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謀略の許可代理人

・・・とタイトルを付けてみたのですが、法廷サスペンス風になってしまっていますねこれ。

 もちろん当ブログのこととてそんなご大層なものではなく(期待している方、ごめんなさい)、ちょっとした訴訟で試みようとしているちょっとした訴訟戦術の話です。


 さて、みなさん簡易裁判所の『許可代理人』という制度をご存じでしょうか?

 裁判所のなかでも簡易裁判所においてだけは、訴訟に裁判所が許可した人物(職業法律家ではないひと)を代理人として出廷させて民事訴訟をおこなうことができる制度があるのです。

 とはいえ誰でも彼でも許可をうけて訴訟に出られるようにしたらきりがないので、『許可』の基準はなんらかあって、企業が当事者ならその企業の従業員、個人が当事者ならそのひとの近しい血縁者、あたりしか許可されず、さらに申立には理由が必要です。

 さて、職業法律家を代理人にする場合もそうなのですが、代理人を立てる訴訟での最大の問題点は『紛争当事者と訴訟活動をする人が、ちがう』点にあります。両者が適切に意思疎通しないと、敵対側に僕のような性格の悪い人間がいた場合、本人の陳述書と代理人が作った準備書面の齟齬に茶々を入れられたり、より極端には矛盾をついてひっくり返されたりしてしまう。しかも職業代理人の場合は倫理だの契約だのいろんなものに縛られて、いったん受任してしまえばあとは多少ご無理な訴訟活動でもやって叩かれねばならない、というお役目もお持ちです。ま、因果な職業ですこと。

 さて、そうした連中はほっといて、ご家族が紛争にまきこまれたために、せっかく許可代理人になったのに、その呑気な当事者本人のおかげで一気に不利な立場に立たされることになってしまった、事案があります。決定的証拠を握られていたことを当事者が許可代理人に言ってなかった、ってやつ。

 さ、許可代理人の大迷惑がはじまります。「おそらくは次回以降の口頭弁論期日から、●●さん針のむしろですよねー」代書人は脳天気に許可代理人に言い放ちます。ただ代書人も、後日この呑気な当事者にお説教する特殊任務を抱え込み、実はぶっ倒れそうだったりします。

 ただし。

 このままでは、出廷する許可代理人があまりにもかわいそう。いたずら好きな代書人が一計を案じます。今回、裁判所側が認識しうるこちら側の登場人物としては当事者本人と許可代理人の二人であり、かつ職業代理人ほどの拘束はないので…

 許可代理人の私見を述べさせて、敵対側の当事者本人&職業代理人、その他敵対側関係者、およびこちら側本人に対する牽制をさせることにしてみます。この争いの顕著な特徴として、その紛争に関与した連中(向こう側職業代理人含む)が全員とも、やっちゃいけないことに手を染めている点(立証完了)があるので。法廷に出られる人物中、許可代理人だけはその紛争に関与していないので、

 こっちにも非はあるけど、オレから見たらつまりお前ら全員悪いじゃん

 といえる素敵な立場なのです。これを活かさない手はありません。

 この限りでは許可代理人は、限定的にこちら側当事者批判の論陣を張ることになりますが、事案の性質上今回に限り、それでかまわん、と考えています。そういう味付けで作った文案を、趣旨を説明せずにお見せしたら、当の許可代理人さまがその箇所で一言

「僕だけがめちゃくちゃ『正義のひと』っぽくなってますね」 (笑)

「そうですそうです狙いはそれです! それを理解してもらえればもう言うことないです」(爆笑)

 さてさてこれで、せめて針のむしろの法廷に座布団一枚分程度の敷物を敷けたかな、という感じでしょうか。あるいはうまくいけば、どっちが勝っても誰も幸せにならないこの事案で、許可代理人一人が、いわば『はきだめの鶴』でいられるかもしれません。手頃な別人格を使えると、こういうことができるのはなかなか便利です。

 ところで。

 準備書面、というより民事訴訟の遂行全般において、当事者がたとえば裁判所の訴訟指揮に対して、あるいはこの訴訟に対する見解として、適時に何事かを述べることは、書面提出という形であれば、だいたいの場合読んではもらえるようです。もちろん、節度を守り揚げ足を取られず本来の主張立証活動とは明らかに分けておかねば、タダの素人の世迷い言になってしまいますが。

 ですので僕は、いままでもお客さまの意向を汲んで、攻撃防御の方法を書いた準備書面の前または後ろに、数行の『はじめに』『おわりに』『上申事項』やらなんやらをくっつけておくことが、よくあります。もちろん別途に上申書を起こすことも。

 これらは主としてお客さまの意向を適切なタイミングで裁判所側に伝える(あるいは、伝えるふりをして敵対側をひっかける)点、あとはある程度長大な準備書面で、概要と背景を一気に把握してもらう点では、効果があることが多いと考えます。あとはこれを付けるとたいていわかりやすい書面に仕上がる面があり、それを読んだお客さまと僕との信頼関係、という面では、常にプラスに作用しますので、僕はこの手法を気に入って使っています。ただ、ふつうの方にはおすすめしませんよ。言いたいことをまき散らして終わる公算が大(というより、それしか見たことがない!)で、そうした訴訟の修復にはひどく苦労します。

 今回もその一つを、いつもとは違った味付けで仕掛けてみるのですが…

 さーて、どうなりますやらね。

 ところで明日から出張です。このために今朝繁忙のピークが来て、昨晩は事実上徹夜、寝たのが朝6時すぎ。ただ今日は久しぶりに夜2時前に寝られるのではないかと、いまから緊張しています。

 ただ、実はまだ明日の宿が決まってなかったりしますが、まぁそこはそれ。和歌山港午前0時40分発徳島港2時50分着、徳島港午前3時30分発和歌山港5時40分着、のパターンでフェリーで往復したら、4000円で一晩すごせるよなー、とか妄想してみたりします。

 もちろん実行はしませんよ。

 どうせやるなら神戸三宮-高松東港のフェリーの方が安いから(半分冗談)

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