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5件、ですか…

 ちょっとした思惑があって、東京へ行くたびに東京簡裁の開廷表(その日にどんな事件がどの法廷で何時から期日が開かれるかをまとめた表)をチェックすることにしています。

 暴力的に多いのは

  •  貸金&求償金&立替金請求
  •  不当利得返還請求

 この2種類で8割~9割といったところでしょうか。平日の一日に東京簡易裁判所でどれだけの期日が開かれているのか、統計で調べてみる必要はありそうですが1ページに十数件ぶんの記載があるページが、開廷表のファイルに十数枚以上いつも綴られていますから、一日あたりの期日数(当然ながら、第二回以降の期日・判決言い渡しの期日があるため事件番号から推測できる新受件数より多い)は百件台後半から二百件台だと考えてよいと思います。

 さて、その中に。

 事件名からあきらかに推測できる労働事件は、わずかに5件。賃金請求が4件と休業手当の請求が1件、いずれも少額訴訟でした。これまでに何度か開廷表を見てきましたが、一日5件は実は多い方ではないか、という感触があります。

 一日5件。裁判所は土・日・祝日はまるごと休みですし夏期と年末年始は稼働率が落ちますから、年間稼働日数を230日程度と見ると、年間で1150件。

 つまり、ですが…仮に司法書士が簡易裁判所において労働事案に関与したくても、絶対数としてこれだけしか件数がない、ということになります。クレジット・消費者金融関係事件とくらべれば、文字通り10倍以上の差があるはず。しかも簡裁のことですから上記で約1150件?と見積もった訴訟の相当数は純粋な本人訴訟を選ぶだろうし、それに馴染む事案も結構あるから、『司法書士の関与に適する労働事案』は簡裁ではこの件数の数分の一になるはずです。

 そうすると?

 さいきん少しずつ増え始めてきている司法書士による労働事案の研修、あれって需要とかけはなれた供給を生み出して終わりかねない、そんな気もします。特に訴訟代理を前提とした場合は、顧客にとっての損益分岐点が上がる=さらに依頼に適する件数が減る、ことになりそう。依頼が少ない→経験が増えない→技量が上がらない→顧客からみて魅力的選択肢たり得ない→依頼が増えない(で、最初に戻る)、ってことになりはしないか、少々心配です。訴訟代理にこだわらない支援に立ち返ってどうするか、というところまで研修を充実させても、結局

 それで(事務所として)お金になるの?

 という問題には絶対切り込めないまま終わるはずです。この中部ブロック全体の人口と東京簡裁管内の人口を単純に比べて当地区における訴訟の件数を推定するならば、簡裁での訴訟代理を前提として労働訴訟に乗りだそう、と考えることは(中部地方にかぎらずとも)研修参加者に中途半端な結果をもたらしかねないはずなのです。

 斜めに構えた見方でありすぎるのかもしれませんが、司法書士業界内において労働分野の研修が増えつつあることは、この業界にようやく訪れた『定型的で大量の業務に依存する時代の終わり』を意味するにすぎず、それ以上にもそれ以下にもならない、のではないかと思っています。

…という予想とは一切関係なく、明日から例によって福岡へでかけます。この事務所にあっても二件目でしかない労働審判手続を見てこないといけません。


などと言いっぱなしでいたら単に批判になってしまいますね。僕のところでは、真剣に労働訴訟に関して経験を積みたい本職の方(補助者の応募理由としてはお断りしています)には資料の提供・共同での受託等を通じて協力します。ご興味があればお知らせください。

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