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大寒の師弟合宿1泊1日(肴は契約書のたたき)

先日のこと。名古屋を夕方出て奈良県で1泊するシンプルな出張を設定しました。近鉄特急が大和八木に着くころ、金剛山地に日も沈みます。

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愛媛県からは弟子が、愛知県からは僕が、そして県内からは発注側の担当者さんが集まりました。契約書を作ろう、という用事を弟子が持ってきたのです。知らない人が作った叩き台の書式は一応あるので僕があらかじめよくたたいておき、それを酒の肴にして飲もうか、ということで。

担当者さんによれば僕と弟子との関係がよくわからない、ということなのですがそれはそういうものなのだ慣れてくれ、ということで押し切ります。あくまでも僕が師匠で弟子が弟子。

見かけと社会的カタログスペックから導かれる判断は逆なはずですが、とにかくそうなっているのです。

僕の認識では本件、不肖の弟子に対する支援として稼いだ分だけ使ってしまう仕事になる=交通費相当額を払ってもらえりゃそれでOKなつもりでいたのですが、聞けばなにやら作業量と予算規模が増大しています。

あらかじめ提示しておいた報酬額をあっさり無視された気はするのですが、とりあえず当事務所はこの仕事で越冬確定、にはなるのです。僕の黒歴史にはならずに終われそうなプロジェクトだ、という見通しも立って少しは安心したものの、応諾した瞬間にどこかに引っ張り込まれた感じはしました。まぁ最初から最後まで完全にリモートで対応しろ、と言われたらこっちもリモートでできる最小限の作業に留めて撤収するつもりではいたので…わざわざお越しいただいた担当者様にはよかったですね、ということにしましょうか。

理想家肌の研究者と物騒な想定ばかり好きな士業に挟まれて、担当者様には妙な苦労を背負い込まれた気もするのですが、それでも作業をお引き受けになったことには敬意を表してやみません(遠い目)

会合そのものが18時過ぎから開始ということもあり、担当者さんとの会合終了後も弟子と僕は大和八木で合宿です。3年前の奈良師弟合宿に続いてこの街にも、安くて風情があり時節柄空いている宿がありました。今回選んだ1泊1名3千円台全3室のゲストハウスは母屋に2部屋、離れに1部屋という構成で、我々が選んだ母屋のほうには当日ほかに宿泊者がいない、とのこと。その気になれば貸し切って会議室に転用できそうな気もしています。

そのゲストハウスを選定した理由は事実上の感染対策と安さのほかにもあります。その古民家をリノベーションしてゲストハウスにするプロジェクトを始めた方が建築士だ、というのです。士業プラス何か、という業態はあり得るのかという点で、僕にも見たいところがありました。

母屋には他に宿泊者がいないので、弟子に絡まれながら飲酒を続けても誰にも迷惑がかかりません。彼の活動をいろいろ聞かされましたが、とりあえず本件以外の活動については関与するか否かは一切未定、としておきます。大規模所有者&富裕層対象の活動についてはこっちも作業時間あたり単価1万2千円以上提示をしてやろう、という程度には僕も強欲です。

-その弟子って人を経由すると何かの優待サービスがあるんじゃないかと思われた方?その認識は半分だけ正しく、上記のとおり僕は山旦那に興味がありません/弟子が誰であるかも、知らない人には開示しません-

同室異夢(←同床、ではありません)の師弟合宿を終えて、朝。
大和八木には古くからの町並みが残っているのを今まで知りませんでした。散歩を兼ねて大和八木の駅へ、遠回りして歩きます。

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駅にたどり着けば9時15分発新宮行きの特急バスが出る…ということでちょっと心が動いたのですが、かろうじて理性が勝ちました。


林業関係者の方が当事務所にご依頼や相談を持ち込むには大きく分けて3つのルート+1ルートが機能しています。

1.林政担当公務員の方が全国林業改良普及協会に問い合わせてしまうルート。
 昨年の『みえ森林・林業アカデミー』の講師の仕事がこれにあたります。清く正しく美しいルートはここだけでして、同協会が依頼経路になった場合は僕、わりとお行儀よく誠実に振る舞っております。逆に言うと、僕が持っている綺麗じゃないが重要な部分はあまり見えにくいルートです。

2.弟子経由。飲酒必須です。
 僕が持っている綺麗じゃないが重要な部分が最初から見られるルートですが、安易にリモートで関与してくれ、とか言うとブログで皮肉られたりすることがあります。検討すべき契約書条文を提示された瞬間にこれは無意味だ、などと弟子には口走っていたり(弟子は弟子でその契約書案を『ボロ』と応じていたり)しますので、このルートの活用には多少の鈍さ、または強靱なご意志が必要です。あと酒も。

うまくお酒を飲ませてしまえば弟子と僕の関与が同時に得られて気チ●イに刃物、いえ鬼に金棒かもしれません。

3.当事務所ウェブサイト直接。
 これがホテルの予約なら公式サイトが一番確実、となるのですがそうではありません。紹介がないため、執務状況によっていきなり依頼を断ることがあります。僕が忙しいときに電話をなさると不運な目に遭うかもしれません。送信フォームからのお問い合わせが比較的安全です。
そうではあっても三十代四十代のひとが適当にでっちあげたコンサル会社からの問い合わせなどで時々あるのですが、下調べが不十分だったり送信フォームに書かれている日本語が怪しいとみた場合には優しくお別れするようにしています。

僕からみたお客さまの素性がわからない関係で、しばらくの間は普通の司法書士として振る舞い無理をしない可能性があります。
僕の著書を新本で買った、と言われた場合のみ、若干の便宜供与があるかもしれません。新本で買っていただくことが重要です。

○最後に、愛媛県南宇和郡愛南町限定。
 この町にいらっしゃる大事な方からのご紹介がある場合、南予は名古屋とみなす、という旅行書士報酬規程付則が適用されます。交通費も日当も不要になりますが、出張頻度に依存して対応速度が若干落ちます。
それと、ご紹介をくださる方が昼食時からお酒を飲ませてくださる関係で、午後以降の面談では飲酒していたりするかもしれません。

※なぜか先日の師弟合宿では、この愛南町限定ルートに弟子が異常な興味を示しました。
『その愛南町方式(←と、弟子が勝手に命名した)は今回の関与先に適用できないのか』
などと言われたりもしましたが…現地にいてくださる方によほどの熱意と力量と周りの人からの信頼、さらには環境完備のワーキングスペースとお酒とお赤飯とブリ・カキ・カツオ等の海産物ならびに蜜柑(あ、後四者は要求として過剰です。自覚はしてます)がなければ無理、なはずです。でも奈良県には海がないんですよねー(嘆息)

まぁ社会的必要性は理解できます。設定を工夫して試行してみたい、とは思っています。

…上記を見て本当に一長一短だ、と思われた方?だからブログのネタになるんです(苦笑)

林業関係者さんと同業者さんへの鬱屈気味なエール(山林・林業関係業務各ページの完全公開について)

十数年前。過払いバブルが絶頂期にあり、まだ補助者さまが着任される前です。
婚約が破談になった際に相手から僕について、寸評を賜りました。

鬱屈した変態、と。

さすが僕が選びかけた女性だけあって、なかなか鋭い指摘だとは思ったのです。結婚前に聞けてよかった、とも。
過払いで稼ぐ報酬を家計に入れつつ(僕でも年収1千万にタッチする勢いでした)こうした批評に晒されながら過ごしたい、などとは到底思えなかったので逃げ出した案件ではありましたが、もう昔のこと。

ただ、ある種の鬱屈は今も抱えているところです。今日のキーワードはこれ。

誰もが持ってる程度の黒い歴史はさておいて、いつもの話題に戻ります。3年ほど前に出した僕の著書は山林の相続を扱うものだったのですが、なんとも間の悪いことに著書の企画が示されてから脱稿までのあいだに相続関係の法改正があれこれ出てきていたのです。遺言書の一部がワープロで作ってよくなるなんて(泣)

商業出版させてもらえるだけでもありがたいと思え、改訂しての増刷などありえぬ、と承知はしておりますが自分の書いた本が出たあとで法律が変わるというのは実に居心地が悪い。社会の窓口を全開にし寝癖だらけの頭で地下鉄に乗ってるような気分がするのです。

これはなんとかしたい、ということでもう1年ほど前から担当者さんに連絡し、『法改正については勝手にこっちで解説を追加する』ということにしておりました。

だからといって売り上げやご依頼がふえるわけでもなく客観的にはまったく報われない活動ですがそこはそれ。なにしろ予定部数を売り切っても僕の時間あたり報酬額は最低賃金を大きく下回り東京大阪名古屋の最賃の半額未満、かろうじて北東北山陰九州沖縄ならかろうじて半額超え、それを承知で乗った企画です。僕の黒い歴史を正当化するならば、結婚してたら書けなかった本だと言っていい(笑)

それでもなんとか法改正部分の解説ページだけ作って公開したのは、実は昨年6月です。

もうリンクを張っておいてくださった方々にはごめんなさい。
あのページ、グローバルナビゲーションからのリンクが先月まで、全部切れておりました…そもそもページを作ってなかったんで(大汗)

これらを正月三が日に整備しきって、インデックスページには昨秋の四国出張時に狙って撮ってきた写真を加えました。
今月より、当事務所ウェブサイトに山林・林業関係業務の各ページを新設公開いたします。

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ウェブサイトの構成としては、労働紛争・裁判書類作成・登記とファイナンシャルプランニングに次ぐ4番目の大分野となりました。当事務所ウェブサイトは各業務ごとに2文字のサブフォルダ名を与えており、今回は僕が卒業した(今は亡き)森林社会学研究室の残党を自任する者としてCommunity and Forest=cfのサブフォルダにぶら下げてあります。

今回ようやく作って完成させた、グローバルナビゲーションからたどれる各業務の案内は既存の各分野から引っ張ってきた報酬体系の提示が主な内容です。情報提供というより、依頼を受けられる可能性を具体的に示しておくことに留意しました。

実はこの分野で官公庁やらコンサル会社=林業関係の人から問い合わせをもらってしまう頻度が徐々に上がってきているため、まぁ受けられるものは受けられると明示しておくのがよかろう、という思惑も持っているのです。検索エンジンから閲覧を集めて一般の人から依頼が集まるほどの情報量はなく、あえて集客に使うならPPC広告との併用を要するでしょう。そこまではしませんが。

ここで鬱屈が出てくるのです。
この新設したウェブサイト各ページの閲覧者は林業プロパーの人々でして、そうした人から『先生は林業に精通している司法書士とのことでお問い合わせしました』などと言われると結構な罪悪感を生ずるのです。

どうせなら、ということで鬱屈を込めた挨拶文を、当該分野の事務所案内のページに加えました。

ただ、林業界のメインストリーム(研究者 or 公務員になってエラくなる)から派手に外れたのになぜか戻ってきちゃった鬱屈のほか若干の希望を込めて『林業に詳しい司法書士なんかいない・それを求める必要もない・一定要素を持ってちゃんと取り組む普通の司法書士が何年かやってりゃ自動的にそれらしく育つし、(林業に詳しいと自称する奴が仕事を囲いこむより)業界としてそうなったらいい』という従来の=要するに身も蓋もない(このへんが寄稿先には気に入られているらしい)が冷笑的ではないフィールドワーカーの立場を取ったものとしております。なにぶん鬱屈がありますので読み取るのが難しいかもしれませんが。同箇所から転載して、当事務所ウェブサイト山林・林業関係業務のご挨拶といたします。

…ただ、ほんとうは完成後に全林協さんにお願いしてリンク張ってもらおうと思ってたんですよね。
あした連絡は送ってみますが、鬱屈が過ぎて拒否られるかも(苦笑)



ご挨拶


実はわたし、国家公務員Ⅰ種・Ⅱ種林学職の試験に落ちて現在に至りました。
司法書士なんていってもそんなもの、とお考えいただければ結構です。

司法書士ではありますが、法学部は出ておりません。
林学科の林政学研究室=三重大学生物資源学部生物資源学科森林資源学コースの森林社会学研究室、というところでのんびり過ごしておりました。
大学4年になって上記試験を受けたところ、双方とも一次試験に受かって二次で落ちました。
どうやら公務員には向かない人格であるらしいと、この時点で気づかされたのです。

もともと研究室では法社会学に馴染んでいた関係で、大学院に行くのをやめて司法書士になりました。

開業後はウェブサイト経由でご依頼をいただいていたところ、ご高齢の女性から変わった相談があったのです。

相続した他県の山林のありかを探し、現状を報告してほしい、と。
原野商法の後始末とはいえ、亡きご主人が買った山です。思い入れはあるのです。

相続財産には農地や別荘もあったため、森林組合に頼るわけにもいきません。
名古屋から出張して伊豆半島某所の市役所町役場法務局から現地まで調査を一通り終え、その経験をウェブサイトに書いておいたのです。

数年後にそうした記載を見つけた全国林業改良普及協会編集制作部の方から、取材や執筆のご依頼を受けました。それらにまずまず大過なく応じつつ、他に適当な事務所もない関係で『林業に詳しい司法書士という立場』を社会的に引き受けている、というのが実情です。


そんな経緯を黙っておいて『林業に精通した司法書士が林業関係者の皆様を応援するためこのウェブサイトを開設しました!』などと言えば見栄えはいいはずです。上手にそれを目指したらしい他士業の事務所もできました。

森林環境譲与税をつかって綺麗な講演や相談会を開催したいときの受け皿としてはそちらのほうがよさそうだ(が、ここはそういう事務所ではない)、と林政関係公務員の皆様には申し上げておきましょうか。

わたしが普段取り組んでいるのは、法制度の利用を一般市民の側に引き寄せる活動です。不動産登記からちょっとした訴訟まで、それらを普通の人が自分でやれるようにしてしまおう、という立場に立っており、その点では珍しいかもしれません。もともとこの事務所は、個別労働紛争の労働者側で本人訴訟の仕事をするように作りました。現在でもそちらが当事務所の重要な業務なのです。

こういうとたまに思想を疑われることはありますが、前衛で革新で人権派を自称する他士業の方とは共闘するより向こうに回したほうが楽しく仕事(訴訟)ができています。
森林経営管理法は農地改革以来の私権の収奪ができる凄い法律だと思ってはいますが、上手に使えば悪くない未来が見えそうだしその方向なら支援したい、と思う程度には中庸です。

ふだんは山林の仕事はあまり多くありません。たまにくる相談、相続未登記問題、あるいは森林経営管理制度を意識しつつ行う契約書類検討、といった関わりを通じて、林業関係者側から法律・相続への関心が高まってきたのを法律関係者の側からそっと眺めています。
そういえば公務員試験のとき読み込んだ森林・林業実務必携には民法や登記など一行も出てこなかったよな、と苦笑しながら。

この事務所が林業に造詣の深い司法書士として法律的な問題点を快刀乱麻の勢いで解決する、ということは今後もありません。法律上も司法書士にそこまでの能力は与えられていません。
全国探してもそんな結構な司法書士はいないだろう……という原稿を寄稿したところ、編集段階でカットされました。普段はリライトされたことがないのですが、言ってはいけないことはあるようです。

ついでに申し上げますと、対応能力的には何の問題もない弁護士たちは動員費用がかかりすぎ、少額な林地の問題での活用は今後も非現実的です。最低着手金が10万円という彼らに数万円の共有林持分の紛争を訴訟代理させようとは、誰も思わないでしょう。

ですが林業関係者の皆様には、失望することは全くない、とわたしは考えます。特にあちこちで問題だらけと言っていい山林の相続に関しては、普通の人と普通の司法書士がその気になれば手続技術的には対処可能な案件ばかりです。

林業に詳しい司法書士や弁護士をあえて求める必要は、実はそう多くありません。

山林相続や山主との契約の問題で必要な知識は、上記2士業なら誰でも持っています。むしろ士業に必要なのは、実情に即して柔軟に助言し対処方針が決められる態度と、既存の法的手続きを安価に利用しやすくする方向でおこなう継続的支援、それらのために関係者から丁寧に話しを聞き現地や現物を見るのに要する時間だろう、とわたしは考えています。理想的関与のありようは訴訟代理から手弁当での相談まで、それこそ百人百様の多様さを示すことになるでしょう。
それに耐えて何年か活動を続けたらその事務所は、林業そのほか中山間地の問題に詳しい士業の事務所になっているはずです。

以上の思惑がありまして『わたし、林業に精通している司法書士です』とは言いたくない(でも人が言うなら言わせておこう、という程度のズルさは持っている)ところです。

ですがこの業界には一応の基礎的知識とほんのちょっぴりの人脈、あとは他事務所より結構多めな時間的余裕とシンパシーを持っているつもりです。個別労働紛争というニッチな分野に長くいる関係で沖縄から北海道まで仕事で行っており、出張はむしろ歓迎します。山林関係の仕事でも、お近くに依頼先が見つからなければ全国からご依頼をお受けするつもりです。

そのために令和3年1月3日から、当事務所ウェブサイトに山林・林業関係業務の各ページを新設し公開をはじめることにしました。

相続その他民法関係の知識が一通りあって登記も裁判もでき、それを自分でやろうとする人を支援する態度が取れる実務家がいるなら、皆さまが期待したほど林業に詳しくなくても中山間地域では便利かもしれません。このウェブサイトには書いていなくても、お役に立てることはあるでしょう。

皆さまからのいろいろなお問い合わせを、お待ちしています。

鈴木 慎太郎

著書を読んで問い合わせをした、という案件への対応(の失敗)とその先の構想に関する件

  1. 人に勧められて本を書く。
  2. それなりに売れる。評判になる。
  3. そのうちに講演や仕事の依頼が入る。

よくある弱小零細個人事業主の妄想です。

これが妄想に過ぎないことは、自費出版詐欺を事業活動とする今はもうない出版社の労働紛争で知りました。僕の場合、初めての著書執筆の依頼を受けるよりもずっと前に(苦笑)

そんな僕が一昨年の春書いた本は、曲がりなりにも商業出版(かっぱえびせんミニサイズ一袋ぶん相当のお金/一冊が僕の印税)であります。もちろん本書いたからご依頼がはいる、などということはないという真理は僕にもしっかりと適用されておりました。2年半ほど無風な日々を過ごした、先週のこと。

-以下、守秘義務に反しない範囲で説明します-

ずいぶんと若い数字の市外局番から着信が入りました。聞けば某県庁の林業担当課の方だとおっしゃるのです。

冒頭、聞いたこともないような発言がありました。いえ、正確には一度も聞いたことがない発言があったのです。

僕の本を読んだのだが、山林所有者向けの講演会をやりにきてくれないか・講演後は個別の相談もやってほしい、と。

この提案を謹んでお受けするようならこんなブログ書いてない、というのはなじみの読者の方々が期待されるとおりです。

それなら地元の司法書士さんでも可能なはずですが、と脊髄反射で即答してしまったのです(わらうところ)

もしそちらへの依頼が本決まりになりましたら某県司法書士会社会事業担当部の先生にはせいぜい感謝していただくとして(きっと先方はどんな経路で依頼が転がり込んだか把握しないでしょうし、当事務所での受託可能性もまだ残ってますので)、お話を続けます。

発想には興味をひかれたのです。山林所有者を対象とする、相続その他事業承継/休眠担保権やら過去の相続やら共有関係整理やらに関する不動産登記/それらがこじれた場合の裁判事務等々の情報提供。あったほうがいいのは当然です。

ちょっとお時間もらってもいいですか、とその方の許可を得て。

僕も受けることはできるが交通費がもったいないではないか/個別の相談を一回だけやるのはよくある失敗を招くぞ/代替案があるとすれば(以下はヒミツ)/等々の助言を十数分してさしあげて(と思ってるのは僕だけで♪)いささか毒気を抜かれたようなお声を残して担当者さんは電話をお切りになりました。

…なんだか悪いことをしてしまった気がします(苦笑)

で、電話を切ったあとでしみじみと認識しなおしました。

10月26日月曜日に入電したこの問い合わせこそが、僕の著書を読んだことが依頼の動機になったという最初のものだったことに(愕然)

僕の本は出版から2年半で推定1800冊ほどが売れているはずです。本件出版の予定部数は2400冊。売り切ったら順当に絶版、のはずです。

さてそうすると。既出の1800冊は2年半かけて僕に1件の問い合わせをもたらしたとして(冴えないダイレクトメールでレスポンスがもらえる割合と見事なまでに一致している気がします)、仮に残り600冊が完売したとしても今後2年半で問い合わせがもう1件来る可能性は…

考えないほうが、幸せに暮らしていけそうです。

ご依頼にはつながらない(正確には、今回は、僕がご依頼への可能性を遠ざけた)僕の本は毎年秋になると、ちょっとしたさざ波を僕の周りに起こすようです。一昨年は幻冬舎系のウェブサイト担当者から転載希望の連絡があり、昨年は新聞社の担当者さんから取材の要請があり、それらの2件は無償の協力要請でしたが今年はこれがあった、と。

三度目の正直として応じてしまって、ハッピーエンドにしてもよかったかもしれません。その県の県庁所在地には安くて美味しいお店がいっぱいあります。

ですが。思い直したのです。

いま電話でしゃべったことは、執筆のネタになるではないか、と。


以下は、当ブログをお読みのごくごく少数の同業者さん=司法書士の皆さまにはちょっとまじめな話です。

森林環境譲与税、という新たなお金をばらまける、いえ財源にできるようになった関係で県市町村林業担当部署(あるいはその影響下にある森林組合コンサル会社NPOなどなど)が発注者になって、法律関係の情報を提供する催しを企画する可能性が出てきています。

僕のところでは県の林業研究所が設けた林業関係教育機関での講演(対象者は森林組合の方と県の地方事務所にいる林政担当者)、今回のように山林所有者への講演または相談会、あとは市町村の林政担当者を対象に相続・戸籍関係の研修(相続未登記問題を視野においています)、そういった話について、すでに受けた依頼/食いつけば依頼になった問い合わせ/コンサル会社からの誘惑/といったかたちでそういう企画案に触れる機会がありました。

これはおそらく向こう数年で全国的な動きになるはずで、僕は手前味噌ですが有利な立場にあります。林業白書を出してる林業関係の団体から本を出してる司法書士ってのが僕一人しかいない関係で、うっかり県市町村担当者がその団体に講師派遣等の問い合わせをするともう必ず僕が紹介されてしまう(苦笑)

※同じ雑誌には弁護士さんも寄稿するのですが、この方は一流の大先生で忙しすぎる、という難点があるのです

そちら経由の問い合わせは10年間独り占めを続ければ中古住宅の1軒も買えそうな気もする(土地はさておき家1軒分の国産杉材は買えるようになる)のですが、それではつまらないのです。

こうした依頼をする側の担当者さんたちを支援したうえで地元の司法書士会(法教育やら社会事業を担当する部門。登記ではないはず)へ引き渡せるといいだろう、と思っているのです。

で、僕が何を始めるかといいますと。

まずは、士業の人への依頼なんかしたことない県市町村林政担当者の方々を想定して弁護士会と司法書士会をほどほどに競合させて手玉に取る方法…いえ士業の側にある不都合な真実も少しはお伝えしたうえで、よりよい企画・発注の仕方を模索する手がかりになるような情報提供を開始しよう、ということで担当編集者さんと話がまとまりました。

せまーい分野のごく少数の読者を対象とするものではありますが、役に立つ人には役に立つでしょう。

もちろん上記の競合可能性は今後常にあるのですがこういう案件、弁護士なんかに持っていかれるのはあまりにも勿体ないよね、だったら他県の案件でも当事務所で貰っちゃおうよ、などと無駄に総合的俯瞰的な見地からのお話は補助者さまとも時折しておりまして。

ただ、相続登記は好きだけど裁判事務なんかやらない、というセンセイ方には触ってほしくないとも思っています。共有関係での今後の民法改正の見通しを考えると裁判所への定型的な申立は共有山林の整理をめぐって増えそうですし、それ以前に定型的な遺産分割調停申立書作成程度の案件を回避するような軟派な奴が関わっていい分野でもないでしょうから。

※去年は有名な林業地域からそんな案件が漂流してきたのを本当に受けたのですが(苦笑)

そんな思惑がありまして、僕がこれから林業雑誌でおこなう情報提供は司法書士会にも弁護士会にも辛いものになるはずです。

夏休みの宿題を提出しに行く1泊2日

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朝、鏡を見る。

頬がこけた、と気づく。

執筆多め睡眠少な目な、9月が始まりました。おとといまで夏休みの宿題に追われていたのです。

いえ、正確には宿題のみがあり、夏休みはなかった、と(苦笑)

今回の宿題は講義の教材でして、テキストとワークショップ用資料合わせて50枚ほどになりました。ワークショップ用の問題設定に最後まで手間取りましたが、提出期限の前の晩にインスピレーションが降りてきまして、まずまずの出来になったと思います。テキストのほうは提出期限を1日遅れての納品となりましたが。

今回の講義を貫く最重要テーマは

バナナはおやつに入るのか

です。

上手くいったら教材を公開し、そうでなければ黒歴史にしてしまいましょう。

よく見えない未来への一歩(新コンテンツ増設の件)

物が二重に見えるようになってきました。歳はとりたくないもんです。

片目ずつで見ても、目が疲れてくると本来の像とは別に下のほうに虚像といいましょうか、ぼうっとした同じ像が重なって見える…ということで眼球の中でなにか光学的な支障が発生しているのだと思います。

そんなこともあって深夜の長時間作業が難しいなか、久しぶりに新しい中規模コンテンツを新設公開する目処が立ちました。

このコンテンツには『そこが聞きたい 山林の相続・登記相談室 法改正・補足情報』という名前をつけました。ですが、著書の補足だけではでなくこのページがそのまま当事務所の山林・林業関係業務のトップページになる予定でグローバルナビゲーションを装備しています。

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2年前に出した山林の相続と登記に関する本の補足を著者が勝手にやってしまう、という趣向からして儲からない可能性満載なんですがそれはもう承知でやってます。

インデックスページの構成を考えるのと同時にこの分野で僕が受けたい/受けられる仕事を定義していく営みを進めて、さきほど構成が固まりました。JavascriptとCSSの動作試験を兼ねてこのページだけアップしてあるため、もしご覧になった方がいらっしゃっても…ごめんなさい。リンク先は全部404エラーが出ます(苦笑)

法改正と補足情報のコンテンツはあらかたできているので、明日にはアップロードを終えて検索エンジンにクロールしてもらえるところまでは持って行けるでしょう。SEO対策はほぼ施さない(検索エンジンを気にして姑息なキーワードを散りばめたりはしない)と決めて作ったコンテンツなんですが、そうではあってもgoogleがこのコンテンツをどう評価するかは気になるのです。

複視と老眼で文字通り先がよく見えない状況ではありますが、とにかく新しいことを始めてみたいのですよ。

今回のコンテンツについては一通りリンク切れがなくなって=完成した時点で、SNSをお持ちの方に拡散を依頼しようと思っています。

さしあたって、僕に山林関係の面倒くさくて儲からず逃げ場のない相談を持ってくるNPO代表者さんが持ってるウェブサイトかFacebookには当然リンクを貼らせよう、もし応じないようなら相談料金を即刻5倍に引き上げてもかまわんだろう、と考えています。

※仮に料金を5倍にしてもようやく弁護士さんの市民向け法律相談のお値段だったりするのですが

ともあれ、この方の来所予定は、来月すでに入っています。

楽しみだよ、6月(悪い笑い)

自分が何をしようとしているか、悩む(新コンテンツの準備に関する件)

出歩いてよければ絶好の出張日和が続く名古屋市緑区。

僕はお金になる仕事若干/お金にならない仕事多めな毎日を事務所で送っています。窓の外がひたすらまぶしい今日この頃です。

そのお金にならない仕事が、そろそろ外に出せそうなのです。出してもお金にならないことはほぼ確定であることはさておいて、表題の件。

2年前の春に出した僕の著書(山林の相続・登記相談室:全国林業改良普及協会 2018年)について、執筆後の法改正関係の説明を加えるコンテンツを新設したいのです。発想そのものは昨年秋からあり、調子に乗って担当編集者さんに連絡などしてしまったものの、当時はまだ忙しかったので…

発想はあったものの塩漬けにしているうちに冬になり年が明け春になり、さらには日本経済がこんな状態になってしまって…事務所が潰れないうちに作っておかなきゃ(時間もできたし)、ということで先月からようやく作業を開始し、書きためた文字情報は1万字ほどになりました。著書の本文がたしか6万字ほどあったはずなので最初に追加する文字量は2割弱、ということになるでしょうか。そろそろ人前にだしてもよかろう、とは思っているのです。

文字になっているのは著書の内容をアップデートする法改正情報のほか、いくつかの補足説明となっており、ゆくゆくは書式をいくつかダウンロードできるようにしようと思っているのです。事務所がそれまでに潰れなければ、ですが。

当事務所ウェブサイト全体の構成としては、山林の相続や登記を扱うからといって不動産登記の下部カテゴリにはならないだろう、当事務所にもともとあった3つの大分野=労働紛争/裁判書類作成/不動産登記に続く4番目の分野になるだろう、そう考えました。

そう考えて、新たなテンプレートを用意しようとして、作業が数日停まりました。

新設するページは強いていえば『森林と社会に関する業務』になります。学生時代に森林社会学研究室におり、その後研究室がなくなった(笑)僕としては森林社会学研究室の残党であることを意識したいわけですが。わかりにくいので対外的には『山林と林業に関する業務』というべきでしょう。

もともとは著書の正誤表を出したい、という動機で作り始めた各コンテンツですが当事務所への依頼誘致という目的は持って悪いはずがありません。そうであれば当事務所が山林・林業関係で担当可能な業務の紹介をしてよいはずで、ならば紹介したほうがよい業務はなんなんだろう?

不動産登記。

だけではない、ということだけがすぐにわかったのです。というより、当事務所の上記3大分野全部に関わるらしい、と。

住宅購入とか債務整理とか成年後見とか、そういう司法書士事務所の経営を安定化させるシゴトからはことごとく外れてくるくせにね、山林の仕事(笑)

林学はすぐれて学際的な学問である、と林学概論で宣言された学生時代を思い出さずにはいられません。こんな面倒なことになってたなんて(苦笑)

こうしたことを最初に考えねばならないのはなぜか、と申しますと、パソコンで見たときに画面上部に表示されるナビゲーション、スマホであれば折り畳みできるメニューの出来が悪いとウェブサイト内の流動を促進しない、ひいてはご依頼=売り上げに結びつかないからです。

今回は著書の補足という理想があるので、検索エンジンを意識した対策はしないと決めてはいるのですがそれと人間の閲覧者への対策はやっぱり別です。あれこれ考える営みは『山林への関わりを軸にした、当事務所の仕事(の見せ方)の再編成』になりました。

結局、構成としては

平和な人向けの業務=相続その他での林地の承継とそれに関連する不動産登記

そうでない人向けの業務=裁判事務。相続放棄申述から登記抹消請求訴訟あるいは境界確定訴訟まで。

法人とその経営あるいは労働に関する業務=会社や社団法人設立維持に関わる登記から、それらが傾いたときの雇用調整助成金(という順序でお話を持ってこれるのは社労士司法書士兼業者の特徴かもしれません。縁起でもないことではありますが)、最近ではスマホで山主と林業労働者をマッチングさせるサービスが出てきている、ということできっと悪化するに決まってる労働問題を視野においた業務がここに入ってきます。

あとは上記各業務への入り口になる情報提供=来所・出張での相談と執筆、相談会やら研修の受託、というページを作ってから既存の不動産登記等のページに振ってみることにしました。まずまずよさそうな気がします。

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※この判断が正しくないことは、これまでにもまずまずよさそうと思えるウェブサイトを保有しているにもかかわらず儲かる仕事は来ていない、ということから明らかなのですが…僕からすると今回作るページのレイアウトも『まずまずよさそう』なのです。きっと儲からない依頼が少しずつ来るでしょう(苦笑)

これを作るだけ作ってしまってから、来月の出張に出ようと思っています。

この出張は6月5~10日に予定しています。青森県内に滞在するほか、途中経路周辺でお問い合わせがあったお客さま方には個別にご案内しています。これより詳しい告知は、今後も公開では行いません。写真もブログに上げないほうがよかろう…というのがいささか寂しい気もします。

おおっぴらにはしないが楽しみではある出張を来週末に置いておいて、今月は事務所でこの仕事を進めることにします。

事例紹介:少額で利用可能な遺産分割調停について(審判書)

前回記事に続き、中山間地域で売却価格や評価額の高くない土地の相続登記を促進するために遺産分割調停を使った事例の紹介です。この紹介にはお客さまの許可を得ています。

以下、審判書は関係者の氏名等を伏せ字にし、価格などの金額については事案の性質を失わない程度の改変をしています。改変箇所には下線を付しました。


第1 審判書

主文

1 当事者双方は,①被相続人の相続関係が別紙相続人関係図のとおりであること,
②別紙遺産目録記載の財産が被相続人の遺産であることをそれぞれ確認の上,これを次のとおり分割する。

(1)申立人は,別紙遺産目録記載の土地を単独取得する。
(2)相手方らは,いずれも遺産を取得しない。

2 当事者全員は,これまでに負担した別紙遺産目録記載の土地の固定資産税及び同土地上に存在した建物の解体費用について,他の相続人にその負担を求めないこととする。

3 当事者全員は,以上をもって,別紙遺産目録記載の被相続人の遺産に関する紛争を一切解決したものとし,本件に関し,当事者間に何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。

4 手続費用は各自の負担とする。

理由

1 本件申立ての趣旨は,被相続人の遺産の分割を求めるというものである。

2 本件の相続関係は,別紙相続人関係図のとおりである。

3 別紙遺産目録記載の土地(以下「本件土地」という。)が被相続人の遺産であり,その評価としては,固定資産評価額と同額の75万8104円と評価するのを相当と認める。

4 本件土地上には,かつて被相続人所有の建物が存在していたものであるところ,同建物は,老朽化が進んだこともあり,自治体の指導を受け,平成27年12月に取り壊された。その解体工事費用約130万円は,申立人,相手方d,相手方e,相手方f及び相手方gが負担している。また,本件土地の固定資産税については,現在,申立人において納付している。

5 遺産分割の方法について,申立人は,本件土地を単独取得すること,代わりに,本件土地の固定資産税及び本件土地上に存在した建物の解体費用については,他の相続人に分担を求めないことを希望している。他方で,相手方らは,いずれも本件調停期日に出頭しないが,当裁判所に提出された回答書によれば,いずれも遺産の取得を希望せず,自己の相続分は放棄したいと述べている。

6 以上の事情によれば,申立人の希望するとおり,申立人に本件土地を取得させ,相手方らは遺産を取得しないとの内容により,被相続人の遺産を分割し,併せて,本件土地の固定資産税及び本件土地上に存在した建物の解体費用の負担についても,現在の負担者から他の相続人に対して負担を求めないとの形で清算することが相当である。このようにしても,申立人以外に本件土地の取得を希望する者がいないこと,相手方d,相手方e,相手方f及び相手方gにおいては,本件土地の固定資産税に係る分担義務を免れ,相手方h,相手方i及び相手方Yにおいては,これに加えて建物解体費用の分担義務を免れることに照らせば,当事者間の公平を欠くことにはならない。

したがって,家事事件手続法284条1項により,主文記載の内容で調停に代わる審判をすることが相当であると認め,調停委員会を組織する家事調停委員2名の意見を聴いた上,当事者双方のために衡平を考慮し,一切の事情を考慮して,主文のとおり審判する。

日付・裁判所名・裁判官名


第2 所感

…うまく行き過ぎました(笑)

狙って実現した結果ではありますが、家庭裁判所ってところもなかなかいいな、と思わされたところです。

第3 相続登記と費用(審判書による相続登記 合計32120円

③司法書士報酬 税込合計28600円

  1. 評価証明書取得代行 3000円
  2. 所有権移転登記申請書作成 20000円
  3. 登記申請代理 3000円

④実費 合計3520円

  1.  郵送料 520円(依頼人宅への書類返送のため)
  2.  登録免許税 3000円(評価額75万8千円の0.4%の額)

調停申立を経て調停成立あるいは審判確定となった場合の相続登記はずいぶん楽です。

戸籍謄本類は登記申請時には添付不要です。つまり遺産分割調停申し立てで提出したものが返ってこなくても実害はありません。

被相続人の登記上の住所と死亡時の住所は審判書に示されているため被相続人の住民票の除票も不要、当然ながら遺産分割協議書や各相続人の印鑑証明書は一切不要、ということになっています。このため、本事例で審判確定後の相続登記における添付書類は

審判書+確定証明書(登記原因証明情報)、Xの住民票、本件土地の評価証明書、司法書士への委任状

のみとなりました。相続関係図が審判書に綴りこまれているため、相続関係説明図も不要です。祖父A→父B→依頼人Xという順で相続が発生していますが、この審判書を使えば相続登記は1回でできるのは同内容の遺産分割協議が裁判外で成立したときとおなじです。

このため相続登記の費用も安く済みました。

結果、前回記事(遺産分割調停申立書作成・添付書類収集)まで含めた相続登記完了までの実費込み総費用は11万1830円となりました。

内訳は次のとおりです。

司法書士報酬

①遺産分割調停申し立てまで 43200円
③相続登記申請 28600円

実費

②遺産分割調停申し立てまで 36510円
④相続登記申請 3520円

このうち土地価格に比例するのは④(相続登記の登録免許税。本事例では実際とは少し数値を変えており、評価額75万円余という設定で計算するとこうなります)、相手方その他の関係者数により増加するのは②(本事例では相手方7人分の予納郵券・30通の戸籍除籍謄本類を含む添付書類収集費用)です。

ただ、前回記事に出した僕が起案している『申立ての実情』はあれだけで6枚に達したので、次回以降の受託では枚数に応じて司法書士報酬を加算するかもしれません。当事務所報酬額基準でも2ページ分、1万2千円は加算可能だったようです。

僕の場合、やる気スイッチが入ってしまうと書類作成枚数カウントスイッチが切れることがたまにあるのです(苦笑)

第4 注意点と寸評

本事例は『売却価格や評価額が安い』不動産の相続を巡る紛争を『その不動産に関して投入した費用(家屋解体費用)が土地売却で期待できる売却金額を超える』状況下で解決できたものです。

ただ、本事例の考え方は管理に手間を要したり価値の低い山林が遺産分割協議不成立→相続未登記になった状況を解決するのにも有用と考えます。

上記審判書の内容を当ブログのいつもの表現で要約すると

『申立人が自腹切って赤字で終わるんだし、ほかにこの土地が欲しい人もいないみたいだし、だったら申立人がタダで相続しちゃっていいことにするから後はちゃんと売ってしまえよ』

ということになります。常識に合致する妥当な結論というほかありません。

しかし、遺産分割調停申立書を作成・代理する人によっては、土地の相続と土地上にあった建物の解体費用負担はまったく別の話だ、と判断して申立書に盛りこまない、という判断もありえます。

仮にこの土地上にあって解体された建物が、祖父Aではなく父Bが建てたものならこの遺産分割調停申立に経緯を取り込んでC側に費用負担を押しつけることはまずムリです。

今回の申立では『もともと祖父が住んだ建物なんだから祖父の遺産だ・それを町から指摘されてやむを得ず解体した以上、遺産に関して発生した費用なのだから祖父のすべての相続人が負担すべきだ(が、父以降の世代がこの家に住むことができた利益に関してはまぁ黙っておくことにしよう)』という内容だったから上記の結論になったと考えねばなりません。

※ただ、相手方に僕みたいな人がついて上記の観点で反撃されたとしても『父以降の世代が居住開始した時点で建物は十分古かったわけだから、居住によって得られる利益も少ないし、そもそもこの建物が空いたからC側が住む、という可能性もなかった』とか再反論を企てるとは思います。

いずれにせよ、僕が絶対の自信があって遺産分割調停申立書を完成させたわけではありません。

相談から申立までに内心ではあれこれ考えたが使わずに済んだ反論や論理構成は、いくつもあったのです。このことは、適当な検索エンジンからやってきてこのブログにたどり着き、同様類似の事案が見つかったと嬉しくなってしまった軽はずみな方には気をつけてほしいと思います。

司法書士の職能上の限界として僕の判断は自由に外に出せない=家裁の調停申立事案で自由に法的判断を示したり方針を推奨する法律相談ができない関係上、いろいろ考えはしていますが当事務所への依頼により適切な選択肢にすぐに楽に導く、ということもできません。

お客さまにはゆっくりお話いただいて、いまどうなっていて今後どうなったらいいか…を十分よくお話しいただく必要があり、まぁそれに何時間かはかかります。

その結果この人じゃ本人訴訟はムリ、と僕が判断すれば採算割れが明白なのに弁護士の利用を推奨することもあるかもしれません。

ただ、誰が本人訴訟に向かないか、について老若男女職歴学歴は関係ないようです。東京六大学クラスの学歴持った男女が時折ポロッと脱落していくのを見ることがあります。

そうした代書人の事務所ではありますが、今後もこうした中山間地域で価値が高くない不動産の遺産分割未了・相続未登記案件でなにかできるかもしれない(そして、それはお客さま次第だ)というお話しでした。

事例紹介:少額で利用可能な遺産分割調停について(申立書類作成)

 お客さまの許可を得て、遺産分割調停の申し立て事例を紹介します。

特徴は、課税価格が高くない(本事例では評価額100万円未満)不動産について、本人申立てにより比較的安価に所期の成果を達成したことにあります。本事例では相続人の一人と合意に至らずに遺産分割協議が頓挫していましたが、当事務所で受託後は任意での交渉から調停手続きの利用に方針変更しました。

結果、申立人が調停の期日に(家庭裁判所に)出頭したのは一回で済み、申立人が無償で目的不動産を取得する審判を得ることができました。

遺産分割調停の申し立て対象としたのは宅地ですが、評価額の高くない林地やその共有持分の相続未登記問題解消についても応用可能な事例だと考えます。

以下、説明には事実から若干の改変を加えました。改変箇所には下線を付しています。


第1 相談概要(受託1ヶ月目)

初回の相談で、概ね以下の説明がありました。

○親族関係

  1. 依頼人Xは甲県の某町に実家があったが、現在は別の乙県に居住している
  2. 甲県某町所在の本件土地は、依頼人の祖父Aが登記上の所有者である
  3. 祖父Aは50年以上前に死亡。依頼人の父Bもその後死亡した。
  4. 祖父Aの子はBのほかにCがいたが、死亡。BCともに子がいるため数次相続が発生。
  5. Bの子は依頼人Xのほか、d・e・f・gの計5名。Cの子はi・h・Yの3名。合わせて8名が祖父Aの法定相続人である。
  6. 本件ではC側の家族に交渉を阻害する者Y'(法定相続人Yの関係者)がおり、相続登記に必要な遺産分割協議が成立しない。ここ数年はYと意思疎通すらできていない。
  7. 依頼人は最初に依頼した地元司法書士と複数回現地に行って打ち合わせなどしたが、手続きは進行せずここ数年はその司法書士から連絡もない

※ここだけいつもの表現を用います。本件は裁判書類を作らないヘタレが放り出した事案だ、という点に僕のやる気の割増要素がありました

○不動産の状況

  1. 本件土地の固定資産税の納税は、A死亡後はB、その死亡後はXがしている。
  2. 数年前までは本件土地上に建物があったが、父B死亡後は空き家になった。
  3. その後、老朽化のため建物の解体または修理の要請(強制力なし)が某町役場からあった。
  4. このためBの子たち(Xの兄弟)5名が費用を出し合って建物のみ解体。解体費用130万円
  5. 建物もAの所有だったが解体に際してC側相続人からの同意はとっていない。遺産分割協議に際して、この経緯は問題にはなっていなかった。
  6. Aには本件土地のほかに、遺産はない模様。
  7. 本件土地には買受け希望者がいる。希望価格70万円で、固定資産税の評価額とほぼ同じ。

○依頼人の意向

  1. 祖父Aの全法定相続人の客観的状況として、この土地を相続したい者はいない。
  2. このため、いったん自分(依頼人X)を所有者とする相続登記を実現してから、買い受け希望者がいるうちに売却したい。
  3. この土地が売却できればC側親族に建物解体の費用負担を求めるつもりはない。

●僕の判断(内心)

Y夫妻をどうにかしてしまえばよい。したがって家事調停の一択。

  1. 言動から察するに、YとY’は調停手続を利用して隔離すれば無力化できる。また、単純な相続分と不動産の市場価値からすれば相続人一人あたりの価格は10万円台にとどまる。
  2. ゆえに相手方での弁護士代理人の選任は当然ありえない。司法書士への依頼も厳しい。少なくともコストパフォーマンスでみる限り、士業による反撃の可能性は無視してよい。
  3. 依頼人の説明は調停申立書に記載すべき事項を十分網羅しており、僕は単に書類を整序すればよい、ということにできる。
  4. 遺産分割調停の結果得られる最悪の結論は、家屋解体費用を無視して土地売却後の売却金分配または代償金支払いを命じる審判である。
  5. しかし、もしYが本気でこれら金員の支払いを求めてくるようなら、支払督促かなにかで家屋解体費用を請求してしまえばよい。
  6. この請求は手持ちの簡裁代理権で対応可能。Yへの対応にはなんの問題もない。

まぁ、C側があまりゴネるならB側陣営が全員結託してC側に不動産と納税義務をまるごと押しつけて逃げる、という戦術も一応ある(僕の内心です。説明はしていません)

○僕の相談(外見)

  • 任意での交渉を経て遺産分割協議を成立させるのは一般的なことであり、従前依頼していた司法書士さんもそれを試みられたようですが、お話を聞く限り今後も交渉成立の可能性は薄いようです。
  • このように遺産分割調停がちょっとした理由で成立しない場合にも家庭裁判所での遺産分割調停が利用でき、当事務所でも代理はできませんが申立書類を作成することはできます。
  • 実費と申立費用は皆さまがお考えほど高くはありません。
  • また、お客さまが私にお話いただいている発言内容からして、代理人なしで調停を申し立てても調停委員との会話に困ることもないかと思います…
  • ですので気が向いたら、そうした書類作成のご依頼をご検討ください。

等の助言をおこなった。

その後、家庭裁判所に提出する遺産分割調停申立書作成および添付書類収集を受託した。

第2 申立書の作成(受託2ヶ月目)

土地が売れれば家屋解体費用は相手に請求しなくてよい、という依頼人の説明を整序することを基本方針とした。

このため、(少々強引かもしれないが)家屋解体の経緯と費用に関する説明を追加し、さらに依頼人から聞いた意向を申立人が希望する調停条項として整序したところ、後記の申立書文案が依頼人に採用された。

本申立書による遺産分割調停申立で実現可能な最良の結論は、申立人が代償金の支払いを要することなく=無償で本件土地を取得してしまうことにある。

ただ、土地上の家屋の解体は一部の法定相続人の承諾なくおこなった相続財産の処分という面を持つ。このため申立書案では『町から行政指導を受けたので』建物を解体した、という説明をした。

注:この部分は、単に建物が老朽化しただけだったり建物の名目上の価値が大きい場合に難しい問題になります。相続人の一部の同意があるから勝手に家を壊していい、とは考えません。

以下、関係者の氏名や遺産目録など定型的な部分は省略して『申立ての実情』のみ掲載します。■はチェックした欄、□はチェックしなかった欄を示します。『その他』という項目はないのですが、追加するのは申立人の自由、ということになっていると考えてください。


遺産分割調停申立書文案(申立ての実情)

1 遺産の範囲
□申立人主張の遺産の範囲は遺産目録記載のとおり
■その他 (遺産目録土地上に家屋があったが、解体した。詳細は後記の通り)

2 遺言書の有無
■ない

3 遺産の使用・管理状況
■ 不動産
  現在は誰も使用しておらず、更地である。

4 当事者間における分割協議の有無
  協議をした(3~4回)
  協議がまとまらなかった経過は次のとおり
 相手方Y以外の各相続人とは、申立人が本件土地を相続する旨の調整ができた。Yにも同様の申し入れを電話・手紙で試みたが、Yの孫であるY’が介入するため本人と直接交渉ができない。

5 遺産分割方法について

■ 自分の希望は次のとおり
   遺産目録番号(1の土地 )を取得したい。
   詳細は後記の通り
■ 相手方の希望は次のとおり
  相手方Yの希望は不明であるが、遺産目録記載の土地を取得したいという意向は示されていない。

6 特別受益・寄与分の主張について
(1) 特別受益の主張をする考えが
   ない
(2) 寄与分の主張 をする考えが
   ない

7 相手方について
 (1) 相手方は本件申立てがなされることを
   知らない
 (2) 相手方が代理人に弁護士を選任しているか,またはその見込み
   不明

8 その他
(1) 申立人と被相続人の関係
 被相続人Aは、申立人の祖父である。
 被相続人の子3人は全員、すでに死亡した。
 長男○○には子がない。
 長女Cには人の子がいる。長女がY、長男である亡●●の代襲相続人がh、次男がiである。
 二男Bには人の子がおり、いずれも生存している。

 被相続人は亡Bの長男である。B夫妻が本件土地上の家屋に住んでいたこともあり、現在は本件土地の固定資産税の納税義務者の地位にある。本申立ての遺産分割に際して、亡Cの相続人である相手方Yとの協議が成立せず、本申立てに至った。

(2)主たる相手方について
 相手方Yは、被相続人の長女(亡C)の長女である。
申立人は本件遺産分割について、亡Bの相続人名の意向をとりまとめたうえで平成27年から28年にかけて、相手方Yに遺産分割に関する協議を申し入れた。
しかし、その都度Yの孫であるY’が介入し、被相続人には他に遺産があるはずだとか、Yが精神的に疲弊しており交渉ができないなどと回答し、Yに対する直接の連絡を妨げている。

 このため申立人は遅くとも平成28年以降現在まで、Yと手紙・電話・面談等による交渉ができていない。

(3)被相続人の遺産について
 本申立書に記載した土地以外に、被相続人の遺産は存在しない。
 少なくとも、申立人は把握していない。調査の経緯は以下のとおりである。

 申立人には某町役場から毎年、本件土地の固定資産税の課税明細書が送付される。課税明細書には本件土地以外に不動産の記載はない。
 被相続人について、ほかの市区町村役場から固定資産税の納付を求められたことは全くなく、ほかの相手方からもそうした話は聞いていない。

 相手方Yの孫Y’は本件遺産分割の交渉の過程で、被相続人にはほかに遺産を有するはずだと述べたことがあった。しかし、特に財産の所在や根拠を示したわけではない。
 このほか被相続人の財産あるいは負債について申立人や相手方に、第三者から連絡がなされたことはない。ただし、後記の建物解体に関する連絡のみ存在した。

(4)被相続人が所有する建物の解体について
 被相続人は本件土地上に建物を所有し、昭和35年の死亡まで居住していた。その後、被相続人の妻および二男らがこの建物に居住した。
 被相続人の二男Bの妻である△△が平成年に死亡して以降この建物に居住する者はなくなり、申立人をはじめとする亡Bの子(被相続人の孫)が時折訪れる程度に使用していた。

 平成27年3月、某町建設課から申立人に対して、本件土地上の建物を修繕するか解体する等適切に管理するよう求める行政指導があった。そこで申立人をはじめとする亡B相続人5名は費用を負担し、平成27年12月にこの建物を解体した。要した費用は総額130万円である。相手方Yら亡Cの相続人3名は、この費用を負担していない。

 解体前の建物の状況は、某町からの文書では『屋根上の石やトタンの飛散により被害を及ぼす可能性が』あるとされており、文書に添付の写真でも道路に面した屋根が大きく剥がれている等、居住に適さない状況であった。

(5)本件土地の現況と買い取りの希望について
 もともと本件土地上の建物は隣地にある建物(現在の居住者 甲)とつながっていたものである。
 このこともあり、解体工事後は甲氏から申立人に対し、本件土地を70万円で買い取りたい旨の希望が示された。
 被相続人Aの各相続人のうち某町に在住するのは亡Cの子iのみである。この者も含め、相続人にはこの土地を取得したい者がいない。

 本件土地の今年の固定資産税課税上の評価額は75万円であり、隣人への土地売却で確定測量も要しない(土地売却にかかる費用として測量作業に20~40万円を要することは公知の事実と考える)ことも併せて考えれば、本件土地を70万円で売却することは概ね妥当というほかない。
 このため、申立人としては、本件土地をいったん申立人が相続し、すみやかに甲氏に売却し、売却金は建物の解体費用の一部に充当して、C側の相続人である相手方Yおよびh、iに負担を求めることなく遺産を処分するのが妥当と考えている。
 この案は相手方Y以外の全相続人の内諾を得ているところであるが、Yの孫であるY’が妨害するため手続きがまったく進んでいない。

(6)結語
 本件は価値のある遺産を取り合う争いではなく、申立人が費用を負担して祖父の家の後始末をする性質の申し立てである。望ましい条件で土地が売却できても、申立人ら兄弟にはまだ家屋解体費用の負担が残る。

 申立人としては建物の解体費用および申立人が負担した固定資産税についてYに対し、法定相続分相当額を請求することもできると考えているが、本申立てにより調停が成立するのであれば、Yに対して特段の費用負担を求めないこととしたい。
 ただし、これまで述べたとおり建物解体費用まで含めれば被相続人の財産は存在しないどころか申立人をはじめとする相続人に金銭的負担を残す事案であることから、可能性として代償分割を命じられるとしてもYに代償金を支払うことは妥当とはいえない。

以上のことから申立人としては、以下の調停条項を提案したい。
1.申立人は無償で本件土地を取得すること
2.申立人は本件土地を売却し、本件土地および建物の保有および解体に要した費用は、Yおよびh、iに負担を求めないこと

以上

 


第3 費用 総計79710円(調停申立書提出まで)

①司法書士報酬 税込合計43200円

  1. 家事調停申立書作成 30000円
  2. 添付書類収集代行 10000円

②実費 合計36510円

  1. 評価証明書(1通)・登記事項証明書(1通)戸籍謄本類(30通)発行手数料、郵送料、定額小為替(31枚)発行手数料 計22470円
  2. 申立書に貼付する収入印紙代 1200円
  3. 申立書に添付する予納郵券(切手代) 12840円(相手方7名分)

第4 調停終了(受託5ヶ月目)

申立書提出の約2ヶ月後、第一回期日が指定された。

期日には申立人を除き、全員欠席。家裁が各相手方に意向を尋ねる文書には、期日前に全員が回答した。

裁判所は第一回期日で調停終了、審判を出す旨を申立人に伝えた。期日の約1ヶ月後に審判が出され、相手方が異議申立をしなかったため確定した。

4月5~8日、電話受付をお休みします

今日から郵便が来ないのです。

別に破産手続開始決定をもらったわけではありません(し、僕はさしたる財産を持ってないので破産するとしても破産管財人が選任されたりその人に郵便が転送されたりすることはないと思うのです)。

ご同業の方にしかわからないような冗談はさておいて、今日から予定していた出張のために郵便局へ不在届を出してあるのです。4月3日から8日まで。

で、青森地裁管内の某裁判所が証拠調べの期日を2ヶ月先にすると決めたため(エイプリルフールに合わせなくてもいいからもっと早く言ってほしかった)、僕の出張も釣られて2ヶ月先に吹っ飛んだ結果、上記の不在届と4月4日朝に京浜東北線南浦和で予定していた別件の出張相談が残ったのです。

このうち不在届はそのままおいておこう、と決めました。併せて4月5日から8日まで、来所の相談・電話の受付とブログの更新も休止します。主に執筆をして過ごすと決めました。

お察しのいいお客さま方には個別にお問い合わせをどうぞ

別の話題です。久しぶりに、ほんとうに数年ぶりにお客さまから許可をいただいて、受託事例の紹介ができることになりました。この冬に家裁が出した審判書の内容を公開したいと思いまして、ご依頼が全部終わったところで掲載許可のお願いを出していたのです。僕が作った申立書の主要部分も公開できることになっており、中山間地域にあるような価格の低い不動産の相続でお困りの方に少しは役立つ情報になろうかと考えています。

この記事を来週末までに公開するつもりです。

それまで何日か、挙動がわかりにくくなりますが…しばらくお待ちください。破産の準備なんかしていたりはしませんから(^_^;)

不要不急の何かを止めさせてしまった話(それで儲かるのは僕だけだから、という正当化)

普段とは違うパーソナリティを演じてみたくなること、たまにないでしょうか?

例えばブログでは概ねおかしなことを言っているどこかの代書人が一生に一度くらいはまっとうな書籍を世に出してみたくなるように(苦笑)

今日はまぁ、そんな話です。

そのお客さまとは複数回の打ち合わせを経て、契約書作成および所有権移転登記申請のご依頼をいただくことになりました。家族間での生前贈与、だと思ってください(例によって事案は少し改変しています)。

今日はその最終確認および書類授受、ということで当事務所には義務者権利者ご一同様が連れだってお越しになりまして、契約書調印と必要書類の受領まではつつがなく終わりました。で、僕からお客様方に話しはじめます。

ここで最後に提案です、と(きな臭くなってきたな、とご期待の読者さんにはそれを裏切らないかと思います)

  1. まぁこういう社会的経済的状況になっちゃいました。
  2. 今回所有権移転する物件も文字通りその直撃を受けるものですよね
  3. なので、いま譲渡されたって転売差益や賃貸料収入をゲットするのは当分ムリでしょう
  4. じゃぁそんな登記をするために十数万円、いま現金を手放したいですか?
  5. 後手後手が好きな政府のあれやこれやの施策が我々までトリクルダウンしてくるのはもうしばらく先です
  6. したがいましてファイナンシャルプランナーとしては、いまから1~2ヶ月のあいだは手元に現金をホールドしておくことが重要になるかと存じます
  7. 繰り返しになりますが、それでも十数万円かけてこの登記、やりたいですか?
  8. もちろん司法書士たる僕は儲かって嬉しいですが、やめておくのも一つの見識かと思います
  9. ちなみに印鑑証明書は発行されたばかりなので、この書類一式預かって実質3ヶ月は判断を先送りできます
  10. ついでに委任状には、『この委任は委任者の死亡によっても終了しない』って特約を無料オプションとしてつけておきましょう
  11. 繰り返しになりますが、それでも十数万円かけてこの登記、やりたいですか?
  12. 繰り返しになりますが、それで嬉しいのはほぼ僕だけです

-以上-

とりあえず、お客さまには契約書作成費用だけもらってお引き取りいただきました。

あはは(乾ききった笑い)

手短に結論を申しますと、個人の家計向けファイナンシャルプランニング業務と司法書士の商売はときに両立しない、ということかもしれません。余計な正義感を発揮して人に自粛を求めることは実に実り少ない営みで、かえって日本のGDPを減少させる、ともいえます(あ、これは違うか)

まぁ依頼受けないとは言ってませんので、それでもやってくれとおっしゃるなら粛々と申請出しますし…そのほうが嬉しいです。僕と僕の事務所、ひいては僕の家計は。

ついでに言うと、上記のようではあってもこの物件をマネタイズする努力は常に続けるべきだ、とは助言しています(そりゃ当然で、ここを阻止しようとしたら本当に愚劣な不謹慎厨になってしまいます)。

当事務所へ不動産登記のご依頼検討中の方々におかれましては、ここにいる司法書士はときに嬉々として申請の延期や中止を語る、とお考えいただければよろしいかと存じます。


こんなことばかり書いてる僕がこのブログにあるようなよろしくない部分を排除して(補助者さまと担当編集者さまには文章表現の改善等をめぐって、ひとかたならぬご助力をいただきました。いまでも感謝しています)なけなしの善性を注いだ単著を出してから、2年が経ちます。

今年にはいってようやく、東海三県初の図書館配本が実現されたと思ったら(←遅いよ)その名古屋市図書館がまるごと臨時休館になっちゃったりもしています(←酷いよ)ですので僕の本はおそらく農業関係の書棚で寝ているだろうと思います。

僕の著書『そこが聞きたい 山林の相続・登記相談室』(全国林業改良普及協会 2018年)については発売直後に『八十万(やそよろず)の雑記帳』さんが好意的なレビューを出してくださいました。僕が担当編集者さんの思惑を超えて盛り込んだ部分をよく汲んでいただいており、この意味でも大変ありがたいことだと思っています。

同年7・8月には農林水産省本省の売店での売り上げトップ10に入った、という飲み会のネタにしかならないような(一体何冊売れりゃそうなるんだ、と苦笑してみたい)話題もあり、現時点では幻冬舎GOLD ONLINEでその一部が転載されています。

小規模山林所有者向けに相続手続きの本人申請を解説した本が富裕層向けウェブサイトに転載される、という反応自体がもう何かの冗談のようで、まさに飲み会のネタにはさせてもらいました。

amazonのレビュー3件のうち2件は面識がある方、残り1件は『同業者なので、とくに新しい知見はなかったが当たり前のことが丁寧に書いてある良書』とのことでこれはそもそも同業者向けの本じゃないんだからしょうがない、とさせてください。

繰り返しになりますが僕が出した本は同業者向けではなくとくに新しい知見はない(←これは自虐としてはいいのですが、本来は上記レビューの後段部分に注目していただけると担当編集者さまや補助者さまその他出版担当者ご一同さまの心が癒やされたり励みになるのでそうすべきだ、と重々承知しています)、そういうものではあったはずなのです。

で、今回また著書名でネットを探してみたところ

あまりオススメしたくない!

というタイトルがまず飛び込んできました(そう来ますか)

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本文をよく見ればその方は熊本県の、残念ながら鉄道では行けない場所に事務所を開いておられる先生とのこと。お会いしたことはありません。上記の通りタイトルはひねってありますが(著者としては結構焦るんですよねー。一応これでも評判は気にするんで)拝読したところ本書をご推奨いただいています。どうもありがとうございました。

ただちょっと違うな、と思えたのはこうした本が(特に重要な要素として、林業界向けのものならば)司法書士業界の依頼減少にはつながらない…むしろ長期ではその逆を期待していい、ということです。

言ってしまえば『移転する持分の価格40万円登録免許税1000円の相続登記に司法書士報酬4万円払うのはイヤだよねー(←実例)なら自分でやったら?』という本ではありますが、そういう林地では司法書士業界側がなにも施策しなければ現時点で依頼が来ないのは当然です。

つまりこの本があろうがなかろうが依頼は増えも減りもしません。

でも本人申請可能という情報を中山間地域にばらまいてあげれば

小規模山林所有者向けの講演会兼相談会の企画が持ち上がったり(水源地対策ってことで水道代から講師料もらったことがあります)相続登記まで終わった林地を次にどうしよう(贈与で持分をまとめたり遺言で承継をはかったり)、という発想は必ず出てきます。

さらに相続登記を現実的に企図するようになった山林所有者の集団からは一定量、『わかったわかった今回はオレ忙しいからお前やってくれよ/ついでに家と畑も頼むよ』的トリクルダウン効果が発生しうるので(←実例)、別に僕が無私の精神でこの本書いた、というわけでもないのです。

そう、実は僕は誰も反論できないほどの正当性を確保しつつ長期に行う金儲けの計画を隠して…というのはもちろん、冗談です。

登記本人申請の本を出すことが即、司法書士への依頼減少につながる、という発想は自分さえよければいい人たちの集団を前提とすれば当然です。

住宅の相続なり購入なりで一発何万円かの依頼費用が削れりゃあとはどうだっていい、安けりゃいいんだろ安けりゃ、という発想の人を対象にして、一回使えりゃあとはどうだっていい、という情報商材を売ってる事務所の存在を前提とすれば、なるほどそうなります。

いますよ、そういう情報商材売ってる人。軽蔑してますがなぜか表面的な主張は似てしまうんです。

ただ、注力する場所や状況を間違えなければ本人申請・本人訴訟を促進することは、我々の業界に対する社会的評価や制度への関心を高めながら需要の掘り起こしにつながる活動になりうる、と僕は考えています。

よその事務所の売り上げ削らせて自分の情報商材が売れりゃいい、などとは僕は毛頭考えておりません。

ただ、なにぶん誤解を受けやすい要素はあります。こうした活動が無理なく継続されるために重要な要素としては、まず山林所有者向けである本書について、ご同業の先生方による一般市民への推奨方法を間違えないことかもしれません(以下、冗談です)

  • たとえば本書はご自身の事務所の売り上げに危険をもたらすものと認識したうえで事務所内では一種の禁制品として扱い、ほんとうに信頼できる山林所有者・共有者だけにそっと示す、とか。
  • そこまでしなくても、いったん依頼人に背を向けて肩越しに人の悪い笑みを浮かべつつ「ほんとうは、あまりオススメしたくないんですがね」とつぶやいてからこの本の利用を推奨する、とか。

以上はもちろん、もちろん冗談です。言ってみるだけなら楽しいので口にしてみました。

ご同業の方から良書と評価されることは本当にありがたいことだと思っておりますし、林地も小規模山林所有者もいっぱいいる地域でこうした活動が受け入れられる可能性はいっぱいあるのに(そのうちに森林環境譲与税が財源になったりするのに)な、とも思っているのです。


補足です。僕の本は山林所有者の方、そうした方を支援するNPO・森林組合・行政関係の方々には一種の試薬の役割を果たすかもしれません。

僕の著書をお近くの(今後のあれやこれやで協力を依頼することを検討している)司法書士さんに見せて禁制品扱い、そうでなくてもアタマから否定的な反応を示すところはちょっと避けたほうがいいかもしれないね、とか。

これは…冗談ではない気がしています。いろんな意味で読み手を試す本を書いた自覚はあるので。

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