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2020年4月

旅に出たつもりになる日の設定につきまして

5月4・5日は一泊二日で旅に出たつもりになる日にします。

あくまでも『つもり』なので社会的非難を受けることはないはずなのです。実施要項は以下の通りです。

  • 上記の日程で旅に出たつもりになりますのでお客さまへの対応はすべてお休みします。
  • 今回はリゾート地で過ごすつもりになりますので、カラーのディスプレイを装備した電子機器はテレビも含めて全部、電源を入れません。
  • 災害用のラジオは白黒のデジタル表示なので利用します。
  • 電話機は固定電話が滞在場所にあるのですが、出ないこととする予定です。ずっとおやすみモードにしておきます。
  • 宿泊施設に滞在するつもりになりますので食事は5月4日昼~翌日昼まで、テイクアウトか外食またはレンジで加熱するだけのものとし、お湯を沸かすことは可とします。
  • 滞在地周辺には人がいなくて自然があるところはありますので(天白川堤防、とか)、そうしたところへの徒歩移動は可、とします。

あとは読書とかぼーっとするとか、できるだけ非生産的に過ごして夜は早く寝るのが目標です。


要するに設定を追い込んだうえでおこなうデジタルデトックスだろ、と言われればそうなんですが(._.)

これはこれで日程の準備(なにしろ連絡が取れないつもりになりますので支障が発生しない日どりや滞在地=名古屋市緑区鳴海町字長田周辺の天気も考慮せねばなりません)いろいろ考えることがありまして。

実はこの一週間ほどこの予定を考えるだけでなにやら楽しく過ごせているのです。惜しむらくは図書館が休みなので滞在地で読む本を借りられないこと。

以上の次第でお客さま方には、5月4・5日は当事務所への連絡はまったく通じないつもりになっていてくださいますようお願いします。5日の夜になったら帰ってきます。くせになってしまうかもしれませんが。

文字通りの『立会』

いまでない時。

ここでない場所。

前回、不動産売買の代金決済に立ち会ったのはいつだっただろう。

そんなことを考えながら、ロビーに出入りする人たちを呆然と眺めておりました。預金払戻請求書や公金納付依頼書が刺さった記載台で、登記原因証明情報と委任状の捺印を最終チェックしながら。


冒頭の書き出しは深沢美潮のライトノベル『フォーチュン・クエスト』シリーズからの引用なんですがこの第一巻は1989年初版なんだとか。あらためてamazonを調べたところ、ずいぶんと息の長いシリーズになってるんですねぇ(ここ27年ほどは読まずにおりました)。

それはさておいて、市外某所で久しぶりの、実に久しぶりの立ち会いをやってきました。

不動産登記がお好きで金融機関や不動産業者に営業活動を欠かさない諸先生方には日常なんですが、僕のところではここ5年に限った場合、抹消移転設定の連件申請より債権仮差押や訴訟費用額確定処分のほうが受託件数が多い、ということになっています。そんな非日常行事=立ち会いがあったのです。

僕の記憶では、前回やった立ち会いはリーマンショックが終わった頃に一回、今回の経済危機でもう一回。

推測するに、次に僕が立ち会いをやるような日が来てしまったらいよいよ日本国債も償還不能、そんなことになるんじゃないかと(ウソですが、当事務所のお客さま方にはもう少し相続と生前贈与のご依頼を増やしていただければ僕が立ち会いをやる日は遠ざかるかと思います)

で、その立ち会い。例によってレッド銀行が僕にブログのネタをくれました。

曰く、場所がない、と(愕然)

で、冒頭の情景。銀行のロビーで立ったまま売り主買い主に申請概要を説明し申請意思を確認し本人確認をおこない資料を写真にとって各種委任状等に署名捺印を次々にもらい印鑑証明書と照合する、そうした一連の活動を30分ほど…立ちっぱなしでやっておりました。銀行のロビーで。

これがホントの立ち会いだよね、と代金振り込み着金待ちの時間にボケてみたところです。今回の当事者の一人はリピーターさんなので、このくらいの冗談なら許されます。

さて、この4月は雇用調整助成金その他労働関係使用者側のご相談をくださった方々のおかげで事務所が潰れないほどの売り上げを確保することができました。

来月もおそらく使用者側なんだろうな、と社労士としては極めて当たり前なはずの非日常に分け入る心の準備をしているところです。

ひょっとしたらこの事務所、日本経済がおかしいときに限って人並みな仕事が回ってくるんじゃ…ないですよね(汗)

 

空からお金が降ってこないかな、と言い続けた代書人の末路(または、零細事務所のMidas Touch)

当事務所では補助者さまが、常識や良識を担っておられます。鉄壁の真っ当さをもってまもなく在職12年。

おかげで僕は執務中、安心しておかしなことをつぶやいていられます。表題の件。

「空からお金が降ってこないかなー」

時折そうつぶやいてみるのです。主として労働訴訟で裁判書類作成に取り組むうちに時間当たりの売り上げが最低賃金を割り込んでみたり、最近ではドナドナの歌に出てくる荷馬車のような同業者さんが子牛のような僕を連れていった現場で新たな依頼人に売り渡されて、いえ凄くやりがいのある案件を引き継いでみたりしたときに、そんなことをつぶやいているところです。

もう十年以上、そんなことを言ってる気がします。当事務所では定番のやりとりの一つです。

補助者さまの反応はそのときにより、実にさまざまです。列挙します。

  • ほかの人のところにも降ってきたら意味がないではないか(経済学的に正しいです)
  • そんなこと言って実際に降ってきたら貰わないはずだ(倫理的に正しいです)
  • では自分で降らせてみたらどうか(暗いと不平を言うよりも自分で明かりをつけましょう、ってどこの新興宗教でしたっけ)

などなど。

※上記のように書きまして、念のため調べたら上述第三項、カトリックの教会が提供するラジオ番組『心のともしび』に出てくるフレーズでした。道理で受験勉強中によく聞いてたはず

本題に戻ります。

僕としてはここ十年以上、ずっと空からお金が降ってこないかなーなどとつぶやきながら執務を続けてきたのです。

リーマンショックが過ぎ、過払いバブルがはじけ、戦後最長の好景気が僕とは関係ないまま終わって、現在に至るまで。

今回もやりがいのある案件をひっさげて現れ、僕をドナドナの歌に出てくる子牛のような気分にさせてくれた同業者さんが帰り道に荷馬車で、いえ白くて大きなセダンで話してくれたことには、不動産売買の登記が多い事務所の状況はよろしくない、取引がパタッと止まったところもあるようだ、とのこと。

どうせ登記なんか年間100件やらない(やれない)当事務所は、そんなこと全然知らずに低位安定の日々を送っていたのです。

空からお金が降ってこないかなー、などとつぶやきながら。

そんな僕より先に、僕より後で創業したお客さま方の会社が次々に左前になってしまった結果。

当事務所はにわかに使用者側社労士になりまして、雇用調整助成金その他補助金受給の可能性を日々精査して過ごすようになりました。

なにかの冗談としか思えない補助金が転がっているのを厚労省のページに見つけたのは、つい先日のことです。

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その補助金は就業規則に、近頃はやりの病気で休暇が取れると記載するだけで助成率4分の3、一企業あたり上限50万円の補助金が下り、合わせてなにがしかの設備購入をするだけで小規模企業の助成率が4分の5になる、というオマケがついています。

企業が施策に投じた費用に助成率を乗じてお金を支給する、という構造自体はよくあるのですが。その費用と要件には厚生労働省名物のバックドアが堂々と開けてあります。

僕がなんだかやればいい、と。

いえ正確には僕=社会保険労務士を企業の外部専門家と定義したうえで、その外部専門家によるコンサルティングに要した費用は助成対象になる取り組みであり助成要件を満たす、というのです。

その社労士が実は先月までほぼ労働者側だったとか、そもそも訴訟が仕事だ、とかそういう実情は一切考慮せず単に社労士であれば専門家とみなす(笑)ということになっています。

こういうのが雇用関係の補助金にはいくつもあります。なんとも素敵なことに司法書士はこうした人事労務コンサルティングに動員できる外部専門家、とはされておりません。

そっちはそっちで法務省から適当に補助金引っ張ってこい、ということかもしれませんが、例の病気で仕事休める、と就業規則に書くのと民事法律扶助で破産同時廃止の申立書類一式作るのと、結果的に士業として国から貰っていいお金がほぼ同じということに衝撃を受けていたりします。

実はカネの配分を巡って法務省は厚労省の足下にも及ばない、という事実を見せつけられた気もしました。

ともあれ、当事務所はこの状況下で僕が触った中小零細企業に数十万円単位のお金を降らせる能力を身につけていた、らしいのです。

しかしこのミダスタッチは、ギリシャ神話の王さまと同じく自分自身を富ませるものではありませんでした。

だったら僕は僕の事務所にどうしたらいいだろう、ということでこうした補助金の支給要領をよく見ますと、決まってこんなことが書いてあります。

自社で可能な取り組みは支給対象としない、と。

つまり、いやしくも外部専門家たる僕は余所の親しい社労士さんを連れてきて当事務所に対するコンサルティングをやってもらって空から降ってくるお金=補助金を貰う資格を満たす、などというふざけた真似はできないのだ、と(がっかり)

冗談はさておいて、当事務所ではひきつづき小規模・零細企業の使用者側への相談支援を一時的に強化しております。

ちょっと就業規則をいじる必要が出た場合には上記のバックドア、いえ補助金を通して僕への依頼費用が75%引、とか何か買いたいものがあったらついでに就業規則いじって全部半額、とかそういった午後8時過ぎのお総菜売り場のような提案が出たりするかもしれません。

ただしたいていの場合、支給までには会社が資金ショートするほどの時間がかかります。即効性がないのはご勘弁ください。

残ったのは大声で言えないしごと(旅もしなけりゃ労働側でもない事務所に少しのあいだなってしまう件)

○お昼前。

6月に講義のご依頼を受けていた某県林業研究所の林業アカデミー担当者さんから連絡がありました。

※ここであっさり延期や中止の通知だったらブログのネタとしてはつまらないですよね

先方のご希望として、『オンラインによる講義ができないか』ですって。

そんなことやったら近鉄特急に乗れないじゃないかどうしてくれるんだ

などとは言いもせず(ええ、言ってません)機材はもう揃ってるから問題はソフトウェアの運用だ、とお返事差し上げたところです。

うう、僕の近鉄特急(泣)

○お昼過ぎ。

愛媛県のお客さまから連絡がありました。以前のご連絡では、その町にはもう鰹が揚がってるとのことでしたが…

こちらも訪問時期をゴールデンウィーク明けにずらそうかね、ということになりつつあります。そのころまでに世の中が一息ついていますように。


そうしたわけで少なくとも今月は、ブログに出張の記事が出ることはありません。

記事にならないどこかで受けた相談としては、鋭意受付中の雇用調整助成金関係のご相談その他労働紛争使用者側・企業経営に関する諸問題の相談があったようななかったような。

案件としては不要でなく不急でない、というより緊急で重要ですので、ご希望が集まればそうした出張はするようなしないような態勢なのですが…できれば避けてほしいと伝えたこの出張が最後に残ったか、と苦笑しているところです。

さて、法務局も法テラスも司法書士会もみんな交代制勤務になってしまったほか、お客さま方の報告によれば青森東京松山の各地裁管内では口頭弁論期日が延期、あるいは次の期日が指定すらされない状態になりました。裁判所の立地にも規模にも関係ないようなので全国こんなかんじなのだと思います。

裁判所の民事紛争解決機能、迅速さはもともと無かったですがこの先は手続きの進行すら期待しちゃダメかもしれません(仮差押の申立てはできるかな、といった程度でしょうかね)

そうしたこともありまして、これは当分使用者側で対応するような仕事にせざるを得ないとも思っています。言ってしまえばまだ潰れてない会社が潰れないようにする仕事、でしょうか。

労働紛争労働側の相談で『裁判所で賃金請求訴訟は起こせますが、口頭弁論期日がもれなく3ヶ月後になりますし延期される可能性が(以下略)』とか言った先から怒られるか呆れられるかしそうですから。

あとはどうでしょう?この時期だから増える(しかも当事務所以外の社会システムが機能していて実行可能な)仕事はなにがあるんでしょうね?法人個人事業の破産、とは考えたくないのですが。

使用者側で過ごす日

思えばリーマンショックの頃、僕のところには派遣切りや雇い止めの相談があまり来なかったのです。

理由は身もふたもないものでして、過酷な境遇の人ほど肝心なときに相談余力すら失うからで…その頃増えたのは、正社員や正社員と同居するパート・アルバイトの不当解雇と賃金減額・不払い事案だったと記憶しています。

で、直近10日間の相談件数(労働関係)が妙なことになっています。使用者・企業側5件、労働者側1件。

逆だろ普段とは、何か悪い物でも食べたのか、と自分でも突っ込んでみたいのですがとにかくそうなっています。

今回の景気後退では、僕の事務所にもこの先『対処能力が残っている中小零細・個人事業主』の相談が増えてくるのかもしれません。

当然ながら普段見ない種類の要検討資料も結構あって、今日ようやく確定申告書を完成させたのですが今月後半もヒマにはならなさそうなのです。

※企業側に蓄積されてる資料は手に入らないと思い込むのは労働紛争労働側での活動に慣れすぎたからかもしれません。就業規則を見たいと言った次の日に全頁が提供されることに、なんだか衝撃を受けています(苦笑)

当然ながら労働者側でのご相談もふつうに受けているわけですが、一月ほどなら使用者側にいさせてもらうのも悪くない気がしています。

確定申告書によれば、当事務所における昨年の売り上げは6月に最大値に達したのです。ということは

  1. 5月末までは入金を繰り上げてもらい
  2. 6月下旬は入金を繰り下げてもらい
  3. 6月中の売り上げが10万円台に達したら

なんだか嬉しいことにならないかな…

そういうことは大きな声で言ってはいけません

補助者さまがお茶の準備をしながら、そうおっしゃるのです。やっぱりそうか(^_^;)

ともあれ、確定申告書の完成でこの冬の仕事が一通り終わりました。なにか新しいことを始めるにはいい時期です。

 

 

執務体制の変更につきまして

しばらくのあいだ、ふだん使っている相談室からLDKに相談場所を変更することにしました。

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対人距離2mを確保するためなんですが…写真に撮ったとたんにどこか可笑しくなってしまうのはきっとこの事務所だからだと思うのです。

こちらの部屋には換気扇と高機能な空気清浄機、プラズマクラスターを放出できるエアコンを装備してあるのでオフィスの片隅に面談スペースがある程度の事務所さんより数段ましなはずですし、もう少し真面目に安心やら安全をアピールすることもできるはずなんですが(苦笑)

もちろん実際の相談時に机上にリボンロッドを置いてあったりはしませんので安心してください。測量用の赤白ポールが置いてあるかもしれません(冗談です)写真奥にある換気扇を動作させて手前側の窓から吸気する関係で僕が風上に立とうとしてるわけですが、そこは机の配置の都合とご理解ください。

このほか、以下の変更をおこないます。

  • 明日以降、毎週日曜日午後から水曜日まで面談による相談・打ち合わせへの対応を停止します。
  • 事務所への来訪者は同時に2名までに限ります。
  • 1日におこなう面談は3件までとし、換気等の時間を設けます。
  • Skypeを用いたビデオ通話を用いることができる場合、本人限定受取郵便を併用して本人確認・依頼意思確認をおこなうものとします。ただし不動産登記の登記義務者および民事法律扶助制度の利用者のみ、引き続き面談を原則とします。
  • 出張相談は原則として上記曜日の対応を停止するほか、ご自宅など最低2mの対人距離を確保できる空間があるところでのみ行います。

面談業務には休止期間を設けることとしました。どの週に会った人たちの影響をどう受けるか把握しやすくするものです。

この相談室にお越しになるお客さまにおかれましては換気扇の動作音とプールのにおい(塩素系漂白剤を使うので)、あとはマスクと防塵性のあるメガネを着用することがあり、若干怪しい印象の担当者が出てきたりしますがそれぞれご容赦ください。

当事務所のお客さまだった方へ(雇用調整助成金の相談・申請支援について)

当事務所はもともと労働者側での労働相談が多いのですが、今週に入ってから3件雇用調整助成金のご相談がありました。過去に登記や訴訟や労働紛争労働側のご依頼があった方々です。

そこで、4月10日からしばらくのあいだ使用者側の相談を以下のようにします。

対象となるのは当事務所創立後、何らかの報酬支払いを伴うご依頼をされた方と、その方から当事務所の紹介をうけた方です。

○雇用調整助成金の支給、その他使用者側相談の報酬

  • 来所の相談について、2時間4400円とします。未使用の収入印紙・郵便切手による料金支払を可とし、券面額で収受します。
  • 別件で同時に無料法律相談(民事法律扶助制度によるもの)を利用する人が訪れた場合、雇用調整助成金関係の相談も無料とします。

※売掛金未払い等の相談が別に必要な個人事業主等を想定します

○雇用調整助成金ほか雇用維持型の助成金の支給申請(対象従業員5名まで)

  • ご自身で申請書類を作成された場合、その添削等を1企業あたり上限2万円でおこないます。
  • 当事務所に依頼される場合、着手時5万円、支給額にかかわらず支給時2万円を報酬の上限とします。

※上記は上限です。個別にこれより低額な提案をしている場合はそれが優先します。

基本的には時間に余裕ができてしまうなかで、できればご自身で申請書類を作ったほうがよいのではないか、と考えています。

それに電話等による指導であれば本人確認を要しないので、福岡/大阪/東京/兵庫/愛媛にいらっしゃる(←概ね出現順)それぞれ有力なお客さまには当事務所をよいようにお使いいただければよいでしょう。こういうご時世ですので、出張を必須としない扱いも個別に工夫します。

以上のことはするのですが、相談担当者たる僕の口調が●●だったり黒い企業を経営している方に厳しいのは全然変わってないはずですので…特に当事務所を善意でだれかに紹介しようとするお客さま方には十分気をつけておいてください(笑)

5月以降も当分のあいだ、この条件での受託を継続します。

事例紹介:少額で利用可能な遺産分割調停について(審判書)

前回記事に続き、中山間地域で売却価格や評価額の高くない土地の相続登記を促進するために遺産分割調停を使った事例の紹介です。この紹介にはお客さまの許可を得ています。

以下、審判書は関係者の氏名等を伏せ字にし、価格などの金額については事案の性質を失わない程度の改変をしています。改変箇所には下線を付しました。


第1 審判書

主文

1 当事者双方は,①被相続人の相続関係が別紙相続人関係図のとおりであること,
②別紙遺産目録記載の財産が被相続人の遺産であることをそれぞれ確認の上,これを次のとおり分割する。

(1)申立人は,別紙遺産目録記載の土地を単独取得する。
(2)相手方らは,いずれも遺産を取得しない。

2 当事者全員は,これまでに負担した別紙遺産目録記載の土地の固定資産税及び同土地上に存在した建物の解体費用について,他の相続人にその負担を求めないこととする。

3 当事者全員は,以上をもって,別紙遺産目録記載の被相続人の遺産に関する紛争を一切解決したものとし,本件に関し,当事者間に何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。

4 手続費用は各自の負担とする。

理由

1 本件申立ての趣旨は,被相続人の遺産の分割を求めるというものである。

2 本件の相続関係は,別紙相続人関係図のとおりである。

3 別紙遺産目録記載の土地(以下「本件土地」という。)が被相続人の遺産であり,その評価としては,固定資産評価額と同額の75万8104円と評価するのを相当と認める。

4 本件土地上には,かつて被相続人所有の建物が存在していたものであるところ,同建物は,老朽化が進んだこともあり,自治体の指導を受け,平成27年12月に取り壊された。その解体工事費用約130万円は,申立人,相手方d,相手方e,相手方f及び相手方gが負担している。また,本件土地の固定資産税については,現在,申立人において納付している。

5 遺産分割の方法について,申立人は,本件土地を単独取得すること,代わりに,本件土地の固定資産税及び本件土地上に存在した建物の解体費用については,他の相続人に分担を求めないことを希望している。他方で,相手方らは,いずれも本件調停期日に出頭しないが,当裁判所に提出された回答書によれば,いずれも遺産の取得を希望せず,自己の相続分は放棄したいと述べている。

6 以上の事情によれば,申立人の希望するとおり,申立人に本件土地を取得させ,相手方らは遺産を取得しないとの内容により,被相続人の遺産を分割し,併せて,本件土地の固定資産税及び本件土地上に存在した建物の解体費用の負担についても,現在の負担者から他の相続人に対して負担を求めないとの形で清算することが相当である。このようにしても,申立人以外に本件土地の取得を希望する者がいないこと,相手方d,相手方e,相手方f及び相手方gにおいては,本件土地の固定資産税に係る分担義務を免れ,相手方h,相手方i及び相手方Yにおいては,これに加えて建物解体費用の分担義務を免れることに照らせば,当事者間の公平を欠くことにはならない。

したがって,家事事件手続法284条1項により,主文記載の内容で調停に代わる審判をすることが相当であると認め,調停委員会を組織する家事調停委員2名の意見を聴いた上,当事者双方のために衡平を考慮し,一切の事情を考慮して,主文のとおり審判する。

日付・裁判所名・裁判官名


第2 所感

…うまく行き過ぎました(笑)

狙って実現した結果ではありますが、家庭裁判所ってところもなかなかいいな、と思わされたところです。

第3 相続登記と費用(審判書による相続登記 合計32120円

③司法書士報酬 税込合計28600円

  1. 評価証明書取得代行 3000円
  2. 所有権移転登記申請書作成 20000円
  3. 登記申請代理 3000円

④実費 合計3520円

  1.  郵送料 520円(依頼人宅への書類返送のため)
  2.  登録免許税 3000円(評価額75万8千円の0.4%の額)

調停申立を経て調停成立あるいは審判確定となった場合の相続登記はずいぶん楽です。

戸籍謄本類は登記申請時には添付不要です。つまり遺産分割調停申し立てで提出したものが返ってこなくても実害はありません。

被相続人の登記上の住所と死亡時の住所は審判書に示されているため被相続人の住民票の除票も不要、当然ながら遺産分割協議書や各相続人の印鑑証明書は一切不要、ということになっています。このため、本事例で審判確定後の相続登記における添付書類は

審判書+確定証明書(登記原因証明情報)、Xの住民票、本件土地の評価証明書、司法書士への委任状

のみとなりました。相続関係図が審判書に綴りこまれているため、相続関係説明図も不要です。祖父A→父B→依頼人Xという順で相続が発生していますが、この審判書を使えば相続登記は1回でできるのは同内容の遺産分割協議が裁判外で成立したときとおなじです。

このため相続登記の費用も安く済みました。

結果、前回記事(遺産分割調停申立書作成・添付書類収集)まで含めた相続登記完了までの実費込み総費用は11万1830円となりました。

内訳は次のとおりです。

司法書士報酬

①遺産分割調停申し立てまで 43200円
③相続登記申請 28600円

実費

②遺産分割調停申し立てまで 36510円
④相続登記申請 3520円

このうち土地価格に比例するのは④(相続登記の登録免許税。本事例では実際とは少し数値を変えており、評価額75万円余という設定で計算するとこうなります)、相手方その他の関係者数により増加するのは②(本事例では相手方7人分の予納郵券・30通の戸籍除籍謄本類を含む添付書類収集費用)です。

ただ、前回記事に出した僕が起案している『申立ての実情』はあれだけで6枚に達したので、次回以降の受託では枚数に応じて司法書士報酬を加算するかもしれません。当事務所報酬額基準でも2ページ分、1万2千円は加算可能だったようです。

僕の場合、やる気スイッチが入ってしまうと書類作成枚数カウントスイッチが切れることがたまにあるのです(苦笑)

第4 注意点と寸評

本事例は『売却価格や評価額が安い』不動産の相続を巡る紛争を『その不動産に関して投入した費用(家屋解体費用)が土地売却で期待できる売却金額を超える』状況下で解決できたものです。

ただ、本事例の考え方は管理に手間を要したり価値の低い山林が遺産分割協議不成立→相続未登記になった状況を解決するのにも有用と考えます。

上記審判書の内容を当ブログのいつもの表現で要約すると

『申立人が自腹切って赤字で終わるんだし、ほかにこの土地が欲しい人もいないみたいだし、だったら申立人がタダで相続しちゃっていいことにするから後はちゃんと売ってしまえよ』

ということになります。常識に合致する妥当な結論というほかありません。

しかし、遺産分割調停申立書を作成・代理する人によっては、土地の相続と土地上にあった建物の解体費用負担はまったく別の話だ、と判断して申立書に盛りこまない、という判断もありえます。

仮にこの土地上にあって解体された建物が、祖父Aではなく父Bが建てたものならこの遺産分割調停申立に経緯を取り込んでC側に費用負担を押しつけることはまずムリです。

今回の申立では『もともと祖父が住んだ建物なんだから祖父の遺産だ・それを町から指摘されてやむを得ず解体した以上、遺産に関して発生した費用なのだから祖父のすべての相続人が負担すべきだ(が、父以降の世代がこの家に住むことができた利益に関してはまぁ黙っておくことにしよう)』という内容だったから上記の結論になったと考えねばなりません。

※ただ、相手方に僕みたいな人がついて上記の観点で反撃されたとしても『父以降の世代が居住開始した時点で建物は十分古かったわけだから、居住によって得られる利益も少ないし、そもそもこの建物が空いたからC側が住む、という可能性もなかった』とか再反論を企てるとは思います。

いずれにせよ、僕が絶対の自信があって遺産分割調停申立書を完成させたわけではありません。

相談から申立までに内心ではあれこれ考えたが使わずに済んだ反論や論理構成は、いくつもあったのです。このことは、適当な検索エンジンからやってきてこのブログにたどり着き、同様類似の事案が見つかったと嬉しくなってしまった軽はずみな方には気をつけてほしいと思います。

司法書士の職能上の限界として僕の判断は自由に外に出せない=家裁の調停申立事案で自由に法的判断を示したり方針を推奨する法律相談ができない関係上、いろいろ考えはしていますが当事務所への依頼により適切な選択肢にすぐに楽に導く、ということもできません。

お客さまにはゆっくりお話いただいて、いまどうなっていて今後どうなったらいいか…を十分よくお話しいただく必要があり、まぁそれに何時間かはかかります。

その結果この人じゃ本人訴訟はムリ、と僕が判断すれば採算割れが明白なのに弁護士の利用を推奨することもあるかもしれません。

ただ、誰が本人訴訟に向かないか、について老若男女職歴学歴は関係ないようです。東京六大学クラスの学歴持った男女が時折ポロッと脱落していくのを見ることがあります。

そうした代書人の事務所ではありますが、今後もこうした中山間地域で価値が高くない不動産の遺産分割未了・相続未登記案件でなにかできるかもしれない(そして、それはお客さま次第だ)というお話しでした。

事例紹介:少額で利用可能な遺産分割調停について(申立書類作成)

 お客さまの許可を得て、遺産分割調停の申し立て事例を紹介します。

特徴は、課税価格が高くない(本事例では評価額100万円未満)不動産について、本人申立てにより比較的安価に所期の成果を達成したことにあります。本事例では相続人の一人と合意に至らずに遺産分割協議が頓挫していましたが、当事務所で受託後は任意での交渉から調停手続きの利用に方針変更しました。

結果、申立人が調停の期日に(家庭裁判所に)出頭したのは一回で済み、申立人が無償で目的不動産を取得する審判を得ることができました。

遺産分割調停の申し立て対象としたのは宅地ですが、評価額の高くない林地やその共有持分の相続未登記問題解消についても応用可能な事例だと考えます。

以下、説明には事実から若干の改変を加えました。改変箇所には下線を付しています。


第1 相談概要(受託1ヶ月目)

初回の相談で、概ね以下の説明がありました。

○親族関係

  1. 依頼人Xは甲県の某町に実家があったが、現在は別の乙県に居住している
  2. 甲県某町所在の本件土地は、依頼人の祖父Aが登記上の所有者である
  3. 祖父Aは50年以上前に死亡。依頼人の父Bもその後死亡した。
  4. 祖父Aの子はBのほかにCがいたが、死亡。BCともに子がいるため数次相続が発生。
  5. Bの子は依頼人Xのほか、d・e・f・gの計5名。Cの子はi・h・Yの3名。合わせて8名が祖父Aの法定相続人である。
  6. 本件ではC側の家族に交渉を阻害する者Y'(法定相続人Yの関係者)がおり、相続登記に必要な遺産分割協議が成立しない。ここ数年はYと意思疎通すらできていない。
  7. 依頼人は最初に依頼した地元司法書士と複数回現地に行って打ち合わせなどしたが、手続きは進行せずここ数年はその司法書士から連絡もない

※ここだけいつもの表現を用います。本件は裁判書類を作らないヘタレが放り出した事案だ、という点に僕のやる気の割増要素がありました

○不動産の状況

  1. 本件土地の固定資産税の納税は、A死亡後はB、その死亡後はXがしている。
  2. 数年前までは本件土地上に建物があったが、父B死亡後は空き家になった。
  3. その後、老朽化のため建物の解体または修理の要請(強制力なし)が某町役場からあった。
  4. このためBの子たち(Xの兄弟)5名が費用を出し合って建物のみ解体。解体費用130万円
  5. 建物もAの所有だったが解体に際してC側相続人からの同意はとっていない。遺産分割協議に際して、この経緯は問題にはなっていなかった。
  6. Aには本件土地のほかに、遺産はない模様。
  7. 本件土地には買受け希望者がいる。希望価格70万円で、固定資産税の評価額とほぼ同じ。

○依頼人の意向

  1. 祖父Aの全法定相続人の客観的状況として、この土地を相続したい者はいない。
  2. このため、いったん自分(依頼人X)を所有者とする相続登記を実現してから、買い受け希望者がいるうちに売却したい。
  3. この土地が売却できればC側親族に建物解体の費用負担を求めるつもりはない。

●僕の判断(内心)

Y夫妻をどうにかしてしまえばよい。したがって家事調停の一択。

  1. 言動から察するに、YとY’は調停手続を利用して隔離すれば無力化できる。また、単純な相続分と不動産の市場価値からすれば相続人一人あたりの価格は10万円台にとどまる。
  2. ゆえに敵側での弁護士代理人の選任は当然ありえない。司法書士への依頼も厳しい。少なくともコストパフォーマンスでみる限り、士業による反撃の可能性は無視してよい。
  3. 依頼人の説明は調停申立書に記載すべき事項を十分網羅しており、僕は単に書類を整序すればよい、ということにできる。
  4. 遺産分割調停の結果得られる最悪の結論は、家屋解体費用を無視して土地売却後の売却金分配または代償金支払いを命じる審判である。
  5. しかし、もしYが本気でこれら金員の支払いを求めてくるようなら、支払督促かなにかで家屋解体費用を請求してしまえばよい。
  6. この請求は手持ちの簡裁代理権で対応可能。Yへの対応にはなんの問題もない。

まぁ、C側があまりゴネるならB側陣営が全員結託してC側に不動産と納税義務をまるごと押しつけて逃げる、という戦術も一応ある(僕の内心です。説明はしていません)

○僕の相談(外見)

  • 任意での交渉を経て遺産分割協議を成立させるのは一般的なことであり、従前依頼していた司法書士さんもそれを試みられたようですが、お話を聞く限り今後も交渉成立の可能性は薄いようです。
  • このように遺産分割調停がちょっとした理由で成立しない場合にも家庭裁判所での遺産分割調停が利用でき、当事務所でも代理はできませんが申立書類を作成することはできます。
  • 実費と申立費用は皆さまがお考えほど高くはありません。
  • また、お客さまが私にお話いただいている発言内容からして、代理人なしで調停を申し立てても調停委員との会話に困ることもないかと思います…
  • ですので気が向いたら、そうした書類作成のご依頼をご検討ください。

等の助言をおこなった。

その後、家庭裁判所に提出する遺産分割調停申立書作成および添付書類収集を受託した。

第2 申立書の作成(受託2ヶ月目)

土地が売れれば家屋解体費用は相手に請求しなくてよい、という依頼人の説明を整序することを基本方針とした。

このため、(少々強引かもしれないが)家屋解体の経緯と費用に関する説明を追加し、さらに依頼人から聞いた意向を申立人が希望する調停条項として整序したところ、後記の申立書文案が依頼人に採用された。

本申立書による遺産分割調停申立で実現可能な最良の結論は、申立人が代償金の支払いを要することなく=無償で本件土地を取得してしまうことにある。

ただ、土地上の家屋の解体は一部の法定相続人の承諾なくおこなった相続財産の処分という面を持つ。このため申立書案では『町から行政指導を受けたので』建物を解体した、という説明をした。

注:この部分は、単に建物が老朽化しただけだったり建物の名目上の価値が大きい場合に難しい問題になります。相続人の一部の同意があるから勝手に家を壊していい、とは考えません。

以下、関係者の氏名や遺産目録など定型的な部分は省略して『申立ての実情』のみ掲載します。■はチェックした欄、□はチェックしなかった欄を示します。『その他』という項目はないのですが、追加するのは申立人の自由、ということになっていると考えてください。


遺産分割調停申立書文案(申立ての実情)

1 遺産の範囲
□申立人主張の遺産の範囲は遺産目録記載のとおり
■その他 (遺産目録土地上に家屋があったが、解体した。詳細は後記の通り)

2 遺言書の有無
■ない

3 遺産の使用・管理状況
■ 不動産
  現在は誰も使用しておらず、更地である。

4 当事者間における分割協議の有無
  協議をした(3~4回)
  協議がまとまらなかった経過は次のとおり
 相手方Y以外の各相続人とは、申立人が本件土地を相続する旨の調整ができた。Yにも同様の申し入れを電話・手紙で試みたが、Yの孫であるY’が介入するため本人と直接交渉ができない。

5 遺産分割方法について

■ 自分の希望は次のとおり
   遺産目録番号(1の土地 )を取得したい。
   詳細は後記の通り
■ 相手方の希望は次のとおり
  相手方Yの希望は不明であるが、遺産目録記載の土地を取得したいという意向は示されていない。

6 特別受益・寄与分の主張について
(1) 特別受益の主張をする考えが
   ない
(2) 寄与分の主張 をする考えが
   ない

7 相手方について
 (1) 相手方は本件申立てがなされることを
   知らない
 (2) 相手方が代理人に弁護士を選任しているか,またはその見込み
   不明

8 その他
(1) 申立人と被相続人の関係
 被相続人Aは、申立人の祖父である。
 被相続人の子3人は全員、すでに死亡した。
 長男○○には子がない。
 長女Cには人の子がいる。長女がY、長男である亡●●の代襲相続人がh、次男がiである。
 二男Bには人の子がおり、いずれも生存している。

 被相続人は亡Bの長男である。B夫妻が本件土地上の家屋に住んでいたこともあり、現在は本件土地の固定資産税の納税義務者の地位にある。本申立ての遺産分割に際して、亡Cの相続人である相手方Yとの協議が成立せず、本申立てに至った。

(2)主たる相手方について
 相手方Yは、被相続人の長女(亡C)の長女である。
申立人は本件遺産分割について、亡Bの相続人名の意向をとりまとめたうえで平成27年から28年にかけて、相手方Yに遺産分割に関する協議を申し入れた。
しかし、その都度Yの孫であるY’が介入し、被相続人には他に遺産があるはずだとか、Yが精神的に疲弊しており交渉ができないなどと回答し、Yに対する直接の連絡を妨げている。

 このため申立人は遅くとも平成28年以降現在まで、Yと手紙・電話・面談等による交渉ができていない。

(3)被相続人の遺産について
 本申立書に記載した土地以外に、被相続人の遺産は存在しない。
 少なくとも、申立人は把握していない。調査の経緯は以下のとおりである。

 申立人には某町役場から毎年、本件土地の固定資産税の課税明細書が送付される。課税明細書には本件土地以外に不動産の記載はない。
 被相続人について、ほかの市区町村役場から固定資産税の納付を求められたことは全くなく、ほかの相手方からもそうした話は聞いていない。

 相手方Yの孫Y’は本件遺産分割の交渉の過程で、被相続人にはほかに遺産を有するはずだと述べたことがあった。しかし、特に財産の所在や根拠を示したわけではない。
 このほか被相続人の財産あるいは負債について申立人や相手方に、第三者から連絡がなされたことはない。ただし、後記の建物解体に関する連絡のみ存在した。

(4)被相続人が所有する建物の解体について
 被相続人は本件土地上に建物を所有し、昭和35年の死亡まで居住していた。その後、被相続人の妻および二男らがこの建物に居住した。
 被相続人の二男Bの妻である△△が平成年に死亡して以降この建物に居住する者はなくなり、申立人をはじめとする亡Bの子(被相続人の孫)が時折訪れる程度に使用していた。

 平成27年3月、某町建設課から申立人に対して、本件土地上の建物を修繕するか解体する等適切に管理するよう求める行政指導があった。そこで申立人をはじめとする亡B相続人5名は費用を負担し、平成27年12月にこの建物を解体した。要した費用は総額130万円である。相手方Yら亡Cの相続人3名は、この費用を負担していない。

 解体前の建物の状況は、某町からの文書では『屋根上の石やトタンの飛散により被害を及ぼす可能性が』あるとされており、文書に添付の写真でも道路に面した屋根が大きく剥がれている等、居住に適さない状況であった。

(5)本件土地の現況と買い取りの希望について
 もともと本件土地上の建物は隣地にある建物(現在の居住者 甲)とつながっていたものである。
 このこともあり、解体工事後は甲氏から申立人に対し、本件土地を70万円で買い取りたい旨の希望が示された。
 被相続人Aの各相続人のうち某町に在住するのは亡Cの子iのみである。この者も含め、相続人にはこの土地を取得したい者がいない。

 本件土地の今年の固定資産税課税上の評価額は75万円であり、隣人への土地売却で確定測量も要しない(土地売却にかかる費用として測量作業に20~40万円を要することは公知の事実と考える)ことも併せて考えれば、本件土地を70万円で売却することは概ね妥当というほかない。
 このため、申立人としては、本件土地をいったん申立人が相続し、すみやかに甲氏に売却し、売却金は建物の解体費用の一部に充当して、C側の相続人である相手方Yおよびh、iに負担を求めることなく遺産を処分するのが妥当と考えている。
 この案は相手方Y以外の全相続人の内諾を得ているところであるが、Yの孫であるY’が妨害するため手続きがまったく進んでいない。

(6)結語
 本件は価値のある遺産を取り合う争いではなく、申立人が費用を負担して祖父の家の後始末をする性質の申し立てである。望ましい条件で土地が売却できても、申立人ら兄弟にはまだ家屋解体費用の負担が残る。

 申立人としては建物の解体費用および申立人が負担した固定資産税についてYに対し、法定相続分相当額を請求することもできると考えているが、本申立てにより調停が成立するのであれば、Yに対して特段の費用負担を求めないこととしたい。
 ただし、これまで述べたとおり建物解体費用まで含めれば被相続人の財産は存在しないどころか申立人をはじめとする相続人に金銭的負担を残す事案であることから、可能性として代償分割を命じられるとしてもYに代償金を支払うことは妥当とはいえない。

以上のことから申立人としては、以下の調停条項を提案したい。
1.申立人は無償で本件土地を取得すること
2.申立人は本件土地を売却し、本件土地および建物の保有および解体に要した費用は、Yおよびh、iに負担を求めないこと

以上

 


第3 費用 総計79710円(調停申立書提出まで)

①司法書士報酬 税込合計43200円

  1. 家事調停申立書作成 30000円
  2. 添付書類収集代行 10000円

②実費 合計36510円

  1. 評価証明書(1通)・登記事項証明書(1通)戸籍謄本類(30通)発行手数料、郵送料、定額小為替(31枚)発行手数料 計22470円
  2. 申立書に貼付する収入印紙代 1200円
  3. 申立書に添付する予納郵券(切手代) 12840円(相手方7名分)

第4 調停終了(受託5ヶ月目)

申立書提出の約2ヶ月後、第一回期日が指定された。

期日には申立人を除き、全員欠席。家裁が各相手方に意向を尋ねる文書には、期日前に全員が回答した。

裁判所は第一回期日で調停終了、審判を出す旨を申立人に伝えた。期日の約1ヶ月後に審判が出され、相手方が異議申立をしなかったため確定した。

4月5~8日、電話受付をお休みします

今日から郵便が来ないのです。

別に破産手続開始決定をもらったわけではありません(し、僕はさしたる財産を持ってないので破産するとしても破産管財人が選任されたりその人に郵便が転送されたりすることはないと思うのです)。

ご同業の方にしかわからないような冗談はさておいて、今日から予定していた出張のために郵便局へ不在届を出してあるのです。4月3日から8日まで。

で、青森地裁管内の某裁判所が証拠調べの期日を2ヶ月先にすると決めたため(エイプリルフールに合わせなくてもいいからもっと早く言ってほしかった)、僕の出張も釣られて2ヶ月先に吹っ飛んだ結果、上記の不在届と4月4日朝に京浜東北線南浦和で予定していた別件の出張相談が残ったのです。

このうち不在届はそのままおいておこう、と決めました。併せて4月5日から8日まで、来所の相談・電話の受付とブログの更新も休止します。主に執筆をして過ごすと決めました。

お察しのいいお客さま方には個別にお問い合わせをどうぞ

別の話題です。久しぶりに、ほんとうに数年ぶりにお客さまから許可をいただいて、受託事例の紹介ができることになりました。この冬に家裁が出した審判書の内容を公開したいと思いまして、ご依頼が全部終わったところで掲載許可のお願いを出していたのです。僕が作った申立書の主要部分も公開できることになっており、中山間地域にあるような価格の低い不動産の相続でお困りの方に少しは役立つ情報になろうかと考えています。

この記事を来週末までに公開するつもりです。

それまで何日か、挙動がわかりにくくなりますが…しばらくお待ちください。破産の準備なんかしていたりはしませんから(^_^;)

【準備中】裁判書類作成受託時の本人確認・意思確認を面談不要とする扱いについて

来月までに、一部の裁判書類作成業務で受託時に直接の面談を不要とする扱いを始めようと思います。

本人確認書類と本人との対照をテレビ電話で行う作業行程をどこかに入れるのと、本人限定受取郵便による業務委託契約書送付を併用するつもりなのですが、世の大部分の人が使えるテレビ電話なんてあるのかね…と思っていたら。

よりによってと言いますか、仕事でも私用でもできるだけ関わらずに暮らしたいと思っていたLINEがそうした機能を標準装備しています。

しかしながら、これを使おうとすると当事務所のLINE公式アカウントのほうが対応していません。アプリとしてのLINEは商用利用不可、ですのでこれを利用することは規約上できない、ということになっており、やっぱりここでもLINEは邪魔だ、ということで検討終了しました。

あとは…こちらも嫌なんですがFacebookページ(っていうんですね。Facebookの商用利用可能なサービス)を導入してメッセンジャーの機能を使い、Skypeと併用するようにしておけば少しはよさそうです。

対応可能な業務は地裁家裁の通常訴訟は不可としておいて(これを本人訴訟でやり抜ける人材かどうかを見抜くのは結構難しく、受託へのハードルを下げたくないのです)、シンプルな労働審判手続までは可、少額な給料未払いは歓迎、とするつもりです。

こういうご時世だから始めるサービスではあるのですが、労働紛争を裁判手続きに乗せたいとき、近隣にいい事務所が見つからない、という問題は新型コロナウイルス問題が収束しても当然残るはずです。請求額が小さい案件を中心に受託余地を残して、細く長く使えるように育てたいと思っています。

あまり対応可能範囲を増やして自分が出張できる可能性を減らしたくない、という葛藤もあったりするのですが(^^;)

4月1日、だから?

今年は世界最強の冗談が日本政府によって放たれるとは思いもしませんでした。

僕は今月中に再利用可能なマスクを2枚保有できるんですね(呆然)

それには及びませんが、本日午後あったこと。

○金はない。受け取る気もない(虚勢)…が。

不肖の弟子がいます。先月はちょっとした宿題を手伝いました。案件は、ある契約書の検討。

作業終了後に聞いてきたのです、これは士業に頼むといくらかかるのか、と。作業時間からして、弁護士であれば20~40万、司法書士ならそこから若干低く、僕なら15万円程度とするであろう、とは言いました。

で、今日。

その作業に弟子がいくばくかの金を払いたい、と言い出しました。

何を申すか(上から)

とはまだ言ってないのですが謝絶決定です。もともと金払えとは言ってない状態で関与したものですし、仕事としてちゃんとやりきったわけでもないし、僕としては弟子から三番町で一杯たかれればそれでいいと宣言した事案だし(愛媛ではまだ夜間の飲食店利用自粛の要請が出てないらしいのです)

※まぁあとは、直接こっちに物を頼んだわけでもない山旦那から金が出てくる、ってのが礼儀の問題として思いっきり気に入らなかったんで…ええ山林関係の契約書ですが何か(棒読み)

とか言ってるところに。

補助者さまがフラットベッドスキャナの異常を訴えてきました。見ればネットワークの接続に支障があるらしく、A3判の売買契約書を1枚スキャンするのに残り時間5分と言って動きません(汗)

当事務所にあるES-7000Hは10年ほど前にヤフオクで買った中古なのです。そろそろ神に召されても不思議ではない年頃ではあります。

これ壊れてたら弟子から10万もらって買い換えていいかなぁ、などと言いつつ別のPCからネットワークスキャンを試したところ、今度は20秒弱で動作を終えました。

ハハハそんな金受け取れるかよ、とたちまち虚勢を取り戻したところであります。ともあれ、よかったよかった(^_^;)

○裁判所も負けてない。当事者に決定権はない…が。

4月6日、青森県内の裁判所で久しぶりに証拠調べが予定されていたのです。これの傍聴と、直前に行う尋問対策演習のために4月3日から出張を予定しておりました。

今日午後になってお客さまから緊急連絡が入りました。

裁判所が期日の延期を言ってきた、新期日は6月1日だ、と。

ウ 

  そ?

落ち着いて聞けば当初想定していた、被告が不正な手段で延期を図ったというものではなく、裁判所が昨今の新型コロナウイルス問題を考慮して=気を利かせて、期日を変更してくださったんだとか(愕然)

実はこの訴訟、裁判所は青森県内ですが被告とその代理人は関東から出頭してきます。来て欲しくない、と思われたわけではない…はずです。

なんであれ裁判所が延期と言ったら延期なわけで、別に一件入っていた浦和での出張相談も実施日は再調整となりました。

とはいえ延期そのものは想定しており、往路は青春18きっぷ、宿泊先はウェブサイトをチェックしながらぎりぎりまで予約しない、という方針だったのでキャンセルに伴う実害は発生しておりません。まぁ次の出張では交通費は増えるのですが。

意外なオマケがありました。

  • 答弁書作成依頼を受けた別件で見に行くことを決めていた第一回口頭弁論期日が東京都内で6月2日、ただし午前中です。
  • ちなみに青森県内での予定は6月1日、夕方終わるはずです。

なーんだ夜行バスを使えば余裕で東京に着けるではないか、とたちまち虚勢を取り戻したところであります。ともあれ、よかったよかった(^_^;)

いっそ急行八甲田号の復活を望みたい、と言ってわかってくださるのはそれなりのオールドファンでしょうね。

とはいえ、これで東京高裁のほうの傍聴を希望されるお客さまには、ご負担のないように便宜供与を図れることをうれしく思いますー(棒読み)


ちなみに補助者さまには今日、出勤直後に聞いてみたのです。

「今日はエイプリルフールだから優しくしてくれる、とかそういう冗談はないですか」と。

『(コーヒーを入れるお湯を)グラグラ沸かします』

とのことでした。彼女のコーヒーは、苦いのです。

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