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岡崎への長い道

 この記事は7月19日付け『探して!見つけて!値引きして!?』の続きです。

 さてあれからサクッと勤怠入力データを発見されたお客さま。これを受けて、今日は日がな一日このデータの取り込み・作表・校正に明け暮れておりましたが、なんとか日曜日中には全作業が終わりそうです。この事案、こっちから内容証明を放ったらあっさりと弁護士が敵側代理人につき、おなじく内容証明で反撃が飛んできた、ということで、

 まぁドンパチになりますけどいいですよねぇ?

 というような説明をしてあります。一度は裁判所で激しく戦うことになるだろう、と。

 さてここで問題なのはこのお客さまの請求額。労働基準法所定の割増賃金の請求なのですが、当初の見立てより25%ほど増えてしまいました。で、微妙なのは

  •  附加金を付けると合計140万円を超え
  •  付けなければ140万円を下回る
  •  被告の普通裁判籍を管轄するのは、『独立簡裁』と『名古屋地裁岡崎支部』
  •  当事務所からは、独立簡裁のほうが近い

ということ。ところで、労働基準法第114条の附加金は簡単に言うと、未払割増賃金等の請求を訴訟でするときに、支払を受けていない割増賃金額と同額のお金を支払うよう裁判上で請求でき、裁判所はこれを受けて支払を命じる判決を出すことがある、というもの。つまり、未払割増賃金が100万円あったら、訴状では請求の趣旨に

『被告は原告に対し、金200万円を支払え』

と書けることになります。もちろん附加金を請求するかどうかは原告次第だし、附加金の給付判決を出すかどうかは裁判所次第です。

さてでは、この附加金部分は訴訟物の価額に入るのか?が裁判所ごとにまちまちなのです。ちなみに訴訟物の価額、というのは、その訴えで原告が裁判手続き上主張したい権利のお値段(金銭的価値)、とでも考えておいてください。

ではこの附加金の扱いについて、僕が経験したところでは

  1. 宇都宮地裁栃木支部では、附加金は訴訟物の価額に『入ります』
  2. 東京簡裁・東京地裁本庁では『入りません』
  3. さいたま地裁本庁では『入りません』
  4. 名古屋地裁本庁では『入ります』
  5. 津島簡易裁判所では『入ります』
  6. 一宮簡易裁判所・名古屋地裁一宮支部では『入ります』
  7. 奈良簡易裁判所では『入りません』
  8. 大阪簡易裁判所・大阪地裁本庁では『入ります』(平成18年8月時点)
  9. 大阪地裁堺支部では『入りません』(平成19年5月時点)

こんな感じ。同一の高裁管内で統一されているわけではない、ということは例1と例2でわかります。ただ名古屋地裁管内は附加金を訴訟物の価額に含む傾向がありました。例4~6がそうです。隣の県で何をやってるかは知ってるがとにかく我が道を行く、と宣言したのは例7の奈良簡裁です。お客さまの報告では、ここは大阪地裁が附加金を訴訟物の価額に入れるのを知っているが奈良では入れない、と言い渡されたとのこと。同様に我が道を行くのが例9の大阪地裁堺支部です。例8の大阪地裁本庁とは違う扱いになっています。ちなみにこの堺支部、なぜか自販機の飲み物が120円です。本庁は90円なのに…ナゾです。

では順当に行くと、今回提訴したい独立簡裁と名古屋地裁岡崎支部でも附加金が訴訟物の価額に『入る』ことになるのですが…つまり

  • 附加金付けなきゃ独立簡裁
  • 附加金付ければ地裁支部

ということになります。名古屋地裁本庁には労働専門部があるので、こちらに来るなら喜んで附加金の請求をくっつけるところですが、今回は岡崎に行ってしまいます。おそらくは請求くっつけて岡崎支部初体験、となるのでしょうが、別の意味もありまして。

 今回は少々法律構成が込み入ってくる可能性があります。よって独立簡裁に持ち込んで移送されるよりは最初から地裁支部に持っていった方が時間のロスがない、ことと、今回敵側の代理人が名古屋市の人間だ、ということで、期日ごとに岡崎まで出廷するならそれもよし(明らかに儲からない案件を押しつけることになるため)、電話会議になるならなおよい(お客さまが敵側弁護士の顔を見なくてすむため)、というような思惑も。これが簡易裁判所だと、期日ごとに書類だけ出せば欠席し放題なので制度上敵さんが楽な仕事をできてしまいます。

 ただ、そうやって岡崎支部で訴訟をはじめると、9月以降

  •  名古屋地裁本庁では担当する事件がなくて
  •  半田支部・岡崎支部・豊橋支部ではひとつずつ事件がある

 ~ということになるかも。まぁ月に一度の支部巡りも悪くないとは思います。

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