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2005年11月

給料未払い:内容証明の使用で何が起きるか

給料未払いが発生していて、内容証明での請求を考えている方へ

 『内容証明』で検索すると、内容証明を作成する・作成の相談に応じるとうたう業者はいくらでもでてきます。『給料未払い 内容証明』でも同様です。

※弁護士のそれは3~5万円はかかるのが相場ですので、それと違う業者さんについて言及しています。

 彼らのホームページを見ていると、給料未払いをふくむ民事紛争の大部分は内容証明で解決できそうにみえます。もちろん世の中そう甘くはありません。

 そもそも彼らが給料未払いや不当解雇などの紛争の相談を行える根拠が不明なのですが、あちらの業界の広告規制はとても穏便なものなのでしょう。

 さて、彼らの失敗後つまり内容証明が望んだ効力を発揮しなかったときにはじまるさまざまな法的手続きの相談を担当する立場の僕からは、むしろ未払い給料の請求に関する内容証明をだしたあと、実際にはどうなるか、を述べていくことにしましょう。

給料未払いをめぐって会社側に放たれた内容証明郵便は、労働者の思惑を離れてどんな事態を巻き起こすのでしょうか?

 なお、当事務所は給料未払いに関する労働側での労働相談が専門です。給料未払いでお困りの方へのコンテンツとしては、この記事のほかに『こちら給料未払い相談室』・『ひとりで できるもん!?内容証明 -労働紛争編- 』も併せてごらんください。

1.まれに起きる、だから奇跡

 給料未払い発生との相談を受けて、まず直接的な給料支払請求という形をとらずに「労働者側としては○○円程度の給料未払いがあると考えていますが、この点につき裁判外で話し合いを行うことはできますか?」という趣旨の内容証明郵便を送って実際に裁判にせずに任意に交渉を開始させ、結果として数百万円単位のお金を支払わせる合意を成り立たせるとっかかりにできることはあります。給料未払い問題でも、うまく使えば内容証明も馬鹿にはできません。

 ここで気を付けなければならないのは、内容証明の文案として漫然と未払いの給料を全額請求する形にしていないことです。相手が分別のある会社なら、これをきっかけにして未払い金の支払い交渉が再開することがあります。

給料支払いを催告する凡庸な内容証明の文案のように「○月○日までに、金○○円をお支払いください。支払いのないときには法的措置をとります」などと間の抜けた二者選択(全額はらうか裁判か)をとるようでは、こうした話し合いを始めることはできません。

ところが安直な内容証明作成業者は、こんな二者選択を迫る内容証明文案を作ってしまいます。法的措置に関与できる立場ではないのに。

2.支払い開始

 請求額通り未払いの給料の支払が始まってしまうパターンです。一括であることも分割の申し入れであることもあります。

 支払に応じてきた相手は水商売・ホワイトカラー・ブルーカラー等と、さまざまです。
 僕から見て比較的アウトローな世界に近いと思われた夜の商売の店長が、しかも退職後の労働者への給料支払いに応じてきたのは特徴的です。

これは労働基準監督署に、給料未払い事案として労働基準法違反での申告も行ったことが効いたのではないかと考えています。上記の請求金額は大きくても40万円弱〜20万円程度なので、未払いとはいえちょっとした企業なら払ってしまえる金額です。これも関係があるかもしれません。

 なお、給料未払いが主たる問題である内容証明作成の相談で、深夜・時間外の未払い割増賃金が請求できそうでも、内容証明郵便では請求しないことをお客さまに提案することが多いです。もともと当人すら気づいておらず、別に自分が請求したいのは当初未払いと思っていた給料だけ、あとはどうでもいい、という方には、特にそうしています。

ことを単純にしたほうが、相手も対応しやすいですからね。ただし訴訟になった場合には、未払いの給料に加えて残業代や立替金の請求やらをトッピングするコースもご希望により選択できます(笑)

3.なしのつぶて

 給料未払いで内容証明が使われる場合、発生する頻度が高いです。
 というより会社側から見れば労働者側からの内容証明を無視することは、ほとんど常に合理的な選択だと、相談の際にも説明しています。

 不謹慎ではありますが、僕でも仮に労働者側から未払い給料請求と称する内容証明を送りつけられた会社側から相談を受けた場合、状況によっては「放っておいていいですよ、そんなもん」と助言することはあるでしょう。どういう判断を行ってそういう結論にたどり着けるか、というのはいろいろ見るところがあるのです。
 いずれにせよ、給料未払い事案で内容証明による催告をおこなっても直接、会社になんらか義務を負わせることができるわけではありません。
 経営が苦しくてお金が払えない場合でも、なんとなく支払いたくない場合でも、これは同じです。

 当事務所のコンテンツ「ひとりで できるもん!?内容証明」で、給料未払いに関する内容証明の自作を勧めているのは、受け取った方が放置してよいような状況下で内容証明郵便の作成をあえて業者に外注するメリットが見いだせないからです。

 ここで挙げた会社側の対応パターンの一種として、内容証明郵便そのものを「受け取らない」というものもあります。主として小さな企業で留守中に配達され、不在で郵便局持ち戻りになってしまうときに発生します。ですから送り先の定休日に到着してしまうような日に内容証明を発送するのは、避けなければいけません。もっと積極的に受け取り拒否する可能性もあります。

4.状況の、急激で大幅な悪化

 具体的には、未払い給料の請求をする内容証明を受け取った直後から、その社長が「こんな(請求をした)奴は雇っていない」と労働基準監督署の担当官に言いだしたり、「雇っていないことにしろよ」と従業員に言い含めたり、といった事案が今年は2件ありました。

 特徴としては、もともと雇用関係や就労時間の立証が難しいときに、つまり、経営側からみて給料未払いをごまかせると思いやすいときに発生するようです。未払いの給料があると称して文書を送ってきた労働者に対して、お前なんか知らんと言ってしまうというのは労働者から見ればかなり強引に思えますが、業種によってはよくある話しだと考えなければなりません。

少なくとも労働者であることを否定すれば労働法の規制を免れられる、と順法精神に劣る経営側は考えます。給料未払いに加えて残業代や解雇予告手当の請求を受けた経営者の対処として、労働者性の否定は魅力的選択肢なのです。このことは、内容証明作成をめぐる相談の段階から考慮しておく必要があります。

 怪しい新興企業と水商売で、これにはまってしまいました。給料未払いをめぐって安易に内容証明の利用をおすすめできない理由の一つはここにあります。

やぶをつつく前にどんな蛇がでてくるかを予想できないなら、給料未払いであれ貸し金の請求であれ内容証明の利用は思いとどまらなければいけません。

5.弁護士による反撃

 一つは僕がくらった事例です。当ウェブサイト「『おはよう』のない事務所で」にその顛末を記してあります。

 まだ開業するまえのこと。かつて勤めていた○○書士事務所に未払い割増賃金&解雇予告手当の請求を内容証明でおこなったら、相手は弁護士を代理人に立てて内容証明で支払い拒否してきた、というものです。これに対して最終的には少額訴訟を起こし、請求した金額より多い金額を払わせて和解するという形で結実しています。

 もう一つは最近発生した例です。
 ある内容証明作成業者が、相談者のいうままに『未払いの賞与○○万円払え』という催告書を作成送付しました。会社は当然、この内容証明を黙殺。
 この時点で当事務所が相談を開始して、未払い賞与ほかに賞与の約2倍の割増賃金が未払いであることを発見します。請求に盛り込んで通常訴訟で提訴しました。

 その後相手についた弁護士が答弁書でいうことには「原告は先行する内容証明で未払い割増賃金の請求をしていない。(つまり、未記載の未払い金を請求する意思は当初からなかったはずだ、と主張したいらしい)」とのことです。

 こんな主張が裁判所で通るはずもありません。でも、こんな間抜けな内容証明の尻ぬぐいや、裁判所に馬鹿な主張を持ち込まれて対応を強いられるこっちはえらい迷惑です。

 こんな内容証明2枚で1万8千円もとり、お客さまに面談もしない業者。北陸地方某市にいまも健在のご様子です。給料未払いをめぐる事態の解決に全く寄与しない、それどころか悪化させているように見えるこの商売、なんとかできないものなのでしょうか?

 上記の通り迷惑といえば迷惑なのですが、もし相手がどこかで何か反論してくる、というのは結構なことではあります。なんらか隙をついて、再度反撃できるかもしれませんから。
 だからといって、20万30万の給料未払いで普通の内容証明を作って終わりにするような業者に1万円以上出しちゃいけないね、お客さんだまされたのと違います?というのが、相談兼尻ぬぐい担当者である僕の正直な気持ちです。

6.会社が自作した反論書の送付

 社内に法務部門があるわけでもなく、かといって専門家に法律相談する気もない場合に、こうしたものが出てきます。
 僕に言わせれば、カモがネギしょってきてくれたようなもの。たいていの場合、法的には穴だらけの世迷い言がならんでますので、後日訴訟を起こす際に証拠として添付します。むしろ歓迎な対応です。

 ただし、その後の対処を労働者側が誤ることがあります。具体的には自分で作った内容証明で反論・再反論・再々反論を試みて、お金の無駄を延々と重ねてあるのをみたことがあります。

労働相談の際に「これ(内容証明のやりとり)は無駄だったってことですかね」と聞かれたので思わず「ハイ!」と断言しました。そんなことやってるお金で支払督促が出せるぞ、と。こうした場合には専門家への相談を含む別の手をさっさと考えないといけません。

 おおきく分けると、労働者側から給料未払いに関する内容証明を送った場合の企業側の対応は上記の通りです。
 結局のところ、普通の人が普通にアプローチした場合に受け入れられる結果は2.しかなく、しかもそれを積極的に実現する方策はまったくないといってよいです。

どちらかというと、給料未払い問題において労働者が内容証明でなにかできると本気で考えない方がよいだろう、というのが労働相談担当者としての僕の意見です。

だからというわけではありませんが、僕のところでは給料未払い事案で時効の成立を阻止する必要がない場合、普通郵便やファクス、あるいは簡易書留で催告書を送ることが多いです。

内容証明。それは戻れない一手なのです

 さて、この旅行書士すずきしんたろう事務所の仕事は『旅行』ではなく(当然です)、社会保険労務士および司法書士として労働者側の本人訴訟を支援することです。
 ですが実際にそこまで行く依頼、というのは月に1件弱、というところ。当然ながら、ひとつひとつの事案を割と余裕をもって担当できます。
 9月に1件、10月にも1件はじまった給料未払い事案がありますが、今月は2件同時に作業中です。ひとつは関東。ひとつは九州。当然ながらどちらも、前もってお客様と現地で面談済(笑 ここは旅行書士の事務所なので)。

 さて作業が先行する1件について、今日『最初の一手』を放つよう指示をだしました。詳しくは言えませんが、内容証明郵便をつかって会社側にあることをしてみるように文案を作ったのです。

 いつもながらしみじみ思いますが、
さ、もうこれで、元には戻れないのよ

 と。一種粛然とさせられるものがあります。いわば戦争をはじめなさいと指示をだしたわけですからね。心情として嬉しいものではありません。

 正直言って、訴訟をおこしたから相手が自発的に支払ってきた、なんて事案みたことありません。
 今年にはいって、賃金支払い請求で6件の事案を裁判所に持っていきましたが、全部弁護士が敵に回りました。そうしたかなり不幸な経験もふまえてお客様にも説明していますが、今回もしばらくは法廷で殴り合わないと落としどころはみえてこないでしょう。

 それでも今回の事案のように、紛争の初動から相談を開始できる場合はまだよいのです。
 以前あつかった事案では、よその○○書士が妙な内容証明を作って出したために、提訴後敵の弁護士から答弁書でつっこまれかけたことがありましたから。世の中にどれだけの代行業者が『実際に法的措置にうつったあとのことを考えて、内容証明の文案を起案しているか』考えるとそれだけで背筋が寒くなります。

 しばらくのあいだ旅行にでる予定はないので、これから少し労働紛争と本人訴訟の分野にしぼって記事を書いていこうと思います。先行する2日ぶんの記事をみるかぎり、私が社会保険労務士で司法書士だといっても信じてもらえない気がしますので。 

『スワローエクスプレス』で日帰り出張を

1. 8時間の壁

 今日(11月17日)の仕事は午後1時から、横浜で。僕はまだ明けやらぬ風情の名古屋駅JRバスターミナルにいます。
 時刻は朝6時10分。当事務所としてはいつも通り、高速バスでの出張です。今日は愛用のCASSIOPEIA FIVA102(数年前のサブノート)をつれて、まる一日東名バス内移動事務所としゃれ込んでみようかと。
 といいますのもこれから乗車の『スワローエクスプレス』=JRバステック運行の名古屋ー東京間の高速バスには、後部座席の一部にPC用電源が装備されているとか。いつもなら外付けバッテリー持参で、事務所外でも連続8時間まではPCを運用できる体制ですが、給電してもらえるならこんなに結構なことはありません。年に1度か2度、羽振りのいいお客さまのための出張で乗る700系新幹線の車端部にあるコンセントをいつもうらやんだ僕としては、『バスにAC電源がやってきた』ことは、事務所外でのPC連続運用可能時間の壁をはるかな高みで飛び越えることを可能にした21世紀最大の慶事のひとつなのです。
 さて、軽く道を踏み外しかけたので修正をかけましょう。上記はほんの冗談です。
 すでに名古屋ー東京間の東名高速バス(昼行便)では、2階建てバスで全座席にこのPC給電用コンセントが装備された車両が登場しています。今回の、午前6時20分発超特急東京行き乗車での僕の最大の関心事は『コンセント』です(笑)。
 もちろん、僕以外に使っている人などみたこともありませんし、足柄SA下り線休憩時にバス停車位置の真ん前にある公衆電話に駆け込んでPCからダイヤルアップ接続を試みていると、車内からの目が気になります(汗)
 ・・・とりあえず、今日の出張では思い切り『バスの中でPCを使って、普段通りに作業してやろう』というのが目標。順当に行けば今日だけで1日10時間強、バスに乗っているはずです。これまでなら外付けバッテリー持参でもこれだけの時間PCを動かしていられないし、さりとて『ヒマならば、コンテンツを作っている』僕の日常をそのままバスの中に持ち込むには、インターネットにつながらなくても常時立ち上がっているPCが不可欠なのです。

2. 入線 06:12 名古屋駅バスターミナル

 事務所最寄りの地下鉄駅を出たのは朝5時40分。発車10分前に到着した名古屋駅JRバスターミナルは、普段味わう昼間の喧噪はどこへやら、妙にうそ寒い雰囲気です。
 〜東京への始発だし、すこしは客が乗るのではないか〜という思惑もあっというまに吹っ飛んで、だれもいない乗車口に鞄をおいてぽつねんと待機。広島発『セレナーデ号』が疲れた表情の旅行者を積んでよろよろと入線。つづいて横浜発『ラメール号』出雲市発『出雲・松江ドリーム名古屋号』が到着。閉じられたカーテンの隙間から、夜の続きから抜け出せない顔・顔・顔は早着したバスが妨げた眠りの世界に戻りたそう。カメラを向けたい雰囲気ではありません。

 彼らが三々五々立ち去ってまた静寂を取り戻したホームに、ほかの夜行高速バスと比べるとやや重心の低そうなたたずまいのバスがゆっくりと入線してきます。出発8分前。改札開始です。

3. 出発 06:20 それは素敵な、4列シート

 ステップをあがった瞬間、コンセント設置の後部座席に着席する計画はあっさりと放棄されました。

 なにやら妙に、最前部の座席の居住性がよさげだったので(笑 お約束です)

 昼間の高速バスは一番前が一番楽しいと相場が決まっている(年齢は不問のはず)のですが、最近JR東海バスが導入した比較的新しい車両では、一番前の座席だけ足下が妙に狭いうえに『三点支持式のシートベルト』がついていたりします。
 旅行書士すずきしんたろう事務所服務規程上、バスでの高速走行中は常にシートベルトをしているのですが、この三点支持のシートベルトがイヤで2列目以降の座席に腰を据えることがしばしば。それに比べて今日のバスの居住性の改善ぶりは、まさに21世紀最大の慶事の一つかと(もちろん冗談です)

 冷静に冷静に。バス内だと妙なノリでキーボードの上を指が走ります。

 まず明らかに他の車両と違うのは、補助席設置を全廃し通路を狭く取って各座席を最大限広くしたこと。これで、男性が普通に座っても隣席に肩がはみ出ることがほぼなくなったのではないかと考えます。

 つぎにわかるのは、着座位置が世のスーパーハイデッカー車や2階建てのバスより低いため、高速走行時のヨーイングが少ないこと。ただし、どういう味付けなのか95kmを超えた途端に露骨にピッチングに見舞われました。車輪の上の席だったから、かもしれません。そうでなければいたっておおらかな走りです。ただし、眺めのよさは犠牲にはなっていますが、それはそういうもんだ、と了解すべきでしょう。

 残念ながらテーブルやレッグレスト・フットレストがありません。ここで仕事をするには、前の席の背中にくっついている網製の荷物入れを有効活用する必要があります。
〜ただ、平日真っ昼間の各便はだいたい、ほどよくすいており、隣に誰か乗ってくることはありません。資料は隣席に散らかしてOKです(苦笑 なお当事務所は個人情報取扱事業者にはあたりません)

 結論としては『安心して乗れるくるま』だと思います。空いていても込んでいても不快を感じず使えるシートと、膝の上にサブノートPCをおいて何となく作業をしているうちにサクッと1〜2時間は過ぎる=揺れない走りができるバス、と言えましょう。

・・・気に入ってしまいました♪ご機嫌でPCの電源を投入。作業開始です。

4. 遅延 07:37 『バスは道路状況のほか運転手のパーソナリティによっても、遅れることがあります』?

 膝の上にはFIVA、ドリンクホルダーに缶コーヒー、胸ポケットにMP3プレーヤーをつっこんで島谷ひとみをききながらこのブログと不動産登記に関する新コンテンツを作成中。

 PCでの作業は、事務所内でも集中すると1時間たつのがあっという間なのである意味怖いのですが、気がつけばバスは名古屋インター付近の渋滞を抜け、矢作川を渡って岡崎市に入ろうとしています。

 しかし!

さっきから、なにやら気に入らない走りっぷりです。車が、ではなく、運転が。

 東名岡崎バス停の通過状況から判断すると、どうやらバスは名古屋市内〜インター周辺で20分程度の遅れをだした模様。たいていの場合、停車の少ない東名ライナーは、高速区間でさっさと回復運転をはじめるのですが、このドライバーさんかたくななまでに80km台をキープするのです。これではおそらく、東名江田までの残り4時間で遅れ短縮どころか、あるいは増延するかもしれません。

 これがもしJRバステックの社風ならちょっと、急ぎのときには選択できないところです。そうでないことはこのバスが神奈川県内に入り、小田急バスの箱根ー新宿線のバスに捕捉されたときに判明します。

 まぁ、あせることはありません。予定として1時間の延着は許容できる予定を組んでいるし、なにより今日は青い空&白い雲。お天気からしてJRバスの色です。のんびり行ってもいいでしょう。僕は、ね。

5. 休憩 08:25〜 遠くの緑は目にいいそうで

 なんとなく作業は進み、なんとなくバスもすすみ、休憩地点の浜名湖サービスエリアへ。空を仰げば仕事がいやになるほどの快晴。思わずどこかへ行きたくなるような、というたとえがふさわしい…のですがたしかにどこかへ行っちゃってます。旅行書士の面目躍如といったところ。

 さて名古屋−東京昼行の第一便たる我がバスは、現在乗車人員9名。いささか寂しい陣容ですが、実はここから先、東名浜松北・静岡・富士・御殿場でも乗車ゼロのまま走ります。
 平日の東名バス、確かに空いているしそれが好みで乗っているのですが、本当にもう少し乗ってやってほしいものです。
 乗客達の顔ぶれはと見ればみなさん人生楽しんでらっしゃるご様子で、ネクタイなどという無粋なものをぶら下げているのは僕だけ。ゆるやかな時間と空気を多めに運んで、静岡県の横断にかかります。
 〜作業を少し中断して、30分ほどうとうとしているあいだに、日本坂トンネルは気づかず通過。乗車も降車もない東名静岡を発車します。目的地の東名江田は、まだここから2時間。名古屋から3時間乗ってようやく半分強の道のりです。

6. 駿河湾岸 09:59 トンネル抜ければ、目が覚めるような…

 

 東名高速道路随一の眺望だといつも思うのが、興津付近の駿河湾です。もともと併走する国道一号・東海道本線より視点が高く海側を走る東名高速道路は、『他者からの眺めをじゃましながら、自分だけは最高の眺めを満喫できる』位置にあります。いい写真がとれないと焦っているあいだに、バスは数分で駆け抜け、蒲原町〜富士川町の山腹に向かって高度を上げていきます。空を行くかのような眺めが、大きな窓の向こうに広がります。

7. 海老名バス停〜 11:20 target locked on!

 神奈川県内までは淡々と80km台〜90km台前半をキープして走り、順当に遅れを増やしてきた我が運転手氏。

 にわかに豹変したのは、30分遅れで神奈川県内に入ってほどなく、こいつの挑戦を受けたから…としか思えないのです。

 追い越し車線からいきなりチャージして来た赤いラインのあいつは、『小田急バス』。箱根桃源台〜新宿線です。しかも小刻みに客扱いする割に加減速が機敏で最高速度が高いため、向こうが客扱いしているうちにこちらが追い抜き、向こうは本線にでるや否や追い越し車線を高速走行してこちらを追い抜いていく攻防が十数分続きます。

 ついに運転手氏が動きます。自らもにわかに100km超(メーターは超えてました)に増速、三車線の一番右に走路を取って無理矢理に引き離しにかかります。

 それができるんだったら、最初からそうせんかいっ。

後方に消え去った小田急バスをみながらつぶやいたことであります。まもなく東名江田。29分ほど遅れての到着です。できればこのやる気を、静岡県内で見せて欲しかったものです。
 

8. 東名江田 11:50

 所定より30分近く遅れて、東名江田に到着。ここから徒歩約15分弱で東急と横浜市営地下鉄に連絡できるため、横浜市街へでるときにも首都高の渋滞を避けるためにも使える重要なバス停です。
 バスに5時間半も乗っていればつかれるのではないかという(普通の)人はおりますが、なにやらもう少しのり足りない気が残ります。少なくとも疲労は感じません。

 それに、作業時間が長い割にホームページ用のコンテンツの執筆が進まないのは痛いところ。これは作業環境というより、僕が遅筆なだけのことです。帰りは東京駅まででて、16時40分発の2階建てバスか17時20分発の『この車』を捕まえるとしましょう。そういえば、一日のうちにバスで東京ー名古屋を往復するのは初めてのことです。

9. 安堵 16:40 東海道線上り列車内〜

 やーれやれ。とりあえず2千ン百万からの取引は、フイにならずに済みそうです。契約履行の状況を検討して、必要なら緊急ストップをかける(最悪の場合、解除する)というのが今回のミッションだったのですが、無事に所期の結果にたどり着くことができました。
 お客さまとのおそい『昼食』を終えて、横浜から東京行き普通列車に乗り込んだのが、もう暮れなずむ16時33分。空が夜の色に変わっていきます。どうやら、東京発名古屋行き超特急の最終便、17時20分発には間に合いそうです。多少込んでいるかもしれませんが、大丈夫。
 今朝乗った『スワローエクスプレス』での運行ですから!

10. 脱力 17:08〜東京駅八重洲口高速バス乗り場1番線

 ・・・拍子抜け。
 思ったよりも、並んでいません。発車12分前の現時点で、僕のまえに並んでいたのは6人。しかもそのうち2人が、入線前にそそくさと立ち去ってしまいました。最終便を捨てるとは豪気なことで。

 とはいえ発車までにパラパラと乗り込んで来て、約20名弱。背広姿のお方も2人ほどいらっしゃいます。10分後の17時30分発静岡行きの列は、アッというまに後ろへ伸びて30人ほど並んでいるでしょうか。

 ところでこの、東京発名古屋行き最終便。
東名江田をでると、次の客扱いは名古屋インターです。
 ということはここに乗っているみなさん、名古屋までお戻りになるということ。最強の4列シート車とは申せ隣に朝青龍クラスの巨漢がのってくるとイヤだな(青春18きっぷシーズンのムーンライトながらでは、まれにこうした災厄に見舞われます)と思ってはいましたが、窓際に空席をいくつか残してバスは出発。切符の買い方すらわからんお馬鹿な女のおかげで、のっけから2分遅れです。
・・・女性を差別したいわけではありませんが、高速バスでDQNな客に巡り会う事案って、なぜかいつも女性です。
・・・ですがこれが列車になると、きまって男性です。傍若無人に振る舞える空間や状況の定義が、性別で違うんでしょうかねぇ?

11. 渋滞 17:40〜首都高速 六本木付近

 皇居に国会議事堂、東京タワーに渋谷駅周辺…田舎者の僕にとって『なんとなく東京らしいところ』をまとめてバスの中からみられる東名高速バス。副都心がすぎたらだらだら住宅と丘陵がつづくだけの中央高速よりも好みです。とくにこのあたりは道路の高架のすぐ脇にオフィスビルが林立しており、通過するたびにいろいろな情景が見えて楽しいのですが…

 これは気づきませんでした。六本木ヒルズって、首都高から見えるんですね。名所だとは思いませんが、これは今日の発見、です。

 例によって車内は時間がゆっくりながれています。となりのお嬢さんはブーツを脱いで新聞に見入っており、後ろの席からはいびき。
 今回は前から二列目に席をとりましたが、前の方の頭はぴくりとも動きません。どうも前を見ることに集中しているご様子。
 同志だ。
 特に夜間は、東名バスは車両の前の方の照明を少し落として走ります。室内の照明の照り返しが少ないので、外をみるにも眠りこけるにも、前の方の席にかぎります。後ろからは、お月様がついてきます。写真がとれないのが残念です。

12. 光芒 22:02〜 三好インター付近

 今回は、運転手氏の志向がわりと時刻表を大事にされる方らしく、現在バスは10分程度の遅れにとどまっているようです。

 東京を出て5時間。感覚としてはほぼ一瞬でした。なにやら体が『バスの中でPCの作業をすることに慣れた』らしく、ディスプレイから顔を上げるたびに数十キロ走っている状況です。時間がたつのだけは速い速い!

 〜とはいえせっかくのバス出張。あまり気合いを入れて作業するのももったいないので、最後に少し、外を眺めて過ごします。前を見れば、先行車のテールランプの群れ。光の尾を引いて飛び去っていく街路灯。大きく振り返れば、お月様が東京からついてきてそろそろ中天へ。ゆっくりと、バスを追い越すかのようです。22時09分。バスは名古屋インターへ到着です。

高速バス 大宮-名古屋線をどうぞ

 というより、もっと乗ってやってくれ、というところからこのブログを始めるとしましょう。首都圏対名古屋を結ぶ高速バスにしては、いささか可哀想な利用状況です。
 と言うわけで。社会保険労務士兼司法書士のブログであるにもかかわらず、高速バス大宮-名古屋線を勝手に応援することにします。

 さて現存する、首都圏-名古屋を結ぶ高速路線バス(企画旅行の形をとって運行されるものは無視します)は大きく分けて、
昼行5系統
◎JR名古屋駅-東京駅(JR東海バス・JRバス関東・JRバステック)
○JR名古屋駅-新宿駅新南口(JR東海バス・JRバス関東)
○名鉄バスセンター-新宿高速バスターミナル(名鉄バス・京王バス)
・サザンクロス佐野バスターミナル(栃木県)~高崎駅(群馬県)-名古屋駅経由京都駅行き(日本中央バス)
・草津温泉-JR名古屋駅(JR東海バス・JRバス関東)
夜行7系統
○JR名古屋駅-東京駅(JR東海バス・JRバス関東)
・JR名古屋駅-新宿駅新南口(JR東海バス・JRバス関東)
・名鉄バスセンター-新宿高速バスターミナル(名鉄バス・京王バス)
・JR名古屋駅-横浜駅東口バスターミナル(JR東海バス・京浜急行バス)
・JR名古屋駅-西船橋駅(JR東海バス・京成バス)
◎名鉄バスセンター-大宮(西武バス・名古屋観光日急)
・館林バスセンター(栃木県)~高崎駅(群馬県)-名古屋駅経由なんば行き(日本中央バス)
の各路線があります。ここで◎、○は僕が利用済、・はそうでないもの。
 それ自体個性的な、北関東発の昼行2夜行1路線はさておいて、他は一応『名古屋対東京周辺』というくくりで把握することができます。このためただでさえ便利な東京・新宿発、巨大遊園地がある西船橋発の座席は、直前では入手が難しいことが多々あります。

 ~そんな時でも必ず取れるのが、上記の大宮-名古屋間のバスです。
去る11月10日大宮発に至っては、なんと乗車人員『4名』です。ちなみに発車オーライネットでは、同日東京発ドリーム名古屋号は各便満席。出発位置を30kmほど北にずらしてやっただけでこの違いです。
 
 いつでも乗れる、というのはそれ自体最大の長所であるこの大宮-名古屋線ですが、新宿・東京発各線に比べた場合の長所を無理矢理に考えてみましょう。
1.3列シートの夜行便として見た場合、片道ベースでは、実は安い。
 ドリーム名古屋号・ニュードリーム名古屋号が片道6420円であるのに対し、大宮-名古屋線は6300円。
2.実質的には北関東への発着に最適
 発着地が大宮駅である以上、東北線・高崎線の乗り換えに便利なのはあたりまえです。名古屋からみれば上記のとおり、東京や新宿に降ろされるより大宮まで行き、かつ安くあげた方がいいに決まってます。
3.常磐線沿線からの乗り換えでみてもほぼ互角か、実は安い
 たとえば我孫子-東京間は片道620円、我孫子-大宮間は690円です。
 水戸-東京間は2210円、大宮-水戸間は1890円。水戸線をつかえるおかげで、友部以東の常磐沿線から出てきて夜行バスで名古屋を目指す場合、運賃面では大宮発がベストです。時刻表を漫然と見ていると上野から東京を目指してしまいそうですが、かならずしもそれがいいわけではないかな、と。
 すくなくとも、4列シートの青春ドリーム名古屋号やラメール号を避けた場合はこうなります。
4.なぜか『お茶』のサービスが健在
 JR系各線がテロ対策とかいう理由でやめてしまった飲み物の提供が、大宮-名古屋線では残っています。
 この路線で名古屋から東上し、翌朝荒川の朝もやを眺めながらお茶にしていると…旅行書士になった幸せをひしひしと感じます。

 ・・・機会があればお試しください。おそらくはほどよく空いた静かな車内が、きっと快適な旅を約束してくれます。

 ところで、このブログはあくまでも社会保険労務士・司法書士のブログなんですが、まあそっちの話はあとでいくらでも出てきます。


この記事で扱った路線は、すでに廃止されており現存しません。また、現状で公共交通機関としての高速バス(主催旅行の形態をとるものを除く)路線で、愛知県内と埼玉県を直接結ぶ路線も存在しません。

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