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大切なのは、使える知識

 この世に佃煮にするほどあふれている労働法関連の知識提供サイト(官公署公益法人等含む)の有用性を判別するのは、結構かんたんです。たとえば。

-給料の未払いには罰金刑が定められています-

 実によくある、そして現に給料未払いでお困りの労働者の皆さんが求めている情報に思えますが…

 無意味です。

 理由はこれまたかんたん。実際に給料未払い事案で捕まったり起訴されたり、果ては罰金刑をくらう奴なんてよっぽど要領のわるい奴だけだからです。(そのことの嘆かわしさはさておいて、現実としてはそうです)

 現に昨年破綻した英会話学校の社長、当初は検察によって不起訴!となっておりますがそのあと検察審査会でようやく不起訴不当の議決がでたところです。これが3月末のこと。あれほど大規模な、と外野席から見ている人間には思える給料未払いを行っても…最初は検察が起訴しなかったわけで、単に給料未払いなら罰金だとのたまうサイトがそうした点に一切触れないのは不誠実だからなのかお馬鹿だからなのか、だいたいその二つにわけてよいのではないかと思っています。

少なくとも、自称をふくむ法律家たちが運用するサイトや相談でそうした、『条文の向こうで、ほんとうはどうなってるのか』が聞こえてこない奴にはかかわらないほうがよいと断言できます。

 そうした視線で見ていると、世の『●●法って知ってますか?●●すると違法で罰金です』などというホームページやブログの空しさが…ときに失笑を誘えてくるものです。退職後の賃金不払い事案で賃金の支払の確保等に関する法律第6条所定の年14.6%の利率が取れることなんかよほどの馬鹿な社長を相手取ってたまたま勝訴判決を取れでもしない限りありえないし、それ以前に同法違反で労基署が是正勧告を出してくれたことなんか聞いたこともない。情報化社会といいながらそうした実情は大してひろまらず、ネット上をさまよってしょうもない情報を漁り続ける人と自分で何かをやってみてようやく知識を自分のものにできる人・そして自分で情報の取捨選択と再構成ができる人との落差はますます大きくなっていくようです。

 まぁもっとも、一般的に給料未払い事案のご依頼をたーくさん受けたい事務所なら『労働基準法第24条って知ってますか?給料未払いは同法120条で30万円の罰金刑と定められています』とか適当に歌ってたほうが『未払いの踏み倒しそのものはその気になればかんたんで、回収には諦めない根気と失敗を考えつつもやってみる勇気が必要です』と言うよりよっぽど顧客ウケしそうな気はします。

 昨日お客さまとしてきた話しも一部これと通じるのですが、この事務所のウェブサイトの全般的にキビシイ(笑)論調を読みきって労働事案のご依頼を決意される、そうした人々にはどこか共通点がある、その何かの一つについて、大変するどい指摘を受けました。

 なるほどその要素を持ってる人だと、言葉だけの相談者やウェブサイトは見分けられるのかもしれません。

 ただ昨日のお話で楽しかったのは、そのお客さまがたいそう補助者さまを評価しておいでだったことです。まぁ僕としては、彼女にも徐々に『人のためになる、使える知識』を少しずつ身につけてほしいものだと思っています。

ところで、たしかに客観状況は厳しいんだけどあまり身も蓋もないことをはっきり言われると僕も困ってしまうな、と思ったのが下記の本。弁護士とプロの債権回収業者さんとの対談です。読み方を間違えると我が国民事裁判制度に対して絶望しかねないのですが、法律の出来具合と制度の動きに乖離があるからと言って蘊蓄を傾けて遊ぶだけの自称法律家にも絶望して立ち尽くすだけの一般人にも僕はなる予定がありません。そうしたお方にお勧めの…楽しい(と、僕は読んだ)一冊です。

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