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2016年11月

厳正な執務の先または裏

厳正な執務の先または裏
どこだかわからない山の中を30分ほど走るうちに、バスは何となく静岡県に入りました。

よく考えたら、今日が新東名愛知県内の初乗車。名古屋駅8時発の新東名スーパーライナーは順調に東へ向かっています。

年内最後かと思っていた東京出張、来月も一件設定することになりました。片道のみとはいえ新幹線利用を前提とする、名古屋から往復の交通費をお客さまがご負担になるハイグレードな(他事務所の出張費用は知らないふりをしましょうね)出張です。

今月の兵庫県に続いて不動産登記での出張になる次回の出張。対するに今回は、三件のお問い合わせをパスして相談兼相談料現物支給の会食が一件のみの、まぁ気楽な旅になりました。

パスした案件。
・請求額140万円超過。
・地裁での手続きのみ希望。
・既に負けてるのにそうはお考えでない本人訴訟。

最後の一つを除けば、当事務所で労働相談に応じないと明示した類型をそのまま投げかけられてしまった…ということで教科書通りに対応不可を通告したものです。

…そういうのはどうにかならないのか、とおっしゃるのは登記より裁判事務が見たくて当事務所に来られた補助者さまであります。

これは常に難しいテーマです。ただ、ウェブサイトに対応不可と明示した案件をそのまま投げてくるタイプの問い合わせには、あまり柔軟な対応をしないほうが安全だ、というのはこの12年余で蓄積した不幸な経験です(苦笑)そうしたことを自発的にやって、報われるほうが少ない。

もちろんそう言ってるだけでは誰からも相手にされないので『弁護士以外の士業にはやっていいことと悪いいことがあることを認識されたうえで、お客さまのなさりたいことがこちらで対応可能か聞いてくださる』タイプの方には一歩踏み込んだ対応をするようにしています。

例えば、単に法律相談不能と告げるだけではなくて他の法律相談で有利な回答を得るための準備や注目点を示す、とか。

とはいえ、タダより高いものはありません。
初動でのお問い合わせに対して行うこの指導はお客さまの対応能力を試すものでもあるので、
『なら言われた通りにやってみる』
とおっしゃる方にはその後の本人訴訟受託の可能性が残り、
『そうした制限は知ってるが云々』
とこちらでの対応続行にこだわる方には残念ながら教科書通りの対応しかお見せしない、まぁそうしたひどく面倒なやり取りをしています。

そうした対応で一般消費者が適切な依頼先事務所に出会えると思うか、というのは補助者さまからの厳しい問いです。

…それを言っちゃあおしめぇよ、文句は霞ヶ関に言ってくんな、というのが僕の答えだったりします。

でも僕は自分の士業の権限拡大でこうした問題が解決できるわけではないと思っており、制度が変わっても士業からみて儲からないと認識される事件類型は引き続き放置されると見ています。

どちらかと言えば、高度情報化社会(←死語?)の発展につれて依頼人側に十分な法的知識が広まり、その過程で各士業をより適切に依頼人側で選択できるようになったり自分で法的紛争に対処できるようになっていくのかな…と数年前まで呑気に期待していたのですが、どうも若年層へのスマホの普及は落ち着いた思索や検討やそれらに基づく適切な意志決定を妨げる方向に向かっているようです。ここを補いきるほど、人工知能の能力はまだ高くない。

このサービスを廃止すべきだとは言うまい。
ただ、八方ふさがりだ。

少額な労働紛争・裁判事務への対処、というのはそういうものと考えて、受けられる案件だけ丁寧に受けていく、しばらくのあいだ、そうせざるを得ない、と考えるようになりました。同業者さんには気になる最高裁判決も出たことだし、これから何年かはおとなしくして様子を見たほうがよさそうです。

そんなわがままを許すのが不動産登記のご依頼の漸増で、出張から帰ったら週末までに三件の新しいお客さまからご予約をいただいています。登記のご依頼をきっかけにこの事務所を気にいってくださる方もいることがわかったので、来年は登記多めでも気分よく仕事できるかな、と考えているところです。
ウェブ担としての僕の予想では、当事務所ウェブサイトは向こう1〜2年、登記業務の誘致において他より優越する部分を保ちます。中高齢者へのタブレット端末の普及が、ここでは追い風になるでしょう。

誤解されると寂しいので説明を追加します。
労働者側での労働紛争や本人訴訟から撤退するつもりは毛頭ありません。

社会的意義がどうこうとか、士業の公共性とかは、もちろん理由に挙げるつもりもありません。あれは食べられません。

…むしろ、あと何年か生き延びたら同業者さんたちが逃げ散って、この分野で残存者利益を享受できるんじゃないか、そう考えています(笑)

それまでゆっくり実績を積めばよく、そうして馴染んだお客さまには一歩踏み込んだ対応を取ればよい、と。

咳が、したくなる(こっそり設定した病休日とそれでもいただけるお電話の件)

  • 咳が出る。
  • 数分に一度咳き込み、若干の痰が出る。
  • 熱はなく鼻水も出ずのども痛くない。他に異常はないように思える。
  • そんな状態が2週間続く。

…肺ガンですかねぇ?

と、補助者さまに聞いてみる。

速攻で同意される(苦笑)

そんなことがありまして、ブログの更新をひたすらサボって夜は早く寝ておりました。多忙もしくは死亡または懲戒処分等の可能性を心配された方々、どうもすみません。

咳が出る、というのがブログが止まった理由です。

この歳になるとご多聞に漏れず、あっちこっちが壊れてきます。この前の記事=11月第2週までに風邪のような症状が一通り出てそれがおさまった…と思って実施したのが前回の出張。ここでも実はのどがおかしく(この時点では風邪の病み上がりだと思っていた)、夜中に起きては咳をして痰を吐き、また寝る、という一夜を過ごしておりました。

その夜から、「寝床に入っても、朝までに何回か起きて咳をする」状態が続いたのです。先週末まで。

いよいよ遺言書の作成と遺言執行者の選任が必要じゃないか自分、と思い始めたのですが、まず始めたのは補助者さまに登記申請書の作業を集中的に割り振って僕がのんびり療養できるようにする準備です(笑)

医者に行くべきだ、という助言(登記申請書は作りたくない、という意味ではないと思う)を残して補助者さまが退勤した後、この件ではじめてかかりつけの医者にかかったのは症状が出てから2週間以上経った11月22日です。

~風邪だから♪

あっさりと託宣を賜ったこの内科のお医者さん、インフルエンザ最盛期に行っても待合室に人がいない、というちょっと不思議な爺様です。

ひょっとしたら診療報酬ではなく雲や霞を食って生きてるんじゃないか、という興味でかかりつけ医に選定した、そんなお医者さん。ロキソニン+ムコダインの半ば定番メニューに加えて今回は『レスプレン』というお薬をつけてくれました。消炎鎮咳去痰、まぁそういった組み合わせです。

…そのお薬を服用したその夜だけ、途中で起きずにぐっすり眠ることができ、次の日の夜に症状のピークがやってきました。寝てから起きるまでに、咳で眠りが中断した回数、8回。もう定期的に起きてるし(笑)

ダメだこれは!ということで11月23・24日、実は電話の受付をお休みしておりました。

特に24日は<休業日です>という表示を出してみたのですが…電話がかかってきます。

(うう、わしはもうダメじゃ)と心の中でまずつぶやいてから電話に出ると、それらは相続登記だったり財産分与のお問い合わせだったりします。

最後に一つだけ教えを請うよりも、そのまま話を進めたほうがよさげな電話です。

※最近では『わしはもうダメじゃ おじいちゃん』で検索をかけると、有名なロールプレイングゲームの場面が出てくるのですね。僕は嘉門達夫の唄の印象が強いのですが。

それでもまあ、信じて服用を続けた薬が半分超、3日分飲み切ったあたりで少し楽になってきました。睡眠中断回数が1~2回で済んでいる、以前は昼間数分に一回出ていた咳が、1時間に2~3回で済むようになったのが現在の状況です。

いつ、途中で睡眠を中断されなくなるかが見ものだと思うのです。

逆にずーっと目覚めない、というパターンにはまるかもしれませんが。

この妙な病気になって、あらためて痛感させられたのが医療や病気に関するウェブ上のゴミコンテンツの多さです。労働紛争では自分の知識や自分のサイトをパクったサイトに照らして理解できていたのですが、この分野もさらにさらにひどい。

「咳が続く」という検索キーワードで上位に出てくるウェブサイトは10件中8件以上が怪しい素人または素性不明の集団(みんなの病気ドットコム制作委員会、とかそんな感じの任意団体または会社)がつくった、誰でも書ける文章とその文章のパクりと外国人の適当な写真素材とそれに似た写真素材のパクりの組み合わせ。アフィリエイト目当てで運営されており、情報に独自性も正確性も期待できないのです。

この分野で安心して読み込めるウェブサイトを発見する前に病気、治りそう(笑)

ともあれ、久しぶりに「本当に必要を感じて、ある程度専門知識が求められるはずの情報をウェブで探そうとし、ゴミコンテンツに埋もれて失敗した」体験をしました。

そのうちAIが強烈に進歩して、こうしたゴミのようなウェブサイトと運営者を排除できるようになることを期待したいです(あ、労働紛争の分野では排除されないよう期待したいです)。

結局のところそうなると、自分ができる範囲での試行錯誤や知ってる人の助言で対処方針を決めるしかなくなります。さようなら、インターネット(←冗談)

以前から試していたが今回は役に立たなかったのは、薬局で手に入る漢方薬です。

いつもの風邪ではコンスタントに効いてくれる、お気に入りの銀翹散は当然ダメ(これは、何かを飲み込むのが苦しいような症状を短期間で終わらせてくれるお薬です。好き)、咳や痰に効用があるはずの麦門冬湯・五虎湯も同社のシリーズを一箱ずつ試してみましたが変わりませんでした。残念。

今回は漢方薬に勝った(らしい)西洋医学、別の診療科にかかったらなにか別の判断が出たのかもしれません。

行きつけの内科をパスするのは規定方針として、とってつけたようなくだらない門前薬局(隣か向い側にある医療機関の処方箋しか受け付ける気がないくせに薬剤管理指導料だのなんだのをしっかり取り、医療費増加に貢献する薬局。市中薬局より労働紛争のお問い合わせが多く登記のお問い合わせが少ない気がするのはたぶん僕だけの邪推)を持たず院内処方してくれそうなお医者さんを候補として…次の行き先を探しています。

  • そうやって下調べの作業に集中する。
  • そのうちに咳が減った気がする。

そんな、晩秋の夜であります。咳よりあくびが出てきました。

つぎの出張は、東京です

久しぶりに、ちょっとハイクラスなホテルに泊まった。

久しぶりに、フロントで神の声を聞いた。

「少々お広いお部屋に変更させていただきます」と(^_^)v

2階級特進でアサインされたデラックスツインは東向き。これで晴れなら、さぞいい目覚めだったでしょう。

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少々遅めに目覚めたら、8時半着岸の阪九フェリーがやってきました。

この記事の前にあった写真はなんとなく撮ってみただけのもので(記事ごと削除済みです)、昨晩の宿はフェリーではなくフェリーターミナルが見える六甲アイランドのシティホテルです。ここからいくつかの役所で書類収集を終えて、名古屋へ戻ってきました。

次の出張は2週間後にしようとおもっています。いまのところ候補日は11月28~30日のうちの連続2日、「肉の日」ということで11月29日泊にしたらどうか、というご提案が来ています。

そんなわけで夜間の相談枠は設けないのですが、例によって出張相談・ご依頼受付のための面談が可能です。従来は主に裁判事務・労働相談で出張相談をお受けしてきましたが、相続・財産分与その他の不動産登記についてももちろん対応します。それぞれご興味のある方はお問い合わせください。

心躍る、数分

心躍る、数分
満席のアーバンライナーで、大阪に向かっています。出張行程は若干の変更を見て、目的地を兵庫県内とする一泊二日になりそうです。

午前中にお客さまとの面談が設定された関係で選んだこの列車、一番前の車両に席をとりました。

チケットレス予約のウェブサイトを見ていると、アーバンライナーの指定席は名古屋方の車両から先に埋まっていく印象があるのです。平日なら隣に人が座りにくいという理由と、もうひとつ。

写真の通り素晴らしい展望のデッキで前面かぶりつきができる、ということでアーバンライナーでの大阪出張はいつも5・6号車に席を取っているのです。

登記のご依頼で行く、というだけでも贅沢な今回の出張、お天気もいいうえに午後の予定が丸空きです。

…少し遅めのランチを、三ノ宮で取ることにしましょうか。実は今夜の宿も決めてません。

ところで、この事務所では基本的に登記申請当事者には直接面談しています。

大阪あるいは近鉄難波駅でこれを行う場合は交通費日当合計一万円程度で対応するので、名古屋市内の案件でかかる費用にこのお金を加えた結果が他事務所と同じなら採用していただくのもよい、ということになっています。

今後こうした、登記での出張のご依頼を増やしたい、と思っています。

…願わくば毎月一回、僕は近鉄特急の車窓や遠くの街でのランチを、補助者さまにはお土産のチョコレートを楽しめるように(笑)

10月の数字(裁判所の数字を少し)

今週風邪になってよかった、と言ってみる。

来週、出張だから(苦笑)

ここ一週間ほど睡眠多め仕事少なめに過ごしておりました。いっそ敵側代理人に感染しますように、と邪念を込めて(←ウソ)残業代請求訴訟の準備書面を一つ送り出したのが月曜日、ようやく空咳もなくなってきたのは昨日、水曜日のことです。

相談室から見える東の丘が、いつの間にやら秋らしい色になってきました。

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さて、数字をとおして労働紛争をめぐる諸制度の実情をのぞいてみるお話、今日は裁判所のそれを見てみましょう。

データの出所は当事務所、つまり僕と補助者さまが例年この時期に調べている開廷表調査です。調査方針は別のブログの記事に書きました。簡単にいうと『名古屋の地裁・簡裁・高裁の開廷表から、労働関係訴訟とわかる事件名等を毎年一定期間ピックアップしてみた』というもの。

この生データが7年前から251件ありまして、表計算ソフトのデータベース機能をあれこれ使って件数を整理してみます。

そんな本記事で想定する読者は…かなり少ないはずです。具体的には

『裁判手続の利用を視野においた労働相談を行う方』(そんな読者いないって?)


では。まず件数の推移。直近3年では簡裁横ばい、地裁減少、のようです。

以下は10月の調査で発見できた件数ですが、平成27年だけ調査期間2週間、26・28年は1ヶ月です。27年の件数をおおざっぱに二倍していただければ傾向が見えるでしょうか。

_____簡裁  地裁

  • 26年 9件 24件
  • 27年 6件 11件 (調査期間2週間)
  • 28年 9件 16件

決して小さな裁判所ではない名古屋簡裁でも一ヶ月に労働関係訴訟が10件ない、ただこの傾向は変わってない、と認識しておけばよさそうです。地裁の減少は気になりますね。

事件名を読む限り、簡裁では特定の類型の事件が増えた・減ったということではないようです。

数年まえの士業向けコンサル業者のセミナーで見かけた残業代バブル(笑)はどこへ行ったでしょうか?

少なくとも残業代のみを請求しているとわかる事件名はここ3年で簡裁は0件、地裁は7件。件数の推移は

  • 26年 5件
  • 27年 1件(調査期間2週間)
  • 28年 1件

…残業代バブルは、無かったのです。少なくとも名古屋では。

ここ数年で生えてきた『残業代請求専門』の同業者事務所を僕がこのブログで笑いのネタとしてしか扱わないのは、連中が上記の通り事件数の傾向とは関係なく、単にまとまった請求が立ちそうな分野だけ切り出したいのが見え見えだから、です。まさに過払いのときとおなじ、ということで。


どんな事件が多く係属しているか、その関心は高いはずですが、地裁・高裁でその調査は困難です。

訴訟代理人が複数の請求をまとめたうえで事件名として一番主になりそうなものをつけてしまうため、事件名のみで集計したこの調査は『主な事件の類型』でしかありません。そう思ってください。

ここからは、過去7年分のデータを使います。

事件名からみる主な類型 簡裁(全56件)

  • 賃金または給料 45件
  • 解雇予告手当 7件
  • 残業代 2件

簡裁での労働事件は8割方が賃金請求だ、と考えればよいでしょう。

したがって、実務家としてはこの分野がわかれば簡裁労働事件は8割方対処できる、と
(↑会社側準備書面によくある詭弁です!)

賃金請求については、簡裁備え付けの定型訴状の事件名とおなじ『未払賃金』が31件あります。定型訴状の利用が相当数あると推測します。

上記の結果は、訴額が少ないという理由だけで残業代請求訴訟を簡裁に持ち込みたくないよな、という思惑を裏付けるものでもあります。残業代に限らず、労働関係で変わった分野・非定型的な請求の訴訟を簡裁に持ち込むのは避けたいな、と。

裁判官側の経験にも注目すれば、そう言わざるをえません。ただし地方の独立簡裁で、最寄りの地裁支部から填補されてくる裁判官が簡裁にいるような場合には逆に安心だったりします。

事件名からみる主な類型 地裁(全134件)

  • 地位確認 39件
  • 賃金または給料 27件
  • 残業代 22件
  • 退職金 7件
  • 解雇予告手当 3件
  • 解雇を除く懲戒処分の無効確認 3件
  • 損害賠償 26件

3割強が地位確認=解雇や雇い止めの無効を主張するもの、あとは賃金・残業代・損害賠償が20%程度を占めている、ということなのですが、なぜか残業代だけがここ2年間で減っています。

一部の事件類型で重複が生じています。このほか5件、企業側原告、労働側被告とするものがありました。


本人訴訟

地裁・高裁では代理人の有無がわかります。代理人欄に記載がないものを本人訴訟と考えてみましょう。

地裁本人訴訟(全134件)

  • 原告が労働者側で、代理人がいないもの 21件
  • 被告が使用者側で、代理人がいないもの 26件

少々意外な印象を受けたのですが、労働者側が訴えを起こし使用者側が受けて立つ労働訴訟では、使用者側に代理人がつかないものが労働者側より少し多いようです。

高裁本人訴訟(全44件)

_______________労働者側 使用者側

  • 控訴人で代理人がいないもの   8件  1件
  • 被控訴人で代理人がいないもの  1件  3件

地裁の、つまり第一審での割合でそのまま上がってきているわけではありません。

控訴人=つまり地裁の判決に不服がある、はっきり言ってしまえば負けた側で労働側本人訴訟が顕著に多い、と読むなら当事務所のような本人訴訟支援型の事務所には好ましいデータではない、ということになるのですが…

もう一つ、別の読み方があります。

事件名からしてあきらかに妙ちきりんな、当然ながら代理人がついていない訴訟、というのを地裁でちょくちょく見かけます。

こういう請求をかける人は、たいていの場合実務家の助言をきかなかったり解任したりして孤立状態で本人訴訟を進め、和解もできず、順当に敗北します。

その敗北を認められずに控訴してさらに負ける人、というのも傍聴で見かけるものでして、こうした『ダメな集団』も高裁での観測結果に混じっていると僕は推測します。

地裁本人訴訟の原告でご自分の正しさを確信してらっしゃるような方にはちょっと気をつけて読んでほしいデータですが、そういう人はだいたいこんな細かい検討なんかしません(笑)

ひょっとしたら、第一審の使用者被告側で本人訴訟が多く見えるのは、企業が破綻しているなどで欠席判決が出る訴訟があるからかもしれません。

このデータはちょっとショッキングではありますが、これを根拠にして労働者側が上手に負けを認められず経営側がいくらかましだ、とは言い切れないとは思います。立場上、そう思いたいです。

…あ、でも。

僕のところの本人訴訟は上記のデータと全然違うので、それを売りにしてみるとか(笑)


冗談はさておいて。もう一つ不思議なデータがあります。『損害賠償請求』訴訟の行方、とでもいうべきでしょうか。

地裁の労働訴訟でこの名前の訴訟は、労災での安全配慮義務違反や最近ではパワハラ等の慰謝料の請求など、さまざまな非定型的な請求を含むものです。この件数なんですが

『損害賠償請求』を含む訴訟の件数

  • 地裁 26件(うち、損害賠償 24件)
  • 高裁 4件(うち、損害賠償 1件)

カッコ内に入れたのは、正しく『損害賠償請求』だけが事件名であるもの。損害賠償請求等、とか、地位確認および損害賠償請求とするようなものは地裁2件高裁3件あったと考えてください。

地裁では2割程度を占める類型であるはずの『損害賠償請求』事件が控訴される件数・割合が妙に少ないように思えます。

判決に納得して終わったのか和解で押しつぶされて消えたのか、それは推測すらできませんがこの類型の労働訴訟では控訴される実情が顕著に少ない、ということは覚えておいていいかもしれません。

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