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細かいこと、ではあるんですが

月給制労働者の時間外労働にともなう割増賃金の計算や平均賃金を算定しての解雇予告手当の計算をおこなっていると、『小数点以下の端数をどう処理すればいいのか』に悩むことはありませんか?

今年はこの点について、某地裁本庁で訴状審査にひっかかり補正の要求を受けましたが、説明の結果なんの補正もなくパスした、という事案に会いました。さらに今月は、乙地裁労働部で付加金の請求認容額が一円単位で全額認められた残業代請求訴訟の判決を得ました。

つまり、訴状提出のときと訴訟終結=判決のときに裁判所の判断に接することができましたのでこれをネタにしてみようと思います。

1.金額の端数

1円に満たないお金の存在を、どう認識したらいいのでしょう?具体的には、時給1000円のひとが10分間時間外労働をした場合の時間外労働割増賃金額には端数がでてくるはずですが、これはどう表示し、積算し、請求すればよいのでしょうね?

これについて、労働基準法第24条関係の通達(昭和63年基発150号)を適当に持ってくる見解は必ずしも正しくないと僕は考えています。文理解釈が多少できる人ならそれらの通達の書きぶりが『(適示した扱いは)違反としては取り扱わない』という表現にとどまっていることにそのヒントがあると推測すべきで、監督官庁の判断として違反とは扱わないと言っていることと民事上の請求がどうなるかは別だ、と考えなければなりません。むしろ、違反のように見える面があるからわざわざ違反としては取り扱わないと通達出してまで言っているのだ、と考えるべきです。

ではこのほかに規定はないか?と探すと、労働債権に限らず一般的な扱いについて定めた法律がありました。通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律がそれです。同法第2条で

  • 一円未満の金額の計算単位は、銭及び厘とする。この場合において、銭は円の百分の一をいい、厘は銭の十分の一をいう。

としていますので、円未満の端数は1円の1000分の1までは認識してよい、ということになります。これ未満は切り捨てざるを得ません。

ではこの端数、どこで精算するべきか?実際にお給料をもらうときには1円単位でしかもらえませんから、どこかで何とかしなければいけません。これについては同法第3条が少々難しいことを言っています。

  • 債務の弁済を現金の支払により行う場合において、その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては、その支払うべき金額の合計額)に五十銭未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし、その支払うべき金額に五十銭以上一円未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭以上一円未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を一円として計算するものとする。ただし、特約がある場合には、この限りでない。

特約がなければ1円未満の端数は四捨五入、と言っているのですが、そのタイミングは『現金の支払いにより行う場合』であると読み取れます。しかも、いくつかの債務(円未満の端数がでる支払い、と思ってかまいません)の支払いを同時に行う場合には、それらを端数のまま合計したあとの金額に対して四捨五入の動作を行え、と言っているように見えます。特約がなければそうせよ、と。

より具体的には、小数点以下3桁までを用いた1時間あたり単価で同じく小数点以下3桁まで時間外労働・深夜労働・休日労働割増賃金を計算し、その総額を小数点以下3桁まで合計した1ヶ月分の金額に対して、賃金支払い日=債務の弁済をするとき、に1回だけ端数を四捨五入する操作をおこなって…1円単位の桁に丸めるのがよかろう、ということになります。

でも。

平均賃金の計算についても端数が出ることが多いのですが、この計算法については拘束力の高い表現で通達が出ています。昭和22年基発232号では、

  • 1日の平均賃金算定に当たり、銭未満の端数を生じたときにはこれを切り捨て、各種補償等においては、これに所定日数を乗じてその額を算出する。

と示しています。『~する』と言い切っているのでそれに従わざるを得ませんが、ここでは小数点以下2桁までだ、と言っています。

ある訴訟で、解雇予告手当と残業代を同時に請求する事案がありました。つまり、解雇予告手当は平均賃金ですので小数点以下2桁まで計算をおこない、残業代は通貨の単位および貨幣の発行等に関する法律によって小数点以下3桁まで計算する一方、裁判所は法律を知っているものだという(そんな法諺もありましたね)仮定にのっとってこの根拠を説明しないまま訴状を出したら…

裁判所の訴状審査に、しっかりとひっかかったわけですよ。訴状が引っかかったのか裁判所が訴状に引っかかったのかは、まぁ次回の記事でご判断いただきたいと思います。次回の記事はタイトルだけが決まっています。『説明スレドモ補正セズ』ってことで。


さてさて病院職員さん、元照準手さん、コメントありがとうございました。皆さまごきげんようお過ごしでしょうか…?僕はまぁ、このとおりふらふらしています(笑)あまり進歩のない日々を送っておりますが、このほど携帯電話のデータをようやくデスクトップPCに取り込めるようになりまして、携帯電話の中に滞留していた写真のうち見栄えのしそうなのをいくつか公開しようかと思っています。病院職員さんに気に入っていただけるのがあるといいのですが。

先日の長船では30分ほどしか時間が取れなかったのですが、少々不思議な光景を見ました。あきらかに観光客とわかる女の子3人があきらかに目的を持ってタクシーに乗ってどこかに走り去ったのです。備前長船刀剣博物館のウェブサイトにたどり着いて、納得しました。つまりあれが、歴女さんだったのか、と。駅に降り立ったときには見事なまでの田園風景だと思ったのですが、もう少し時間が取れれば行ってみたかったですね。このほかにも赤穂線沿線には赤穂や日生(駅の前から小豆島へのフェリーが出るんです…鉄道連絡船宮島航路より便利そう)など、ちょっと楽しげな駅があって気になります。案外その辺を、またふらふら旅してるかもしれませんよ。

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