素直に喜べない和解
ごくたまに、被告側での書類作成をおこなうことがあります。何らか訴えられた人のご依頼を受けて、その請求を吹き飛ばしてみせろ、というミッションになりますが…
そう。仮にそうした案件で原告の請求を棄却させたとしても、僕に払った費用のぶんお客さまには出費だけが残ります。
そうした被告事件、つまり僕のお客さまが原告からお金の支払いの請求を受けていた事件が一つ、和解でおわりました。
原告が被告にお金をはらう
という形で。例によって労働紛争で、原告が会社・被告が労働者という構図を取っており、こっちは反訴を起こすでもなくただ準備書面にいろいろ書いたらこうなった、というわけです。主張も立証もせずに裁判所でお金を取ってしまったおかげで費用倒れにだけはさせずに済んだのですが、残念ながらこの勝利を喜べない心境です。
と申しますのも、この事案で僕は第一・第二準備書面を作成したのですが、社長が少々お行儀が悪い奴でその立証活動の問題点を派手に叩く性格の第三準備書面を次回期日に出そうと考えており、補助者さまに会社側立証活動の分析にあたってもらっていたところなのですが…
いきなり和解で落ちてしまった(呆然)
のです。おかげでちょっと欲求不満を残して終わることになりました。もちろん単純に漫然と訴訟活動を展開していれば、訴えてきた側からお金をもらって和解成立ということは通常ないわけで、その意味ではお客さまはこの事務所にたどりついて幸運だったと言えるかもしれません(この方は、司法書士会が示した紹介の候補のうち二分の一の確率でたまたま当事務所を選んだのです)。
ただ…ね。突っ込みどころ満載の会社側陳述書をずらっと並べられてそれに噛み付けずに終わるとはなんとも残念なんです。戦史に詳しい人なら第一次ソロモン海戦を連想するかもしれません。ある程度勝ってるときには戦果の拡張を図るべし、という考え方は民事訴訟においても正しいのです。
じゃあ訴訟代理人になりゃよかっただろっ(怒)という突っ込みも入りそうですね。簡裁での事件でしたので確かに可能です。
さてさて友紀さん、コメントありがとうございました。確かにこうした事案のみならず、当事者になんらか出廷しにくい事情があるような場合にも訴訟代理人になるという選択肢はたしかに魅力的ですね。今はまだ、代書人暮らし(書類作成のしごと)に妙なこだわりをもってしまっている自分がいるのですが、そのうち使えるときには自然に使うようになるのだと思います。そうしてみたい相手の会社はいっぱいありますから。
…え?
誰ですか?気●●いに刃物、とか言ったのは?
« 旧型客車に会いにきた | トップページ | 無断欠勤成立ですかー! »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 零細事務所におけるリビングダイニングキッチンの使いかた(2021.01.26)
- どこかへ行く出張の日程調整を開始しました(2021.01.25)
- ご依頼の受付・電話対応を停止します(2021.01.23)
- 同業者も(自分もだけど)信じてはいけない、という話(2021.01.07)
- ちょっといいもの、買ってみた(添加剤、というより改質剤)(2021.01.04)
同じ結果でも、外からみた場合と内側からみた場合では、こんなにも違いがあることを初めて知った事案でした…。
『矛盾』がそのまま放置される感は気がかりですが…『なぐるよ!』って予告しただけで、じゅうぶんに脅威を与えられた…そんな書面だったのではないでしょうか?
投稿: 補助者さま | 2009年9月11日 (金) 01時20分