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薄氷の欠席判決

薄氷の欠席判決
外は泣き出しそうな空模様。でも傍聴席に陣取る僕はお天気ほど気分は悪くありませんでした…その瞬間までは。

順当に欠席判決が貰えるもんだと油断しきって出かけたその期日。裁判官はいつも通りに少額訴訟の制度をお客さまに教示したあと、傍聴席に向けて決定的な一言を口にします。

「要件事実の記載が落ちてるんですが」

ええええええっ?

にわかに遠ざかる勝利。開業以来一度も言われたことのないこの一言に、訴状をめくる指が震えます。全面敗訴の判決喰らったほうがまだましな一言です!

しかし落ちついて聞けば、僕が訴状で取った論理構成を蹴った高裁の裁判例があるのを気にしている様子。僕の面子を優先するならそれとは事案が違うと主張するべきかもしれませんが、この訴訟はお話を難しくするよりさっさとお金の匂いがする方へ突っ走るのが僕へのミッションのはず。ならば…

無言で書類をめくります。
半分は意図して、半分は対応能力の限界で。

このご依頼で一番危うい立場に立たされた数秒間が経過します。期待した通りに、天の声は降ってきました。書類中それとは意図して書いてない一箇所を捕まえてかなり強引な釈明権を行使し、なんだかんだで主張を補完してしまったのです。あとはそのまま、めでたく判決言い渡しとなりました。

腰が抜けてないか確認しながら席を立とうとした僕にラウンドテーブルの正面から、なおも一声降ってきます。

「奏効しましたか?」

今度の声は、少々笑みを含んでいたかもしれません。
この訴訟の提起に先立つ仮差押申立では僕が訴訟代理人になり、彼と裁判官面接を済ませていたのです。費用倒れにならないかと問われた際に、仮差押が奏効しなければ本案訴訟は起こしません、とはっきり答えたことを覚えておいでなのでしょうか。その簡裁でその年に債権仮差押の代理をした司法書士は僕だけだ、とも聞いています。

「直ちに本執行に移ります!ありがとうございました!」

最敬礼して法廷を後にします。厳しいような優しいような裁判官のおかげで、桜の花の咲くころにはいい結果にたどり着くことができそうです。

東京発17時41分発の沼津行き普通列車は、茅ヶ崎を過ぎるとグリーン車なら空席が目立ってきます。そろそろ晩御飯のお弁当を開けるとしましょうか。

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