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やりがいとしての整序(または、裁判書類の『編集』)

昨晩気づいたのです。研修単位を8.5単位しか取ってないことに。

ご同業の方ではない読者さんに説明しますと、この業界では毎年度最低12単位の研修受講義務が定められています。1単位の取得に約1時間を要します。

で、単位が取れなかった旨は業界団体が出す名簿で開示され、さらに素晴らしいことにはそれ(←単位取得状況!)を見てから当事務所への依頼を決意した、というお客さまがすでに存在している、ということです。

そんなわけで、3月31日の朝。

まず作成中の裁判書類について、1部32枚全2部のジョブを10年もののカラーレーザープリンタに発行しました。

このプリンタはもう半年前から普通紙設定での印刷ができず(世の多くの人なら故障というでしょう)、印刷する媒体を必ず光沢紙に設定して定着器の温度を上げ印刷速度を落とせば普通紙にも、なんの問題も無く印刷できるのです(当事務所ではここに注目しています)。

カラー印刷の速度、だいたい2枚弱/分(わらうところ)

やがてワケありの鶴が機(はた)を織るような音が隣の部屋から聞こえだし、僕は安心しつつ業界団体連合会のウェブサイトを開きます。

ずいぶん便利な世の中になりまして、単位取得義務はあるのですが研修は全部、e-ラーニングで取得できるのです。

プリンタが出力を終えるのに、たぶん1時間かかるはず。速度は遅いが重走や紙詰まりは滅多に発生しない、そんなCanonのLBP5050は名機なのです(苦笑)

で、これは会場で受ける研修でもよくあることですがレジュメを勝手に読み進めます。

同業者さんなら誰でも知ってる松山地裁西条支部の判決とその控訴審判決、不利なほうに傾いた高松高裁の判決をもう一度読んでみますと

『嘱託人の嘱託の趣旨内容を正確に法律的に表現し司法 (訴訟) の運営に支障を来たさないという限度で、 換言すれば法律常識的な知識に基く整序的な事項に限って行われるべきもの』

裁判書類の作成に際して発揮が許容される僕の判断作用はこうしたものに限られる、ということになっている、いわば僕が独自の法的判断を及ぼしてよいものではない、のですが

ここ数年、この立場が大変居心地がいいのです。

嘱託人側の法律常識ってやつがインターネットのおかげで顕著に向上した結果、昭和時代は非現実的だった控訴審判決の発想が現実的になっちゃった(苦笑)のが最大の理由ですが…そんな世の中であってなお知識が十分でない方については依頼を拒否する正当事由になるから、という後ろ暗い面もあります。

この部分、上位互換の職能との対比で代理権やら法律的な判断可能な範囲の拡大だのなんだの、という議論だけが盛んなのですが実はそんなのあまり関係ない、と僕には思えてならないのです。

上記の制限を無視しろ、というわけではありません。当事務所ではかなり厳密に(ときには依頼人に、他事務所への相談の手間を強いて)守ってると思います。

その上で、読み物としての裁判書類を読みやすく読み手が納得しやすく作る、という作業にやりがいを感じてしまうのです。

裁判書類でなければ整序というより『編集』というでしょうか。

たぶんですが、2年前に僕自身が初めての著書を出す過程で編集者さんとの共同作業を経験したことに触発されていると思います。法的判断(が、できる範囲の拡大)を前面に出さなくても文章表現や構成を工夫することで読み手の心がなにか動く、その結果として依頼人に有利な変化か敵側に不利な変化が生ずる、という余地は裁判書類にもあるのではないか、と。

その一番後ろ暗い楽しみはふだんの言動に問題のある敵を向こうに回した案件で、『あいつは●●だ』というような直接的な表現を使わずにそれを伝えることであったりするのですが(苦笑)

言い換えると、訴状提出後にそれを読んだ敵側の士業が、『こいつ(被告)から依頼受けると絶対面倒だよな/余所へ回すか着手金上げてやろう』などと思わせる方向で心を動かしてやれないか…そうしたことをときどき考えたりします。

もう少し綺麗な活動ももちろんします。他の方が作った裁判書類で記憶に残っているのは、動産売買の先取特権に基づく債権差押命令申立書の申し立て書類に図を入れて事実関係を説明してあった東京の大法律事務所です。

やっぱり雑誌のランキングに載るようなローファームが一流企業の依頼を受けて動くと申立書も洗練されたものが出てくるよなぁ、とそのとき思わされました。

※そのとき僕は、彼らが差し押さえる債権に残りがあるのを見切れたので一般先取特権での債権差押命令申立書を作り、競合になった債権者に随行してその大事務所が作った申立書類一式を謄写することができたわけですが…おかげで滅多に手に入らない資料をゲットできました。

そうした経緯ももともとありまして、図を入れるとか説明文の構成や表現を工夫する、といった法律的判断そのものは不要な=依頼人が示した事実を読みやすく整序することにいろいろな楽しみを見いだしているところです。

いま印刷している書証にはそんな要素はありません。

という表現に『本文では派手にやってるんだけど』という表現を付け加えるかどうか、そうした工夫をする余地が、陳述書や準備書面にも多大にあるような気がしているのです。提出先が裁判所なんで法律上の規制がかかっているから普通のライターさんや編集プロダクションでは仕事できない、市場として開かれていない、というだけで。

そのような…代書人としてあまり法律判断はしたがらない(もちろん口に出さないだけで、思考停止してるわけじゃありません)裁判書類作成の相談・書類添削および作成も当事務所ではお受けしております。ご興味がありましたらお問い合わせください。

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