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訴訟費用額確定処分申立:当事者複数、事件が併合された場合の計算書

職業代理人が(時には、クライアントの金を派手に使って)勝利を謳歌して去ったあとの…いわば宴の、後始末。

そんな訴訟費用額確定処分申立書作成に関する、前回の記事の続きです。

今日の例は昨日の事案と同じですが仮名を付します。

僕のお客さまは2名。甲野太郎と乙山次郎さんです。

当初、甲野太郎さんがA山花子を被告として起こした訴訟(第一事件)は甲野太郎全面勝訴、訴訟費用は全額A川花子負担、提訴されて逆ギレしたA川花子は甲野太郎さんに加えて関係者の乙山次郎さんを被告として提訴(第二事件)しましたがA川花子完全敗訴、ただしこちらの訴訟費用は、訴訟費用を4分し甲野太郎がその1を、その余をA川花子負担とする判決が出ています。第二事件提訴後、裁判所はただちに二つの事件について弁論を併合、そのまま判決を出しました。

ちなみに。第二事件の訴訟費用負担の書きぶりが上記の通り(乙山次郎さんに関する記載なし)だったことから、初動で問い合わせをうけた裁判所書記官は乙山次郎さんに

「判決になにも書いてないのだから、(乙山次郎はA川花子に対して)訴訟費用も請求できないはずだ」

と言ったとか。

今にして思えば、この発言があったこともお客さまが遠路はるばる僕を呼ぼうと決心するきっかけになったはずです(笑)

当然ながら乙山次郎さんも無事に訴訟費用の全額を回収できておりまして、話は甲野太郎さんの訴訟費用額確定処分申立書に添付する計算書の記載に戻ります。

計算書は以下のようになっています。


計算書1

第2事件被告乙山次郎および被告甲野太郎ならびに第1事件原告甲野太郎に共通する訴訟費用のうち、第1事件原告甲野太郎分

第1事件の訴訟費用 合計19万5223円
(内訳)
1 書類の作成及び提出費用     500円
  (被告乙山及び被告甲野(第2事件)並びに原告甲野(第1事件)に共通する訴訟費用のうち、原告甲野分)
2 第1回口頭弁論期日呼出状および訴状副本送達費用    1082円
3 第2回口頭弁論期日呼出状送達費用     536円
  (1072円の2分の1の金額)
4 原告本人の出頭日当    19750円
  (第1~6回口頭弁論、第1~4回弁論準備各期日10回合計39500円の2分の1の金額)
5 原告本人の出頭旅費  154605円
  (住所地簡易裁判所から出頭地簡易裁判所まで直線距離633km、300km×50円+333km×40円=28320円、第3~6回口頭弁論28320円×4回=113280円、第1~2回口頭弁論、第1回~4回弁論準備期日 旅費195930円(実費)、合計309210円の2分の1の金額)
6 原告本人の宿泊料                  18750円
  (第1・2・4・5回口頭弁論、第1回弁論準備期日 5泊合計37500円の2分の1の金額)
  (第1事件の訴訟費用合計) 195223円


計算書2

第2事件被告乙山次郎および被告甲野太郎ならびに第1事件原告甲野太郎に共通する訴訟費用のうち、第2事件被告甲野太郎分

第2事件の訴訟費用 合計14万5605円
(内訳)
1 書類の作成及び提出費用     500円
  (被告乙山及び被告甲野(第2事件)並びに原告甲野(第1事件)に共通する訴訟費用のうち、被告甲野分)
2 第2回口頭弁論期日呼出状送達費用     536円
(1072円の2分の1の金額)
3 被告本人の出頭日当    19750円
(第1~6回口頭弁論、第1~4回弁論準備各期日10回合計39500円の2分の1の金額)
4 被告本人の出頭旅費  154605円
(住所地簡易裁判所から出頭地簡易裁判所まで直線距離633km、300km×50円+333km×40円=28320円、第3~6回口頭弁論期日 28320円×4回=113280円、第1~2回口頭弁論、第1回~4回弁論準備期日 旅費195930円(実費)、合計309210円の2分の1の金額)
5 被告本人の宿泊料                  18750円
(第1・2・4・5回口頭弁論、第1回弁論準備期日 5泊合計37500円の2分の1の金額)
(以上の小計)     194141円
(第2事件の訴訟費用 上記の4分の3の金額)  145605円
6 訴訟費用額確定処分正本送達費用        1072円
 以上の合計     146677円


計算書1+計算書2=341900円


水平線のところで改ページしてあると考えてください。

また、実際に発布された訴訟費用額確定処分に添付の計算書は(通常はこちらの作った計算書がそのまま採用されるのですが)表形式になっていました。

…書記官も大層苦労されたのだろうな、と思っています。そういえば申し立て中に担当書記官が退職しておられますが(汗)これは定年退職だと聞いています。

赤い字のところは、発付された訴訟費用額確定処分に書かれていた表現です。実際は黒い文字です。

ここは申し立ての段階で補正指示が出た箇所ではないのですが、僕が当初作った計算書では違う書き方をしていました。処分が出た以上、そちらに合わせたほうがよいだろうと考えて赤字部分のように記載されることをお勧めします。

計算書作成の考え方として、併合されたり反訴されたため複数の事件番号を持つ事件の判決を経て申し立てる訴訟費用額確定処分申立書では、一人の当事者について、事件ごとに分けて計算書を作ることになります。

※計算書は分けて作るのは当然ですが、複数の当事者について一つの申立書にまとめて申し立てができるような気がします。依頼人に実益がないので、僕のところでは当分の間、やらないようにはしますが。

次に、書類作成・提出費用が典型的ですが各事件で共通する費用(本件では、第一事件の原告と第二事件の被告は同一人物で、両事件の主張はおなじ準備書面でおこなっているうえ第二事件では他にもう一人被告がいます)はそう断ったうえで頭割りするとよいことがわかります。

もう一人の当事者にして依頼人である乙山次郎さんは、別に申立書・計算書を作っています。上記の計算書1・2で書類作成費用を500円ずつしか計上していないのは、別に作成した乙山さんの訴訟費用額確定処分申立書で500円計上してあるためです。

昨日の記事に書いた通り、総額1500円の書類作成費用を第一事件原告の甲野さん・第二事件被告の甲野さん・第二事件被告の乙山さんに頭割りで割り付けたら上記のようになりました。内訳としては第一事件の訴状1通、第二事件の答弁書1通、両事件に共通する準備書面2通といった感じです。

※厳密には第一事件の訴状は乙山さんは無関係なんですが、現在の訴訟費用額確定処分の制度上は『提出した一通の書面だけ』当事者や事件増減に応じて費用を分離して評価することができない(5通までまとめていくら、というかたちになっている)ため、第一事件の訴状と第二事件提起後の各書類をまとめて評価している、と考えてください。

 

このほか少々変わっている点として、本件では甲野太郎さんの住所と出頭した裁判所が数百キロ(説例の数値はもちろん変えてありますが、ここでは直線距離633km)離れています。

これがとても微妙で、航空機を使って実費を請求すると、時期によっては実費の方が安くなってしまう(!)ため直線距離での旅費と実費を計上した旅費が混在しています。

…当然のことですが、実費のほうが安いときに実費償還なんてしませんー(そういうことしなくていい法律になってます)

さらに、裁判所が午前中に期日を設定するとお客さまは当日早朝に家を出たら絶対出頭できない(最速の交通機関を乗り継いでも不可だ、と言い切れる)位置関係にあるため、お客さまは宿泊に関する記録を全く持っていないのですが午前中の期日については宿泊費一泊分を計上する、という方針を取りました。このため宿泊費も期日10回中、5回のみ計上しています。

こうした問題がありまして、僕が当初作った申立書では計算書のほかに旅費の計算書、というのを作って期日ごとに午前午後(宿泊費の要否)、実費によるか距離によるかの別、それぞれの金額、そして距離による計算をしたものを加えています。書記官が出した訴訟費用額確定処分の計算書では肝心な部分だけを抽出して書いてありますが、別の計算書がないとひどくわかりにくい(申立書提出後、口頭で説明を求められる)ことがあると思います。

ちなみにこの論点、まさにそうした(早朝出発してもたどり着けない位置関係にある裁判所と期日開始日時なら、宿泊の記録なくても宿泊費請求OK、とする)裁判例がありました。

といっても岡山から神戸まで新幹線がなかったころの裁判例ですが(苦笑)

もう一つ余談ですが、宿泊費については夜行列車(判決によれば座席車らしい)で旅行して出頭した場合は宿泊じゃないけど宿泊費(当時は止泊料と言ってたらしい)計上可、ってのもありました。

といっても上野から八戸まで新幹線どころか特急列車が走ってなかったころの裁判例ですが(当ブログにごく一部いる旧国鉄ファンの方、上野から青森まで直通の普通列車で行けたころの話ですってよ)

そんな部分についても、参考になる人には参考になろうかと思います。

きっとそんな人、ごくごく少数しかいないはずですが…ここはそういう人が来る事務所ですから。

最後に繰り返しのご案内。当事務所での訴訟費用額確定処分申立書作成は、地方裁判所で判決が確定した場合は税別2万円でお受けしています。

ただ、東京~大阪間以外の裁判所・依頼人に関するものは訴訟記録の精査や依頼人との面談で、そのつど日当と交通費を申し受けます。

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