

あとは、明日中にウェブサイト内から適切に内部リンクを張って、さらにこのページの利用が増えるようにしてみましょう。

ここまで来たら新築住宅の取得費用についても作ってしまいたい、とも思っています。こちらは、これまで扱っていなかった申請類型と計算作業=所有権保存登記と建物の価額の計算が絡んできます。かなり面倒です。

今回の相続登記の費用計算でも、所有権移転登記の本体部分は既存のシステムを流用できたものの戸籍謄本類取得の実費をどう正確に示すか?でかなり悩みました。

それ無理!

と開き直ったうえで概算額を示すに留める、それをすでに実現した事務所さんのウェブサイトを発見したことがブレイクスルーになりました。僕のところではこの実費、基本は3千円(除籍・原戸籍謄本4通分)計上することにして、あとは相続人1名増加ごとに1500円増加させた費用を示すことにしています。実際の事例をいくつか出して比べたのですが、数千円違うことはないし若干過大に出せている気がします。

保守的な同業者さんの存在から目をそらして世に送り出すこのサービス、一般のお客さまには便利なはずなのです。

これをさらに徹底してやっている事務所を発見してしまい、なぜか補助者さまがその事務所さんのサイトをいたくお気に召したらしいのです。彼女が同業者のウェブサイトを見てテンションを上げているところを、久しぶりに見ました。

僕としては、なにがしか刺激されるものがあります。そうまで盛り上がられてはこちらも手を付けずにはいられません。

詳細は次回記事『本職と補助者(さま)の欲しいものの違いに関する一考察(仮)』で、明日にでも。

特別受益証明書は嫌い…だったんだけど

特別受益証明書が嫌いです。

こいつに捺印したことある、という方で実際に生前に財産もらってた、なんて人に会ったことないから(笑)

この『特別受益証明書』、その場限りの相続登記さえ終わればあとはどうだっていい実務家が適当に作って自分の依頼人ではない=不動産を相続しない相続人どもからとりまとめる謎の物体…というのでなければ、正しくはつぎのようなものです。

相続に際して、ある相続人が、被相続人から(主として生計の資本として)生前に十分な贈与を受けていたために、被相続人の死亡後にはじまる相続財産の分配に際して他の相続人に対して『自分には(特別受益考慮後の)相続分が、もうないこと』を証明する文書、だと。

つまりこの文書をとりつけることで、遺産分割協議なくしてその相続人を遺産分配の手続きから事実上脱退させてしまえるこの文書、きっと使い出したらやめられない便利なものなんでしょうよ。

でも。相続紛争を作り出す相続登記申請のなかには、十数人の相続人から十数枚の特別受益証明書をかき集めていて、そのなかの一人ないし数人は

生前贈与?何それ食えるの?

とか言っている実情もあるわけです。なかには相続放棄とこの文書への捺印を混同している人もいたりして、相続放棄とは異なり実際には債務を相続してしまう=危ないことこのうえないこの特別受益証明書、当事務所では一度も作ったことありません。

創業以来の相続登記の受託件数そのものが他事務所の数ヶ月分に満たないからかもしれませんが(あ、笑ってください)

ただ、今後はこの特別受益証明書の活用を考えねばならない気がするのです。

同業者の皆さまにはご存じのとおり、一人でやる遺産分割協議の結果を添付しての相続登記はこの秋を境に、おそらく全国的に認められなくなりました。

よりによって、この春からまさにそうした案件をお受けしていたところなのです。当事務所創立初の案件として(あ、笑ってください)

情報をいろいろ集めながら、ああ、この春から関東の法務局でもダメになりつつあるんだなこれきっとダメになるパターンだよな…と観察しているうちに9月の東京高裁判決でトドメ刺されて諦めた、委任状追加でもらおう、となったその案件。一般化すればこのようなものです。

  • お父さんとお母さん、子供一人の家族がいます。
  • お父さんがお家を持っています。
  • 平成24年にお父さんが死亡します。
  • 平成25年に入ってお母さんが死亡します。
  • その後、子供さんから相続登記のご依頼がありました。

なんでもいいから、お父さん名義のお家を子供の名義に変えてくれよ、というオーダーです。兄弟の数が減ってくれば、つまり今後は実によくあるパターンにはまってきます。

…で、従前ならこうした件では『子供さんが、子供さん本人とお母さん(の相続人)を兼ねてお父さんの死亡に際して一人で行う遺産分割協議』の結果を添付して、一件の相続登記申請で子供の名義に変えることができていたんです。これができなくなりました、と。

遺産分割協議、って言ってるんだから一人でやるなよ、というリクツらしいんです。問題はそれへの対処です。

ならば今後はどうするか?なんですが、原則論では

  • お父さんの死亡に伴う相続登記(1)で、持ち分2分の1を既に死んでいるお母さんに、持ち分2分の1を子供さんに相続させる登記申請をして
  • お母さんの死亡に伴う相続登記(2)で、お母さんが相続した持ち分の2分の1を子供さんに相続させて
  • 最終的には、子供さんにすべての持ち分を持たせる

ということになります。司法書士が余計に仕事すれば済む、という問題ではありません。上記の例では(1)で不動産のすべての持ち分、(2)で不動産の持ち分の2分の1の持ち分移転を行うため、登記申請が一回で済む場合と比べて登録免許税が余計にかかります。この例では、不動産が余計に動く分=不動産の額の2分の1×0.4%。

価額1000万円の居宅なら、2万円余計にかかる、ということになります。

諦めてそうしてね、というのは確かに悪くありません。

ただ、上記のように二回にわたって発生している相続でも、最後以外の相続が『相続人が一人しかいない状態』になっているなら、最後までの相続登記の申請を一回でやっていい、ということになっています。遺産分割協議とは関係のない、この部分の判断には変化がありません。

さて、そうすると。上記の例でお父さん死亡時の状況としては、お母さんと子供さんの2名が相続人だったはずです。相続人は2名です。

いきなりですが、子供さんが相続放棄したらどうでしょう?

実はお父さんの死亡が平成24年12月、お母さんの死亡が平成25年1月、相続登記のご依頼が平成25年2月だったとしたら。

子供さんがお父さんの相続について相続放棄しても実費は数千円で済み、お父さんの相続に関する相続人はお母さん一人になってしまいます。

結果的にはお父さんの財産をすべてお母さんが相続後、ただちにお母さんの遺産として子供さんが相続することになるので実害ゼロ、ということになるでしょうか?

お父さんもお母さんも死亡した後、相続放棄の熟慮期間3ヶ月が経過していたらどうでしょう?

遺産分割協議のように、共同相続人の誰かと複数人でする行為はもう一人だけでは(正確には、相続人たる自分と他の共同相続人の権利を相続した自分とでは)できない、というルールはできあがりつつあります。

特別受益証明書の作成はどうでしょう?

  • 相続人たる自分が、過去にあった事実を証明するだけの文書、ということになるのでしょうか?
  • 他の相続人の利益になる文書である、ということを考えれば、利益を受けるべき他の相続人が生存している必要があるのでしょうか?

もし前者であれば、上記の設例で子供さんが

あ!ワタシ大学入るときに(または結婚のときに)お父さんからたくさんお金もらっちゃった♪といきなり都合良く思い出し、それを受けて実務家が嬉々として特別受益証明書をつくり、それを添付して相続登記の申請をこれまでどおり一回で終えるようにするのが今後は流行るのかもしれません。

上記の設例で、お父さんの死亡時に子供だけのアクションによって『相続人がお母さん一人である状態を作る』ために、もっとほかに自然な方法がないか…あれこれ考えているのですが、なかなかいいのがないのです。

相続分の譲渡は(譲渡をうけるべきお母さんが既に死んでいるから)まず不可、相続分の放棄はどうだろう?と考えるのですが、放棄の意思表示を受けるはずのお母さんがやっぱりいないので、ダメなのではないかと思うのです。

そうやって考えると、事実に反していることはやっちゃいけない(お母さんの死亡前に遺産分割協議は成立していた、などという虚構をでっちあげない)というならば…まず慎重に特別受益の可能性をさぐって、そうした事実がなければあきらめる、運が良ければ(相続放棄の熟慮期間が過ぎてなければ)本当に相続放棄してしまう、ということになるのかもしれません。

などと小難しいことを言わずに、適当な書類をサクサクつくって申請を終えてくれる事務所さんのほうがきっといいに決まってるね、と気づいてしまいました。

ありがたいことに今月も、相続登記のご依頼が入っています。普通に遺産分割協議できる案件が。

抵当権設定登記の周辺で

ときどきおとずれる、その法務局出張所。朝の早い時間に抵当権設定登記を持ち込む約束になっています。今月唯一の(笑)住宅取得にともなう抵当権設定登記のご依頼です。

カウンターの向こうの担当者さんに書類を渡して、

「4件です。3件目と4件目で受領書をください」

はいよ、とばかりに書類の束を受け取った担当さんが、一瞬止まります。首から上が、数度傾いたような。

ばばば!と書類を繰って上目遣いに

「これ1件目と2件目が、本人申請ってことですか?」

てへ♪ばれた…って一瞬でばれますよね。失礼ながら1件目と2件目の申請書には、少々訂正印が目立ちます。

その登記申請は、いわゆる注文住宅の新築にともなう抵当権設定登記の案件です。

こうした場合、一般的には

  1. すでに取得した土地について、土地取得時の住所から新築建物の住所に所有者の住所を変更する所有権登記名義人住所変更登記
  2. 新築の建物について、所有権保存登記(建物表題登記がこれに先行しています)
  3. 新築の建物について、土地取得時におこなった抵当権設定登記の担保に加える抵当権追加設定の登記
  4. 土地と建物について、住宅完成時に支払う資金を借り入れるために行う抵当権設定登記

これら4つの登記申請を同時に提出することにはなっています。

で、当事務所ではよくあることなんですがどこの銀行さんでも「あまり、ない」こととして、上記1.2.の登記をご自分で=本人申請で行うことにより経費を節減しよう、というお客さまへの協力として、お客さまが提出する書類を法務局に僕が持ち込むことがあるのです。

で、冒頭の情景。

銀行さんは当然ながら、大事な大事な抵当権設定登記を利害が相反する債務者(と、はっきりは言いませんが明らかに債務者)、つまり住宅ローン利用者にやらせたいはずがありません。住宅取得のときなら抵当権設定の登記完了後に融資をするとか、万事におおらかな●●金庫さんの案件で見かける程度でしょうか。

ですので最低でも抵当権設定登記だけ司法書士がやる、という線で、しかも銀行さん側からの信頼を一応確保して注文住宅完成時の登記申請を計画するにはどうしたらいいでしょう?

銀行さんにもよりますが、お客さまと打ち合わせて

  1. 銀行さんとお客さまとの抵当権設定契約書類の作成時に
  2. 僕も銀行にお伺いして
  3. その際に、お客さまには上記1.2.の登記に要する申請書と全書類、土地の登記識別情報をお預かりして直ちに点検し
  4. 先行する登記がほぼ確実に通る、と確認したうえで抵当権設定登記の書類も銀行さんから預かる

こんなことをしています。これですと、お客さまが完成させた所有権保存登記申請書類を僕が預かってしまうため、所有権保存登記申請を出さないことで続行する抵当権設定登記申請を妨害する、という選択肢をお客さまから奪えます。

イヤな言い方なんですが、こうまで説明せんでも債権者たる銀行さんは、もちろんそう認識してくださいます。それなら自分ら安全だ、と(笑)

もちろん、こうした扱いはいつでも誰でもできるとか、お客さまの側から権利として主張できるというものではなさそうです。

今回も担当さんから言われたのですが銀行さんが納得しなければそれまでですし、僕もあまりお客にやさしいとは言えないので当日あまりにもひどい登記申請書類を見せられたら訂正指示より「諦めて所有権保存登記から僕に依頼なさい」と言うかもしれません。

少なくとも、そうなりうる可能性を事前に示して(脅してなんかいませんよ)お客さまと契約しています。

こんなふうに、抵当権設定登記だけ司法書士が代理できるのがお客さまにとってもっともコストパフォーマンスが高いのですが、場合によっては

  • 建物表題登記までは本人申請可(銀行さんが所有権保存登記以降を必ず連件で出して欲しい場合)
  • 全申請について、本人申請不可!(三角定規すら使えない申請人夫妻がなんとなく自分で登記するぞ~と遠い目をしてつぶやいているにすぎない場合)
  • 抵当権設定前に融資が行われており、もう誰も急いでおらず、何をやってもよさそう(●●金庫や大企業で時々見る転貸融資の場合)

など、ちょっとしたバリエーションがあります。これらに応じて司法書士の関与の形態はある程度、銀行さんと調整できるかもしれませんが、あくまでお客さま次第ですと申し上げるよりほかありません。

最初のお問い合わせの時に、ウェブサイトに書いたとおり誰でもできる、などと即答できるものではないのです。

実は今月も一件、そうした「なんでも自分でできる」とお考えの方から新しい問い合わせを受けまして…受ければ数万円の案件からちょっと身を引いてみたところです。


決して誰でもできるとは申しておりません。三角定規とロットリングペンが自在に使えて美しく文字が書けるとか、二次元CADソフトを日常お使いだ(出力そのものはコンビニの複合機で出せるから無問題)、という方なら建物表題登記を自分ですることにトライするのも一応悪くないとは思うのです。

申請に通るだけでなく後日不特定多数人の閲覧に耐える、建物図面と各階平面図をお書きになれる手段を、ご自分で準備できるならいいと思うのです。

問題はそれを、なんの準備もなく着工から完成まで数ヶ月の期間を過ごすことなのです。

今年あった最悪な事例は、そうした本人申請を嫁さん(作図未経験!)に任せきりにして旦那はなにもせず、結局準備が進まずに建物引き渡し直前になって銀行さん指定の調査士with司法書士を問答無用であてがわれて出費最大、という展開でしょうか。これは自業自得と言わざるを得ません。

そんなわけで、時に厳しい立場もとりますが(数件に1件は問い合わせ時点で断ってる気もしますが)、当事務所では住宅新築に際して、抵当権設定登記以外の登記申請をご自分でなさりたい方と、協調して手続きを行い、費用を節減することに賛同しています。

相見積もりをお取りの前に…

昨日、最も嬉しかったこと

午前中に、所有権移転・抵当権設定登記の見積もりのお尋ねをいただいたこと。

昨日、最も悲しかったこと

夕方に、それがキャンセルされたこと。

…合掌。

今日は、そんな話です。


住宅購入の際の不動産の名義変更=所有権保存あるいは移転登記や購入資金たる住宅ローンを担保するための抵当権設定登記について、ウェブサイトに報酬体系をある程度明示する事務所もずいぶん増えてきました。僕のところでは他事務所の報酬設定についてどうこう言うことはありませんが、他事務所が提示した登記費用についてセカンドオピニオンを述べる、というところもウェブサイトとして出てきているようです。

でも。

そうしたウェブサイトを見て回る前に、まずやっておいてほしいことが厳然と存在します。

自らがそうだとは決して認めないが、住宅取得の際の一連の手続きにおける絶対権力者=銀行さんのご意向を確かめておくことです。ここが了解しないかぎり、お客さまが指定する司法書士を不動産登記の手続きに導入することはできません。

というわけで、昨日はどこかの銀行さんに一瞬で蹴散らされたようですよ。僕は。

別にどこの銀行さんとは言いませんよ。色で何かを伝えようとしている、なんてこと…あるわけないじゃないですか(遠い目)

ただ、銀行単位で司法書士の指定可否が決まっているというわけではなく、今回お客さま指定の司法書士の採用を拒否した銀行の他支店では僕も普通に入れてもらえた覚えがあります。

今のところ、お客さまが指定する司法書士を使ってよいかどうかについて住宅ローンを扱う金融機関の対応はいくつかのパターンに分かれます。

  1. 絶対拒否。今回のように、お客さま…というより債務者に『すでに司法書士は決まっている』と宣告し、隙を与えない。わかりやすさはあるので、僕は嫌いではない。ブログでは悪役として必要な存在(笑)
  2. 土壇場でひっくり返す。これが最悪で、打ち合わせの過程でうっかり金融機関側に見積もりを上げたりなんかするとその見積書が流用されて見ず知らずの同業者さんに迷惑をかけることもある。いわゆるステミツを取られる、というやつ。ちなみに、僕がこれまでにこういう目にあったのは、全部おなじ銀行さん
  3. 一連の登記申請手続きを全部やるなら外部の司法書士を指定可能、という立場。今のところ多数派ではないか、という印象です。
  4. 最後に、ごく少数存在するのがお客さまが一部の登記を本人でやってもいい、というところ。所有権保存登記まで本人で可、その後ただちに司法書士が抵当権設定をすればよい、というパターンで、お客さまには一番やさしいのですが今までに二例しかみたことがありません。

僕の売り上げは少なくなるものの、一番最後のタイプが僕は一番好きだったりします。登記であれ訴訟であれお客さまには自分でできる事をシャープに実行してもらい、どうしてもできないところだけそれに合わせた支援をする、それによって費用の節減を目指す、というのはこの事務所の気風に沿ってる気がするのです。

まぁ、上記のような実情もありますので住宅ローンの利用を控えた皆さま方には、司法書士の報酬をウェブであれこれ探して回る前にまず金融機関の担当者に『私が決めた司法書士に依頼していいですか?』と聞かれることを強くおすすめいたします。そうでないと、場合によっては思い切り無駄な努力をすることになりかねません。

最後に、今日最も嬉しかったこと

相続登記の新しいご依頼をいただいたこと、ですね。これで今月も、登記のご依頼をいただくことになりました。

信託登記代理人のささやかな悩み

当ブログにも不動産登記というカテゴリがありまして(執筆者すら忘れかけておりました)、よく調べたらこれまでに二件しか記事を書いておりませんでした。今日はこのカテゴリの三件目のお話です。

さて、天にまします登記の神様はときどき、僕に試練をくださるようです。去る12月に不動産登記関係のページを一新して二件目のウェブ経由でのご依頼は信託登記となりました。

ちなみに最初のご依頼は、登記の前に裁判事務が必要な状況になっておりそちらを先に進めているところです。昨年実施したウェブサイト大改装後も、定型的なご依頼で淡々と稼ぐウェブサイトにはならなかった、と考えるべきなのでしょうね。

お話を戻します。今回の申請準備を整えているうちに、昨年の時点で全国の法務局で信託目録が電子化されていること、信託登記の申請に際しては従来の様式の信託目録に代えて、『信託目録に記録すべき情報』を添付してあげればよい、ということになっています。

リンク先のお達しが、少々妙だと僕には思えたのです…お恥ずかしながら、ここ一ヶ月ほど思い悩んでおりました。一番最後に、こんなことが書いてあります。

『信託目録の登記事務について電子化指定がされた登記所においても,信託の登記の申請の際に,信託目録に記録すべき情報を書面で提出することは可能ですが,登記事務を円滑かつ正確に行うため,信託目録に係る電子データを記録した磁気ディスクの御提供をお願いする場合があります。 』

それがお願いである以上無視していいのか、とは考えてはいけません…相手は泣く子も黙る監督官庁であります。

しからばそれに対応して、ご所望の磁気ディスクとやらを調製してやろうではないか、と思ったのですが。

この磁気ディスクに記録すべきデータの様式について、商業登記で添付するディスクのような詳細な指定がどこにもないように思えるのです。

-困りました-

提出したデータがどう処理されるかは推測できます。

最悪でも1.44MBのフロッピィディスクに格納したMS-DOSで読めるプレーンなテキストファイルに信託目録記載事項を軒並み突っ込んで渡してやれば、メモ帳を開いた担当者がそこから必要に応じてコピー&ペーストしてくれそうです。

ただ、これは『紙文書出すだけだという状態よりちょっぴりまし』な状態の実現に過ぎないような気がします。

だったらどうしたものかしら、とあれこれ考えた結果。

申請用総合ソフト(本当はオンラインで不動産登記を申請するための、法務省謹製ソフトウェア。当事務所ではもっぱら登記事項証明書の郵送請求に用います)も信託目録の電子申請に対応しているんだから、ここで目録つくって(正確には、信託目録に記録すべき情報を作成して)データをエクスポートしてやったらどうか?

…そんな機能、実は見たこともなかったのですが(最初は作業フォルダから保存データをコピーしてやろうかと考えていました)本当にありました。データの書き出しを指定すると、ZIPで圧縮されたファイルがエクスポートされるのです。

適当にダミーのデータを入れてつくったそのファイルを展開すると、肝心なのは作成年月日時分秒(!)を記載したXML形式のファイルだということがわかりました。

Kiroku

…つまり、タグ付きのテキストファイルです。
乱暴に言ってしまえば、そう理解していいはずです。

であるならば。法務局側にとって望ましい形式が単なるテキストファイルであったとしてもXML形式のファイルだったとしても(もしそうだった場合、その旨告知しないのはちょっといただけませんが)、大間違いにはなるまい、ということでこのファイルをフロッピィディスクに入れて提出してみることにしました。

仮に望ましいファイル形式が上記のいずれでもないとしても、申請が破綻することはありません。問題の信託目録に記載すべき情報は、別に紙でも提出しますので。

さて奇しくも、というべきでしょうか。明日はウェブサイト改装後最初に不動産登記をくださったお客さまの裁判事務で、裁判所に行くことになっています。ついでに法務局にまわって、この信託登記を出してしまうことにしましょう。

その相続登記に、異議あり!

もう何年も前のことになりますが、そのとき見た相続登記を超える不適切な相続登記には、まだ巡り会えておりません。

愛知県ではない甲県の司法書士がおこなったその登記は、乙県の山間地域の田んぼの『仮登記の移転』。仮登記権利者はその乙県には住んでおらず、転用する目的があるでもなく、転売することも間違いなく無理、それどころか現地調査で物件を特定することさえ不可、というもの。

仮登記、というのは、不動産の権利の登記において普通の人が単純に『不動産の名義を変える手続き』と考えている本登記に対して、将来あり得べき本登記に備えて権利者の順位を守っておくために行われる登記、程度に考えておいてください。僕はお客さまには

ま、ツバをつけとくわけですよ。

と適当な説明をしています。でもツバをつけただけでもらい受けた=本登記を終えて名義を変えることができたわけではない、とも。

この仮登記、農地にあっては農地法上の許可が必要でそれが取得できていない場合や、事実上の担保に取る(仮登記をされた土地の持ち主が勝手に第三者に売却することを防ぐ)ような場合にも用いられます。

…あとは、一種の原野商法にも。まったく無価値などうでもいい農地を都会人に『売りつけたような外形をつくる』ために用いられた形跡が、僕がみた仮登記にはありました。昭和50年代になされたその仮登記が30年間放置され、このたび相続によって移転されました、と。

使えるかよそんな仮登記(怒)

そもそも客観的にみて相続人がその農地を所有することも利用することも転売することもできないばかりか農地法上の許可申請に協力させる権利が時効消滅してんじゃねぇのか、ということはその司法書士、考えなかったのでしょうか?経済的価値がないかどうかは司法書士が助言するべきことではない(僕はファイナンシャルプランナーなので助言しますが)としても、その権利実現に法的不安定性が無視できない、ということならばどうなのでしょう?

これは遺産分割協議と相続登記があらかた済んで…つまり、僕のお客さまの権利が草刈り場にされた後でその後始末の依頼を受けたものなのですが、さらにそのお客さまも亡くなられてその相続人になった方にはこう助言しました。

  • こんな仮登記、放っておきましょう!
  • これを相続登記やったって僕が儲かるだけです(笑)

と。常に正確な権利変動の記録をするのが職責という考え方からすれば正しくありませんが、僕は今後もこうした態度でいたいと思っています。


さて、このほどもう一件『やりたい放題やられた相続登記の後始末』のご依頼を受けることになりました。

そうした依頼の素晴らしいところはまず現地を見てみないと問題点が把握できず、したがって当座の報酬は出せないようなお客さまでも交通費だけは快く出してくれる、ということ。素敵です(苦笑)

ただ前回は原野やら山林、うち捨てられた別荘地がメインだったのに対して今回は農地がからんでおり、遊休農地や遠隔地の農地を相続してしまった人に対して何事ができるのかを知ることができそうです。前回の依頼と今回の依頼とで調査に行くべき土地が全然違うのは、きっと司法書士の神さまの思し召しをもって…あまり懐が温まることがないかわりにいろんなところに行かせてやろう、というところなんでしょうか。

そうした意味ではまさに旅行書士むけのご依頼ではあります。なにか工夫をしたら、こうした案件がもっと集まってこないか検討してみたいところです。

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