武勇伝おことわり
不動産登記のお客さまに「ブログを見てます」と言われると、どこか気恥ずかしいのは一体なぜなんでしょう?
きっとこの分野では、まだふつうの司法書士でいたい(が、それが難しいことを知っている)からだと思います。
さて、次の大阪出張は26日に決まりました。午前・午後とも予定が入り、出張相談は夕方のみ対応余力があります。
一件、即決でお断りにした問い合わせがありました。関西地方で裁判書類作成に関するものではあったのですが、その方が
「裁判所でわめいたんですよ」
と、さも当然のように言うのです。裁判所書記官の対応が気に入らなかったから、と。
あ、これダメ。
スマートフォンをポイとばかりに耳から離し、IP電話ソフトにスピーカーフォンとマイクミュートの設定をしたらしばらくスマホをその辺に転がしておきます。仕事を再開しなければ。
この手の方は皆さん申し合わせたように相手の反応をはかる能力を欠いていて(だから役所で怒鳴るだの喚くだの、という話がふつうにできるんでしょうよ)、相づちなど打たなくても適当にしゃべりつづけます。
それでも数十秒、自分の正当性をまくしたてたでしょうか。ペースが自然に鈍ってきます。
一点だけ、ご所望の手続きが簡裁の手続きであり法律相談に該当することを確認してから宣告します。できるだけ、黒い声で。
「私の事務所では、裁判所で『わめく』ような方の相談は受けないんですよ」
法律相談と簡裁訴訟代理に関しては、依頼や依頼人が気にいらないという理由でお断りにする自由があります。そしてこの相談者、私は気に入りません。というより敵性勢力に属している、とさえ思えます。
…私だって裁判所の片隅で仕事してるもんでね、そこで喚かれたら気ぃ悪いよ、とは付け加えませんでしたが、ここはカウンターの向こうの裁判所職員ご一同様にささやかな連帯を表明したいところです。
なにしろ僕、『労働者側』なんで。依頼希望かつ依頼契約未締結者の側、とは一言も言ってない(笑)
社会のどこかで喚いたり怒鳴ったりして要求が通せると思ってるならその声がでかい奴が最終的には勝つことになってしまうし、そういうのはやめておこうよ、という社会契約に基づいて裁判所その他の紛争解決システムが維持されている(まぁ、十全に機能しているとは言いがたいにしても)はずだ、と僕は理解しています。
なにより、だったらこいつは僕の事務所でも僕に喚くんだろ、なにか気に入らないことがあるなら、と僕には思えてしまうのです。
そうしたわけで、僕のところでは役所で声を荒げるような奴がそれを当然ヅラして語った場合、ほぼ自動的に役所側に立ちます。それは武勇伝でもなんでもなく、カウンターの向こうからは怒鳴り返せないことを知っててやってる弱い者いじめです。
広い意味で役所のシステムなくして存在しえない事業者として、お役所に敵対する者には集団的●●権を発動するように命じられているというわけでは…もちろんありません。
日頃何かと気に入らないことはありますが(特に、離婚時年金分割の書類もらいにいっただけで年金相談の申込書渡して20分待たせる年金事務所の連中はもう本当に愚劣だと思います)たまには彼らを応援したい、と思えることもあるのです。
当然ながらこの記事、依頼人を選ぶ思惑を込めて書いてます。不動産登記の依頼でもこうした人からのはパス、ですね。
そうしたわけで次回大阪出張、役所で怒鳴らない方の相談をお待ちしております。
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