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どうしてますか『登記識別情報』

 12月は、なぜか3件も不動産登記のご依頼があるそれはそれは珍しい月でした。

 ~月? 日の間違いじゃないのか?と思われた同業者さんがおられましたら放っといてくれと申し上げておきましょう。当事務所では不動産登記の申請は、件数ベースで年20件あれば結構だ、と考えています。

 とはいえ、不動産登記やらないかと言ってくれる人はいないわけではありません。あえてそれを受けないのは、そのルートでやってくる仕事がすべて『登記義務者に面談できない』状態で住宅ローンの抵当権設定登記をしろ、とかいうものだからです。そんなもんに尻尾をふるほどスレてませんし金に詰まってもいませんよ~だ!と強がりながら、今年はようやく年間の売り上げが400万円の大台に乗ったかね、と言ったところ(嘆息)。

 さて原則論を貫徹してお客さまとお会いすることを徹底して登記の仕事を進めていくと、時として困ることがあります。それが

 登記識別情報をお渡しするとき

 です。今日もそうした面談がありまして、結構時間がかかりました。

 さて、この話をするときにはまず、ことさらに深刻な顔をして

 実はもう、紙の権利証というものは『ない』んです

 と宣言します。そういって何の罪もないお客さま方をことさらに動揺させてからこちらの話に引き込んでいく、というのがテクニックでして(って何の悪徳商法?)

 この登記識別情報というもの、当然ながらお客さまと会わずに抵当権設定登記をやっちゃう手抜き書士さんは、その何たるかを説明する機会すらありません。ですが説明しようとすると結構難しい。

 まず、従来あった紙の権利証に例えるのも妙です。登記識別情報通知の目隠しのシールをはぎ取ってそこに記載されている英数字の羅列を写し取り、あとは米粒でも使ってそのシールを元に戻しておけば情報が漏洩したことなんかわからないのですから。

 →よってここでは『紙の権利証なら他人の手に落ちたことは(物体として存在しないことに気づけばいいのだから)簡単にわかるのですが、登記識別情報は読みとってしまえばよく、読みとられたことを知ることは難しいですよね…全くなんでこんなふざけたもん作ったんでしょう云々

 とでも言っておくしかありません。

 登記識別情報ということで、肝心なのはそこに書かれている情報=すなわち14桁(正しくは12桁です!説明時点で口がすべってます!)の英数字の羅列、ということなのですが、ならばこれを暗証番号に例えるのも無理があります。なぜなら桁数が多すぎてそもそも記憶に適さず、しかも自分好みにその英数字の羅列を変更できないのだから。

 →よってここでは『もし暗証番号だったら自分が好きなように変更できるのに、お上が一方的にあてがったパスワードじゃ覚えようもないですよね…全くなんでこんなふざけたもん作ったんでしょう云々

 とでも言っておくしかありません。

 だったらそんなもん、いらねぇや、という発想は順当ですし、失効請求というかたちで使えなくしてしまうのは可能なのが登記識別情報の特徴ですが、だからといってそれを軽々に奨めるのも難しいところです。

 今年お客さまから聞いたところによれば、登記済証(権利証)を無くしたお客さまに対して司法書士が本人確認情報を作成する際に、金15万円ナリの見積もりを突きつけられた(本人確認情報作成だけで!)という問題事案もあるようで…今回は僕が関与して登記識別情報を失効させたとして、次にその不動産を人に譲るときには別の司法書士が、不動産屋や銀行の手であてがわれないとも限りません。

 →よってここでは『これって効力を無くしてしまうこともできますが、そうすると二度と生き返らないし今後の登記申請を僕がやってあげられればまだしも、銀行がつけた司法書士がここを先途とぼっ●●りな請求だしてこないともかぎりませんよね…全くなんでこんなふざけたもん作ったんでしょう云々  ま、これは昔から登記済証を無くした人にはやってたようですが(失笑)』

 とでも申し上げておくしかありません。

 この論調で説明すると、登記識別情報の欠点をかなり明確にお伝えできるのですが…

 事務所から去っていくお客さまの足取りが、決まって少々重く見えるところが最大の問題だったりします。本来なら登記が済んでおめでとう、と言いたいところですが、なんだかお客さまに申し訳ないことをした気分になってしまいます。困ったものです。

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コメント

いつも楽しく読ませていただいています。
先生,登記識別情報が2桁多くなってます。

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