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2008年9月

ご乗船は計画的に?

ご乗船は計画的に?
船に乗り、九州へ行くという、日常。

今日は17時発のアーバンライナーで名古屋発、所定では19時08分難波着で19時13分発の地下鉄に乗りかえ、住之江公園で6分待ちでニュートラムに乗りフェリーターミナル19時41分着、19時50分発の船に首尾よく乗り込むことができました。先行列車が『鹿』と接触したとやらで難波着が3分遅れましたが。
もし船に乗り遅れても、明朝大阪始発の新幹線に乗ればどうにかなるさ、とタイトな行程を組みましたが、僕よりさらに遅い乗船者があった模様です。

今日は団体が複数入っており、食堂が混んでいます。

いつもより揺れていますが、一杯呑むとしましょう。乗船直前に、二年がかりの労働訴訟の和解金が、無事支払われたと連絡がはいりました。

倦怠特急難波行

倦怠特急難波行
目覚めれば米国株は結構な下落。既に昨年、変額保険の特別勘定を株式型から債券型にスイッチングした僕は、投資家としては大変呑気に眺めています。むしろ買い場かも。

さて明日の傍聴では、僕はすることがありません。証人の値打ちを釣り上げて法廷という市場で売り逃げし、買い手が飛びつけば(裁判官が証人を採用すれば)それで僕の仕事は終わり。あとは証人たちがやりたいようにやり、その方向は明らかに悪いほうに向いてるが僕にはどうしようもない状況。

本人訴訟が持つ魔力というべきなんでしょうか、やってるうちに『戦うこと・勝つこと』がそれ自体目的化する人がいます。それは厳に慎まなければならず、それを抑止するのが司法書士の仕事の一つなんですが、訴訟途中からの関与ではそれも無理でした。本来やるべきでない専門外の仕事ですが、せめて何かを学んで帰りたいものです。

その過払い金、どうされますか?

 いろんなしがらみがあって今年前半までは他事務所からの紹介を通して受けていた債務整理のご依頼。今年第三四半期の新規受託実績はゼロです。自力での依頼誘致能力がつけば(つまり、何らか説得力あるウェブサイトのコンテンツを作れれば)、いずれは受託再開するつもりです。別段無理に忌避すべきしごとでもないし、年金&保険&労働の知識を動員して対処すべき事案も結構ありそうに見えるので。

 依頼が一時的に下火になってきた一方で、入金はピークにさしかかりつつあります。数ヶ月前に受けたご依頼のうち、過払い金返還請求訴訟を起こして入金につながったものが結構出てきているため。なんだかんだと言いながらも今月と先月はそれぞれ7ケタの金額の入金があるのですが、つまり依頼人の皆さんのお手元にも相当の!お金が残っている…はずです。

 が、しかし。

 どうも気になることがあります。彼らが手にした、時には数百万円の過払い金は、時として右から左へ流れ去ることがあるようなのです。

 類型は大きく三つに分かれます。

  1.  財務状況が一向に改善しない人。こちらに報告はないが、なにか債務を抱えており、百万円を超えるお金を手にしてもそちらへの支払いに消えるらしい。
  2.  つつましやかにやっていける人。家族がしっかりしていて、本人が債務整理に入るにあたって周囲の精神的支援あるいは監督が得られる場合が多い。そうである限り老若男女不問で出現する類型。
  3.  かえって財務状況を悪化させる人。過払い金の返金をなんらか『収入』と勘違いしているのか、生活態度(お金の使い方)が派手な方向に遷移する。なにより悪いのは、それを適当に正当化する理屈をもっており周囲の説得に耳を貸さない。この場合、依頼が終わって借金のない家庭は残ったが、金遣いの荒い家計を作り出すことになりかねない。

おそらくは人の一生において、過払い金の返還のようなかたちでお金を手にすることは一生で一度のことだとおもいます。そしてそれは、はっきり言えば法定金利を払った残りかすであって収入でもなければ貯金でもない。そのお金の使い道にはよほど注意しないと…なるほど生活を誤ってかえって不幸になりかねません。中には非常にしっかりした人がいて、『たとえ過払い金がどれだけ入ってきても、これまで通りの暮らしを続けなければいけない』と言う人もいます。一時金に頼らない財務状態を実現するという点で、これは正しい。

もう一歩すすんで、過払い金のみならずお金とどう向き合うか…を考える際に役に立つ本を、実は何人かの人に(お客さまであることもそうでないこともあります)紹介しています。

2001年に出た初代と2008年版とありますが、おそらく初代のほうは各地の図書館にあると思います。

さてこの本、特に2001年版のほうは言ってることは題名よりずっと『凡庸かつディフェンシブ』(文中の表現より)です。乱暴に要約すると

金融商品をあれこれ探し回るより

  •  家計簿をつけ
  •  節約し
  •  仕事しろ

以上で内容の3分の2(苦笑)

 ただ、これこそが正しいことは本書を通読すれば実によくわかります。僕の友人に、債務整理の依頼に来た人に『まず、家計簿をつけさせる』という対処方針をとってる司法書士さんがいますが、この判断と根っこで通じているものがあります。お金を増やしたい人にも借金を減らしたい人にも共通の重要な知識はたしかにあって、それを身につけさせる体系的教育はまだこの国にはない以上、自力で教材を探して学ぶしかありません。その最初の一冊として誰にもおすすめできる健全妥当な内容を、この本は持っています。2008年版はちょっと『投資』の記述の割合が増えてしまって少し残念な気はします。ただ、巻末の数ページにどうしようもない投資勧誘本たちの書評が追加されたのは結構笑えます。

 ところでこの本、当事務所に置いてあったはずなんですがなぜか書棚にありません。これまで何人かの人に強引に貸して(押し貸しして?)きたので、誰かの所に行ってしまったんでしょうか?

何か 新しいことを

何か 新しいことを
営業終了後のレストランの席を開放しているのは、毎回ながらありがたいことです。

時刻は22時43分。名門大洋フェリー2便船に乗船中です。離れたところでトラック運転手達がいつも通りに悪酔いして騒いでいますが、この方々と某国人団体客が騒々しいのはお約束で、不満に思うほうが間違ってる、と観念しました。

さて今晩の作業は、割増賃金請求訴訟に添付する労働時間計算用の別表をもう少し作り込んでいます。最終的にはある程度汎用性を持たせたものをExcelに移植して、ウェブサイト上で提供しようと思っています。このほかいくつかの書式も公開のために加工しています。なんとか今月中にこれを公開して、さらにコンテンツを増強したいのです。来る依頼を全て受けていては、長期的な依頼増加のビジョンが立たなくなってしまう、そんな焦りがあります。来年は簡裁代理権を取ることと、それより重要なのはファイナンシャルプランナーの資格は仕事に直結するのでぜひとも欲しいところです。

『真の幸せ』5分だけ

『真の幸せ』5分だけ
肥薩線真幸駅です。列車はここで5分止まります。

真の幸せ→真幸、ということでプラットフォームに幸せの鐘が設置され、幸せになりたい程度に応じて1〜3回鳴らすように、とのこと。

その光景をみながら、考えこんでしまいます。

僕がこの旅の前後で会った人たちなら、はたして何回鳴らそうとするでしょう?

どうみても困ってそうに見えない人、紛争解決への道筋がおかしな人、おっかなびっくりではあるが僕と歩きだそうとする人、敗北への道を、みずから選んだ人、勝利をかみしめる人。

彼らはその時点ではその選択を是としたわけですが、さてそれが幸福につながるものかは全く不明です。

ちなみに僕は、その鐘を鳴らす気にはなれませんでした。

溶岩道路に日は落ちて

溶岩道路に日は落ちて
入り江の小さな集落を飛び越える県道の白い橋。

高台のバス停から見下ろせば、山を駆け降り海を目指して歩みを止めた溶岩とうち捨てられた家々の屋根の赤みがかった茶色。

不思議なコントラストのバス停に佇み、バスを待ちます。

今夜は桜島の麓の温泉に泊まりますが、見事なまでに飲食店などないところです。しかたがないのでいったんフェリーで市内に戻ります。

…今回の出張、どこかで調子が違っています。

のんびりきっぷで急いで行こう

のんびりきっぷで急いで行こう
ある相談者に今週の予定を伝えたら、なにかとても大事なことを伝える口調で、かつ自信たっぷりにこう言われました。

鹿児島ねぇ…遠いよ〜
当たり前のことをあれだけ重要そうな態度で伝えられるってのは一種の芸です。参りました。
今日は昼過ぎに鹿児島に到着せよ、というご注文です。

ただし、九州新幹線の利用を可とするありがたいお達しをいただいています…が。

これは料理が難しいご希望です。いつもなら一万円で九州内バス乗り放題のSunQパスを使うところ、博多−鹿児島中央片道だけで八千円以上かかる新幹線を使ったものかどうか?
いろいろ探したら、このきっぷが見つかりました。『霧島・指宿のんびりきっぷ』は、在来線新八代−鹿児島を含む乗り放題の区間と発地からの往復の特急が利用でき、博多から12000円。そして、片道だけは鹿児島まで新幹線が使えます。

さて、昨日で今月提出分の裁判書類はなんとか作り終わりました。

今日は少し、いい宿に泊まることにします。
何かに疲れたらしく、なんだか妙な肩こりがします。

今日は嬉しい新幹線

今日は嬉しい新幹線
昨日あたりから、スイッチが入っています。
鹿児島スイッチが。

頭の一部が早くもJR九州管内に行ってるのですが、その前に試練が待ってます。関東と関西へ各一件、新たな裁判書類を送りださねば出発できません。

昨日は労働相談の開始が遅れて、仕事が終わったのは午前一時。今朝仕事を始めたのは朝六時前。17時台の新幹線に乗れず21時発福岡行きのバスが満席なら明朝の飛行機(自腹!)で行かねばならんかな、と思いつつ書類を作成し校正し印刷し編綴し…

15時。全書類の発送準備が完了しました!

今日の殊勲賞は、証拠説明書が作成できるようになった補助者さまです。彼女の奮闘のおかげで、17時22分発のひかり号に余裕で乗ることができました。

ポケットには、金券やさんで買ったひかり・こだま自由席用早特きっぷが入っています。これでいつもより千円ちょっと、安くなりました。

お天気がよくなったので

お天気がよくなったので
客室のカーテンが電動なのには笑ってしまいました。

が、しかし。

台風一過の朝の演出としては納得です。眠気と国会図書館への予定が、同時に吹っ飛びます。

りんかい線で、東京テレポートへ行くことにします。船の科学館には、以前から行ってみたかったのです。

お台場の上空は、青空が広がってきました。

○○町で、逢いましょう

○○町で、逢いましょう
ブログで出張日程を公開したのは2日前。あれよ、という間に3件のアポイントメントをいただきました。

永田町の国会図書館で。

浜松町の喫茶店で。

そして最後に、有楽町の焼鳥屋さんで。

最後の一件は、二年越しの訴訟に勝って呑むお酒。後の二件は、まだそこには至っていません。皆さんそれぞれと、一時間半〜二時間話し込んできました。まさにそれがミソなんで、まぁあんまり遠慮したり恐縮したりしないでいただきたいものです。

善行が報われたか悪運が強いのか、今晩のホテルもシングルの値段でダブルのお部屋への格上げが発動されています。
そろそろ東京は暴風域に入りそう。ほどよく酔っ払ったところで、朝寝してやり過ごすとします。

雨で 遅延で 渋滞で!

雨で 遅延で 渋滞で!
いつになったら知立市から出られるのでしょうか?

刈谷駅南口をいつも通りに6分遅れで発車した我らが知多シーガル号は、予備車が充当されたらしく3列シートの車両です。が、前列のAB席を爺婆さまがフルリクライニングで眠りこけており、トランクに置くべき大荷物との合わせ技で僕の指定席を封鎖中。

さらに、知立市の名物とでもいうべき朝の車両集中渋滞のおかげで知立駅北を30分以上遅れて発車し、まだ高速に乗れません。

ここから東京までで回復運転がなされるか漫然と増延するかは運転手の気分次第、らしいです。ああ(嘆息)。

今週は東京へ 来週は九州へ

 さしたる用事がなくても、月に一度は国立国会図書館へ資料漁りに出かけることにしています。もちろん、できるだけ他の用事もこなしてしまおうとするため日程がなかなか決まらず、ようやく今週末に行けることになりました。いつも使っている両国のホテルでなく、りんかい線沿線のホテルを選んでみます。たまたま通常価格の50%offの宿泊プランがあったので。

 ベイエリアのホテルに一泊12000円出しておきながら消費行動のどこかに矛盾があるような気もしますが、往復の交通機関は例によって高速バス。知立-東京間を知多シーガル号昼行便(往復7600円)を使うことにします。ですので19日午後から20日昼過ぎまでは東京都内にいられることになり、すでに一件相談のご予約をいただきました。

 で、来週は晴れて鹿児島への出張確定。23日大阪発のフェリーで九州上陸、25日まで滞在となるはずです…が、どうせ九州内3日間バス乗り放題のSunQパス全九州版を使うので、もう一日いたいような気もします。今月は、あたらしい労働関係の裁判手続きのご依頼を二件いただいており、あと一件が今週の東京出張で決まってしまえば今月の依頼受け付けは停めてしまわないといけません。激しく動いているように見えてあまりお金はかかってないのがミソなので、出張中に経路上で一件なにかご依頼があれば、実は交通費をもらわずに相談をしても特に事務所経営上負担にならなかったりします。

 で、『経路上』とは言うものの、なんらか乗り放題のきっぷを使えるエリアであれば大抵が経路上に相当するわけで、9月24日から25日の間の九州地区は、和布刈から坊津まで片っ端から『経路上』です(失笑)ただ、お客さまの決意として『交通費を支給するので、出張相談を希望する』とのお達しがあった場合には、たとえ交通費を請求せずともかなりな優先度をもって出張設定しています…実は、ね。

本人訴訟の反対尋問を考える その3

これは9月13日付 本人訴訟の反対尋問を考える その2の続きです。

さて前回までの記事では反対尋問の目的・やってはいけないことを眺めてきました。では具体的に何をどうすればよいか、をできるかぎり説明していきましょう。

ところで、本人訴訟をおこなうひとが専門家に明らかに優越しうる要素があります。

それは、その訴訟に投入できる時間が文字通り採算を度外視して大量に確保できることです。弁護士でも司法書士でも、結局のところ彼らからすればお客さまの事件は、彼が扱う複数の事件の一つに過ぎません。納得いくまで資料の精査と尋問の計画と依頼人との打ち合わせに時間を投入する、ということはなかなかできないものです。これに対して自分で訴訟をやっているならば、文字通り自分の気が済むまで好きなだけ時間を使えます。

ではこの時間、どう使うのか?簡単に言えば、いま手元にある書類の検討です。

そう一言で言えば、意外と地味かもしれません。少なくともドラマティックな逆転劇や、証人がやり込められたりする情景の期待はするだけ野暮な妄想です。

5.すべてを疑え! -まずは陳述書から-

 証人尋問または当事者尋問の直前時点で、手元にはどんな書類が集積されているでしょうか?当事務所で一般的な労働訴訟のように、請求額が数十万円でも使用者側にはしっかりと訴訟代理人がついている場合には、出廷する証言者の『陳述書』が書証として出てきているはずです。事案により、二ページから十数ページになるこの陳述書、相手側の当事者からであれば向こうにとって(真偽はともかく)都合のいいことが羅列してあるはずです。そのうちいくつかはあなたからみて真実に反していたり、あるいはウソに見えたりするかもしれません。一部では一致していることも多々あります。

 まずここでは、その記載内容にいちいち目くじらをたてるのはやめましょう。胃に穴があくだけです。さしあたり、この陳述書をよく読んで

  •  彼らが主張したい、物語がどんなものなのか

 をよく把握しておく必要があります。さらに具体的には、

  •  そうした物語を語ることで、彼らになにかいいことがあるのか

 をあちら側の身になって考えることができれば、なおよいでしょう。

 お客さまに面と向かって言うことはほとんどないのですが、実のところお客さまが言うことばかりが真実と一致している、というわけでもないのです。場合によっては相手側の陳述のなかに一抹の真実が混じっていることがあり、当事者から相手方当事者の陳述をみたときに、陳述が食い違っている点を相手側のウソだと決めつけることで得られるものはなにもありません。むしろこちらの記憶と違う理由を冷静に考えて、そうした陳述がでてきた理由を探索したいところです。場合によっては相手の・あるいは双方の記憶違いということもありますからね。自分のアタマだけが確かではない、というのは作業にあたってつねに留意しておかねばなりません。

 さてここからは人海戦術です。まず相手側の陳述書を中心にしてそこに書いてあることと

  1. 相手側が出した、ほかの書証
  2. こちらが持っているが、相手の捺印があるなど相手側が作成したことがかんたんに立証可能な書証または書類
  3. 相手側作成の、答弁書・準備書面など裁判書類
  4. 物理法則・気象現象・報道された事件・歴史上の事実・地理的な位置関係・官公署への登録など、こちら側で資料を調達でき、その真正さを疑う余地がない情報
  5. 普通の人が共有できそうな常識

これらと矛盾が生じないかを、片っ端からチェックするのです。これは結構苦痛な作業ですが、時に恐るべき攻撃力を反対尋問者に与えます。さらに、上記1~3の相手側の手になる各書類についても、それらを中心にして同様の検討作業を繰り返してみるべきです。

 特に、相手側に能力的に問題がある代理人がついている場合、先週提出した当事者の陳述書と半年前に提出されている準備書面が、おなじ代理人の手をへて作られたにもかかわらず全然違うことが書かれていて整合がとれない、ということはしばしば発生します。

 こういう点は、訴訟で争っている部分であれば容赦なく反対尋問で襲いますし、仮にそうでなくても尋問の冒頭にいきなり敵性証人の矛盾を叩いて動揺させるネタとして使えます。

 相手側が出してきた答弁書と証人尋問での陳述は一致するが、過去に自ら作成した書類とは大矛盾を起こす、ということもあります。僕自身が過去に、雇い主である土地家屋調査士・行政書士を訴えた訴訟では、被告の主張では僕を解雇した事実はなく、自己都合退職であった、とのことでした。

 これに対して僕は、その訴訟の1年8ヶ月前に解雇された時点で雇い主が発行した、離職理由を解雇とする離職票(公文書ですので、上記2に相当)を持っていましたので当然これをぶつければよい、ということになります。

 人はある程度前のことを、あまり厳密には覚えていないようなのです。僕は解雇から訴訟提起までの期間が結構長かったのですが、それがこちらにプラスに働いた例といえましょう。ただ、こうした間違いは相手側にしっかりした弁護士がついていれば容易に防げたはずです。自ら作成し提出した離職票の控えは会社側にも保存されている可能性があり、その記載事項の確認を求めていればよかったのですから。

 ここでは、手前味噌ですが『その専門分野に通じた人』の協力を受けて資料を精査することの重要さも示すことができるでしょう。法学部を出て司法試験に受かって中小都市で普通に事務所を持っていれば、離職票の実物なんか見たことない、という訴訟代理人が存在していても不思議ではありません。もし使用者側が、自分が残した『解雇の痕跡』を精査できたならば、当然にこの離職票をこちらが持ってる可能性には気づくことができ、その存在に適合するウソを作って出してくることも不可能ではないのです。

 陳述書でもない紙切れに、敵の向こうずねを蹴飛ばす手がかりが隠れていることもあります。その効果は、事案によりまさに暴力的です。

-以下の説明は、実際の事案を一般化のうえ改変しています-

 不倫による慰謝料請求の被告事件、つまり慰謝料を請求されている側で反対尋問対策をしたことがあります。

 慰謝料を請求している原告は『夫に浮気された妻』。当然ながら、不貞な行為があった時点でいかに自分と夫の夫婦仲がよいかを強調するのが彼らの主尋問の目的です。こちらは慰謝料減額のために、夫婦関係の破綻を主張したいところ。

 原告側は、甲第10号証として旅行の申込書を出してきました。つまり夫婦二人で旅行の申し込みをしており、一緒に行くほど仲がよかったんだ、と言いたいようです。こちらの依頼人は、その時点で夫婦仲は壊れており、旅行になど行くはずがない、と言います。真実がどこにあるかは、僕にはわかりません。申込書を書いたのは原告である妻のようですが、その申込書の記載をよく見ると、そうした旅行会社もパックツアーも実在はするようです(当然そこまで調べます)。でも?

 ・・・夫の誕生日が全然ちがいます!そこで。


 当事者尋問の日。被告側は漫然と反対尋問に入ります。

反対尋問者:(素人っぽく棒読みで)甲第10号証はご夫婦で旅行に行ったというものですね?

原告:ええ、そうです。

反対尋問者:(無表情で事務的に)この申込書は、旦那さんのぶんも含めてあなたが書いたんですか?

原告:はい、私が書いて手配して、旅行中も何から何まで夫の世話をして夫も喜んでくれて…

反対尋問者 目線で傍聴席の僕へ:(かかりましたね)

僕:(どうぞ、おやんなさい)

反対尋問者:つまりとてもご夫婦の仲がよかった、と?

原告:(自分がいかに献身的で、夫はよき夫だったかを滔々と語る)

反対尋問者:では甲第10号証の旦那さんの誕生日の日付をみてください!あなたが書いたのは昭和35年10月5日となってますが、甲第3号証戸籍謄本では旦那さんの誕生日は昭和33年8月12日ですよね?そんなに仲がいいはずのご夫婦が、相手の誕生日を覚えていないものなんですか?


この後の原告さんがどうなったかには言及しません。ただきっと、彼女にも人を訴えることの恐ろしさは伝わったと思います。これは、相手側が出した書証と、こちら側も持っている戸籍謄本の記載(夫の誕生日)が全然違っていることを利用して、相手側の陳述の信憑性を破壊するかさもなくば証人を動揺させることを狙って放った反対尋問ですが、少なくとも後者の目的では成功を収めたようです。

即座に提出可能なかたちでなくても、科学上の知見と実は全然食いちがう事実については、ハッタリ半分で叩いてみることもできます。

 ジュースをこぼして部屋を汚したことによる損害賠償請求被告事件での反対尋問対策。原告はどうやらチンピラまがいの半端者。でも小金は持ってるようで、いちおう訴訟代理人をつけています。相手がつくってきた、第三者の陳述書で

 汚した物件には、夜にもアリがたかってきた。それを原告と被告と第三者で駆除した

 という記載がでてきました。つまり損害の大きさを強調したいわけです。

 さーてさて。アリの生態に関する研究によれば、アリは一般的に昼行性(昼間に行動する)の生物なんだそうです。ただし、気温の高い時期には一時的に、夜行性に転換することもあるのだと。よってこんな尋問計画をたてました。

反対尋問者:甲第3号証は●●さんの陳述書ですが…『午後10時頃部屋にきて、私とあなたと●●さんとでアリをつぶしていた』ということですね。覚えはありますか?

原告:覚えています。

反対尋問者:では昼も夜もアリが入ってくるんでしょうか?

原告:もちろんそうです。いまも一日中アリがたかって困ります!

反対尋問者:ところであなたは、アリが昼間にのみ行動する昼行性という性質を持っていることをご存じですか?

 これなんかは冷静にウソを言ってくれれば、こちらは引用文献を所持していないためそれ以上突っ込めなかったのですが、あわれな原告は結構見苦しい姿をさらしてくれたようで。一時的に夜行性に転換するというところをもし相手方が知った場合にそなえて、「夜も昼もアリがくるのか」という設問にしてあります。これだと、アリが昼行性なら「夜アリを見た」のが真実と相違、夜行性なら「昼にアリを見た」のが真実と相違、という線で陳述の信憑性を弾劾できるのではないか、と。

 さて上記のアリの例などは、さらりと言われれば『そんなもんか』と見過ごしかねないものだと思います。「私は、深夜にアリがたくさん歩いているのを見ました」と言われて、そりゃねーよ、と即座に突っ込める人がどれだけいるもんでしょう?僕も実は知らなかったのです。

 すべてを疑え、と冒頭で言ったのを徹底的にやってみたらこうなったのですが、さすがに賃貸住宅の原状回復請求訴訟でアリの生態を持ち出して反撃されるとは誰も思わないでしょうね(笑)

 あとは、そうやって見つけ出した突っ込みどころをどう使うか、が肝心です。これは正解がない世界ですが、わりと成功しやすい事例を中心に説明していきましょう。

 


 ところで。

 この反対尋問というもの、まさに経験が命なんですが、それを考えると司法書士の簡裁代理権が制度化された直後に債務整理&過払い金返還という一大業務分野ができちゃったことで、実は司法書士職能が業界として反対尋問の経験を蓄積するのを数年以上遅らせてしまっているのではないか、と少々不安です。ま、僕のようにお行儀の悪い人間が心配することでもないんですけどね。でも僕にとっては尋問の傍聴は、とても大事な時間で、こればかりは交通費こっち負担でも出かけたいところです。

2020.12.20修正

本人訴訟の反対尋問を考える その2

これは9月8日付本人訴訟の反対尋問を考える その1の続きです。

さてさて今週一件、その反対尋問を実施したお客さまがおられました。残念ながら僕は傍聴できなかったのですが、終了後の彼の連絡によれば

楽しかった

とのこと(苦笑)

この訴訟、期日続行となったため尋問調書がつくられます。楽しみにするとしましょう。

そこでいったいなにが起きたのか?なにができるのか?を考えていくとします。

1.そもそも反対尋問とは?

民事訴訟法の正確な定義からは少し離れます。反対尋問っていったい何か、というと、

こちらが呼んでいない証人あるいは敵対側当事者に、敵対側の当事者あるいは訴訟代理人からなされる尋問(主尋問)のあとで、証言した人に対してその証言の信憑性を減少させるか当方有利の証言を引き出すために、こちらからおこなうことができる尋問

と考えておけばよいと思います。ただし、こちら側に有利な証言を引き出すこと自体は主たる目的とはなりません。あくまで証人を呼び出したのは敵対側であって、その敵対側がその尋問によって立証したいことがらを離れて無制限に何か聞けるわけではないのです。これをわかっていないと、自分では肝心な尋問と思ってるところで敵対側の訴訟代理人から異議が出て足下をすくわれることもありますし、裁判官から制止がかかることもあります。

2.では反対尋問で何をめざすべきか?

 前項では反対尋問は、敵対側の証人・当事者(本論では、敵性証人といいます)の証言の信憑性を減少させるか、あわよくばこちらに有利な証言を引き出すことが目的、と言いました。

 このうち現実的に可能なのは、だいたい前者=信憑性の減少あるいは破壊です。

 ただし、請求額が少額な労働訴訟に出てくる訴訟代理人は時として非常に間抜けなため、さしたる打ち合わせもせず予備知識も与えずに自分の顧客を反対尋問にさらすことがままあります。粗雑な代理人と粗雑な社長がコンビを組んだときによく発生する事故の一つです。ただし、これは天佑に恵まれている必要があり、狙って実施することはきわめて困難です。さらにいえば、信憑性を減少させることとこちらに有利な証言をとることは同時に狙うことも難しいです。両者を同時に狙って実現してしまった場合、『こちらに有利なこともしゃべったが、全体として信頼できないやつだ』という評価を第三者(裁判官)に与えることになってしまいます。

 話をもどします。では、さしあたって敵性証人の証言の信憑性を減少させるにはどうしたらいいのでしょう?

3.より怪しい証言の実現のために -人のふりみて我がふりなおせ-

 こちらと立場が対立しており、好き放題に(あなたが認識している真実とはちがう)事実の描写をしゃべりまくる他人に対して、なにを聞いたらそのお話の信用性を破壊できるでしょうか?

 あなたウソついてるでしょう!あなたは××だといってますが、本当は●●なんですから?なぜそんなウソをつくんですか!?

 などと指をつきつけて叫んでみるのは、馬防柵を備えた鉄砲隊に騎馬隊で突撃するのとおなじくらい雄壮で馬鹿で無駄です。気持ちイイのはやってる本人だけで、そうした法廷では法壇では裁判長が居眠りしており反対側当事者席では訴訟代理人が眠気をこらえており傍聴席では代書人がお客さまに『これは悪い見本』というメモを回している、というような光景が展開されていることが多いです。

 そんな調書にも尋問にも接しましたが、やっぱりそうした反対尋問者はたいていどうしようもない尋問ごっこに憂き身をやつしており、そしてなによりほとんどの場合、その反対尋問者は第一審で負けています。

 この『第一審で負けている』というのが、皆さんが反対尋問を準備する際の留意事項の一つです。もし真剣に反対尋問を準備しているならば、どこか高等裁判所の本庁(支部ではない)がある町に出かけて、高等裁判所の証拠調べのうち

  1.  控訴人に訴訟代理人がついておらず(本人訴訟で)
  2.  開廷表に弁論でなく証拠調べと書いてあり
  3.  開廷予定時間が1~2時間程度と長い

 そんな期日があるならば、ぜひ傍聴してみることをおすすめします。運がよければ平日の半日をさいて他人の裁判をきいただけの収穫が得られることがあります。ところで上記三点の性質をもつ訴訟というのは

  • 控訴人が控訴している、ということは、まさに控訴人が第一審で負けたことを意味しているわけですが、第一審で『敗訴の判決を得た』ということは、なんらか事情があって和解に失敗した可能性が大きく、その中には控訴人が和解という落としどころを見いだせなかったか、さもなくばパーソナリティに問題があるか、ごくまれに訴訟を起こし維持するのがご趣味であるがゆえに和解に至らない、ということも期待できる
  • 控訴人に訴訟代理人がついていない、ということは、自らの意志で代理人をつけることを拒否したほか『受任してくれる人がいない=誰にも相手にされていない=請求あるいは控訴人の人格に何か問題がある』という事案もあり、やはり控訴人に問題があることが期待できる
  • これは基礎的なことですが、開廷表に証拠調べと書いてあり開廷時間が長いということは、なんらか理由があって控訴審においてもしっかり時間をとって証人尋問が行われるものである

 以上によって、ある程度ヘタな素人が生半可な知識や経験をもって、おかしな反対尋問をやってくれることが少しは期待しやすい事案というのは控訴人本人訴訟の証拠調べ、ということになります。こうしたセレクトをすると、名古屋高裁にあっても、時としてぞっとするほどひどい尋問をお客さまに見せることがままあります。

 この想定自体がひどく贅沢なんですが、これが簡裁の本人訴訟だと単にまともな人が粛々とあたりさわりのないことを聞いておしまい、ということが多々あり、地裁第一審の本人訴訟も件数は相当あるものの玉石混淆で見分けがつきにくく、なかなか『ヘタな尋問』を狙って傍聴しにくいのです。そこでの尋問がいかに失敗しているか!をまずよくみること、そしてその轍をふまないことが重要です。

 当然ながら上手な・あるいは普通の尋問、というのもみておく必要はありますが、これはべつに『なにかのついで』でかまいません。尋問自体が成功しているかどうかの判定は時に難しいし、予備知識なく傍聴してあきらかにわかるような反対尋問側の勝利、というのはそれ自体が珍しいのです。みられるとは期待しないことです。これは、適当な地裁本庁あるいは支部にでかけて、双方に訴訟代理人がついている訴訟を適当に傍聴すればそれでよいでしょう。大都会の裁判所でなければ、労働訴訟でしかも証拠調べまで行く訴訟はそんなに多くなく、したがって傍聴の機会もあまりありませんので、事実関係や価値判断ががなるべく対立していそうな類型の訴訟(交通事故とか建物明け渡しとか)を傍聴するのがよいかと思います。

4.いったい何が悪いのか?

 もし幸運にも、誰かヘタな反対尋問をみることができたとして、いったいその人の何をみればよいのでしょうか。これを考えてみます。これから反対尋問の計画をたてるにあたっては、そうした不適切な行為を、ともかく避けなければいけません。

 第一 とにかく相手の言うことをウソだと言わねば気が済まない

 これは単純に困ったやつ、なんですが本当に実在します。テレビドラマの登場人物じゃあるまいし、法廷でそんなこと言ったって証人は怒るか心を閉ざすかするうえに上から見ている裁判官の価値判断は決して反対尋問者に傾かず、言ってプラスの効果は何一つ発生しません。よほどはっきりと明らかな虚偽の証言が出てきたときならばともかく、そういうときにはウソだという言葉をつかって糾弾する必要そのものが消滅しており、やはり無駄です。

 ちなみに当事務所での打ち合わせにおいても、僕はお客さまに『相手がなにを言っても、根拠なくウソだと決めつけてはならない』旨を徹底させています。…が、これは僕が人格的にすぐれているわけではなくて、性格の悪さをそれとわからないように最大限発揮させようとするとそうなる、という面もあります。

 第二 相手の論理に自分の論理で反撃したい

 これは無益です。残業代請求訴訟の被告会社側から課長が出てきて『原告さんに残業を指示した覚えはありません』と言っているところに原告労働者が反対尋問で『あなたはウソをついている!』というのは、上記の通りただの間抜けで論外です。では反対尋問で『あなたは残業を指示したでしょう?』と聞くのはどうか、なんですが、こちらは単に言った言わないの水掛け論で終わるだけです。まず間違いなく、こうしたものの聞き方は無駄です。同様に、自分の価値判断を押しつけるのも無駄です。無駄であるどころか、証人に余計にしゃべらせて証人の陳述を補強するチャンスをくれてやることになりかねません。危険です。

 さらに専門職の証人に対して『あなたは専門家なんでしょう?だったら●●するものでしょう?なぜしなかったのですか?』などと聞くのは、その●●がよほどの基本的な事項であれば格別、実際に争いごとに関わるような微妙な点ではほとんど役に立ちません。かえって反対尋問者がご都合主義的な人物であることを暴露するだけです。よって打ち合わせの際には、これも避けるように指導しています。

 ただし。間抜けな素人のふりをして、わざと無益に見えるこのタイプの質問をぶつけて敵に余計にしゃべらせ、実は重要な証拠や指摘していなかった矛盾をつきつけてどうにもならないところに追い込んでしまう、という作戦計画が実行可能なときにはこうした質問を行わせることもあります。

 第三 相手の陳述や主張を把握していない

 これがすごいのは…

 時として訴訟代理人にこのレベルのお方が出現することです!

 いったい何かというと、わかりやすい例えで言えば『永田町さんが霞ヶ関さんにお金を渡したのをみました』と言った証人に『あなたは霞ヶ関さんが有楽町さんにお金を渡したそうですが…』と尋問に入るプロの反対尋問者をみたことがあります。

 当然ながら、尋問そのものが当然に破綻します。ですが当然ながら、入念な準備によって回避できます。そんなやつ本当にいるのかよ、とお思いかもしれませんが、いわゆる『伝言ゲーム』でデータがいかにゆがんでいくか、を考えれば、ありえないことではないと思いませんか?

 第四 証拠提出のタイミングが適切でない

 これもテレビや映画の悪しき影響なんでしょうか?素人の反対尋問者には、敵性証人からなにか決定的(に、みえる)供述をとったあとで、それを弾劾する書証をその場で提出してドラマティックに逆転をはかりたい、という行動をとる人もいます。

 が、期待するだけの破壊力が、その書証にありません(脱力)

 あとは、証拠説明書を添付してないとか、反対当事者側に渡す写しを取ってないとか、なんだか基礎的なところで間違っている、という人もみたことがあります。これではお話になりません。また、裁判所は一般的に、証拠の提出が遅れることを嫌うので、よほどのことがないかぎりやってはいけない作戦行動だと考えます。

 素人として避けるべき重要点はこのくらいだと思います。尋問者としてとるべき態度はまだいくつかあるのですが、それは後日お話するとしましょう。できればあと三回くらいで、計画のたてかた、基本的な戦術、成功例を説明できればと思います。

古典を探しに、図書館へ

古典を探しに、図書館へ
すぐに発車する快速みえは、いつも通りに混んでいます。

特に急ぐわけでもないので、10分後に出る四日市行きに乗ることにしました。

今日の目的地は、四日市市立図書館。『反対尋問の技術』という、業界内では必須の古典書(邦訳は絶版)の、同じ著者による文庫版が四日市の図書館にあるのです。愛知県内では津島市立図書館にあるのですが、ここは駅から徒歩圏外。

ということで、秋の午後を本一冊のために出かけます。

内容によっては図書館相互貸借を使ってどこかの大学の図書館から借り出すところです。まずは現物を拝んでみるとしましょう。

さて来週以降、労働事案であたらしい仕事が二つ始まることになりました。今月も、そろそろ依頼の受け付けを停止しようか考えています。

本人訴訟の反対尋問を考える その1

 司法書士の支援を受けた本人と、弁護士を代理人にした相手側との法廷における戦いで、もっとも本人側が危うい状況になるタイミングがあります。(ここでは、地方裁判所そのほか司法書士が持つ簡裁代理権が及ばない訴訟を考えています)

 当事者尋問および証人尋問のときです。

 この局面でだけは、プロフェッショナルの訴訟代理人がもっている『必要で可能なことならば、いつでも何でもできる』機動力を痛感させられます。歩兵と戦車の戦いのようなもので、見通しのよいところで単純に衝突したら歩兵(機動力に欠ける当方)は勝てません。ただこの戦いでは、歩兵を支援する長距離火力(法律の知識と書類作成能力)の持ち主としての司法書士の存在によって、両者の戦力がある条件下で拮抗します。

 さて、では司法書士に援護される本人は、敵側の証人あるいは当事者をどう反対尋問するのがよいのでしょうか?そんなことを考えてみます。

 なかには思い切り見当違いな人もいます。反対尋問を実施しているつもりでひたすら空転しており、やることなすことすべて裁判官にたしなめられてばかり、という控訴審の当事者尋問を傍聴したことがあって、これは僕のお客さまの事案ではなく、僕がお客さまを連れて傍聴に行ったら、たまたまそんな悪い事例を目にすることができたというもの。

 いっぽうで、能力の高い弁護士さんの反対尋問は、時として話芸の域にはいります。敵性証人にも穏やかに話しかけ気分よく陳述を引き出しながら、

 ところで、あなたさきほどはこう言ってたんだけどね

 と言って退路を断ってバッサリ斬るような尋問を、これも僕のお客さまではない事案でみたことがあります。

 僕の場合は、基本はまさに歩兵と戦車の戦闘に類似する作戦計画を立てます。

 お客さまには、とっさの機転や当意即妙の反撃は残念ながら最初から期待しません。念入りに資料を検討し、相手が必ず進んでくる進路周辺に陣地(あらかじめ計画された、尋問の組み合わせ)を構築しておき、相手がそこに入ってくれば(主尋問で言及があれば)迎撃する、という活動を行います。つまり反対尋問実施前の、『どんな尋問をするか』という準備が命になってきます。

 一度だけ、ある人が『(証人尋問が行われたら)私が反対尋問で論破してみせます』と力強く断言したのを聞いてしまったことがありますが、

 そんなもん、プロでも無理です。敵を知らずして己を知らざれば、百戦してなおあやうし。

 考えてみましょう。もしそんなにホイホイと反対尋問が成功してしまうならば、弁護士時代のリンカーンがおこなったとされる反対尋問が業界内で伝説になってるはずもありません。反対尋問がキレイに決まること自体、きわめて難しいことなのです。『だからやらないほうがまし』という言説もあって、それもうなずけます。ヘタな聞き方をするとかえって相手の主張を力づけることになりかねず、現に暴走してこちらの計画を外れ、収拾不能になったり自滅したお客さまもいます。

 概して自己顕示欲が強かったり中途半端に頭の回転がよい人や、訴訟を経験した(つまり、自分で尋問ができると思ってるひと)ことがある人がそうした失敗に走るように思えます。まずいと思ったらさっさと引き上げる、深追いはしないことは大事だと説明しているのですが、そういうところで妙な色気をだす人は確かに存在します。

 まぁこうなってしまうと傍聴席からはなにもできず、弁護士から異議がでるか裁判官に制止されるか証人と口論になるか、さもなくば自分がなにを言ってるのかわからなくなって立ち尽くすかするまで放っておくしかなくなります。さながら現地軍の暴走によって中国大陸での戦線を拡大させられていく戦前の日本のよう、と言ったらオーバーなのでしょうが。

 僕の事務所では、通常訴訟の依頼で尋問の実施にいたるのは、そう多くありません。たいていは、準備書面の応酬で決着がつき、和解にいたります。今日は数ヶ月ぶりに尋問実施の計画を作って送り出したところです。これから何回かで、本人訴訟をたたかう人たちのために反対尋問の話をしてみようと思います。

午後の列車は、よく空いて

午後の列車は、よく空いて
久しぶりに211系に当たりました。東海道本線普通列車で昔のセミクロスシートを持っている、ちょっと懐かしい車両です。

車内の広告はつねに興味深いものがあります。マイカーローンの広告の隣に東京の弁護士法人の広告があり、向かい側に消費者金融二社の広告がでているのはちょっと笑ってしまいます。電車で右をみるか左を見るかで、人生変わってきかねません。

この弁護士法人Aの広告、最近全国的にいろんな地域で目にします。少数者が一人勝ちして零細な事務所がどんどん淘汰される時代に突入していきつつあることを感じさせますが、あるいはバブル崩壊前の最後の大商いなんでしょうか?

さて今日は、久しぶりの登記の仕事です。『裁判事務を中心に、ときどき登記もやる司法書士』だと、そうしたお客さまには自己紹介します。

判例検索運用開始

ガンガンガンッ!

一体どこの国の秘密警察かというような殺気だった音でドアが叩かれる、静かな土曜の午前。

決まってます。しましまシャツの●●急便のお兄さんです。もう10年以上まえですが、僕もこの会社のプラットホームで荷役のアルバイト(偽装請負業者からの派遣で!)をしていたことがあり、そのスバラシイ社風の一端は知ってるのでいまさら怒る気にもなれません。

彼がそうまでして僕の手元に残していったのは

LexisNexis.jpのオリジナルマグカップ(笑)

まさかそんな記念品がいただけるとは。

 月額8千円弱の最低限のサービスでマグカップ一個、ということは月額5万円余のフル装備のサービスだと何がもらえるのか、はちょっと興味深いところです。なにはともあれ昨日より、晴れてこの会社の判例情報の検索が使えるようになりました。やっぱり入ってよかった。たいへん幸せです。もっとも、このサービスのありがたみが本当にわかるのはもう少し使いこなせるようになってからでしょうけどね。

 さてさて明日は、残り1日ぶんになった青春18きっぷを使って隣県某市に出かけてきます。久しぶりの不動産登記の仕事をいただいています。今日は新しく労働事案のご依頼もいただいて、今月はなかなか順調な滑り出しです…ま、ここで失速しないことを祈りますよ。夏休みも終わって平常の動きに戻り、やっぱり土曜も日曜も休めない状態は今後もしばらく続きそうです。心配されるほど仕事量があるわけでも今はなくて、むしろウェブサイトの今後の拡張をどうしようか考えたり手を動かしたりする時間が増えてきています。

なんにもしない昼下がり

なんにもしない昼下がり
14時前です。見渡すかぎり陸地は見えなくなりました。しかし携帯電話のアンテナ表示は1〜2本立っています。
米坂線や只見線では各所で圏外になったのに?

つまり洋上では通話不可能、というお客さまへのいいわけが使えない(笑)

後はベッド内にコンセントがない、不満はその二点のみ!相変わらず素晴らしく快適です。
しかもこの船、送信専用ですが公衆ファクスを持っており、さらに公衆電話からデータ通信が可能です(失笑)

いったい誰が使うのかは不明ですが、僕にとっては心強い装備です。

さて、名古屋から仙台へはB寝台で八千円弱。よって仙台のお客さまから依頼を貰ったら、交通費は一往復二万円弱になりましょう。
いつかご依頼こないかな、と楽しみにします。

ところで。
ゲームコーナーに、初代『電車でGO!』が置いてあります。

ある意味とっても貴重です。

生演奏付き移動事務所はいかが?

生演奏付き移動事務所はいかが?
一杯400円のグラスワインで、昼間酒です。背徳の味がします。

窓の向こうは眩しいばかりの海。東北の太平洋は、冷たさを感じさせる深い青です。

ほろ酔い気分で裁判書類を作るわけにはいかないので、ウェブサイトのコンテンツをちびちびと書き足していきます。

一口呑んでは言葉を選び
一口呑んではキーボードを叩き

意識にかけない時間はながれて、ピアノの演奏が始まります。しばし作業を止めて、海と酒と音楽に、静かに酔ってみます。

補助者さまからメールが入りました。

心残りは無いか、とのお尋ねです。

あるようなないような、ただし満ち足りた気分です。最近、何人かの応募者のなかから彼女を採用できたことは多分大正解だったと思うことがいくつか出てきています。

帰りの船の時間に合わせて所定出勤時刻の繰り下げを求める雇い主をどう思ってらっしゃるかは、酔ったふりして考えないことにします。

今回も、素晴らしい旅でした。

青?赤?金?銀?

青?赤?金?銀?
仙台駅前のデパ地下で、不思議なものを発見しました。

りんごジュースが4種類。それぞれに違う個性を持っているようです。お値段は全て120円。

試しに『銀のねぶた』(どこかの風邪薬みたいだ)を買ってみます。

一口含んだ瞬間に広がる香りにハッとします。これはうまいです。
四種類買って誰かへのお土産にすれば、ウケが狙えて楽しめそうです。

これから仙石線で多賀城へ。名古屋へのフェリーが待ってます。

非冷房ばんざい

非冷房ばんざい
キハ58に当たりました!

これだけでもうなにもいらない、という感じですが、さらにおまけがついています。

冷房を止めてあるのです!

二両目のキハ47には冷房が入っている、ということはわざとこういう措置をとっているのでしょうが(下調べが不足でした)、おかげで窓全開で楽しめます!
米沢までは2時間半、定期列車で会えるキハ58との最後の夏は、快晴の坂町から始まります。

15時18分酒田行き

15時18分酒田行き
東新津駅となりの日帰り温泉は、不思議な泉質です。湯上がり後からだは冷めた気がするのですが、背中から汗が出続けシャツが絞れるほど。風呂に入る前より汗だらけになりました。

米坂線坂町まで適当に移動できりゃいいや、と発車4分前にプラットフォームに。階段下がって目に入った車に、思わず声を上げました。

国鉄色のキハ52がいます。

塗装ピカピカ走る気満々、といった風情で!
一瞬明日のフェリーをキャンセルして酒田に行きたくなりました。こいつが笹川流れを走る所を見られるなら…と言ってご理解いただける読者さまがどれだけいるのやら(笑)

ともあれ、背中びしょびしょのままこの非冷房車を楽しむことにします。中学生時代の旅に戻ったようです。

窓を開けていきましょう −今日の主役は只見線?−

窓を開けていきましょう −今日の主役は只見線?−
昨日に引き続き4時50分起床!ただちに湯を沸かしトイレにいきながら歯を磨き天気予報をチェックしながら着替えPCが立ち上がるのを横目にカップスープをコップにあけパンをかじりながらメールチェックしているあいだに時刻は5時03分。
スプーンがない、ことに気付きます。

たっぷり5秒、考えて。

洗面所から歯ブラシを。

急速に仕度がととのっていく山里の朝。昨日は姿を見せてくれなかった越後三山が、朝日に輝いています。

列車は大きく曲がって鉄橋を渡り、進路を北東に。窓から身を乗り出すと、ディーゼルオイルまじりの川風が眠気を完全に吹き飛ばしてくれます。

今日は、会津若松から新津に出ます。

千曲川から信濃川へ

千曲川から信濃川へ
松本到着時点で北アルプスが見えなさそうだったため、進路を長野にとって飯山線に入りました。窓の外は、信濃川です。

何度も乗ったはずの飯山線で川の眺めを楽しんだ記憶が何故か欠けていて、新鮮な3時間を過ごすことができました。

ところで。
お客さまに出す郵便物をまだ持っていました。途中の十日町で投函したのですが、いずれにせよ翌日の到着となるようです。

宿題持って信濃路へ

宿題持って信濃路へ
松本を目指します。
大曽根6時26分発中津川行きは、中津川から先松本方面の接続が成立する一番早い列車です。

だからでしょうか。リュックサックを持った初老の男女が目立ちます。中津川からの列車でしばらくご一緒することになるはず。

日帰りの彼らより小さいかばんを持って、僕は3泊4日の旅を始めます。

道中で仕事はしません。ただ、応えるのが少々難しい問いを投げかけてきたお客さまがいます。労働紛争のお客さまから、しばしば放たれるそうした問い掛けに、僕はまだ答えを持ちません。

働く場において自分の権利が傷つけられたら、どうしたらいいのか?

といえばあまりにも簡単な発問は、時として『いかに生きるべきか』の判断を迫ります。
小綺麗で平板な原則論を口にして逃げるほど老化しておらず、さりとて自信たっぷりに進むべき方向を指し示すこともできず、かつての自分を追体験しながらいっしょに紛争終結を目指して歩き、考えることと言葉にすることを続ける因果な、でも素敵なプロフェッションへの宿題を、考えながら行きましょう。

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