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控訴理由書が出てこない

日曜日は周りの工場もお休み。爽やかな風が吹く、静かな夕方です。

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午後から答弁書を書いて過ごしているのです…が。困ったことになっています。

控訴人がだらしない奴でして、期日まで2週間になっても控訴理由書を出してこないのです。

それ自体は業界内でもよくあることで僕も見たことありますが、今回は敵に職業代理人がついていないのが特殊です。その他の士業が関与している形跡もありません。

下手な奴が作った下手な書面に対して裁判所が形式論理で請求棄却の判決を出し、控訴審でもその下手の相手をすることになったのが僕、ということになっています。

こうした下手な本人訴訟、状況や目標によっては悪くないのです。一般的にはそうした下手が訴訟を起こした場合、たとえば適当に盛り付けた慰謝料額100万円の訴状出すのに必要な実費は印紙代切手代込み1万7千円程度で済みます。

一部の裁判所は下手な人が出す訴状になぜか寛大で、請求額9千万円超えの損害賠償請求訴訟(不法行為による、本気で書けばかなり複雑な案件)が本文数行しかない訴状で受理されちゃった例をみたことがあります。

そうした下手な本人訴訟でも、被告側が弁護士を選任して迎え撃つには最低10万円から、通常は請求額に比例した着手金と請求を排除した金額に比例する成功報酬がかかるわけです。

つまり。凄く不謹慎な言い方をすると民事訴訟(特に、不当性が高いがギリギリで不当訴訟とはならない針小棒大な請求をでっちあげるもの)は『自分が出したお金の十数倍以上のお金を敵に使わせることができるゲーム』という面を持ってしまうことがあります。

だからかもしれません。第一審で弁護士に費用を出しすぎたのか、第二審で本人訴訟に切り替えてくる、という人は当事務所の依頼人にもその敵対当事者にも、時折見かけます。

おそらくはそうした出血増大効果を、第一審の提訴段階では敵も狙ったかもしれないのですが…残念でした。

こっちには司法書士がついてしまったのです。弁護士じゃなくて(苦笑)

この事案でも僕は順当に裁判書類作成=1件数万円の賃労働に徹しておりまして、成功報酬など発生しないのです。

当然ながら実務の趨勢=控訴審は第一回で弁論終結になる、ということを見越しての受託です。もし弁護士の報酬基準で訴訟代理できたら、一ヶ月事務所が回っていくだけの売り上げが立つ事案なのに。

さらに切ないのはこの敵がほんとうに下手な書類を作ってくれることでして、あちらが出してきた書面について重要な箇所ごとに

  1. 書いてあることの意味はよくわからないが
  2. ○○であると解される
  3. というわけで、否認し、争う(笑)

といった主張をこちらで繰り返さなければいけません。敵が勝手に転ぶので助け起こしてから殴り倒す、という動作を繰り返さねばならないのです。

立証責任は先方にあるんだから放っておけば自滅するんじゃないか、と言われるのですがこうでもしないと議論が永久に進まない弊害がありますし、原告席にも被告席にもダメな奴らが座ってるんだ、と裁判官に思われるのはあまり愉快ではありません。それだから本人訴訟はダメなんだよ、などと弁護士に言われるのはさらに嫌です。

それに、万一そうした意味不明理解不能に見える訴状や準備書面を放置しておいて、裁判所のほうではどうにかして主張の内容を把握できてしまった(期日で丁寧に釈明権を行使するなどして)場合、こっちが反論を怠ったことになる=不利になる可能性もあります。これが最悪中の最悪です。

敵側が言うことだからといって、単に意味不明として放置することはあまりよくない、という話をもう一つ。

ある事案で、敵側の主張を一部理解できる、という表現をする書面を作ったところ、文案にお客さまから物言いがつきました。

どうも理解を示すと言うことで不利になることを心配しているようです。そうではなくて「ここでの理解という語は、『英語に翻訳可能な日本語の文章として内容を把握した』という程度の内容しか含みません」と説明して付け加えました。

そうしたことを言い続けると、理解力が低い人と思われてしまう可能性がありますが

と。訴訟および訴訟につながる紛争は最終的に第三者=裁判所が見てるところで争うことになりますので、主張の当否や立証の充実もさることながらその第三者から見て少しでもましな挙動を示せるようにはしておいたほうがいい、と思っているのです。


ちなみに。

当事務所の裁判書類作成業務において、高裁控訴審での逆転勝訴・逆転敗訴判決をそれぞれ一例ずつ実現して(させられて)しまったことがあります。詳細は言えませんが、労働訴訟ではありません。労働訴訟に限っては大丈夫だと思って受託し大丈夫なまま終わった事案ばかりなのでいいのですが、大丈夫じゃないと指摘して受託に至らず、逆転敗訴したと事後報告を受けた事案が数件あり、いまでも時折複雑な気分になります。

簡裁→地裁への控訴で逆転は勝訴が一例ありまして、これは東京簡裁での残業代請求訴訟です。

つまり簡裁では敗訴したわけでして…実は簡裁(特に、大規模庁に提起する労働関係訴訟)のことを僕、あまりよく思っていなかったりします。ごくまれに、理解力に凄く問題がある裁判官&司法委員に当たってしまうから。

週に一回山向こうの街にある地裁支部から地裁の裁判官が転補されてくる、といった田舎の簡裁が好きなのは、傍聴に行けばその道中が楽しいのと(笑)訴訟の品質が安定しているから、なのです。

緊急事態宣言が解除になった県からのご依頼、来月からは増えるといいのですが。

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