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戸籍いじりは、あなたもできる その2

その1は6月22日付、高速バス『からつ号』車内で書いています。その後忙しさにかまけて今日まで来てしまいました。

現時点での全般状況。

11:36 名古屋発東京行き東名高速バス超特急52便 47KP付近で渋滞中

ま、要はある程度まとまった時間ができないとこの手のコンテンツは書けないよ、ということで。場所がどっちもバスの中であることは、単に偶然の一致です。

お話をもどします。
 一般に、不動産の相続登記をはじめとして金融機関・証券会社に対する払い戻し請求にいたるまで、死亡した人(相続される人=被相続人といいます)の出生時、あるいは12歳頃から死亡時までの戸籍謄本全部と、いま生きている相続人(相続する人=子供や配偶者。時に親・兄弟)との関連をあきらかにできるだけの戸籍謄本全部の収集が必要になることは多いです。
ではその戸籍謄本『全部』ってどれだけになりそうか?という点から、この作業の繁雑さを考えていきましょう。できればみなさん一通り戸籍謄本収集を終えてから死んでもらえないか、と最近真剣に考えている(ヲイ)今日この頃です。

 少なくとも、一通とったらそれでオシマイならネタにはなりませんよね。最近やった相続人確定作業では、
 のべ6カ所の市区町役場で
 戸籍謄本・除籍謄本 8通
 原戸籍の謄本    4通
 戸籍の附票     4通
 
 が、延べ6人の相続人の関係と所在を確定するために必要になった、というのがありました。戸籍集めてから死んでくれよ、という叫びにもそれなりの正当性があると思っていただけますでしょうか?
 
 それは特別なケースじゃないのか?とおっしゃる?
 ですからそれが、アナタが幸せに生きて来ちゃった証拠なんです(笑)知らずに戸籍がおかしくなってるいくつかの可能性については『その1』で触れましたが、ここではもう少し詳しく見ていきましょう。心当たりのある方、背筋の冷える方もいらっしゃるかと。・・・さ、謄本集めといてね。
 
※ここでは法的に厳密な意味での『戸籍簿・その記載事項・取得できる戸籍謄本』について厳密に区別してはいません。ご注意ください。
 
1 戸籍のきほん
 結婚している男女+そいつらの子供 をひとかたまりとして扱います。そのかたまりのなかの誰かを『筆頭者』とし、筆頭者と本籍地とで戸籍簿を特定します。社会生活上その人間達のかたまりが本当にあるかないか、どこにあるかは、一切関係ありません。
 そこで、まず問題が発生しますね。外から見た家族のありようと戸籍記載状況は、常に一致とはかぎりません。住んでもないところに本籍地だけがある、というのも日常茶飯事です。
 認知してないのに同居中の子供、養子縁組しているのかどうか忘れちゃった婿養子対嫁さんの父さん、お古いところでは『人に聞かれりゃおまえのことを 年の離れた妹と〜♪』ってのもアリ、です。(ってあんたの年齢が怪しいよ、なんて突っ込みは無しで)
 ですので、もっとも基本的なところでは、普通の三世代家族の戸籍を全部とる場合にさえ、最低2通は必要になってきます。上記のとおり夫婦+子供(親子)を1ユニットとし、『夫婦の子供の子供』(祖父母と孫)が同一戸籍に載ってくることは絶対ないからです。

2 戸籍(謄本等証明)がとれる場所
 一般的には、本籍地の市区町村役場、です。ここにも問題が発生します。
 『本籍』は制度上勝手に移動できるし、移動しないこともできるうえに、移動した旧本籍地の戸籍に関わる証明は旧本籍地の役場でないと取得できません。
 よくある例ですが、九州出身の女性と名古屋出身の男性が結婚して三重県に住むとします。
 女性の本籍地は鹿児島県、男性は名古屋市としましょう。
 両者は初婚で、結婚までに戸籍に関する操作を行っていないと仮定するなら
 1 女性の、出生時から結婚までの戸籍は鹿児島県に
 2 男性の、出生時から結婚までの戸籍は名古屋市に
 3 結婚後の本籍地は、夫婦が適当に定めた本籍地の役場に
 
 その夫婦が死んだ後もずっと管理され続けることになります。理想をいえば、新しい本籍地の役場で請求をかけたら出生時までどーんとでてくるのがいいのですが、現状は『バラバラ』です。
 さらに、3を見てください。結婚時の本籍は、実は適当に決めてかまいません。これは夫婦や家族の力関係や考え方で決まってきますから、
 ・住んでいる三重県に本籍をおく夫婦もいれば
 ・本籍だけ男性の本籍地である名古屋市に一致させる夫婦もいれば
 ・同様に鹿児島県に本籍地をおく夫婦もいる、ことになります。
 
 すると、名古屋市で生まれ鹿児島県の男性と結婚し離婚、北海道の男性と再婚、という場合には本籍地は名古屋→鹿児島→北海道と吹っ飛んでいることもあるし、そもそも出身地と本籍地は無関係なのでもっとひどい可能性がいくらも実在します。
 たとえば僕は当然のように名古屋市に住んでますが、本籍地は静岡県富士市です。結婚時の本籍を、そこにおくかもしれませんね。そしてその相手が、たとえば宮崎県に本籍をおく女性なら?
 つまり、少なくとも結婚にともなって本籍地が転々とすることは通常のこと、なのです。
 単に結婚と離婚だけでも十分厄介なのですが、ほかにも戸籍の記載が変わる行為はいくつかあります。

3 比較的よく見られる、戸籍記載事項の変動
 3−1 養子縁組
  これをやると、養子は養親の戸籍に収容されます。よって養子の本籍は間違いなく変わります。追尾の手間がひとつ増えます(笑)
 3−2 転籍
  かんたんにいえば、『なんとなーく行う、本籍地の変更』です。さしたる理由がなく可能なので、養子縁組と違って何度でもできます。世の中にはこの転籍が大好きな人がいて(転居のたびに転籍するとか!)、戸籍を追尾する手間が暴力的に増大します。
 3−3 シングルマザーの場合
  それまでは、ある夫婦の子供、としてお父さんお母さんの戸籍に入っていた女の子が、結婚せずして子供を産んでしまう状態を考えてください。
 戸籍制度ではおじいちゃん→お母さん→子供、という三世代を一つにはまとめないので、この場合はシングルマザーになった女の子と、その子供、を1ユニットとする新しい戸籍をつくり、もとの戸籍から抜けることになります。この際にも本籍地は適当に決められます。
 3−4 戸籍の改製 上記の3つとは意味合いがちがうのですが、戸籍を収集したい普通の人たちになんらかかかる迷惑、という点では等価だと考えます。
 かんたんにいうと、役所があちらの都合で戸籍簿を作り直すこと、です。電子情報としてコンピュータに収容するための改製と、昭和30年代から行われている改製があり、それらがいつ行われたのかは各自治体でちがう、というのが恐ろしいところです。
 特にいま60歳ぐらい以上のひとなら、戦後の生まれでも上記の改製2回を経ていることがあって、改製原戸籍(つまり、戸籍の改製をおこなうまえの戸籍)の謄本1通とって満足したらその前に続きがあった、ということになりかねません。
 これらはいずれも、普通に暮らしている日本人を相手取っても『ちょくちょくお目にかかる』例です。
 
 上記のいろんな理由ごとに『本籍地を動かせる』・『戸籍の記載事項が変わる』しかも『ある本籍地での記録は、次の本籍地での記録と無関係に保管される(変更後の本籍地で結婚だの死亡だのしても、前の本籍地での記録にはいっさい反映されない)』ために、それこそ役所を一つ一つたずねるなり郵送請求するなりして拾い集めていく作業が必須になってくるわけです。
 なお、ある戸籍謄本一通とれたとしても、そこには『その戸籍のまえの戸籍・あるいは、その本籍地のまえの本籍地』および『その戸籍のあとの戸籍・あるいは、その本籍地のあとの本籍地』しか載ってませんので、転々と戸籍を移動した人の全容を一気に把握することは絶対にできません。
 
4 実務上、遠隔地の本籍地の場合にどう対処するか
 とにかく『すべて集めなければならない』ことは確かなので、同地の市区町村役場に行くか郵送で請求するか、の単純な選択になります。
 ただし、単純に郵送請求した場合にはデータの収集が異常に遅れることがあるでしょう。たとえば同一市町村内で結婚−離婚していた場合でも結婚時の戸籍と離婚時の戸籍の最低2つ、あるいは結婚前の戸籍も含めて3つあることになります。
 ここで、結婚したときの本籍地、離婚したときの本籍地がわからないこともままあって、そうした場合には1通1通記載を確かめながら請求を繰り返していくしかありません。郵送請求で往復1週間かかったら、どうなるでしょう?試行錯誤している間に、あっというまに一月たちます。
 費用としての定額小為替を多めに入れておいて、『この人の相続人調査に必要な戸籍謄本類全部くれ』とお願いしてみることも不可能ではないのですが、『請求として不明確』という理由で蹴ってくる役場もあるとききます。
 すると究極的には、時間をかけるかお金をかけるかの二者択一、しかありえなくなります。
 
5 ●●書士に頼んだときの費用は?
 〜実費別で、1通あたり1000円強、という統計がでてはいます。ただ、上記のとおり同じ役場で何通とっても単価1000円掛けるのか、は事務所によって分かれるところですし、僕のところでは一応、上限を1万円としています。
 事務所によっては、5万10万と取ってくるところもあります。ホームページで『相続人調査』として表示してあることが多いです。ま、これは呆れますが。
 要は値段なんてない世界なのです。でも仮に1通いくらと設定してはじめの実例で合計16通とりましたから16000円ください、というのもちょっとな、と思ってみたりもします。緊急時には出張して取得しますが、さすがにここでは出張料金を請求せざるを得ません。
 ただし、ここは社会保険労務士の事務所でもあるので、年金・保険等で未請求の給付を得るようにし、その一定率を請求し、費用としてはそれでおしまいにする、ということもあります。・・・給付が始まるまで請求しない、と口を滑らせて自分の首を真綿で絞めることも(苦笑)
 
 さて、いまどうなってると思いますか?アナタの戸籍。
 
 離婚歴、ありませんか?
 転籍大好き、だったりして。
 相続対策や家制度維持のための養子縁組も良し悪し、ですねぇ。
 単に遠隔地のご出身、それでも最低限1通はそのとんでもなく遠くの役場に戸籍謄本が…
 仮にあなたがやってなくても、親御さんや奥さん、子供や兄弟がそうなら、それなりのとばっちりをうけるかも。
 
 どうです?こころあたりありませんか?

14:25 特急『きぬ121号』車中にて

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