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PPC広告の先にあるものは?

 当事務所ウェブサイト内の『こちら給料未払い相談室』各ページにPPC広告を掲出するようにしました。

 目的は広告収入…といいうるほど発生はしません。これまでの実績からして、一月数千円、といったところです。先行していた別のコンテンツとこのブログに出していた広告の設定をひたすら絞り込んだ結果、労働紛争に関与するという弁護士・社労士の広告がいくつか出てくる状況になったのです。昨年までならそうした広告の出稿そのものがなかったのですが、今年にはいって過払いやら相続やら交通事故やら、果ては印鑑・資格・派遣・探偵云々といったサイトの広告を次々に排除していいったところ、ほんの一握りではありますがそうした広告が『残ってくる』ようになったのです。

クリックせずにリンク先を確かめてみると、いくるか面白いものが出てきます。労働紛争の訴訟代理で今のところ最安値の法律事務所は

  • 初期費用+着手金 6万円
  • 成功報酬 10%

というものがありました。

これまで司法書士&弁護士の主戦場だった過払い・債務整理の値段はここ3年ほどで暴落しつつあります。ついに東京では減額報酬無し、成功報酬15%を標榜する事務所・個人で同時廃止の破産申立書類作成で10万円を割り込んだ報酬額を出す事務所がでてきています。控えめに言って三年前の相場の半額、というべきでしょうか。

 こうしたバブル崩壊劇を横目に見つつ、債権回収関係での訴訟代理の報酬としてはだいたい20%程度が相場として落ち着くのか…と思ってきたところに上記の『6万円+10%』が出てきたわけです。回収額が80万円を超えれば、過払いであってもこの報酬体系でやってもらったほうが世間並みの事務所より安くついてしまうとことになり、これはかなり思い切った設定というべきです。

 で、素朴な疑問。

 この報酬体系でやっていけるのか?

 『あまり力をいれなければ』可能かもしれません。請求額200万円程度で論点がない、ごくシンプルな残業代請求を労働審判で代理するとして、

  1.  依頼人との打ち合わせに1時間(本職)
  2.  書類整理および勤怠時間入力に6時間(補助者)
  3.  労働審判手続申立書作成に2時間(補助者)
  4.  書類提出に1時間(補助者。郵送でも可)
  5.  相手方の答弁書の分析に2時間(本職)
  6.  依頼人との直前打ち合わせに1時間(本職)
  7.  裁判所への第一回期日出頭に3時間(本職)
  8.  第二回期日出頭に3時間(本職)

 だいたいこんな感じ…と仮定すると本職10時間、補助者9時間程度でなんとかなってしまうことにはなりますが、請求額が100万円でも200万円でも手間が変わらない(残業代請求の場合、請求する月数で変わる)ため、連続的にこの作業をおこなって本職の作業時間1時間あたり1万円程度のタイムチャージを確保し続けるには無理がありそう。少なくとも請求額200万円あたりより上、あるいは解雇無効でバックペイを数ヶ月分取れる事案を狙って受けていく必要があり、そんな事案が毎週毎週2~3件ずつ転がり込んできたらあっという間に労働審判受託件数日本一の事務所ができあがってしまう…こりゃ無理だ(笑)

 というわけでこれはなにかワケがある、種も仕掛けもある(少なくとも、都心のオフィスをもち数名の弁護士が稼働する法律事務所において、専業的に維持できるものではない)設定だとは思うのですがとにかく気になります。どうやらウェブの世界において労働紛争への関与は債務整理とちがって、のっけから価格面での叩き合いに突入しつつあるのかもしれません。今後さらに過払いバブルが下火になって、玉突き的に労働事案に関与せざるを得なくなる(←嫌な言い方ですが)事務所が増えるとさらに広告も増えて、まぁきっと賑やかなことになるんだろうなと思いながら…少しずつ増えてくるPPC広告を眺めています。この広告の先にあるのは不毛な消耗戦なのか、はたまた労働者が願った世界なのか、それはいまのところ未定です。


ところで、先日一件つくった労働審判申立書(争点はほとんどない事案)の作業時間を分析すると

  1.  依頼人との打ち合わせに4時間(本職)
  2.  証拠書類整理および表作成に8時間(補助者)
  3.  申立書作成および依頼人との打ち合わせに2時間(本職)
  4.  書類提出に1時間(本職)
  5.  期日前の打ち合わせに2時間(本職)

だいたいこんな感じになり、投下する時間は本職9時間補助者8時間程度。

本職の稼働時間がやや目立ちますがそれは好みでやってます(苦笑)顧客軽視型で補助者に労働法を適用しないタイプの事務所にあっては上記各工程の作業時間に0.5の係数を掛けることも可能でしょう(失笑)

 これで仮に本職6千円、補助者3千円のタイムチャージを設定すると合計7万8千円となり、請求額が60万円程度の事案で満額回収して13%の報酬をもらってしまえば十分成立する…要領が悪いこの事務所でも、小さいので事務所として均衡再生産できる、ということになりましょうか。

 うすうす考えていたし今もいろいろ試しているのですが、労働紛争においてもある程度要領よく申立書を作ってしまうことは可能です。上記で申立書の作成と打ち合わせに僕が使っている2時間のうち、申立書作成でPCの前に座っていた時間は1時間弱で済んでしまい、あとは説明用のメールを作成したりお客さまと話しをしていた時間なのです。お金が大好き♪な事務所ではさらにこのあたりの工程をもう少し補助者に逃がそうとするはずです。

 さてそうすると…特に値段以外に取り柄のない中小零細な事務所では、もう少し成功報酬の最低額を下げるウェブサイトが出てきそうな気がします。着手金+成功報酬の合計で10%台前半がやせがまんの限界、でしょうかね。

 過払いでも、労働紛争でも、です。

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