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裁判所提出用 反訳書作成覚え書き その2

少々重たい仕事が、一区切りつきました。

仕事はあるがお金はない状態が改善されて、仕事はあまりないがお金もあまりない状態に遷移した、そんな気がします(苦笑)

昨日までは20時過ぎのお総菜半額と21時半過ぎのお弁当半額がお約束のスーパーに晩御飯の買い物に行っていたところ、今日は久しぶりに日のあるうちに買い物に行けました。

隣のレジにお客さまがいらっしゃるのを見かけて声を掛けたら、なぜかそのままイートインに場を移して相談を行うことになり…相談料金をいただいた結果、買い物に行く前よりも懐が温かくなって帰ってきたところであります。

さて、一週間ぶりのブログです。反訳書作成の続きをお話しするとしましょう。

スマホに代表される適当な機材を使った録音結果を持ってる人が訴訟なり労働審判なりにそれを提出することを目指した場合、何をしていったらいいのでしょう?そんなお話しです。まず、

  • 反訳書なんかいちいち読みたい奴はいない。
  • まして録音なんか触りたくもない。そんな時間はない!

弁護士司法書士裁判所、当事者以外みんなそうだ、と言っていいと思います。

素人さん向けに、あえてがっかりするような断り書きを入れるとすれば『当事者が適当に録音した何か』に対する実務家の対応はそんなもんです。

さて、上記の身も蓋もない基本認識に立って、少しはストレス無く読んで貰える成果品を作りたい、こう考えましょう。実は録音結果の提出にあたってどうすればいいかは、あまり厳密には決まっていないようなのです。反訳書の様式は、東三河南部反訳作成技術者協会のホームページによれば…などという参照はするだけ無意味で、そんな団体は民間人が適当につくってなんとなく登記した一般社団法人でしかありません。権威があると思ったら負け、そういう世界です。

そんなわけで、他事務所さん・反訳業者さんとはやりかたが微妙に異なるかもしれませんが、僕のところでは以下のようにしています。これで裁判所から文句言われたことはないのですが…だからといって僕に権威があると思って参考にしたら負け、です。あくまで参考にとどめてください。

○録音した音声

  • 元の音声を壊さない程度に、ノイズをカットする。
  • 会話の前後に、話し声が入っていない録音時間部分はカットする(録音時刻が重要な事案で、それを記録するための音声が録音されている場合はそれを保全する)
  • 会話の始めから終わりまで反訳する。会話中の音声のカットは絶対しない。
  • 裁判所・相手方への提出には、音楽用CDに焼く。録音が80分を超える場合、1枚目と2枚目のあいだに十秒(または、会話のやりとり一回程度)くらいを重複させて複数枚のCDとする。
  • CDの盤面には事件番号・当事者名・事件名・甲第1号証の2などの番号を書いて、紙か不織布製の封筒に入れ、提出可能状態とする。

○反訳書

  • 一般的な裁判書類の書式にこだわらない(長時間の録音時に、37字26行では反訳書の枚数が膨大になりかねないので、字数・行数は必要に応じて詰める)
  • ケバとり(えぇと、等の意味をなさない語の削除)はしない。発声はできるかぎりそのまま記載する。
  • 聞き取れない箇所は何かの記号をつけ、その前後の音声をできるかぎり反訳しておく。
  • 発言者・発言の内容の記載のほか、発言に連番をつける。
  • 特に音声との対照を要する箇所には、録音時間の記載を加える。
  • 長時間の録音の場合は、数分ごとに録音時間の記載を加えておく。
  • 備考欄を設けておき、状況その他の説明はそちらで行う。
  • A4判で印刷し、一枚目に発言者一覧、録音日時を書いておき、右肩に甲第1号証の1などの番号をつける。当事者本人の反訳である場合、反訳した者の署名捺印は要しない。

こんな感じにしています。発言に番号を付して引用するのは証拠調べの日の口頭弁論調書と判決文の関係でも見かけますので、同じようなことを反訳書と準備書面でも行うわけです。

あとは、本当に重要な発言だけ太字・違う色・アンダーラインを引いておく、ということもありますが一ページに1箇所か2箇所を超えてこういう細工をすると、見苦しさが際だちます。

-このブログを書いてると、そう思えます(苦笑)-

ですので文字飾りによる強調はスクロールできる一画面に1箇所、じゃなくて反訳書全体で何箇所か、という程度に留めたほうがよさそうです。

作成に使用するのはワープロではなく表計算ソフトです。時間や連番の入力や列幅の調整がしやすくなります。連番・録音時間・発言者・発言内容・備考の各欄を一行に並べます。

ある日の作業風景を反訳すると


聴取不能箇所には*を付した場合

連番 録音時間 発言者 発言内容

299 1:30:45   代書人 バ、バナナはおやつに入らないって*ってましたか?

300 1:30:52   補助者 それ、いま書いてる労働審判の申立書と関係

301 1:30:58   代書人 ないでしょ。これは僕自身にとって重要な問題なんです!


…もちろんこれはフィクションですが(もっと馬鹿げたやりとりになっているかもしれませんが)、こんな感じでしょうか。一列に連番・録音時間・発言者・発言内容の記載欄を並べ、それぞれ1セルを使っていきます。必要に応じて、さらに右側に注釈または備考欄を設けます。

録音時間は、全ての発言に付す必要はないと考えます。どうせ裁判所や敵対当事者が、こうした録音を何度も何度も聞くことはありません。

発言299の*の箇所が『ってました』か『ってました』か聞き取れずに悩む、というのはよくある話です。こういう場合、この発言の右側に備考欄を設けて「『知って』または『言って』と思われる」と書いておくこともあります。本当に重要な箇所なら相手方もその箇所だけは録音を聞いて、相手方なりの見解を出してくるかもしれません。

ちなみに、反訳が正確じゃない・編集加工があったと言いがかりをつける、というのは隠し録音を本人が反訳した事案でたまにある、相手方からの反論です。ですので正確じゃないところは変におかしなことを書かず、聞き取れないと認めたほうが実害がありません。

相手が何か言ってる途中にさえぎって話し出す話者、というのは実によく見かけます。

度が過ぎる奴はとりあえず殴る、などの対処方法がありますが(←ウソです)、発言がさえぎられた箇所はその旨備考欄か発言の冒頭に記録しておくことがあります。

「辞めるつもりは、ありません」

というつもりでしゃべりだした労働者の発言は、上司にさえぎられる場所によって致命的な結果をもたらしかねませんから。

ケバ取りしないのは、話をしている際にどもったりつかえたりするかどうかは少なからず話者の個性を反映するためです。

意地悪な人なら話しぶりを聞いて、「ああ、こいつは理屈だけのヘタレだ」「せっかちな奴だな」「レスポンス鈍いのは風邪引いてるから?」等の身勝手なプロファイリングをするかもしれませんが…録音を聞かねばわからない、という状態よりは、多少字面が読みにくくなってもケバ取りしないほうが状況描写として正確になります。

基本的には反訳書を読む人はみんな反訳書なんか読みたくない人だ(笑)という点から、録音を聞かせずにできるだけ反訳書だけでわかってもらうべきだということをもう一度強調して、次の記事に続きます。

次はせっかく録音したのに死蔵されかねない、音源の整理について説明してみましょう。


さて、takoyakiさんは初めてコメントをくださる方ですね。

実はあのコンテンツは労働紛争を巡る相談について、相談者も同業者もきっと気を悪くするような【何か】があれこれ書いてあって(苦笑)アクセス数も決して多くありません。

しかし、お読みになる方はわりと長時間読んで下さる傾向があるようです。万人受けしなくても、法律の条文やコピペで拡散される上っ面だけの情報とは違うことを書いてみたかったんですよ。

そんなわけで、気に留めていただけて嬉しいです。どうもありがとうございました。

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