●●年金相談センターにて
久しぶりに、社会保険労務士らしいしごとを一つやってきました。委任状を持って地下鉄に乗り、街へ。年金相談センターに、年金加入期間を確認に行ったのです。
- 訪れたのは14時前。
- 引いた番号札は『92番』
- 待ち人数は『33人』
推定待ち時間…3時間(爆)
異様な熱気(というより殺気)のこもった待合室を這い出て、ドアの外から様子を伺います。相談ブースは5ヶ所。僕が社会保険労務士として登録した平成15年からいっこうに増えてない気がします。しかたがないので隣の駅の図書館で2時間30分ほど時間を潰して戻ると、ちょうど90番を呼び出したところです。この時点で、16時50分。思わずスキップせんばかりに待合室に入ったら、いい加減消耗しきったらしい爺様婆様から
てめー何しに来やがったこの若造が
的視線が飛んできます。かといってうっかり社労士でござい、などと言ったら妙なところで絡まれかねません(経験済み。なんらか社会保険庁につながってるだけで目の敵に…冤罪だ)。よって社労士バッジもつけませんが、そうすると僕はその待合室で単に
妙にステップの軽い若い人
だと思われてるわけで(嘆息)。少々おとなしくしているうちに、2番のブースが空きました。こっちも消耗しきっている担当さんに話しかけます。
- 社労士で~す!(わけもなくゴネる素人ではないよ、という意味)
- 1件です!(作業量は多くはないよ、という意味)
- 死亡者の加入期間確認です!(回答票出してもらえばすぐ帰れるよ、という意味)
今回持参した委任状は『死んだ人のお子さんの親権者の親』が書いたものですが、戸籍謄本にも社労士の登録証にも目もくれず担当さん、莞爾と笑いつつ
ほ~い。まぁ疲れたわぁ(苦笑)
なといいながら相談票を取って奥に消えていきます。戻ってくるなり一言
勿体ないねぇぇぇぇ!
なるほどなるほど。この死亡者さん、独立開業後に国民年金を未納にしていてさえいなければ、今頃ご遺族は(25年の長期要件をクリアして)遺族厚生年金の支給を受けていられたはずなのに。
まぁそれは期待はしていません。僕が探しに来たのは
厚生年金基金への加入期間なのですから。
さてその加入期間、なんだかんだで死亡者さんの職歴の3分の1を占めておりました。よーしよし、と言ったところです。この人の転職の回数は両手で数え切れないほどもあり、さして大きくも有名でもない企業を転々とされても…いや、だからこそ、実情を反映した期待通りのデータが出てきた、というべきでしょう。企業年金連合会のウェブサイトによれば、厚生年金保険の被保険者の3分の1程度は厚生年金基金の加入員でもあるそうですから。
さてこの厚生年金基金、厚生年金本体とは全く別個に裁定請求の手続をおこなわないと、支給されません。そのうえ、年金手帳を見ただけでは加入歴があるかどうかわからず、そもそも自分が厚生年金基金に加入したことがある、と自覚している人がどれだけいるかも、転職が多ければわかりません。
で、どんなことがおこるか…?
そうしたことがわかってない司法書士さんが債務整理を受任したときに、『年金は支給を受けています』という多重債務者さんの言を鵜呑みにして(年金証書は持ってますよ。社会保険庁発行のね)厚生年金基金からの給付がないことに気づかない、とか、成年後見人に就任しても同様の見過ごしはまず間違いなく膨大な件数で起きている、と言えるでしょう。相続発生時も同様です。
以前ある司法書士さんとそういう話をしたときに彼が
でも、そのコーセーネンキンキキンって大企業でないと導入してないんでしょ?
などと気の抜けたことをおっしゃってました。思わず卒倒しかけましたが、たぶんこれが、世の大部分の債務整理業務に携わる自称法律家さんたちの認識だろうと思います。
僕に言わせればこれ、消えた年金問題ならぬ
法律家が法律家の仕事をしてないから見えない年金問題
と言いたいんですがね。たぶんこの問題のほうが身近で、かつ根深いです。上記のように、厚生年金被保険者の3分の1は現に基金の加入員であり、かつて基金の加入歴があった人は当然ながらさらに多い、わけだから。
ねぇ、債務整理がお好きな司法書士の皆さん?お客がとにかく役所に行くよう誘導すれば自動的に正確な年金給付が始まるだろう、なんて…考えないでくださいよ。今時そんなこと、当の社会保険庁の窓口担当者だって言ってませんよ(失笑)
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