旅行書士 一夏の敗北
今を去ること一ヶ月前。国会図書館へ呑気に書見に出かける途中のバスの中でのことです。膝のうえには先ごろ受講を開始した、ファイナンシャル・プランニング技能士2級のテキスト第三分冊が載っています。
快晴の甲府盆地を東へ抜けて、遠く笹子峠が見えてきました。あの山を越えれば最後の休憩地、談合坂サービスエリアまであと40分といったところでしょうか。笛吹川の橋を渡る瞬間、
衝撃の事実に気づきました。
次回のファイナンシャル・プランニング技能士2級試験の出願締切は7月29日だということに。
こうして呑気にバスに乗っている、今日は7月31日です!
座ったまま腰を抜かした旅行書士を乗せて、バスは快調に峠を攻めにかかります。到着した談合坂では涙雨というべきか、小雨がぱらついてきました。
かくて今月13日実施の試験には、不戦敗が決まったということで来年1月の再戦を期すことになりました…トホホ。
さて、昨日は『たかがお金、されどお金』というお題で話しをしました。今日もその続きです。今年1月に受かったファイナンシャル・プランニング技能士3級は、昨年少々多めに稼いだお金の未来への使い道の一つとして受験したものです。幸いこれには受かりまして、さらに通信教育の教材を買い込んでただいま2級の受験勉強中です。
もう一つ、勇をふるって支出をきめたお金が、20万円弱あります。
僕の職業である司法書士は、司法書士試験とはべつに『簡易裁判所における代理権が使えるようになるための研修および試験(正確には、考査)』を受けることによって簡易裁判所で訴訟の代理人になれるほか、昨日紹介した雑誌に載ってる怪しい同業者たちのように過払い金返還請求の代理、すなわち裁判外での和解の代理という業務ができる、という制度になっているのです。
この研修-考査の流れに、司法書士としての開業5年間というもの金がないというとっても簡潔な理由で乗っかれてなかった、それが昨年の今頃のこと。研修受講だけで交通費込み16万円弱、教材参考図書を買い集めるだけでさらに2万数千円、この金出して、果たして回収できるのか…?
まぁムダにはなるかもしれないけどね、と若干醒めた気持ちでとにかく研修を受けることにしたのが昨年秋。今年1月末から3月中旬までの研修を無事に終え、よりによって考査実施の当日、試験終了後ただちに那覇まで行って本人確認情報作ってこい、という素敵なミッションもなんとかこなして、本日が合格発表日であります。
で、こちらは合格いたしました。本日、司法書士会からさっそく会員証の切り替え(代理権持ってる人用の)を促すファクスが入っています。今日の記事のタイトルは、今日が考査の合格発表日だと知ってる当ブログ読者さんたちをちょっと引っかけてみたかっただけです。RSS配信を用いてる人達は焦ったかもしれませんね…ごめんなさい。
さて今年度合格者のみなさま、お疲れさまでした。今度は飲み会に呼んで下さい(失笑)
そして今年度不本意な結果に終わられたみなさま、言い方はヘンかもしれませんが…僕は平成10年に司法書士に受かって簡裁代理の考査に受かったのが平成21年!実に11年の巨大なタイムラグが生じております。それも含めて人生いろいろあるなかで、せっかくとった代理権が
- 広告費払って~も
- 払って~も
- 払って~もきりがない♪
- 払いすぎ?(某法務事務所のTVCMより)
なんて商売にしか使われないならそれは下らないことだと僕は思うし、合格が何年後になろうとそれで生かせる仕事が素敵なものなら僕はあなたを尊敬します。それだけのことではありませんか。それに、この5年間代理権無しというハンディキャップ(お客さまに提供する選択肢の欠如ならびに、業界周辺での根拠無き上から目線)を背負って仕事してきましたが、これはこれで結構な経験になったと自負しています。代理権がなきゃ仕事できない・代理権があったら仕事ができるのに云々、などというのはそれ自体想像力の貧困を自白しているに過ぎません。1年2年程度なら、代理権がないまま裁判書類作成を精一杯やってみたらよいのです。きっと、必ず、それは役に立ちます。
・・・あるいは僕や8月の月報司法書士の記事みたいに、簡裁代理より地裁に出す書類作成のほうが好き、という司法書士に育ってしまうかもしれませんよ。もっとも僕はまだ、業界誌でそう言い切ってしまうほどの度胸も立場もありませんが(大汗)、あの記事にひさしぶりに快哉を叫んだことは事実です。
と、いうわけで。いちおう簡裁代理権は取ったのですが、これはあくまで社労士やFP3級と並ぶ道具の一つです。お台所に小型圧力鍋が増えたかな、という程度でして、なんでもかんでも圧力鍋で調理しようとかよき調理業務のためにさらなる調理器具増強を、などと叫んだりそんな勢力に与するつもりはさらさらありません。そんなことやったって、より充実した厨房を有する弁護士さんたちに揉みつぶされるのがオチです。立脚すべきは我々が一世紀前から持ってる道具=裁判書類作成業務であることに変わりはないと思っています。地裁で訴訟代理人を吹き飛ばす(少なくとも、敵に吹き飛ばされない)だけの準備書面が書けないような奴は、簡裁代理人としても必ず二流以下で終わります。「受からなければ立場ありませんから」などと特別研修開始時に言い放った同業者がおりましたが、代理権取ったらなにか偉いんだ、などと呑気に信じ込むようならいずれ市場から見放されます。そうならないかどうか、が肝心なところであって代理権持ってるかどうか、はあまり問題ではありません。
が、しかし。
- 請求額140万円以下の給料未払いならお客さまと肩を並べて戦える、というのは魅力的ではありますよねえ。
- あとは代理人としてなら内容証明郵便作成から業務として受けてもいいんだから、たしかにこれは便利か…
- そうそう、簡裁代理権持ってれば外国人登録についても職権請求できるよな…以前在日某国人社長を敵に回したときこれが使えれば…
あれれ?なにか妙なことを考え出してるような…?
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おめでとうございまーす♪
代理権の使い道がよそ様の事務所と微妙に違う気がしたのは私だけでしょうか?
あとは…今日のブログの更新同様、司法書士会ホームページの会員紹介の更新も私としては気になります。
投稿: 補助者さま(←早くFP受かれ!) | 2009年9月 2日 (水) 01時23分