逃げ切り和解作戦 成功!
北の国からの封筒には、僕が待っていたものが入っていました。
少額訴訟の、和解調書です。今日はこの和解の話しです。
さて労働側での裁判書類作成という商売の素晴らしいところは、請求額が給料の1ヶ月分程度の訴訟にもしっかりと会社側に代理人(ひまわりに天秤のバッジをつけたひと)が就任し、その事件に即した、つまり定型的でない反論を仕掛けてきてくれることです。これですれっからしにならない経験が蓄積されないはずもないわけで。
ところで会社側に未払いの賃金を請求する場合、労働側は未払い賃金の支払い請求権をもっている一方で会社側が労働側に対して、何らかの債権(お金の請求権)を持っていることがあります。たとえば社会保険料がよくあるパターンです。
今回の事案でも、最後の一ヶ月分の社会保険料2万数千円がまだ精算されていない=労働者が会社側に支払わねばならない状態で残されています。
が、しかし。
僕が賃金請求訴訟の訴状を起案する際には、そうした会社側からの請求あるいは労働者が負っている支払義務はだいたい無視して訴状を作ります。つまり手取りの金額ではなく諸控除前の金額で請求をかけるかたちで。
もちろん会社側が労働者側になんらか請求ができることは、抗弁として会社側が主張すればよいのですから訴状作成段階でわざわざこっちが譲歩してあげる必要は皆無です。今回もそうやって訴状作ったら…
例によって代理人がしっかりと付き、その方が
源泉所得税だけ控除した金額での和解
を提案してきました(おお!社会保険料会社負担!)
その代理人と会社との間でどんな意思疎通(の断絶)があったのかはしりませんが、とにかくお客さまに策をさずけます。
- とにかくこちらから余計なことは何も言わず、その和解に賛成してしまえ
と。和解が成立すれば上記二万円超の社会保険料支払義務を合法的に免れることに成功するわけですから。
これが首尾よく決まって本日、和解調書を送ってもらったところなのです。
さて、たまに素人さんの訴状で、わざわざ手取額での請求に抑えて訴状を作ってある人を見ます。そうかと思えば、少額訴訟にしたいために70万円の請求を60万円の一部請求にとどめる人も。それぞれ嘆かわしいことです。
さらに最近、●●書士がそれなりのお金を取って作った内容証明郵便にもそうしたものがありました。困ります。
結論。
少額事案で雑な対応をなさる方は法律家にも自称街の法律家にもおりますが、だからといってそれに納得する必要はありません。適切な労働相談をすれば防げます。
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