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累損一掃!それとも一層?

 今を去ること5年前。脱法人材派遣(工場内での偽装請負)業者を退職してこの事務所をはじめる際に、約250万円の資産がありました。現金預金保険自動車コンピュータをとりまぜて、です。

 その後の数ヶ月で手持ちの現金は溶けました。当時はいまほど債務整理が猛烈に流行ってなかったため、資格さえ持ってればちょっと怪しい事務所が年俸800万円で迎えてくれる、などということはなかったのです。(もちろんそんな事務所で腐るより今のほうがずっといいのですが、当時そんな事務所があったら誘惑に耐えられたかどうか自信はありません)

 そんなこともあって、登録開業後もパン工場で夜勤のアルバイトをしたり一部二円のポスティングをしたりする日銭稼ぎを余儀なくされていたのが大体三年前ぐらいまで。その後は収支均衡とはなっていたものの、業界平均の数分の一の売り上げにとどまっていました。これではいったい、開業当初に突っ込んだ元手を回収できるのはいつになるのやら…と思っていたのは去年の今頃です。

 状況が大きく変わったのは、今年上半期です。債務整理案件の紹介を受けるようになり、そのことでいろいろな厄介ごとにも巻き込まれました。

 しかし!

 今日あらためて計算してみたところ、現時点で回収額が決まっている(裁判上・裁判外で和解ができている)過払い金の回収による報酬も一種の資産と評価すれば…

 250万円超の資産超過になっています!おお!

 あまりにもタイミングがよすぎるこの結果、決め手になったのは先月後半に地方裁判所での労働訴訟が二件、相次いで和解成立となったこと。ここで僕がもらえることになった、回収額の12~14%の報酬のおかげで、僕の資産超過額は250万円の一線をほんの少し越えました。

 開業五年、一時は負債超過となりましたが、いまやっと水面に首だけ出して息が出来る状態にもどってきた、という感じでしょうか。実は先月、ある司法書士さんから『僕のブログを受験のころから読んでいたが、こんなにも儲からないのかと心配になった』と言われその後いささか悪酔いしたことがありました。そりゃ過払いの訴訟より安い料金で、はるかに手間がかかり難しい労働訴訟にクビ突っ込んでたら事務所が傾くのは当然の結果、です。今回の累積損失一掃も、ここまで一気に状況を改善できたのは債務整理のお客さまのおかげ、ということで債務整理からも離れられなさそうです。まぁ今後は、特定調停のご依頼が一ヶ月に一件くらいあったらいいな、と。

 ですがこちらの分野でも社会保険労務士と司法書士の兼業というのはなかなか有用で、いま保険事故が発生してるにもかかわらず保険契約者に対して『保険金は払いません』と断言してしまう驚愕のローカル金融機関に食い下がっている最中です。

 さて、そうすると?

 この事務所では債務整理事案20件弱に対して1件は、社会保険の知識がシビアに必要な(逆に、ここで無知だったりあっさり引き下がった場合、100万円単位で依頼人の権利を吹き飛ばす)事案が現れる、ということになっています。相談レベルでならもう3件ほど。そのうち1件は、年金記録の掘り起こしにつながりそうです。

 と、いうことは?

 いまネットや電車に広告を出しまくってイケイケドンドン的に債務整理に邁進しておいでの弁護士司法書士事務所でも…あるいは巷でまじめに自己破産や法律扶助事案に取り組んでおられる事務所でも、おそらくは同じような割合で、じつは社会保険制度の手を差し伸べてお客さまの経済状態を改善できる事案が紛れ込んでるはずで。そこで何がおきてるのか(あるいは、何がおきていないのか)は

 想像すら恐ぇ

 ということになります。僕だってお客さまからの第一報が入ったときに、保険証券の写しが手元になければ適切に対応できていません。つまり任意整理や過払い金返還を受託しているだけならそんなもの、お客さまから見せてもらってるはずもない。僕はたまたま特定調停事案として受けていたから、保険証券と特約の記載事項を検討して(さらに、大阪の大きな本屋さんでその巨大ローカル金融機関の保険商品の専門資料を探し出して!)つまり窓口担当者が馬鹿なんだ、ということがわかったのです。

 保険のことならその保険会社に行け、あるいは年金のことなら社会保険事務所に行け、と依頼人に指示すりゃ役割が終わる、と思ってるような自称債務整理専門家が町の法律家として認知される時代は当分こない(法律や契約どおりに物事が動いてると呑気に信じられるのは、素人さんの領域です)と僕は思ってますが、さて世の債務整理事務所では、おそらく確率二十分の一で出現する社会保険という地雷をふんづけていることに、気づいてるのでしょうか?謎です。

 ただし。

 そうした助言はお客さまから見ればあくまで余技でして、手間はかかっているもののそれでお金になる、というわけではなく(払ってくれという趣旨ではありません。誤解なきように)、もちろん給付の実現→お客さまの経済状況の改善→僕への所定の報酬の支払い確実化、という間接的効果はあるものの、やっぱり一生懸命やってしまうと事務所が傾きかねない面があったりもします。

 さてさて一度は投下資本の回収に成功した我が事務所。面白くて役に立つけど儲からない『労働社会保険諸法令』の知識が経営の改善につながるのか、それともここからさらに損失拡大の道をたどるのか?

 謎です。

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