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過去の電話帳を用いた登記名義人の探索の可能性 3

国会図書館にしか所蔵がないことは無視して、過去の電話帳の活用を論じる初夏の自由研究は、今日でいったんおしまいです。これまで紹介してきた過去の電話帳の活用、では実際にどれだけの可能性を持っていそうでしょうか。

その手がかりを、少し探してみましょう。僕がコピーしてきたのは宮崎県某村の、昭和44年・55年・平成2年・13年・22年・28年の電話帳です。

このうち個人の収録件数が最大(730件余り)の昭和55年のデータから、アトランダムに35件(5%弱)の個人を抽出して、55年以降の収録状況を追ってみました。その結果。

平成28年の電話帳に収録されておらず、追跡不能なもの 19件(54%)

…そんなもんか(冷笑)と思われたかもしれませんが、そもそも平成28年の全収録件数が370件ほど、つまり母集団そのものが同期間で49%減少し、追跡不能になってしまっていることに注意する必要があります。あとは、

  1. 同じ電話番号の継続使用が確認できたもの 12件(34%)
  2. 関係不明の別人が同じ電話番号を使っているもの 3件
  3. 同姓の別人が同じ電話番号を使っているが相続ではないもの 1件

このようになっています。

1.は現存していて単純に住民票が取れる集団、ではありません。

この12件のうち、昭和55年から平成28年までに転居歴が見いだせたもの(市町村によっては、住所相違で住民票の発行請求を蹴ってくるもの)が4件、同姓の人に名義が変わったものが1件混じっています。後者は典型的な相続による名義変更と考えます。

追跡不能な19件のなかにも、いったん同姓の別の名前の名義になって平成22年の電話帳まで記録を追えたものが1件ありました。死亡・転居後5年は住民票の除票が取れることから、こちらの1件は現在(平成29年)でも住民票の除票が取れるかもしれません。

2.は関係不明で、名字も名前も住所も別の人が同じ電話番号を使っているもの。単に空き番号が割り当てられただけかもしれないので有利には捉えないことにしましょう。

3.の1件は想定していなかった挙動を示したものです。当初の名義人の生存期間中、すでに別の電話番号を使っていた別人がいました。この別人に自分の電話番号を譲ってから、譲渡人自身は電話帳から消える、そうした挙動が見られました。

例えるなら電話加入権を親族に生前贈与してから転居なり死亡なりすれば、こういう動きになるでしょうか。電話帳を丹念に追った結果、両名にはなんらか関係はあるだろう(おそらくは親族だろう)といえる、ということにはなります。

ひいき目に評価すれば、上記の太字にした件数合計7件(20%)は、昭和55年時点の住所氏名データからは現在の住民票やその除票が取れない状況にあり、電話帳を利用して関連を追えば誰か関係者の住民票や除票が取れる可能性がある、ということになるかもしれません。めいっぱい厳しく評価しても、同姓の人に名義が変わった1件(3%)だけは電話帳による調査が役立つもの、と考えられます。

昭和55年から平成28年まで転居も死亡も相続その他の加入権名義変更もなく健在なのは35件中8件だけしかなかったわけですから、それと比較すれば電話帳を使って追えるデータが7件、というのは少なくはないように思えます。現地調査の時間を減らすインパクトはある、といっていいでしょう。

とはいえ、これは単に同一の村内の電話帳をいじって出した数値に過ぎず、他市町村転出の可能性まで追えればもう少しましな結果は出ると思います。

紙の電話帳とは別の情報ソースでも調べたところ、追跡不能な19件のうち痕跡を残しているものが2件ありそうなのです。電話帳を使って別の自治体まで探索できれば、さらにいくつかは見つかるかな、と(笑)

たまたまこの記事をみてしまった普通の人にお断りしておくと、電話帳だけに頼ってこうした調査をすることは全然推奨できません。閉鎖登記簿謄本や官報も、公開データとして重要になってきます。

これらをさらに別のページで整理して、住民票がすぐにはとれない登記名義人の探索方法と探索代行受託に関するコンテンツを作っておこう、と考えています。これはゴールデンウィーク明けの仕事にしましょう。

明日は、カレーを食べてきます。相続登記のご依頼をくださった方への、接待で。

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