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粉飾を垣間見る仕事

 昨日までの出張ではかばんが重くなるのを我慢して二冊のハードカバーを持って行きました。図書館でテーマの似た本をまとめて借りたもので、今回のお題は粉飾

 労働紛争に労働側から関与しても経営陣がなんらかおかしなことをやっている実情に接することはよくあって、ときには会計帳簿や破産・民事再生申立書一式の閲覧や謄写を目にすることもあります。そこに時々出てくる不可思議な数値や事実のいくつか、は確かに粉飾の痕跡というべきものなのでしょう。日々の仕事に直結させられる分野ではないのですが、それでも上記二冊の内容には圧倒されるものがあります。

 まず左の一冊。我が国司法制度少なくとも検察やら裁判官と言った集団に素朴な信頼感を抱いちゃってる人を絶望させるのに十分な内容の手記です。著者は、ある店頭公開会社において粉飾決算に加担した嫌疑をかけられている公認会計士です。この会社と間抜けな経営陣への関与から検察による拷問まがいの事情聴取、逮捕を経て第一審での弁護団の不甲斐なさ、控訴審での著者自らの証拠収集活動と緻密な反撃までがまさに経験者にしか語れない筆致で描かれており、内容の真偽はともかく読者をして一気に読ませる絶品のドキュメンタリー、というより警世の書です。著者が言う『一人でも多くの人が司法の現実に触れ、国民による監視の必要性を感じていただける』(まえがき)ようになることは僕も無条件に賛同するところです。しかしその『司法の現実』に安易な信頼はやっぱり有害であることを痛感させられました。

 右の一冊は第三者の視点から、ライブドアをはじめとするいくつかの企業の勃興と消滅、その過程での粉飾を扱った作品です。公開会社あるいは株式公開を目指すベンチャー企業がいかに怪しい人間の誘惑に屈して崩壊していくのか、そうした可能性がいかに身近なのか、に気づいて慄然とさせられる(創業者利益を得たい間抜け経営者が率いる零細ベンチャー、というのは労働相談における頻出テーマです!)、淡々と描写されているわりにはインパクトのある一冊で、これも一気に読ませてくれます。

 なお、上記二冊はいずれも名古屋市立図書館に所蔵があります。おそらくは相互貸借できる範囲に所蔵している図書館があると思われますので、べつに購入をおすすめする趣旨ではありません。

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